著者
小林 正明 清水 光 藤井 温子 石川 洋
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.47(2005-MBL-033), pp.37-42, 2005-05-25

本稿では、交通工学と制御工学を統合させるシステム理論的観点から、交通ネットワークの交通流ダイナミクスを制御する信号制御システムや動的経路誘導システム、ならびにこれら2つのダイナミックシステムをオンラインリアルタイム結合させた交通流制御システムについて提案する。最初に、信号交差点の交通流ダイナミクスの基礎となる交通量収支において、捌け交通量の上限値を決定する交通処理量は、ある交通条件と信号制御条件のもとで道路設計によって決定される。交通流ダイナミクスを車線単位、サイクル長単位で解析するために、信号交差点の動的交通情報について調査する。つぎに、時々刻々と変動する交通流ダイナミックスシステムを記述しオンラインリアルタイムで制御する大規模システムを、3レベルの階層制御を用いて構成する。最後に、交通工学と制御工学の統合例として、信号制御システムと動的経路誘導システムの構成や機能、有効性などについて示し、交通流制御システムの構成や制御アルゴリズムについて提案する。
著者
福村 愛美 Manami Fukumura
雑誌
大分県立芸術文化短期大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.34, pp.241-249, 1996-12-31

高校生が制服についてどの様な意識を持っているか、また制服と、家庭科及び被服実習、家庭科男女共修との関連性を調査をもとに分析した結果、次の様なことが明らかになった。1、学校を制服で選ぶかどうかという質問に対して高校1年生と2年生では、1年生のほうが学校を制服で左右されないと考えている。2、好きな制服のデザインでは、1年生男子は詰め襟の学生服を大半が支持しているが、2年生になるとブレザータイプの制服と半々に意見がわかれる。女子は全体的に差はなくセーラー服を好んでいる。3、制服の持っている枚数は、冬用を1枚、夏用を2枚持っている組み合わせが1番多い。4、音楽専攻の生徒が、スカートの長さや靴下の流行に最も敏感である。5、被服制作の完成時に充実感を感じない者ほど、制服の良くないところとして、温度調節がしにくいという理由を挙げている。6、家庭科男女共修に価値があると思う者ほど、学校を制服で選ばないと考えている。7、家庭科を男子も学ぶべきであると余り考えない者の方が、セーラー服をより好んでいる。8、制服のイメージは多面性を持っていると考えられる。終わりに、集計作業にご協力いただいた大分県立芸術文化短期大学の田仲謙司さん及び学生や副手の方々に深く感謝申し上げます。
著者
岡部 大介 岡部 愛 平井 智仁 大谷 紀子 岩野 公司
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.521-522, 2016-03-10

本研究では,アニメのキャラクターなどに扮する遊びである「コスプレ」のポージングを協働的に構築していく状況に着目する.コスプレイヤーのポーズと表情をKinectを用いてキャプチャし,顔や身体の各部位間の位置について客観的な指標を得る.コスプレイヤーがキャラクターの特性に関する理想的な表現に近づけていく過程のデータ解析を通して,ポーズの修得や熟達に関する一人称視点での変容が,身体の動きとどのように関係しているのかを,客観的に見ていく.またあわせて,得られた結果に基づいて「表現力」を客観的な数値として自動判定する技術の可能性を検討する.
著者
森川 亮
出版者
近畿大学経済学会
雑誌
生駒経済論叢 = Ikoma Journal of Economics (ISSN:13488686)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.43-78, 2016-07-31

[概要]本論では,原子の線スペクトルを包括的に理解しようとする試みが古典的な原子モデルの構築へと至り,それが徐々に量子の概念を取り入れようとする過程を論じる(もちろん,この試みは失敗する)。この過程は前期量子論へのプレリュードとでも呼ぶべき前段階であり,ここに古典力学の枠内で到達できる最高の到達点が顕現されている。しかし,同時にその困難も顕現されており,その困難さが,原子の物理学という観点からもまた件の不連続性に帰着するということが浮かび上がってくる。本論は,この不連続性という困難が,いかにして原子モデルの中から出現し,それがどのようにして量子論(前期量子論)の出現を準備したかを明確化するものである。[Abstract] We will discuss a process of the classical atomic model that tries to adapt to the notion of quantum in this article. These trials will absolutely fail. This is the process to create the inclusive understanding about the spectral line of the atom. This process can be referred to as the prelude to the old quantum theory. This prelude process is the highest reachable point of the classical mechanical theory of physics. However, we are able to see some manifestations of difficulty that are recognized in the aforesaid discontinuity. We will see how the discontinuity turns up from the atomic model based on the classical theory in this article. This process is able to clarify the appearance of the old quantum theory.
著者
松原 克弥 髙川 雄平
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2020-OS-148, no.10, pp.1-8, 2020-02-20

インターネット利用者数の増大に合わせて,比較的小規模な Web サービス基盤に対してもアクセス性能と可用性の両立が求められている.一方,個人などが構築する小規模な Web サービス基盤では,負荷に合わせた計算資源の追加投入や冗長サーバ構成にかかるコストを負担することが難しい場合がある.本研究では,利用できる計算資源が同じ場合でも,動作する OS の内部実装の違いによって性能特性が異なる場合があることに着目する.Web サーバが動作する OS を動的に切り替えることで,計算資源の追加投入や冗長サーバを用いずに,Web サーバのアクセス性能と可用性を両立するシステムの実現を目指す.本稿では,Linux と FreeBSD を対象とした異種 OS 間プロセスマイグレーションの実現手法について述べ,OS を動的に切り替えた際の動作中 Web サーバの性能特性と負荷耐性の変化を実験結果により示す.
著者
犬飼 和夫
雑誌
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要第4号 2021 = Journal of Suzuka University and Suzuka Junior College Vol.4 2021 (ISSN:24356530)
巻号頁・発行日
no.4, pp.155-164, 2021-04-01

目的:視覚障害教育における算数・数学に関する研究発表について,内容を分析し,プログラミング教育を検討するための課題を明らかにする.方法:平成18年度から平成30年度までの全日本盲学校教育研究大会において発表された算数・数学に関する研究を年齢段階,教科の内容,指導要領に示された配慮事項によって分類し,考察した.結果:対象となった研究は27件で,小学部5件,中学部8件,高等部11件,その他3件であった.教科の内容別ではA数と計算14件,B量と測定3件,C図形6件,D数量関係6件であった.配慮事項別では配慮事項(1)が15件,配慮事項(2)が0件,配慮事項(3)が4件,配慮事項(4)が21件,配慮事項(5)が0件であった.考察:教科の内容と配慮事項の関係を考慮して,研究内容のキーワードから分類すると1)一人一人の視覚障害の状態に適した操作教材によるイメージづくり,2)情報機器を活用した触覚,音声教材,3)個に応じた基礎的内容の3つの指導の観点を見出すことができた.結論:基礎的な内容を一人一人の実態に応じた操作活動ができる適切な教材によって,イメージづくりをすることによって概念を形成していくことが必要であることが示唆された.
著者
村瀬 邦子
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.14(1997-MUS-024), pp.85-92, 1998-02-13

聴覚訓練機器電子耳を使って、英語、仏語、独語、米語、日本語を母国語とする被験者たちに同5つの言語パラメータをそれぞれに与え、英語を発声する時の知覚や印象、また英語の5通りの聴き取り方による受聴知覚および好みを調べ、母国語がどのように影響を与えるかを調べた。その結果、英語の発声に関しては、イギリス人、アメリカ人、ドイツ人など、高周波成分を含む言語を母国語とする在日外国人は日本語または仏語の言語パラメータでの発声が楽で、中・低周波音域の言語を母国語とするフランス人および日本人は英・米語のパラメータが容易であった。英語の受聴に関しては、在日年数の少ない外国人を除いてすべての被験者が仏語と日本語のパラメータを好んだ。
著者
伊藤 雅隆 武藤 崇 Masataka Ito Takashi Muto
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.83-94, 2015-12-15

本稿の目的は,過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)に対しての認知・行動療法(CBT:Cognitive Behavior Therapy)について展望を行うことであった。有病率が約11%とされるIBSは機能性の消化器障害で,患者の多くがうつ病や不安症などを併発している。薬物療法で軽快しない事例などに,心理療法が適用され,その中でもCBTがその有効性を示している。IBSに対するCBTプログラムについて4種類に分類した。(a)認知療法を用いたもの,(b)ストレスマネジメントを中心にしたもの,(c)腸症状への不安を中心にしたもの,(d)マインドフルネスを用いたものに分類され,それぞれの特徴が示された。今後の課題として,併発症状やQOL改善を見据えた治療プログラムが必要であること,IBS の心理面の基礎的な研究が少ないこと,本邦での治療研究が必要であることが指摘された。
著者
澤井 一彰
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 アーカイブズ研究篇 = The Bulletin of The National Institure of Japanese Literature, Archival Studies (ISSN:24363340)
巻号頁・発行日
vol.53, no.18, pp.3-20, 2022-03-18

トルコ共和国は、日本と同様に地震多発国として知られる。その最大の都市であり、オスマン朝期(c.1300-1922年)には都として栄えたイスタンブルもまた、巨大なものだけでも1509年、1648年、1719年、1766年そして1894年と5度にわたって地震が発生し、そのたびに甚大な被害を受けてきた。 かつて、オスマン朝の宮廷が置かれていたイスタンブルのトプカプ宮殿に付属する文書館には、ひとつの史料が伝世している。D.9567の分類番号をもつ同史料は、ある巨大地震の後に、被災した多くの建築物を修復、再建するために行われた調査の記録である。 近年、公刊されたイスタンブルの災害史料集において、このD.9567はスレイマン1世時代(1520-1566年)の文書として紹介された。しかしD.9567には、スレイマン1世期以降に建設された複数の建物の罹災記録が残されており、また先行研究では、1648年の大地震による史料とする主張と、1766年の大地震によるものとする見解とが対立している。 本稿は、D.9567の全文を翻訳して紹介するとともに、それが作成された経緯について、先行研究で示されてきた史料的根拠を再検証する。さらに、別系統の史料も用いながら、D.9567が上記のいずれでもない、1719年の大地震によって作成されたものである可能性がきわめて高い、という新たな仮説を提示するものである。 The Republic of Turkey is known as a country where earthquakes occur frequently like Japan.Istanbul, its largest city and prospered as a capital during the Ottoman period (c.1300-1922), was also hit bymany earthquakes and suffered great damage each time. There were five earthquakes in 1509, 1648, 1719,1766 and 1894, even if counting only the huge ones.One historical document is held in the archive attached to the Topkapi Palace in Istanbul, wherethe Ottoman court was once located. This document, with the classification number D.9567, is a recordof investigations conducted to restore and reconstruct many buildings damaged by a major historicalearthquake.Recently, D.9567 was introduced as a document of the Suleyman the Magnificent era (1520-1566) inthe published archives of historical disasters in Istanbul. However, D.9567 contains a record of the damage tobuildings built after his reign. Also, in previous studies, the claim that D.9567 was a historical source of the1648 earthquake and the view that it was due to the 1766 earthquake are at odds with each other.This paper translates the full text of D.9567 and reexamines the historical grounds shown in previousstudies as to how this document was created. In addition, this paper also presents a new hypothesis thatD.9567 is likely to have been created by the 1719 earthquake, which is neither of the above, using othersources.