著者
大島 弥生
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.148, pp.42-56, 2011 (Released:2017-02-17)
参考文献数
25

大規模テストにおける記述テストには,受験者選別の機能に加え,診断的評価の側面,正負の波及効果の側面がある。本稿では,アカデミック・ライティングと社会生活でのライティングについて,これらの側面からJSLの記述テストの新たな可能性を検討する。また,自動採点技術や日本語母語話者にとってのライティングの現状など,近年の技術発展や状況の変化を視野に入れつつ,記述テストの将来像について考察する。
著者
高木 基宏 藤井 寛 清水 淳
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会冬季大会講演予稿集 2012 (ISSN:13434357)
巻号頁・発行日
pp.4-5-1, 2012-12-18 (Released:2017-06-05)

We proposed a new subjective video quality estimation method. Our method does not need to encode video except that a few videos encoding to estimate a relationship between bitrate and quantization parameter.
著者
岩本 廣美 板橋 孝幸 河本 大地
出版者
奈良教育大学次世代教員養成センター
雑誌
次世代教員養成センター研究紀要 = Bulletin of Teacher Education Center for the Future Generation (ISSN:21893039)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.97-106, 2021-03-31

奈良県南部山間地域の野迫川村では、統廃校後の小学校空き校舎がすべて現存している。本研究の目的は、統廃合の経過や空き校舎の状況を明らかにしたうえで、空き校舎を地域の「生き証人」と捉え、主に野迫川小学校の教育課程及び社会科副読本の検討を踏まえたうえで地域学習の教材として活用していく視点を明らかにすることである。研究の結果、野迫川村では1960年代以降段階的に小学校の統廃合が進み、10校の空き校舎のうち2校が放置されているものの、8校は利活用されていることが明らかとなった。社会科副読本では、統廃合前の学校や地域の様子を簡単に紹介しているとはいえ、児童に空き校舎の地理的・歴史的背景に注目させることで、より深化した地域学習になると考えられる。
著者
松井 正枝 中平 真由巳 高村 仁知 的場 輝佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成15年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.22, 2003 (Released:2003-09-04)

アルミニウムは,食品関係の器具容器の素材として広く用いられています.アルミニウム摂取とアルツハイマ_-_症の間に因果関係があるのではないかと指摘する論文がAlfreyらによって発表されて以来,これに関する多くの研究が報告されている.しかし,アルミニウム製調理器具からのアルミニウム溶出に関する報告は多いが,実際に食する料理中のアルミニウム溶出量を測定した報告は少ない.前回の我々の報告において,家庭で行う調理条件で酸性およびアルカリ性の際立った料理を選び,料理中のタンパク質や油のアルミニウム溶出への影響を見るために検討を行い,タンパク質,油の存在は,アルミニウムの溶出を抑制する効果があるという結果を得た.そこで今回は,酸性の料理である,ジャム,およびアルカリ性の料理であるインスタントラーメンを用いアミノ酸のアルミニウム溶出に及ぼす影響を見た.アミノ酸には,グルタミン酸とイノシン酸を用いた. 使用するアルミニウム鍋は,アルミニウム製調理器具から溶出するアルミニウムについてのいくつかの報告があるが,いずれも未使用鍋を用いたものであるため,未使用鍋と繰り返し使用鍋のアルミニウム溶出におよぼす影響について検討を行った.その結果,酸性,アルカリ性の料理共にアルミニウム鍋を繰り返し使用してもアルミニウム溶出量に影響はなかった.アルマイト鍋でも同様の結果を得た.次に,酸性の料理であるあんずジャムおよび干しあんずジャム調理中にアミノ酸を加えることにより,アルミニウムの溶出が抑えられた.アルカリ性であるインスタントラーメンでは,加熱前後の調味料添加によるアルミニウム溶出への影響を検討した結果,加熱前に調味料を添加した時アルミニウムの溶出が抑えられた.今回の実験では、アミノ酸添加量を0.1,0.5 %としたが,アミノ酸の添加量を0.1から0.5%に増やしても効果に差はなかった.
著者
尼岡 邦夫 武藤 文人 三上 敦史
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.109-112, 2001-11-26 (Released:2010-06-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1

In 1993 and 1999, a number of specimens of a poecilid fish collected from a drainage area of the hot spring at Kojyohama, Shiraoi-cho, Shiraoi-gun, southern Hokkaido, Japan was identified as Poecilia sphenops. Identifications were based on males having elongated pelvic-fin tips, in having the dorsal-fin origin posterior to a vertical through the pelvic-fin base, 9-10 dorsal fin rays, no horizontal pigment band and ocellus on the body, no opening of the cephalic sensory canal on the snout, and many tricuspid teeth in the inner row of teeth on the upper jaw. It is believed that small fish were introduced into this area longer than 20 years ago to assist in reducing mosquito populations. At present, high density schools of these small fish were observed swimming throughout the drainages. This report represents the record of habitation and natural breeding of this species in Japan.
著者
田島 稔 瀬戸 孝夫
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.150-157, 1970

国土地理院所属の鹿野山測地観測所における地磁気観測業務の一部が房総西線の直流雹化により支障をきたしたため,岩手県水沢市東方に新たな観測所(水沢測地観測所)を設置することになつた.この際,ごく小数の職員で地磁気連続観測を維持できるように,観測器械の改良を下記の如く行つた. (1)従来の地磁気変化の印画紙記録方式を三成分とも電流帰還型の直視方式にし,記録紙取り換えの手間を省いた. この原理は,H,.D,Z三成分変化計の感度試験用ヘルムホルッコイル枠に,もう一組の変化磁場補償用巻線を加えたものである.光源から出た光はmoving magnetの鏡で反射され受光部に入る.受光部はシリンドリカルレンズを2個はり合せたもので,光路が2つに分けられ,それぞれがCdS感光体に入射する.磁場変化によるスポットの変位は,CdSブリッジに誤差電圧を生じ,増幅されてサーボモーターを駆動し,可変抵抗を調整することにより変化磁場を打ち消す電流を得る.磁場変化に対応した電流は標準抵抗を通し,電圧出力としてERB型の多点記録機に記録される. (2)プロトン磁力計によるF,Hの測定を1分ごとに行い,アナログ記録と同時に,ディジタル記録もとることにした.特に観測所業務で従来多くの時間を要した三成分の毎時平均値を自動的に求めるようにするために,プリンターに,1分ごとの値とともに,毎時間の60回分の積算値も印字させるようにした.しかし三成分のうち偏角についてはプロトン方式よりもD変化計をセンサーに使用する方が簡単なため,直視型D変化計(Suspension magnet type)の出力をA-D変換し,プロトンからのF,Hとともに同じ方式で印字させるようにした.印字の最少単位はF,Hについては0.1γまで可能であり,Dは0.1である.またこれらの印字と並行しテープ穿孔装置も取付けが可能になつている. (3)偏角についてはF,Hと異なり絶対値を獲得しているわけではないので,絶対観測室にてGSI型磁気儀による地磁気ベクトルの方向観測を定期的に行ない,変化計の出力電圧に,基線値に対応する半固定電圧を加えることにより,その時々に対応した値の表示と印字,積算を行なつている. 以上の改良により,すべての装置の記録状態を事務室に隣接した記録計室で直視できるとともに,時間平均値の読み取りは半自動化され,少数の職員による観測業務の維持が可能となつた.
著者
永木 耕介
出版者
Japan Society of Sport Anthropology
雑誌
スポーツ人類學研究 (ISSN:13454358)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.10-11, pp.1-17, 2009-03-31 (Released:2011-08-16)
参考文献数
70

Jigoro Kano (1860-1938) created Kodokan Judo based on the Jujutsu of the Edo period. Kano formed "The research institute of martial arts" towards the end of the Taisho era (early 1920s), and recommenced the study of practical Jujutsu. The purpose of this research is to demonstrate why he felt the need for advancing such research. As a hypothesis, during the Meiji Era (1868-1912) Judo was taught as a version of Jujutsu, being aimed for the most part as a form of education for the masses. However, he felt a range of different martial arts techniques should be taught in addition to competition oriented techniques. To this purpose Kano advocated an in-depth study of other forms of combat. It is also plausible that one of the reasons for this approach was due to the increasing popularity of Judo overseas, where it was perceived that it could be enhanced by maintaining continuity with combat effective techniques from traditional Jujutsu. First, I analyzed the timeframe for literature written by Kano in response to queries about "Judo as a martial art". Questions of this nature gradually became more frequent from the Taisho and subsequent eras. There was also more contact with martial arts such as Karate and Aiki-jujutsu from around from the end of the Taisho era. Investigating of the spread of Judo in Britain as an example of its international propagation, it became clear that modifications in thought succeeded in aiding Judo's popularity overseas. Jujutsu experts such as Yukio Tani and Gunji Koizumi were able to convert to Judo whilst maintaining their connection to traditional Jujutsu schools. Moreover, Kano concluded that it was necessary maintain the association with Jujutsu in order to highlight the individual characteristics of Judo compared to Western sports.
著者
伊藤 昭彦
出版者
一般社団法人 日本燃焼学会
雑誌
日本燃焼学会誌 (ISSN:13471864)
巻号頁・発行日
vol.59, no.188, pp.86-93, 2017 (Released:2018-06-01)
参考文献数
8

The expert knowledge concerning combustion phenomena is indispensable to forensic science, especially to investigate an incendiary fire. Forensic science is defined as the application of natural sciences and technological practices to the purposes of justice in the study and resolution of criminal, civil and regulation issues. However, the common sense about natural sciences in the judicial circles is sometimes far away from the scientific sense, of course without the exception of combustion science. In this paper, it is consider through the several matters of judgment related to combustion phenomena, how the scientific expert opinion should be, and how the combustion research should contribute to forensic science.
著者
川﨑 瑞穂
出版者
国立音楽大学
雑誌
研究紀要 = Kunitachi College of Music journal (ISSN:02885492)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.25-36, 2022-03-31

筆者は本誌第51号に掲載した拙稿にて、千葉県館山市、南房総市、鋸南町に伝わる「平群囃子」について研究したが、そこでは、千葉県香取市佐原から千葉県北東部・茨城県南部一帯に広く分布が確認されている「佐原囃子」との関係について考察することができなかった。本稿ではまず、佐原囃子の先行研究を辿りつつ、平群囃子と比較分析することで、両者の関係性について考察する。そこでは、前稿で指摘した平群囃子と「風流拍子物」との関係が、佐原囃子にも指摘されていることを確認した上で、両者の楽曲《サンギリ》(シャギリ)の比較分析を試みる。次に、前稿にて若干指摘した、平群囃子における楽曲《祇園囃子》に用いられている特徴的な旋律モチーフについて、さらに事例を広げて考察し、平群囃子と風流拍子物との関係について、音楽学の立場からの一定の見解を提示する。
著者
佐藤 寛之 相原 研輔
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.205-241, 2018 (Released:2018-12-26)
参考文献数
31

概要. グラスマン多様体はシュティーフェル多様体の直交群による商多様体と見なすことができる.本論文では,そのような商多様体上の最適化問題を取り上げ,一般の目的関数に対して有効なニュートン法について議論する.特に,数値計算が行えるようにニュートン方程式を水平空間上の線形方程式として導出する.また,クリロフ部分空間法に基づき,目的関数のヘシアンの表現行列を陽に用いずに,方程式を効率よく求解する手法を提案する.
著者
鈴木 凱亜 大知 正直 榊 剛史 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1B302, 2018 (Released:2018-07-30)

ソーシャルメディア上でユーザのコミュニティが形成・発展する背景には,ユーザ同士の性格的な相性が関わっていると思われるが,その影響を定量的に捉えた研究は少ない.本研究では,Twitterユーザの投稿テキストから推定された性格スコアと,会話ネットワーク上のコミュニティの分析指標との相関を分析することで,性格とコミュニティ形成の関係を考察した.また,Homophilyと呼ばれる「類は友を呼ぶ」現象が見られるような性格はないか,確認した.本研究により得られる知見は,よりユーザの効用やチームパフォーマンスを向上させるようなSNSプラットフォームの設計などへの応用が期待される.
著者
宮永 愛子 大浜 るい子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.149, pp.31-38, 2011 (Released:2017-02-17)
参考文献数
12

本稿は,従来言い淀みや場つなぎ語などと言われてきたフィラーの中の「あの」に焦点を当て,談話構造が明快な道教え談話を用いて,「あの」のテクスト構成機能について検証するものである。道教え談話を,道順説明に相当する「現行部分」とコミュニケーション上の問題への対処に関わる「副次部分」から成るとした上で,「あの」の出現位置の特定を試みた。その結果,「あの」は,副次部分の導入と関係が深く,また,現行部分においては,現実との照合が必要な情報内容を導入する際に用いられることが多く,話し手が聞き手の理解ということに特に気を配る箇所で使用されるということを明らかにした。