著者
野原 幹司
出版者
特定非営利活動法人 日本睡眠歯科学会
雑誌
睡眠口腔医学 (ISSN:21886695)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.2-7, 2020 (Released:2020-10-01)
参考文献数
9

Polypharmacy is a problem in the clinical practice of elderly medical care. Symptoms caused by polypharmacy are diverse, including falls and deterioration of cognitive function, as well as dysphagia. Textbooks state that neurodegenerative diseases such as stroke and Parkinson’s disease are common causes of swallowing disorder, but there are unexpectedly many drug-induced swallowing disorders in the field of elderly medical care. Typical medicines that cause drug-induced swallowing disorders are sleep-related drugs such as sleep medication, anxiolytics, and antipsychotic drugs. Dentists working in the field of dental sleep medicine are in a good position to treat such disorders because they have knowledge of which sleep-related drugs are likely to cause swallowing disorders, and which drugs do not affect swallowing disorders while improving sleep disorders. Dentists specializing in sleeping dentistry are important for managing drug-induced swallowing disorders in cooperation with prescription physicians. Dental sleep medicine may have an important role to play in treating polypharmacy.
著者
鈴木 光二 岩間 章介 鈴木 直人 武者 広隆 小藤田 和郎 奥田 邦雄
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.1581-1588, 1980-10-05 (Released:2007-12-26)
参考文献数
34

大腸菌に対する抗体(大腸菌抗体)を急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変症(代償性)患者の血清について赤血球凝集反応を用いて検索したところ,肝硬変症では他疾患と比べて有意に高い出現率を示した.大腸菌抗体陽性の肝硬変症では陰性例に比べて血清γグロブリン値,IgA値は高値を示し,IgGも高い傾向であつた.肝硬変症で,ICG 15分血中停滞率と血清γグロブリン,19G, IgA値が良く相関した.大腸菌抗体は腸管由来の抗原に対する抗体であることを考慮すると,上記の結果は肝硬変症では腸管由来の抗原に対する抗体の産生が促進し,それが高グロブリン血症の成因の1つになつていることを示唆している.肝硬変症では肝内血流異常の為に腸管由来の抗原物質の処理不活化が低下していると考えられる.
著者
赤羽 秀 川古谷 裕平 岩村 誠 岡本 剛
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2022論文集
巻号頁・発行日
pp.168-175, 2022-10-17

IoT 機器の普及に伴い,Linux 環境を標的としたマルウェアが増加している.Linux で動作するプログラムの効率的な動的解析を行うためのツールとして,動的結合されたライブラリ関数の呼び出しをトレースする ltrace がある.しかし,過去の研究からほとんどの IoT マルウェアは静的結合されていることがわかっているため,ltrace では一部の IoT マルウェアしか解析できない.また,IoT 機器では様々なアーキテクチャが使用されているため,アーキテクチャに依存せずにマルウェアを解析できる技術が求められている.本研究では,IoT マルウェアの解析支援を行うために,静的結合されたライブラリ関数をアーキテクチャに依存せずにトレースする手法として xltrace を提案する.xltrace は,静的結合されたライブラリ関数の呼び出しをトレースする機能を QEMU の中間表現層で実装することによって,特定のアーキテクチャに依存しないライブラリ関数のトレースを実現することを目指す.提案手法の評価を行った結果, SPARC と SPARC64 を除く 10 種類のアーキテクチャの IoT マルウェアについて,xltrace が静的結合されたライブラリ関数をトレースできることを確認した.
著者
森 勇 高橋 泰 浜崎 満治 山田 翔梧
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.434-441, 2015-08-20 (Released:2017-04-13)
被引用文献数
1

【目的】基本動作能力を測定する新指標の開発およびその指標の反応性と信頼性の検証を目的とした。【方法】基本動作の動きそのものを判定尺度とし,動作の状態像をイラストで視覚化した基本動作能力のCapacityを測定する基本動作指標(以下,BMS)を作成した。対象は要支援1から要介護5の介護保険サービス利用者148名(男性49名,女性99名。平均年齢82.8±7.7歳)。理学療法士と作業療法士(セラピスト)の主観的評価に対するBMS,BI,FIM運動項目の感度と特異度を算出した。セラピストを検者とした検者内および検者間信頼性を求めた。【結果】BMSは感度89%(特異度34%)と各ツールの中で感度がもっとも高く,特異度がもっとも低かった。検者内と検者間ともに高い信頼性が得られた。【結論】BMSは,指標として高い信頼性があり,基本動作能力のCapacityを測定しセラピストの主観的評価に高い感度で反応する指標であることが示唆された。
著者
今岡 信介 佐藤 浩二
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.270-273, 2016-10-01 (Released:2017-10-15)
参考文献数
14
被引用文献数
4

回復期リハビリテーション病棟に入院し,長下肢装具(以下 : KAFO)を作製した脳卒中片麻痺患者において,発症からKAFO作製までの期間(以下 : 作製期間)が身体機能とADL能力に及ぼす影響を調査した.研究デザインは,横断的研究とし,身体機能,ADL能力と作製期間の関連性,実用歩行を規定する因子とカットオフ値を算出した.結果,作製期間と退院時FBS, 退院時NTP stage, 退院時FIM, FIM改善度は,中等度の相関が認められた.また実用歩行を規定する因子として,退院時FBS得点と作製期間が抽出され,カットオフ値は,退院時FBS得点 : 28.3点,作製期間 : 60.5日であった.このことから,作製期間は身体機能とADL能力に影響を与える重要な要因と考える.
著者
大野 雄康
出版者
日本救命医療学会
雑誌
日本救命医療学会雑誌 (ISSN:18820581)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.14-22, 2023 (Released:2023-04-10)
参考文献数
17

Physician-scientistとは,臨床現場で医師として働きながら基礎医学研究を行い,基礎と臨床の橋渡しをする研究者である.救命救急の臨床現場で日々患者に向き合い,真剣に臨床に取り組んでいると,ふと「この生命現象はなぜ起きるのだろう」と疑問が湧いてくる事がある.第一線の臨床現場から出てくるこのような疑問こそが,真に重要な「問い」であり,この「問い」の検証こそがphysician-scientistが行わなければならない研究である.基礎医学と実臨床を橋渡しするためには,両方の世界を知っていなければならない.救命救急医がやらなければならない基礎研究は,確実に存在している. 筆者は救命救急医としてのキャリアを積むなかで,「なぜ重症患者に骨格筋萎縮が発生するのだろう」という臨床的な疑問を抱くようになった.この疑問を解決するために,薬理学の大学院に入学し基礎研究を進め,この「問い」に自分なりの回答を見出すことができた.そこで得た経験と,仲間と「一緒に大切な事を成し遂げた」経験は,自分にとってかけがえのない財産である. 基礎研究の醍醐味は,分子レベルから疾患のメカニズムを明らかにし,その本態にせまり,このような「問い」にクリアに答えることにある.臨床研究よりもデザインの制約は少なく,自由度が高い.さらに処置群と対照群の背景をそろえることができるため,きれいな結果が期待できる. しかし基礎研究の大部分は,実験室での地道な手作業に費やされ,時間も費用も労力もかかる.多大なコストを払って行った実験が結果にたどり着かず,失意を味わうこともある.筆者自身「こんなこと,やめてやる」と思ったことは,1度や2度ではない.しかしそれでもなお,地道な努力や苦労の結果得た,「新しい発見」の喜びは何にも代えがたいものである. 輝かしい「救命医療の未来」を作るために,そのようなphysician-scientistの存在はかかせない.さて,あなたにとってphysician-scientistは良い選択だろうか? 本稿では,筆者の経験を踏まえ判断材料を提供する.
著者
三木 彰馬 榎原 博之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.651-659, 2019-02-15

本論文では代表的な組合せ最適化問題の1つである巡回セールスマン問題(TSP)に注目し,深層学習を適用した解法を提案する.本手法では,畳み込みニューラルネットワークを用いて最適経路を画像として学習することで,最適経路に含まれうる辺の分布である優良エッジ分布を求め,これにより計算される辺の評価値である優良エッジ値を利用して近傍探索を行う.この提案手法の性能を調べるために実験を行い,解の精度向上において有効であることを示す.

3 0 0 0 OA 朝鮮語学史

著者
小倉進平 著
出版者
刀江書院
巻号頁・発行日
1940
著者
加藤 元一郎
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.206-213, 2008-06-30 (Released:2009-07-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

記憶は,まず短期記憶と長期記憶に分類され,長期記憶は,顕在記憶と潜在記憶に分けられる。さらに,顕在記憶はエピソード記憶と意味記憶に分類される。臨床上しばしば観察されるのは,この意味記憶とエピソード記憶の障害である。健忘症候群は,典型的には顕在記憶中のエピソード記憶の選択的障害である。健忘症候群は,損傷の部位と神経心理学的プロフィールとに基づき,間脳性健忘,側頭葉性健忘,前脳基底部健忘に分類される。意味記憶の障害とは,語や物に関する知識や情報が想起できない状態を指している。脳損傷後に出現する意味記憶障害には,しばしばカテゴリー特異性が随伴する。
著者
武田 篤志
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.117-124, 2008-07-17 (Released:2013-12-27)
参考文献数
15

1974年に刊行されたアンリ・ルフェーヴルの主著『空間の生産』は,英訳されたのを機に,1990年代以降,都市論や地理学の分野でひろく再評価がすすんでいる.しかし,この書の第Ⅲ部には「空間の建築術(Architectonique spatiale)」⑴と題される章が設けられているにもかかわらず,また,この「建築」が彼の空間論において要諦をなしているにもかかわらず,『空間の生産』における「建築」の意義について積極的な言及はほとんどみられない⑵.本稿は,ルフェーヴルにおける空間論と建築との理論的関連に焦点を当て,この書の建築理論としての可能性を提起することを目的とする.
著者
大上 尚史
出版者
明治大学
巻号頁・発行日
pp.1-178, 2023

2022
著者
島村史郎著
出版者
日本統計協会
巻号頁・発行日
2008
著者
櫻谷 あすか 津野 香奈美 井上 彰臣 大塚 泰正 江口 尚 渡辺 和広 荒川 裕貴 川上 憲人 小林 由佳
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
pp.2022-015-E, (Released:2023-07-15)

目的:近年,質の高い産業保健活動を展開するために,産業保健専門職がリーダーシップを発揮することが求められている.本研究では,産業保健専門職が権限によらないリーダーシップを発揮するために必要な準備状態を測定するチェックリスト(The University of Tokyo Occupational Mental Health [TOMH] Leadership Checklist: TLC)を開発し,TLCの信頼性・妥当性を統計的に検証することを目的とした.対象と方法:文献レビューおよび産業保健専門職を対象としたインタビューに基づき,6因子54項目(自己理解10項目,状況把握10項目,ビジョン9項目,心構え12項目,業務遂行3項目,人間関係構築10項目)から構成される尺度のドラフト版を作成した.次に,産業保健専門職(人事労務,安全衛生,健康管理のいずれかの部門に所属する者)300名を対象に,webによる横断調査を実施し,信頼性・妥当性を検証した.結果:主因子法・プロマックス回転を用いた探索的因子分析を実施した結果,5因子51項目が得られた(自己理解8項目,状況把握10項目,ビジョン9項目,心構え12項目,業務遂行12項目).次に,確認的因子分析を行った結果,適合度指標はCFI = 0.877,SRMR = 0.050,およびRMSEA = 0.072となった.また,TLCの5つの下位尺度のCronbach’α 係数は,0.93~0.96となった.TLCの合計および下位尺度はいずれも,ワーク・エンゲイジメント,職務満足度,および自己効力感との間に有意な正の相関が認められた(p < .05).一方,心理的ストレス反応との間に有意な負の相関が認められた(p < .05).加えて,「権限によらないリーダーシップを発揮したことはあるか」という質問に対して「はい」と回答した群は,「いいえ」と回答した群に比べて,TLCの合計得点および下位尺度得点が有意に高かった(p < .001).考察と結論:本研究で産業保健専門職向けに新たに開発したTLCは一定の内的一貫性,構造的妥当性,構成概念妥当性(収束的妥当性および既知集団妥当性)を有することが示唆された.
著者
徳久 謙太郎 鶴田 佳世 小嶌 康介 兼松 大和 三好 卓宏 高取 克彦 庄本 康治 嶋田 智明
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.167-177, 2012-06-20 (Released:2018-08-25)
被引用文献数
1

【目的】脳卒中患者の日常生活活動に関連した立位・歩行時の身体動作能力を評価する,ラッシュモデルに適合した新しい尺度,脳卒中身体動作能力尺度(SPPS)を開発すること。【方法】脳卒中患者の日常生活場面の観察をもとに,身体動作25項目から構成される仮尺度を作成した。この仮尺度を2施設の脳卒中患者102名に5段階評点を用いて実施し,評点段階および項目をラッシュ分析にて解析して本尺度を完成させた。またこの尺度の一次元性および尺度全体の信頼性を検討した。【結果】評点段階分析では軽介助と監視の段階が統合され,4段階評点となった。項目選択分析では,9項目が除外され,16項目から構成されるSPPSが完成した。SPPSの一次元性および尺度全体の信頼性は良好であった。【結論】SPPSは脳卒中患者の日常生活活動に関連した立位・歩行時の身体動作能力を評価する尺度であり,その間隔尺度化が可能な特性は,臨床および研究に有用であろう。