著者
石井 瞬 辻田 みはる 川村 征大 森岡 銀平 小森 峻 小山 将史 宮田 倫明 神津 玲 中野 治郎
出版者
一般社団法人 日本地域理学療法学会
雑誌
地域理学療法学 (ISSN:27580318)
巻号頁・発行日
pp.JJCCPT22006, (Released:2023-08-01)
参考文献数
21

【目的】整形外科外来通院中の高齢者を対象に,新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)流行前後におけるフレイル有症率およびフレイルに関連する問題点の有無の変化について,年代別に明らかにすること.【方法】当院で外来リハビリテーションが処方された65歳以上の患者966名を対象とした.前期高齢者および後期高齢者に対して,基本チェックリストのフレイル,複数の項目の支障,運動器,低栄養状態,口腔機能,閉じこもり,認知機能,抑うつ気分の該当の有無をそれぞれ目的変数として二項ロジスティック解析を行った.【結果】前期高齢者においてCOVID-19流行は,基本チェックリストのフレイルおよび抑うつ気分の該当と有意に関連していたが,後期高齢者では関連が認められなかった.【結論】COVID-19流行中は,整形外科外来において,特に前期高齢者のフレイルの合併が増加しやすいことを考慮した上で,評価や治療を検討する必要があると考える.
著者
渡辺 香 恵土 孝吉
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.68-69, 1982-11-30 (Released:2012-11-27)
被引用文献数
1
著者
小池 関也
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.221-226, 2013 (Released:2016-04-15)
参考文献数
13

スポーツ動作は,身体各筋の筋張力により生じる関節トルクを主な動力源として発現される高速・高加速な多体系の運動であり,この運動は,多体系としての身体の運動方程式によって支配されている.そこで本稿では,この運動方程式が有する関節トルク入力と身体動作出力との因果関係を利用して,運動の生成に対する,関節トルクの項,重力の項,そして遠心力・コリオリ力からなる運動依存の項などの貢献を定量化する手法について説明するとともに,これら各項の貢献が種目によって大きく異なることを示す.このような定量化は,一見すると複雑な身体運動生成のしくみを簡明に表すこと,そしてパフォーマンス向上に対する力学的な要因を抽出することなどを可能とし,運動のコツを説明することに繋がる.
著者
冨田 祥一 吉田 拓磨 野嶋 公博 宮脇 剛司
出版者
一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
雑誌
Oncoplastic Breast Surgery (ISSN:24324647)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.20-24, 2016-12-25 (Released:2016-12-26)
参考文献数
19

刺青・アートメイクは1970年代より乳輪乳頭への着色に応用されているが, MRI 検査時の発熱が危惧され, MRI 製造業者はこれらを有する症例の検査を推奨していない。過去の2度熱傷報告例は, 刺青のループ形状が一因と考察している。今回アートメイクの形状が MRI 検査に与える影響を検証した。 ラボスキンに四酸化三鉄を主成分とする黒い色素を用いて 「Circle」 と 「Loop」 状のアートメイクを行った。色素を入れていない 「Control」 とともに, 9.4Tの MRI 装置, RF パルスの多いシーケンスで50回連続撮影し, その温度変化を計測した。 いずれの検体も MRI 検査の回数を重ねると軽微な温度上昇を認めた。0.1℃上昇するのに有する時間は, 「Loop」 が 「Control」 に比べ有意に短かった。乳輪乳頭に対するアートメイクは, 1回の MRI 検査で温度上昇を認めるものの, 熱傷をきたすリスクは低いと考えられた。
著者
林 紀代美
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.135-153, 2016-09-30 (Released:2016-10-11)
参考文献数
40
被引用文献数
2 1

本研究では,石川県能登地域の海藻類と魚醤を事例とし,当該食材の利用からみた「(文化上の)能登地域」見出すことを試みる.地域住民による10種の海藻の利用頻度の差を確認すると,羽咋市以北の地域で一定の利用が継続し,特に奥能登では海藻類が多用されている.この地域範囲を海藻利用からみた能登地域と考えることができる.一方魚醤は,調査地域全域で海藻類と比べると食卓で利用される頻度が低い.くわえて,魚醤の利用頻度は奥能登と奥能登以南の地域,加賀とのあいだで大きな差がみられた.海藻類以上に魚醤は,「奥能登」の食材と位置づけでき,奥能登のひろがりをとらえる一つの指標とできる.

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1919年10月10日, 1919-10-10
著者
小泉 義之
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.82-94, 2013-06-30 (Released:2019-10-10)
参考文献数
5

社会(科)学の使命の一つは,システムや構造の分析であろう.システ ムや構造は,個人の意見や行動の集積以上のものである.そして,システ ムや構造は,各種の問題を作り出しては,個人の意見や行動を掻き立てる ものでもある. しかも,システムや構造は,個人の意見や行動を「民主主 義」によって掻き立て「熟議」を通して特定の解決へと縮減させるもの でもある. 本論考は, このようなシステムや構造に目を向けている三つの文献,す なわち,開沼博『フクシマの正義』,松本三和夫『知の失敗と社会』,宇野 重規・田村哲樹・山崎望『デモクラシーの擁護』を検討する. 本論考は,それら三つの文献が,再帰的近代化論とリスク社会論のフレー ムによって規定されることを示す.そして,そこにテクノクラシーとデモ クラシーの相補性があることを確認し,それは何らかの閉じた回路をなし ていることを示唆する. ただし,本論考はその閉じた回路を十分に記述してはいない.そもそ も,十分に記述することで閉じた回路を想像的に再現するべきか,それと も,その回路は実は閉じていないことを別の仕方で示すことに期待するべ きか,それがまさに開かれた問いとして残されるからである.
著者
武田 憲昭
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.123, no.6, pp.455-459, 2020-06-20 (Released:2020-07-01)
参考文献数
22

ナローバンド UVB (308~313nm の狭帯域中波紫外線) 光線療法は, 皮膚の免疫アレルギー疾患の治療として保険診療で行われている. (株)日亜化学が 310nm のナローバンド UVB を発光する LED の開発に成功したことにより, ナローバンド UVB を鼻粘膜に照射することが可能になった. 本研究は, ナローバンド UVB を発光する LED を用いたアレルギー性鼻炎の光治療装置の開発を目的としている. HeLa 細胞を用いた in vitro 研究を行い, 低用量のナローバンド UVB (310nm) が DNA 障害を誘導することなく, ヒスタミン H1 受容体遺伝子発現亢進のシグナル伝達経路を抑制し, 波長特異的, 用量依存的, 可逆的に HeLa 細胞のヒスタミン H1 受容体遺伝子発現亢進を抑制することを明らかにした. TDI で感作, 誘発を行うアレルギー性鼻炎モデルラットを用いた in vivo 研究では, アレルギー性鼻炎モデルラットの両側の鼻腔に 310nm のナローバンド UVB を照射し, TDI により誘発されるくしゃみ回数と鼻粘膜のヒスタミン H1 受容体遺伝子発現の亢進に与える影響を検討した. また, 鼻粘膜上皮細胞の DNA 障害についても検討した. その結果, 低用量のナローバンド UVB を鼻腔に照射しておくと, TDI 誘発による鼻粘膜のヒスタミンH1 受容体遺伝子発現の亢進を用量依存的, 可逆的に抑制し, TDI 感作ラットの鼻症状を抑制した. また, 低用量のナローバンド UVB は鼻粘膜上皮細胞の DNA 障害を引き起こさなかった. 以上の結果から, ナローバンド UVB 光線療法はアレルギー性鼻炎の治療に用いることができると考えられ, 安全に実施できると考えられた. そこでナローバンドUVBを用いた光治療装置の試作機を開発し,特許を取得した.平成29~31年度のAMED橋渡し研究戦略的推進プログラム「ナローバンドUVBを発光するLEDを用いたアレルギー性鼻炎の光治療装置の開発」により,非臨床研究を継続するとともに,企業の参画を得てナローバンドUVBを用いた光治療装置のプロトタイプを開発中である.
著者
三宅 雄大
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.17-30, 2022-02-28 (Released:2022-05-21)
参考文献数
12

本稿の目的は,生活保護制度における大学等への「世帯分離就学」がどのような論理によって正当化され,維持されているのかを明らかにすることである.以上の目的を明らかにするべく,分析資料としては,2017年に開催された厚生労働省・社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」の議事録を用いる.分析結果として,部会の議論では:①「大学等非就学者/高卒就職者/非利用世帯との均衡」を理由に,大学等就学の「最低生活保障への包摂不可能性」が指摘されていた.そして,②これにより「世帯内就学」の正当性が否定され,③結果として「世帯分離就学」が消極的に正当化されていた.しかし,以上の「世帯分離就学」を正当化する論理には,いくつかの問題が含まれており必ずしも頑健なものではなかった.そのため,今後,あらためて「世帯分離就学」を正当化する論理を精査し,大学等就学時の「世帯認定」の在り方を検討する必要がある.
著者
中野 顕
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.2, no.18, pp.29-32, 1978 (Released:2017-10-02)

暗室のいらない写真法を使って手軽で簡単に透明フィルムに映像を写し込み.映像によるコミニュケーシヨンの手段として、最も手軽で安価なスライドを自由在に使って情報伝達を効率良く行うことは、業界のひとつの願望であったように思う。九州松下電器は48年末に電子写真法とパナコピー感光体(松下電器産業開発の有機光半導体)を使って原稿から40秒で、ポジのマウント(枠)付モノクロ・スライドを作り上げる世界で初めて暗室のいらない自動スライド作成機「パナコピー」の開発に成功.販売を開始した・それから4年.除々に普及し、昨年は前年比約2倍と云う伸びを示した。とくに大学、研究所、病院などに於ける知名度も急激にアップして来た。このスライド作成機の「パナコピー」のカラー化については、モノクロ(KV-1000)の発売当初から市場の強い要望であり.九州松下電器は.松下電器産業の材料研究所・無線研究所との共同研究を続け、完成したもので、この自動カラースライド作成機「カラー・パナコピー」KV-5000は、スライド化したい原稿あるいは資料を台の上に置き.フィルムをセットしてボタンを押せば2分後には、ボジのマウント付カラー・スライドガ完成するという。業界にとっては夢物語のような商品である。電子写真法と特殊現像機構を採用しているため.明るい室ですべての操作が出来ると共に従来の写真法では.非常に繁雑であった特殊撮影がだれにでも簡単にでき、しかも画面が明るく.変退色が極めて少ないなど、数々の特長を持った商品である。
著者
和田 雄志
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1412-1415, 2007-10-01 (Released:2010-01-08)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

3 0 0 0 OA 帝国信用録

著者
帝国興信所 編
出版者
帝国興信所
巻号頁・発行日
vol.15版(大正11年), 1922
著者
樋泉 岳二
出版者
日本植生史学会
雑誌
植生史研究 (ISSN:0915003X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.81-87, 1996 (Released:2021-06-16)

日本考古学は歴史学の一分野として発達してきた。このため,考古遺物としての動植物遺体は人工遺物より軽視される傾向にある。動物考古学者自身でさえも,標本の扱いは生物科学に比べてルーズであり,管理・公開への対応は著しく立ち後れている。現生標本は,同定根拠を示す証拠物であると同時に,正確な同定法を確立していくための比較骨学資料でもある。これらを恒久的に維持・活用していくためには,標本の登録・保管と記載法に関わる一貫した管理システムを構築することが必要だ。一方,近年の貝塚・低湿地遺跡発掘の増加・大規模化の結果,出土遺体は膨大な量に達しており,保管スペースの不足や整理・収蔵にかかる手間・経費といった問題が深刻化してきた。これらは「標本」に対する社会全体の認識とも関連する問題であり,社会的コンセンサスなくして抜本的な解決は望めない。遺体標本から描き出される人間と環境の交渉史について,社会一般にわかりやすくアピールし,標本の持つ重要性を広く理解してもらう努力が必要である。
著者
関口 芳弘 庄司文由 塚本 俊之
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.801-807, 2012-07-15

スーパーコンピュータ「京」の安定運用を支える重要な基盤である,施設および設備について紹介する.最初に,「京」の超大規模システムを支える建物の免震構造および橋梁技術の適用による無柱の計算機室について紹介する.次に膨大な電力需要と発熱除去の要求に確実に対応するために導入したコージェネレーション発電設備(CGS)および冷却システムについて紹介し,最後に環境への配慮について施設の特徴を説明する.