著者
高木 幸一郎 雨宮 真人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.58, pp.67-74, 2001-06-07
被引用文献数
3

本論文は、従来すべて手作業で行われていたRPGの戦闘のバランス調整を自動化することを最終目的とする研究における基礎段階の研究報告であり、RPGの戦闘のバランスとは何かを分析しそこから自動化のために必要な要素を考察、実験を行った。RPGの戦闘のバランスにとって重要な点はプレイヤーが感じる楽しさにあるが、このため心理学的な要素の考慮が必要である。そこで本研究では利用者の嗜好(UP)をテストプレイによって取得しバランス調整に利用する方法を提案する。実験では、戦闘を単純化したゲームにおいてUPを適用した強さの調整を行なう事例を示した。This paper is the primal report of our effort aimed for developing automatic balance configuration program of battle part in role playing games (RPGs). This paper analyzes what the balance of RPG means, and concludes that psychological analysis is important in order to configure it. Aiming for the design and development of our system, we propose the way of extracting user preferences(UP) from their behaviour. In the experiment, we apply UP to simple game and inspected the utility of UP.
著者
矢向 正人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.55, pp.7-14, 1997-05-31
参考文献数
10
被引用文献数
2

音楽分析を十分に行うには,楽譜上の音符の分析に加えて,楽譜上に選択されなかったにかかわらず,選択されることが可能であった音符をも考慮する必要がある。楽譜上の音符の動きがサンギュリエ(一回的で特殊)である場合,選択されなかった音符は,楽譜上の音符の動きに効果をもつと仮説をたてた。選択されなかった音符の効果,楽譜上の音符を用いて聴き手に伝えられるかは,演奏の課題でもある。一方,暗意?実現モデル,代償的グルーピング論は、選択されなかった音符のもつ効果を考慮に入れている。In order to analyze musical works satisfactorily, we should take the notes not selected in notations but might have been selected in them into consideration in addition to the notes really selected. We presume that if the note progressions really selected in notations have singularities, the notes not selected have effects on them. It is important for performers to communicate these effects to listeners through the selected notes. Implication-realization model and compensatory grouping hypothesis take these effects consideration.
著者
木村 直弘 KIMURA Naohiro
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.14, pp.115-136, 2015

宮崎駿と並ぶ日本アニメ映画界の「レジェンド」で1998年には紫綬褒章を受章し,2015年には『かぐや姫の物語』で第87回アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされるなど今日国際的な評価を得ている高畑勲監督(1935年生)は,2014年10月,NHKテレビのインタビュー(1)で,宮澤賢治作品をアニメ化することについて問われた際,「僕にとっては,畏れ多い」と答えている。以前,5年の月日を費やしてアニメ映画『セロ弾きのゴーシュ』を自主制作したこともある高畑に賢治作品への畏敬の念が本当にあったかどうかについてはさて措き(2),賢治作品について高畑がこのようなイメージをもつに至ったのは,1939年,賢治没後初めて出版された子ども向け童話集『風の又三郎』(坪田譲治解説,小穴隆一画,羽田書店)を読んだという彼の最初の賢治体験に依るところが大きい。羽田書店は,この前年,賢治の盛岡高等農林学校時代の後輩でその思想に多いに影響を受け農村劇活動などを実践した松田甚次郎の『土に叫ぶ』を刊行し,ベストセラーになった。同店はその余勢を駆って,松田編の『宮澤賢治名作選』を1939年3月に刊行,これが賢治の童話作家としての名声が広まる大きなきっかけとなったことはよく知られている。このいわば大人向けの選集の好評を受け,さらに同年12月に子ども向けとして刊行されたのが童話6編を収めた前掲『風の又三郎』で,当時文部省推薦図書指定を受け,これも多くの子どもたちに読まれた。さらに,翌1940年10月には,日活によって映画化された『風の又三郎』(監督:島耕二)が公開され,「はじめての児童映画の誕生」ともてはやされ「文部省推薦映画」となり,映画文部大臣賞を受賞,宮澤賢治の名は人口に膾炙することになる。同年,小学校三年生の時に故郷岡崎で観たこの映画や小学校六年生の時に読んだ〈銀河鉄道の夜〉の「すごくメタリックに光る,キラキラした印象」(3)をもとに,名実ともに「一大交響楽」(4)を作曲したのが,高畑より3歳年上のもう一人の「勲」,すなわち,数多くの映画音楽やテレビ番組の音楽を手がけ,またシンセサイザー音楽で世界的に評価されている作曲家・冨田勲(賢治没年の前年である1932年生)である。
著者
岡田 猛 横地 早和子 難波 久美子 石橋 健太郎 植田 一博
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.303-321, 2007

The goal of this case study was to describe creation processes of contemporary artists from the perspective of Cognitive Science. We focused on the interaction among activities that affect long term processes of expertise and those that affect shorter term processes as the artist creates a series of work. We conducted retrospective interviews with two contemporary artists in their 40's using the portfolios of their past works so that they could recall their creation processes in detail. We found that the artists used an analogical modification process to produce a new series of artwork. Analogical modification is a cognitive process similar to analogical mapping, but modifies major features of the source structure while mapping it to the target. Artistic vision, which is formed through many years of creative activities and consists of main themes and goals for creation, plays an important role in guiding the usage of analogical modification. Analogical modification correspondingly appeared to deepen artistic vision.
著者
伊藤 道治
出版者
関西外国語大学
雑誌
研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.93-108, 2003-08
著者
辛島 理人
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.155-183, 2012-03

本稿は、アメリカの反共リベラル知識人と民間財団による、一九五〇・六〇年代の日本の社会科学への介入とその反応・成果に焦点をあて、戦後における日本とアメリカの文化交流を議論するものである。その事例として、経済学者・板垣與一がロックフェラー財団の支援を受けて行ったアジア、ヨーロッパ、アメリカ訪問(一九五七~五八)を取り上げる。ロックフェラー財団は、第二次対戦終了直後に日本での活動を再開し、日本の文化政治の「方向付け」を試みた。その一つが、日本の大学や学術をドイツ式の「象牙の塔」からアメリカのような政策志向の実践的なものへと転換させることであった。そのような方針を持つロックフェラー財団にとって、官庁エコノミストと協働していわゆる「近代経済学」を押し進めていた一橋大学は好ましい機関であった。板垣與一は、同財団が支援する「アングロサクソン・スカンジナビア」型の経済学を推進する研究者ではなかったが、日本の反共リベラルを支援しようとしたアメリカの近代化論者の推薦をうけて、同財団の助成金を得ることとなる。そして、一九五七~五八年に板垣は、「民族主義と経済発展」を主題としてアジア、ヨーロッパ、アメリカを巡検する。アメリカでは、近代化論者の多かったMITなどの機関ではなく、ナショナリズムへ関心を払うコーネル大学の東南アジア研究者との交流を楽しんだ。板垣は日本における近代化論の導入に大きな役割を果たすものの、必ずしもロストウら主唱者の議論に同調したわけではなかった。戦時期に学んだ植民地社会の二重性・複合性に関する議論を、戦後も展開して近代化論を批判したのである。ロックフェラー財団野援助による海外渡航後、板垣は民主社会主義者の政治文化活動に積極的に参加した。しかし、ケネディ・ジョンソン政権と近しい関係にあったアメリカの反共リベラル知識人・財団の期待に反し、反共社会民主主義が議会においても論壇においても大きな影響力を持つことはなかった。
著者
西澤 晃彦
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.47-62, 1996-06-30
被引用文献数
1 1

このエッセイでは, 1950年代から80年代にかけての日本の都市社会学における背後仮説を, コミュニティ理論や町内会研究の検討を通じて明らかにすることが目指される。<BR>戦後の都市化と産業化は, 人口を流動化し, 地域社会の構造を一変させた。これに対して, イデオロギー的立場は多様であったにも関わらず, 多くの都市社会学は一様に社会目標あるいは理想としてのコミュニティの新しいイメージを提示し, その実現可能性を検証, 地域社会の再統合の道筋を探求した。<BR>これらの新しいコミュニティ像の特徴は, 以下の三点に要約されるだろう。 (1) 都市においては, コミュニティ問の境界が不明瞭で, 人口移動も激しかったにも関わらず, コミュニティをその外部から切り離して過剰に独立的に論じている。 (2) 定住民社会として地域社会はイメージされており, 流動層は周辺的存在とされるか, 地域社会の解体要因として評価されることが多い。 (3) 都市における生活世界の複数化を無視し, 「住民」のコミュニティへの同一化を強調し過ぎている。<BR>この結果, 多くの日本の都市社会学者がシカゴ学派の遺産の継承を主張しているにも関わらず, 彼らは, 都市の多様な諸コミュニティと諸個人が接触し合い変容する社会過程を捉えられていないし, 非定住の少数者の社会的世界の研究も放棄され社会病理学に譲り渡してしまったのである。
著者
吉原 達也 笹栗 俊之
出版者
福岡医学会
雑誌
福岡医学雑誌 (ISSN:0016254X)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.82-90, 2012-04-25

2型アルデヒド脱水素酵素(aldehyde dehydrogenase 2:ALDH2)は,アルコール(エタノール)の代謝で生ずるアセトアルデヒドを酸化する酵素であり,人が酒に「強い」か「弱い」かは,この酵素の遺伝子多型に大きく依存することがよく知られている.しかし,ALDH2遺伝子多型は,単に飲酒の可否を決定するだけでなく,様々な疾患の発生や薬物の代謝と関連することが,近年明らかとなってきている.たとえば,低活性型の遺伝子型を有する人では,アルコール摂取後に血中や組織中に毒性を持つアセトアルデヒドが蓄積するため,高活性型の遺伝子型を有する人と比較して,消化管や肝臓などの癌化率が増加することが知られている.また2002 年以来,ALDH2がニトログリセリン(glyceryl trinitrate:GTN)を代謝(活性化)し,その薬効発現に関わることがわかってきた.今では,プロドラッグであるGTN をALDH2が還元代謝することで一酸化窒素(NO)が産生され,血管拡張反応が起きると考えられている.しかし,ALDH2遺伝子多型がGTNの血管拡張作用に及ぼす影響を調査する精度の高い研究は行われていなかった.そこで最近我々は,健康成人を対象とした臨床試験を実施し,GTN による血管拡張に要する時間はALDH2活性が低下するほど延長することを示し,ALDH2 がGTN 薬効発現に重要な役割を果たしていることを明らかにした.さらに,ALDH2が心血管保護作用を有する可能性が示唆されている.動物実験において,ALDH2は心筋虚血再還流後の心筋梗塞範囲を減少させることが示され,ALDH2が活性酸素種(ROS)や毒性アルデヒドを減少させることがその機序と考えられている.また,GTNはALDH2阻害作用を有することから,GTN の長期投与はALDH2を抑制することにより心血管障害を悪化させる可能性も考えられる.本稿では,ALDH2 遺伝子多型と臨床医学との関わりについて,最新の知見に基づき概説したい.
著者
坂 堅太
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.81-95, 2012-11-15

This paper explains Abe Kebo's motives for writing "Henkei no kiroku," focusing on a variety of representations of the dead during the Second World War. First, it introduces his ideas from around the same period about the recording of facts, and analyzes "the dead" as an allegorical signifier. This leads to the conclusion that Abe was not so much trying to depict the War itself as the linguistic environment surrounding the representations of the dead. It also suggests that the corpses of the Chinese people depicted in the story invalidate the narrative inside Japan that held that Japanese are the war victims. The analysis shows that Abe wrote "Henkei no kiroku" as a criticism of the Japanese discussion of war responsibility.
著者
木本 好信
出版者
甲子園短期大学
雑誌
甲子園短期大学紀要 (ISSN:0912506X)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.1-11, 2012-03-20