著者
魚住 香織 西川 哲也
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.15-21, 2023-01-15 (Released:2023-02-07)
参考文献数
17
被引用文献数
1

播磨灘において2008–2020年の12月上旬から1月上旬にかけて,産卵期のイカナゴを空釣り漕ぎ漁具(文鎮漕ぎ)により採集し,産卵集団としての個体群の繁殖特性を調べた。産卵盛期における産卵親魚密度および産卵量指数は,2010年以降低下し,特に産卵量指数は2016年以降極めて低く,近年の播磨灘におけるイカナゴの個体群産卵量は低水準であることが明らかとなった。また,産卵量指数と産卵から約2か月後に解禁されるイカナゴ0歳魚の漁獲量には正の相関が認められ,産卵量指数に基づく漁況予測が可能であると考えられた。
著者
村上 恵 森脇 千陽 梅原 志保 岡田 梨沙 吉良 ひとみ
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.22, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】スパゲティの好ましいゆで状態は「アルデンテ」という言葉が用いられ、スパゲティのおいしさにはその食感が重要視されている。著者らはこれまでに、スパゲティの硬さ及びアルデンテは破断応力と正の相関があり、ゆで水に含まれる金属塩類がスパゲティの硬さに影響を及ぼすことを報告している。そこで、本研究では水に含まれるCaイオンやMgイオンがスパゲティの硬さにどのような影響を与えるかを検討するため、ゆで水にそれらの金属塩類を添加し、検討を行った。【方法】金属塩類としてCaSO4、MgSO4、Na2SO4の3種類を用いた。これらの金属塩類を超純水に添加してゆで水とし、スパゲティをゆでた。スパゲティはイタリア産の直径1.6mmのものを用いた。それぞれのゆで水についてpH測定、温度測定、残渣測定を行った。また、ゆでたスパゲティについては破断測定を行った。【結果】pH測定では、スパゲティを加えず、水のみを加熱した場合ではCaSO4添加水、MgSO4添加水のpHは加熱後の方が有意に低かった。スパゲティを加えて加熱した場合では、Na2SO4添加水のpHは加熱後の方が有意に高く、CaSO4添加水、MgSO4添加水のpHは加熱後の方が有意に低くなった。温度上昇の経過については、各ゆで水間の差は見られなかった。ゆで水中の残渣測定では、CaSO4添加水、MgSO4添加水では見かけ上のゆで溶けは多くなったが、スパゲティ由来の残渣量に差は認められなかった。破断測定によるスパゲティの硬さへの影響はCaSO4>MgSO4>Na2SO4の順となった。Na2SO4によるパスタの硬さへの影響は認められなかった。
著者
蜂須 貢 貝谷 久宜
出版者
昭和大学薬学雑誌編集委員会
雑誌
昭和大学薬学雑誌 (ISSN:18847854)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.17-28, 2010-03

不安障害の治療において、従来のベンゾジアゼピン系抗不安薬に加え、セロトニン1A(5-HT1A)部分作動薬や選択的セロトニン再取り込み阻害剤が使用されている。更に、最近臨床応用された抗鬱薬ミルタザピンも5-HT2A/5-HT2C受容体拮抗作用を持つことから、重症な不安障害に対する効果が期待される。これらの薬剤の特性をよく理解し治療を行うことにより、高い治療効果が得られる。
著者
小田 一博
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.681-687, 2005-10-01

わが国の年金制度は「社会的扶養」を基本とし, 全国民に共通した「国民年金(基礎年金)」をベースに「被用者年金」および「企業年金」の3階建ての体系となっている.この「国民年金」と「被用者年金」は公的年金, 「企業年金」は私的年金と位置づけられている.公的年金においては, 今後少子高齢化が進行するため, 制度の支え手である現役世代が減り保険料収入が減少する一方, 高齢者の増加や平均寿命の伸びで給付費が増大することが見込まれており, 平成16年において, 将来にわたり安心できる持続可能な年金制度の構築を目指し, 給付と負担のあり方を見直す等の制度改正が行われた.
著者
井川 修
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.151-157, 2010 (Released:2010-12-28)
参考文献数
5
著者
馬場 慎介 柳瀬 和也 今井 藍子 中井 泉 小川 康和 越田 賢一郎 中村 和之
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構 函館工業高等専門学校
雑誌
函館工業高等専門学校紀要 (ISSN:02865491)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.48-67, 2017 (Released:2017-01-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1

Glass beads, possibly belonging to Ainu Culture, were analyzed by XRF technique to understand the origin of these glass. The samples were excavated from Hokkaido belonging to the periods from the mid 14th to the 19th century AD. The analytical results showed that the beads can be classified into two types, lead-potash silicate glass and potash lime silica glass, based on the major components. The proportion of the potash lime silica glass in total glass analyzed is significantly higher than that usually found in beads excavated in Honshu area indicating an apparent difference in the source of the glass. A compositional similarity was observed in green potash lead silica glass between present samples and Ichijyodani Asakura Clan Ruins(15,16th century AD). Potash lime silica glass beads were classified into two groups based on trace heavy elements compositions, indicating the presence of two origins.
著者
加藤 隆文
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.49-60, 2019 (Released:2021-05-08)

This paper proposes an extended understanding of the discipline called ‘analytic aesthetics’, with reference to analytic pragmatism proposed by a prominent neo- pragmatist, R. Brandom. It is therefore argued that analytic aesthetics should be reconsidered in terms of ‘analytic pragmatist aesthetics’. N. Carroll’s philosophy of criticism is expected to offer an appropriate picture illustrating how the analytic pragmatist aesthetics can be embodied in the actual scene. Carroll argues that (1) ‘reasoned evaluation’ comprises the essential part of criticism, and that (2) ‘success value’ should be considered as more privileged than ‘reception value’. This paper assents to (1): the framework of analytic pragmatism, according to which semantics of certain aspects of natural language is understood in terms of their pragmatics, can be aptly applied into the philosophy of criticism. The claim (2), however, may be in tension with pragmatists’ theory of art. Once the pragmatist concept of experience is accepted, the privileged status of success value over reception value is no longer hard and fast: they are two sides of the same coin. This paper thus revises the philosophy of criticism and represents it as a promising illustration of analytic pragmatism implemented in the context of aesthetics independently of Carroll’s argument.
著者
河谷 大和 柏崎 礼生 高井 昌彰 高井 那美
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 34.6 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.113-118, 2010-02-15 (Released:2017-09-21)
参考文献数
11

近年,日本を代表するデジタルコンテンツとしてアニメ作品が注目され,特に,萌えアニメ作品と呼ばれる作品群が著しく増加している.また,アニメ人物キャラクターの魅力=萌えという概念が社会的にも広く認知されつつあり,萌えをコンセプトとする様々なビジネスの市場展開が活発である.そのような中,多種多様なアニメコンテンツ群から好みのものを自身の萌え基準で容易に検索分類したいというニーズが高まっている.そこで本稿では,萌えアニメキャラクターの顔画像に特化した萌え因子特徴抽出と評価法について述べ,これを応用したアニメキャラクター画像検索・分類システムの開発・実装及び実行結果について述べる.本システムを用いることで,アニメキャラクター画像データの萌え因子を自動分析し,ユーザの萌え基準に基づいた画像データの分類や検索が可能である.
著者
窪川 徹 佐藤 光将 平田 祥洸 宮内 音好
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.95-100, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
9

〔目的〕加齢臭やアロマセラピーなど,においに関しては両側面がある.本研究の目的は体臭対策として理学療法士に香りがあった場合の賛否とその理由を調べることと,アンケート項目との関連を調べることである.〔対象と方法〕理学療法士役の学生に石鹸の香りのミストを付け,トランスファー介助動作を行わせた.患者役の男女学生にその印象と日頃のにおいに関してのアンケートを行い,関連を調べた.〔結果〕男性81.8%,女性51.6%がミストに肯定的で,理由は「清潔感がある」が多く,否定的な理由は「無臭がいい」が多かった.ミストの賛否とアンケート項目には関連はみられなかった.〔結語〕ミストには肯定的であっても,理学療法士に香りがあることには否定的な意見もあり様々であった.臨床現場に受け入れられる香りの探求が課題である.
著者
村川 哲也 小坂 道也 森 聡人 深澤 元晴 三崎 敬三
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.103, no.5, pp.506-515, 2000-05-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
14
被引用文献数
13 13

高圧酸素療法(Oxygenation at high pressure,以下,OHPと略す)を併用した突発性難聴症例について,その治療成績をretrospectiveに検討した.対象は1989年1月から1998年12月までの10年間に,香川労災病院耳鼻咽喉科にてOHPを併用した522症例である.予後は厚生省突発性難聴調査研究班による聴力改善の判定基準に従い,x2検定により統計学的有意差を検定し,p<0.05を有意差とした.未治療例と既治療例の比較,高圧酸素療法を含む治療全体を開始するまでの日数,年齢,初診時平均聴力,聴力型,めまい•耳鳴の有無,OHPの副作用,再発症例,発症時期などについて検討した.全体の治療成績は,治癒率19.7%,有効率34.9%.改善率58.1%であった.既治療例に対する予後は,治癒率12.5%,有効率18.8%,改善率38.8%と約4割の症例に効果があった.未治療例だけでなく,既治療例に対しても早期にOHPを開始した方が効果があると考えた.予後は加齢と共に不良になる傾向を認めた.初診時平均聴力との間には相関を認めなかった.聴力型では低音障害型,谷型が良好で,山型,高音漸傾型,聾,聾型は不良であった.初診時平均聴力が31dB以上の症例では,めまいを伴う症例の予後が有意に悪かった.耳鳴の有無と予後には有意差を認めなかった.OHPの副作用として35例(6.7%)に滲出性中耳炎を認めた.17例(3.2%)に再発症例を認め,再発時の予後は初回発症時と比較して有意に悪かった.発症時期には有意な順位を認めなかった.他の治療法に抵抗を示す症例でも,できるだけ早期にOHPを施行することにより,良好な聴力改善を得る可能性が残されていると考えた.
著者
鈴木 正美 梅津 紀雄 岡島 豊樹 大井 弘子 アンタナス ギュスティス セルゲイ レートフ ミハイル スホーチン 木村 英明
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

1950年代後半~1980年代のソ連や中欧において独自の発展を遂げた非公式芸術(非公認芸術)とジャズ文化の密接な関係およびアンダーグラウンドで生まれた創造の場と人的ネットワークの形成に関して現地調査行い、基礎資料を収集し、それらをもとに研究を重ね、研究会および一般公開のシンポジウムを開催した。これにより旧共産圏社会における芸術文化の特質と機能がかなり明らかになった。
著者
関谷 博
出版者
藤女子大学日本語・日本文学会
雑誌
藤女子大学国文学雑誌 (ISSN:02869454)
巻号頁・発行日
no.106, pp.33-61, 2022-06