著者
秋田 茂
出版者
国立大学法人 大阪大学グローバルイニシアティブ機構
雑誌
アジア太平洋論叢 (ISSN:13466224)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.3-21, 2023-03-31 (Released:2023-03-30)

This article reconsiders the progress of the ‘Green Revolution’ or agricultural development in India in the 1970s and its relation to the oil crises. How could India achieve de-facto self-sufficiency in food production in the 1970s given the critical constraints of the oil crises? What factors contributed to the progress of agricultural development in the 1970s? In the middle of the 1960s, India managed to overcome a serious ‘food crisis’ through international aid, especially US food-aid under PL480. During this crisis, the Indian government changed policy priorities regarding economic development, turning from heavy industrialization to agricultural development. However, in 1973-74, India faced another critical economic situation, which led to the shortage of the most basic requisite for agricultural development: chemical fertilizers, a major product of the petrochemical industries. How could the Indian government overcome this shortage given the global economic crisis? The author pays attention to external economic aid to India, especially from the World Bank group (the International Bank for Reconstruction and Development: IBRD and the International Development Association: IDA), led by its President Robert McNamara [1968-1981]. After the First Oil Crisis, India quickly overcame a critical economic situation by expanding exports and invisible incomes. India recorded exceptionally favourable balance of trades between 1974-75 and 1976-77. This steady growth again suddenly reversed in 1979 at the time of the Second Oil Crisis. At this critical juncture, Indian government skillfully took advantage of the largest lending of the IMF and maintained a unique independent stance against the ‘Structural Adjustment’ policies.
著者
尾花 明
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.114-118, 2019-07-15 (Released:2019-07-18)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

38歳女性看護師がNd:YAGレーザーによるレーザートーニングの練習をしていた.クリアファイルに挟んだトレーニング用紙にレーザー照射を行っていたところ,反射光が右眼に入り黄斑円孔を生じた.保護眼鏡は装用していなかった.硝子体手術によって円孔は閉鎖したが,視力は0.01に低下した.
著者
Keisuke Nagasaki Akie Nakamura Takeru Yamauchi Hotaka Kamasaki Yosuke Hara Junko Kanno Satomi Koyama Yoshiaki Ohtsu Ikuko Takahashi Shigeru Suzuki Kenichi Kashimada Toshihiro Tajima
出版者
The Japanese Society for Pediatric Endocrinology
雑誌
Clinical Pediatric Endocrinology (ISSN:09185739)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.79-84, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
16
被引用文献数
2

Atrophic autoimmune thyroiditis (AAT) is a type of autoimmune hypothyroidism without goiter. TSH receptor-blocking antibodies (TSBAb) are involved in its etiology in adults. Reportedly, this disease is extremely rare in children. In this study, we aimed to investigate the prevalence of TSBAb during AAT onset in children using a commercially available cell-based bioassay TSAb kit. We conducted a multicenter retrospective observational study. We collected data of patients with AAT who were < 15 yr old, enrolled in a collaborative research group, and diagnosed since July 2003. AAT was defined as acquired autoimmune hypothyroidism without thyroid enlargement. Eighteen patients (including 15 females) whose TSH receptor antibody (TRAb) or TSBAb levels were measured within a year from the initial visit were included. The median age at diagnosis was 9.3 years, and the estimated time between onset and diagnosis was 2.6 yr. The positive rate for either TSBAb or TRAb was 38.8% (95% confidence interval: 18.3–59.5%). There were no significant differences in age, the estimated time between onset and diagnosis, and FT4 levels at diagnosis between the TSBAb-positive and -negative groups. Unlike previous reports, we showed that the prevalence of TSBAb-positivity in childhood-onset AATs is not rare, as in adults.
著者
髙田 久実子 蛯子 慶三 木村 容子 伊藤 隆
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.191-194, 2016 (Released:2016-08-18)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

近年,日本ではインターネット販売により,鍼灸師や医師以外の者が医家向けの管理医療機器を安易に購入し購入使用するケースも少なくない。プラスチックとシールが一体になった円皮鍼(以下パイオネックス®)は操作性がよく,これまでの報告では有害事象もテープによる皮膚炎程度で安全性が比較的高く広く普及している。今回,患者が貼付していたパイオネックス®を剥離した際にプラスチック部が破損し鍼先が身体に挿入されたままになり,伏鍼などの事故につながる可能性のあった事例を経験した。患者は自己判断で購入し長期間保管して使用期限を10ヵ月過ぎたパイオネックス®を約3週間貼付していた。プラスチックは性質上劣化をおこすものであり紫外線や水,衝撃などでも破損することがある。使用期限を守ることはもちろん,貼付期間が長くなると劣化が進む可能性があり,使用上の注意喚起が改めて必要と考え急ぎ報告する。
著者
西口 麻奈 渡邊 有史 上中 智香子 古川 福実 小森 涼子 安井 昌彰 村田 顕也 伊東 秀文 立石 千晴 鶴田 大輔 石井 則久 金澤 伸雄
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.126, no.13, pp.2433-2439, 2016-12-20 (Released:2016-12-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

大阪府出身の74歳男性.65歳時に四肢の異常感覚が出現し,67歳頃から歩行困難となった.70歳時に顔面と四肢に環状・不整形の浸潤性紅斑が出現し,73歳時に皮膚病理所見と血中ACE高値からサルコイドーシスと診断され,以前から腎障害に対して内服していたプレドニゾロンを継続した.74歳時に当院神経内科に入院し多発性単神経炎と診断され,皮疹について当科紹介となった.兎眼を呈し,皮膚スメア検査と病理組織のFite染色にて多数のらい菌を認め,多菌型ハンセン病と診断した.多剤併用療法にてスメア菌量は減少したが,血中ACE値上昇を伴って皮疹と神経症状が徐々に悪化したため,1型らい反応と診断しプレドニゾロンを増量した.
著者
山田 義郎
出版者
山岳部「薬師岳遭難」
雑誌
愛知大学史研究
巻号頁・発行日
no.1, pp.83-95, 2007-10-31
著者
遠藤 慶太
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.129, no.10, pp.55-76, 2020 (Released:2021-12-01)

六世紀に即位した継体天皇は、応神天皇五世孫とされる出自、近江・越前と推測される政治基盤といった特徴から、関心の集まる古代天皇(大王)である。 継体天皇への着目は、近代では『日本書紀』の紀年論からスタートし、皇室内部の並立を想定する学説や陵墓の比定問題へと展開していった。これらの学説は戦後の古代史・考古学にも強い影響を与え、継体・欽明朝の内乱説や三王朝交替説などの議論をもたらしている。 その一方で継体天皇は、明治期の皇室典範制定において注目されたことも重要である。典範草案の起草者・井上毅は、天皇の正当性を支えるものを血統、すなわち「万世一系ノ天皇」(A line of Emperors unbroken for ages eternal)に求めた。そのときに傍系10親等から即位した継体天皇の位置づけは、皇室典範が起草された当時の現実の課題なのであった。 歴史のなかで過去の天皇がどのように認識されていたのか、また天皇のイメージはどのような史料に依拠してきたのか。このことを考えるうえで、継体天皇をめぐる議論そのものが研究の題材となりうるだろう。 本論では、まず六世紀の王権のありかたから新しい王統とされる継体天皇の記事を再検討し、治世の重複を父子での共同統治として理解する仮説を提示した。続いて『神皇正統記』の記述をとりあげ、この段階で皇位の継承に神意をみる新たな視点が導入されたこと、それが継体天皇を思慕する越前の女性を題材とした謡曲「花筐(はながたみ)」や『椿葉記』で主張された崇光流での歴史叙述に反映されたことを論じる。 このように継体天皇のイメージは『古事記』『日本書紀』のような歴史叙述を枠組み(共通の認識)としながらも、大胆な読み替えや豊かな着想によって再構築され、時代ごとの要請に応じてさらなるイメージが築きあげられてきた。皇位継承の危機ではたびたび六世紀の「史実」が持ち出され、時には十九世紀の越前のように、国学者の実証研究を地域の側で受けいれ、地域の歴史像を確認する動きがみられたのである。 継体天皇像は受け手によって変容・増殖してきたのであって、それはイメージの運動とでも評しうる。系譜の実証研究が記念碑の建立として史跡を保証する機能を果たしていることをみれば、近代以降の歴史学もふくめてイメージの運動に関与しているといえるのではないか。また蓄積された「歴史」を資源として、地域や時代の要望に応じて柔軟に解釈・引用されることで、天皇のイメージは実感をともなって浸透・再生産されるのであろう。
著者
長谷川泉編著
出版者
八木書店
巻号頁・発行日
1973
著者
Natsumi Seki Masahiro Akiyama Hiroto Yamakawa Koji Hase Yoshito Kumagai Yun-Gi Kim
出版者
The Japanese Society of Toxicology
雑誌
The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.91-97, 2021 (Released:2021-02-02)
参考文献数
29
被引用文献数
5 12

Methylmercury (MeHg), an environmental electrophile, binds covalently to the cysteine residues of proteins in organs, altering protein function and causing cytotoxicity. MeHg has also been shown to alter the composition of gut microbes. The gut microbiota is a complex community, the disturbance of which has been linked to the development of certain diseases. However, the relationship between MeHg and gut bacteria remains poorly understood. In this study, we showed that MeHg binds covalently to gut bacterial proteins via cysteine residues. We examined the effects of MeHg on the growth of selected Lactobacillus species, namely, L. reuteri, L. gasseri, L. casei, and L. acidophilus, that are frequently either positively or negatively correlated with human diseases. The results revealed that MeHg inhibits the growth of Lactobacillus to varying degrees depending on the species. Furthermore, the growth of L. reuteri, which was inhibited by MeHg exposure, was restored by Na2S2 treatment. By comparing mice with and without gut microbiota colonization, we found that gut bacteria contribute to the production of reactive sulfur species such as hydrogen sulfide and hydrogen persulfide in the gut. We also discovered that the removal of gut bacteria accelerated accumulation of mercury in the cerebellum, liver, and lungs of mice subsequent to MeHg exposure. These results accordingly indicate that MeHg is captured and inactivated by the hydrogen sulfide and hydrogen persulfide produced by intestinal microbes, thereby providing evidence for the role played by gut microbiota in reducing MeHg toxicity.
著者
西村 雄一郎
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.329, 2013 (Released:2013-09-04)

1.はじめに東日本大震災以降,日本におけるGISを利用した災害支援・復興活動として,ネオジオグラファー(NeoGeographer)とVGI(Volunteered Geographic Information)による活動が注目されている.従来,GISは専門家や研究者が地理情報を分析するためのツールとして位置づけられてきたが,GeoWebと呼ばれるインターネットを通じたデジタル地図・Web-GISサービス・アプリケーションの利用が急速に拡大し,スマートフォンなどによる位置情報サービスが普及するにつれて,専門的なGISの教育や技術を受けていない人々が広くGISを利用するようになった.こうした人々はネオジオグラファーと呼ばれるようになった.また,ネオジオグラファーを含むさまざまな人々によって大量・主意的に蓄積・共有された地理情報はVGI(Volunteered Geographic Information:ボランタリーな地理情報)(Goodchild 2007)と呼ばれている(瀬戸2010).東日本大震災においては,安否情報の確認や災害情報の共有がTwitterなどのソーシャルメディア・携帯電話などを通じて行われ,こうした情報をGIS上で視覚化し共有するために,ネオジオグラファーによる活動が活発に行われた.また,2010年のハイチ地震や2011年のクライストチャーチ地震などで世界的な災害支援活動を継続的に行ってきたOpenStreetMapなどの共有型の地図作成活動が東日本大震災においても行われ,被災状況の地図の作成・公開がボランタリーになされた.こういったボランタリーな活動が広がっている基礎として,FOSS4G (Free and Open Source Software for Geospatial)などの自由に利用可能な地理情報ソフトウェアの開発の進展・普及拡大によって,地理情報のハンドリングを行うための障壁が小さくなっていることが挙げられる.2.カウンターマッピングとは こうしたGISの普及や一般の人々の利用はこれまでになかった新たなGISと社会の結びつきをもたらしうる.英語圏におけるGISと社会に関するテーマのひとつとなっている参加型GIS(Participatory GIS (PGIS))(若林・西村2010)は,周縁化された人々のためのエンパワメントをその主要な目的のひとつに掲げている.すなわち,政府や大企業など,データを占有し,自らの利益に向けた計画をGISに基づき『客観的』な地図として表象しようとする動きに対して,ローカルコミュニティ,土着の人々,エスニック・マイノリティがカウンターマッピング(counter-mapping)(Peluso 1995)を行うことで,ローカルな課題解決に向けた意思決定過程での合意形成を行う手段として参加型GISを位置づけるものである.3.日本におけるカウンターマッピング 「カウンターマッピング」は従来途上国の農村を中心とする実践において主に用いられてきたが,この概念を東日本大震災後のさまざまなマッピング活動に適用することを試みたい.日本の市民参加GISは行政主導で行われてきたこともあって(西村2010),カウンターマッピングは日本において表面化してこなかった.しかし,東日本大震災以降にその状況は一変した.地震・津波による被害が広範囲にわたり,また原子力発電所の事故も発生したことで,行政からの情報公開の遅れや提供された情報の内容が住民の必要とする日常生活レベルの空間スケールと大きく離れていたなどの問題が頻発した.また,行政がGISで読み込み可能なデータを公開しない,地理情報の処理に関するノウハウが不足しているなどの問題も明らかになった.東日本大震災を契機として作成されるようになったネオジオグラファーによる個々人の被災状況・救援物資の過不足などの支援状況に関するマッピングの事例や福島県や関東で行われている放射線量マッピングの事例を取り上げ,日本におけるカウンターマッピングの現状と今後の課題を示したい.
著者
柳澤 孝彰 見明 康雄 藥師寺 仁
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.680-687, 2003-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本研究は,実験的初期齲蝕エナメル質病巣に及ぼす市販のフノリ抽出物(主成分フノラン)と第二リン酸カルシウムを配合したキシリトールガムおよびリン酸化オリゴ糖カルシウムを配合したキシリトールガムの再石灰化促進効果を検討するとともに,それらの比較評価を目的としたものである.実験的初期齲蝕エナメル質病巣は,ヒト抜去第三大臼歯のエナメル質を酢酸緩衝液(pH4.0)で50℃,2日間脱灰することにより作製した.本試験は,それぞれのガム抽出液を含む再石灰化液に脱灰したエナメル質を37℃,2週間浸漬して行った.その後,浸漬したエナメル質を脱水し,ポリエステル樹脂に包埋,厚さ100μmの研磨切片を作製した後,軟エックス線発生装置でコンタクトマイクロラジオグラムを撮影し,鏡検した.また,再石灰化の程度は,画像処理解析を行うことにより算出した.さらに,それぞれのガムでの再石灰化の程度はstudent'st-testによる統計処理を行って,有意差を検定した.フノリ抽出物と第二リン酸カルシウムを配合したキシリトールガムは,初期齲蝕エナメル質病巣の全層にわたって再石灰化を高めており,再石灰化率は45.5%であった.これに対し,リン酸化オリゴ糖カルシウムを配合したキシリトールガムでは,再石灰化がほとんど認められず,再石灰化率も23.7%であった.フノリ抽出物と第二リン酸カルシウムを配合したキシリトールガムの再石灰化率は,リン酸化オリゴ糖カルシウムを配合したキシリトールガムの約1.9倍であった(P<0.01).
著者
菊池 一夫
出版者
サービス学会
雑誌
サービソロジー (ISSN:21885362)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.2-3, 2017-10-28 (Released:2017-10-28)
参考文献数
5
被引用文献数
1