著者
柳井 郁子
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.107-115, 2002-02-25

This paper investigates a movement to improve people's daily life in a company and how the company tried to control labor's family. In Japan after the World War II family lost an original function of character building, and the family which was interested in scholastic ability and going on to the next stage of education increased. To make clear the change of the family, this paper analyzes the family of labor in the company in 1950s'-1960s'when the number of them increased. In the movement the company guided labor's family in family planning and life planning, and managed labor's family and wife. The model of the family was based on sexual division of labor, and the labor's wife was required to contribute to the company and society by reproduction of the work force.
著者
東 園子 Azuma Sonoko アズマ ソノコ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
no.27, pp.71-85, 2006-03-31

本稿は、もっぱら男性に対してのみ用いられている「ホモソーシャリティ」という用語を女性にも適用する意義を提示することを通して、「女性のホモソーシャリティ」概念の確立を目指すものである。イヴ・コゾフスキー・セジウィックは、同性間の社会的絆であるホモソーシャル関係を、ホモセクシュアルとの類似と区別という観点から考察することで、近代欧米社会において男性の同性関係を「性的」/「非性的」で区分する認識枠組みを明らかにし、「非性的」な関係から社会を分析する有効性を示した。このような同性間の「非性的」な関係性を表す「ホモソーシャリテイ」概念を女性にも用いることで、女性間の「非性的」な絆が認識困難になっている現状を可視化し、女性や女性が取り結ぶ関係性に強固に結び付けられている「性的なもの」との関係を問い直すことが可能になる。また、フェミニズムにおいては「シスターフッド」や「レズビアン連続体」という女同士の絆を表す用語が存在しているが、「女性のホモソーシャリティ」は、分析慨念としてこの両者とは異なる意義を有している。「女性のホモソーシャリティ」概念は、現在の強制的異性愛を伴う男性中心的な社会を分析する際に有効なだけでなく、そのような社会に枠付けられた女性の関係性のあり方を超えて、新しい女同士の関係を想像する端緒になると考える。
著者
佐藤 翔
出版者
追手門学院大学
雑誌
Musa : 博物館学芸員課程年報 (ISSN:13470574)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.21-30, 2016-03-25

TSUTAYA図書館 / 公立図書館 / 図書館史 / 成人教育 / 社会教育
著者
小山 虎
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.29-45, 2018

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;What is the exact relationship between analytic philosophy and philosophy of science? In this paper, I will address this question from the perspective of research traditions, with the help of recent historical studies on analytic philosophy. The two groups are particularly focused: the Polish philosophers and the logical empiricists in Berlin. Neither of them is unknown to us. However, by taking seriously their connection to the development of analytic philosophy and philosophy of science as research traditions, I believe, the understanding of our own tradition may be improved.</p>
著者
中込 清皓 村瀬 康治
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.146-150, 1984

クイズ番組専用として, リモートセンシング等に使用されている画像処理装置を中心に, 各種の周辺装置と効果音発生用シンセサイザーを組合せ, 多彩な機能を盛り込んだ総合システムとしてまとめた.この結果, 操作性の単純化と共に, 多種多様な機能と相まって, 当番組の意図する番組作りに大きく寄与している.
著者
抱 喜久雄
出版者
関西法政治学研究会
雑誌
憲法論叢
巻号頁・発行日
vol.1, pp.13-23, 1994

It has been argued how the state should compensate for damages caused by state-run inoculation program. In 1984, the Tokyo District Court handed a ruling in favor of the plaintiff's claims for indemnity by analogically applying Art.29, cl.3 of the Japanese Constitution. In the appellate trial, however, the Tokyo High Court overturned the initial decision and approved the claims of the appellant (plaintiff in the first trial) for damages by applying Art.1, cl.1 of the State Liability Act. In this paper, I will study problems related to 'state compensation' through an analysis of the decision by Tokyo High Court.
著者
知念 渉
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.102-113, 2014

2000年代以降,「子ども・若者の貧困」に関する研究が数多く蓄積され,貧困家族を生きる子ども・若者たちの生活上の困難を明らかにしてきた.しかし,山田 (2005)が指摘するように,現代社会を生きる人々にとって,家族とは,生活に役に立つ/立たないという観点から理解できる「機能的欲求」には還元できない,自分の存在意義を確認する「アイデンティティ欲求」を満たす関係にもなっている.このような観点に立てば,従来の「子ども・若者の貧困」研究は,アイデンティティ欲求の次元における「家族であること」のリアリティを相対的に看過してきたと言えよう.そこで本稿では,「記述の実践としての家族」という視点から,文脈や状況に応じて流動する若者と筆者の間に交わされた会話を分析し,アイデンティティ欲求の次元における「貧困家族であること」のリアリティを明らかにした.そして,そのリアリティが,流動的で,相対的で,多元的であることを指摘し,その知見がもつ政策的示唆について考察した.
著者
伊藤 陽司 山岸 宏光
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.43-53, 1996-01-25
被引用文献数
2

北海道東部,知床半島の硫黄山から羅臼岳を経て天頂山に至る稜線部には羅臼岳断層系と呼ばれる活断層が知られている.詳細な空中写真判読と航空機による空からの目視調査によって,半島先端域の知床岳の稜線部と半島中央域の知西別岳〜遠音別岳の稜線部に新たな活断層:知床岳断層系および知西別岳-遠音別岳断層系を見い出した.これら活断層は第四紀溶岩流や溶岩ドームの原面を変位させた断層崖,低断層崖,逆向き低断層崖および地溝で特徴づけられる.知床半島の活断層には特徴的な地質現象との関わりからみると,(1)地溝を形成する正断層群とこれから噴出した溶岩流・溶岩ドームやこれに沿う火口で特徴づけられる火山活動に関連したもの,(2)火山活動の痕跡が認められず,地震と関連ありそうなもの,そして(3)ランドスライド発生に関連したものの3つがある.
著者
岩下 俊治 Shunji IWASHITA 明星大学人文学部英語英文学科
出版者
明星大学
雑誌
明星大学研究紀要 人文学部 (ISSN:03881318)
巻号頁・発行日
no.41, pp.111-121, 2005-03

人間の会話は言葉による伝達によってなされるが、実際には、言葉によって意味されること以外のことも伝達される。例えば、次の発話について考えてみる。A:It's hot, isn't it?(今日は暑いですね。)これは単に知り合いに会って、会話を始める挨拶として発話されたという場合であれば、余り重要な意味はない。いきなり会話を始めるのは唐突なので、前置きのようなものとして発話されたと解釈される。しかし、場合によっては、「暑いからエアコンのスイッチを入れてほしい。」とか、「暑いから何か冷たい飲み物がほしい。」とか、「この飲み物熱くて飲めないよ。」といった意味の伝達と解釈できる場合もある。人間は、相手の発話をその場の状況や文脈に応じて、いつも最もふさわしく解釈しようとする。それによって自然な会話の流れが生まれる。この「最もふさわしく解釈する」にはどのような原則が関係しているのか。Sperber&Wilson(19952)が提唱している関連性理論が、この問題に対する一つの答えを与えている。本研究は、この関連性理論の有効性にっいて検証する。結論からいえば、関連性理論は、発話の解釈という点では、有効である。また、関連性理論が主張する、「人間は最小の労力で最大の認知効果を得ようとする」という原則は、Chomsky(1995)に代表される生成文法が提唱する普遍文法の原則であるEconomyPrinciple(経済性の原則)と一致すると考えられる。即ち、人間の言語活動を含む認知過程(Cognitiveprocess)は、この経済性の原則に従っていると考えられる。本研究を通して以上のようなことが明らかになった。