著者
秋山 舞亜 小早川 達 小林 剛史
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第11回大会
巻号頁・発行日
pp.90, 2013 (Released:2013-11-05)

本研究では、視覚/嗅覚/視覚・嗅覚刺激によって誘発される自伝的記憶想起の反応時間と想起内容の関係に着目した。その結果、嗅覚および視覚手がかりを同時提示した群、視覚手がかりのみを提示した群、嗅覚手がかりのみを提示した群の順に自伝的記憶を想起するまでに要した反応時間が短いことが示された。
著者
水多 陽子 栗原 大輔 東山 哲也
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.25-30, 2014 (Released:2015-04-21)
参考文献数
24

生命現象を生きている状態,かつ生体内で観察することは極めて重要である. 近年,生命科学の分野では,様々な蛍光プローブを用いたイメージング技術の発展や,撮像機器の開発により,細胞や組織内外における分子のリアルタイムな挙動が次々と明らかになってきた.2光子励起顕微鏡は深部到達性,低浸襲性といった,生体深部のイメージングに適した特性を持つ顕微鏡である.我々は植物の深部で起こる生命現象を「生きたまま」解析するため,2光子顕微鏡を用いて植物組織の深部イメージングに挑戦してきた.本稿では,最新の2光子励起顕微鏡を用いた植物深部のin vivoイメージングについて,その特徴と利点を簡単に紹介したい.
著者
中村 孝
出版者
The Surface Science Society of Japan
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.17, no.11, pp.666-670, 1996

強誘電体をメモリなどの半導体集積回路に応用する研究が盛んに行われている。それに伴い強誘電体の成膜などのプロセス技術や物性についてもメモリ素子への応用という観点から研究が進み強誘電体メモリの実用化は秒読み段階になってきた。しかし, 高信頼化や高密度化に向けてまだまだ課題が数多く残されている。高信頼化に向けて現在抱えている問題点としては,データ保持特性, 書換え耐性や耐環境性である。これは, 材料や強誘電体の膜質はもちろんのこと, キャパシタ形成後の還元雰囲気やストレスなどによる劣化が問題となっている。高密度化に対しては, 表面モフォロジーの改善, 薄膜化, エッチングプロセスの特性向上などが望まれてくるであろう。このように, 強誘電体のメモリ応用という観点からPZT系強誘電体を中心に, 材料, プロセス, 電気特性について述べていく。
著者
石津 憲一郎 安保 英勇
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.442-453, 2009-12-30
被引用文献数
7 8

過剰適応はいわゆる「よい子」に特徴的な自己抑制的な性格特性からなる「内的側面」と,他者志向的で適応方略とみなせる「外的側面」から構成されている。これまでこの2つの高次因子は並列的に捉えられてきたが,内的側面は具体的な行動を生起させる要因として想定することができる。そこで本研究では,幼少時の気質と養育者の態度を含め,因子間の関連性を再検討することを第1の目的とし,過剰適応の観点を含めた包括的な学校適応のモデルの構築を第2の目的とした。1,025組の中学生とその母親を対象にした調査の結果,養育態度や気質から影響を受けた「内的側面」によって「外的側面」が生起するモデルの適合度が相対的に高いことが示された。また,過剰適応の内的側面である「自己不全感」や「自己抑制」が「友人適応」や「勉強適応」に負の影響を与える一方で,「自己不全感」や「自己抑制」が過剰適応の外的側面に繋がった場合には,外的側面はそれらの適応を支えるべく作用していたが,抑うつ傾向には影響を与えていなかった。個人が過剰適応することで社会文化的には適応していく可能性があるが,心理身体レベルでの適応とは乖離がなされていくことが想定される。
著者
吉川逸治解説
出版者
集英社
巻号頁・発行日
1976
著者
須貝 栄
出版者
東京国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、職場において日常的に相互接触している文化背景の異なる者が持つ文化的価値とチームワーク価値を研究した。調査参加者は、在日英国商工会議所およびThe Japan HR Society会員の有志であり、在日英国人9名(駐在員2名、現地雇用員7名)およびその日本人同僚1名であった。また、英国籍経営者のITベンチャー企業もインタビュー調査に参加した。研究結果は、文化的価値に関して、在日英国人が、関与特定的-関与拡散的、感情中立的-感情表出的、内的-外的コントロールの3文化次元において、日本文化の影響をかなりの程度まで受けていると解釈された。しかし、これら以外の文化次元に関して、在日英国人は、英国人らしさを固持していると解釈された。また、在日英国人の多くは、文化シナジーへ結びつく他国文化の価値観から始まる文化統合的価値を頻繁に選択するという特徴も示していた。チームワーク価値に関して、在日英国人は、「実際に知っている最も有能なリーダー」が英国人であろうと日本人であろうと、1.友好的な行動についての価値、2.公式権威に基づく課業達成志向を受容する価値、3.支配に関する価値の順で重視していた。これに対して、日本人参加者は、友好的行動を最重視するのは在日英国人と同じであったが、これ以外のチームワーク価値の順位は異なっていた。結論として、在日英国人は、異文化相互接触が不可避な職場において、人間関係構築・維持について日本文化の影響を強く受け、その影響がチームワーク価値、特に、職場での友好的行動に関する価値の最重視に反映されていると解釈された。
著者
王 玉
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
北海道大学大学院文学研究科研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
no.14, pp.83-104, 2014

大正七年(一九一八年八月)、鈴木三重吉は「世俗的な下卑た子供の読みものを排除して、子供の純粋を保全開発するため」の話及び歌を創作し、世に広める一大運動を宣言し、『赤い鳥』を発刊した。しかし、創作童話、童謡以外にも、鈴木三重吉の手による作品をはじめとする、多くの再話作品が『赤い鳥』において重要な位置を占めている。特に、第一次世界大戦中にヨーロッパの思想、文化がこれまで以上に流入するようになったことにともない、欧米の昔話の再話が『赤い鳥』に数多く掲載された。「私は、これまで世の中に出ている、多くのお伽話に対して、いつも少なからぬ不平を感じていた。ただ話が話されているというのみで、いろいろの意味の下品なもの少なくない」と当時の児童文学を手厳しく批判した三重吉は、積極的に芸術性の高い海外の作品を日本の子どもたちに紹介しようとした。しかし、外国昔話の再話作品が、どういう基準で選ばれたかはまだ明らかになっていない。ところで、昔話は残酷な場面が多く、子どもに向いていないという説があるが、大正時代の代表的な児童雑誌として、『赤い鳥』における昔話の再話作品に「殺す」「殺される」など「殺害」もそのまま残っていることが多い。「殺害」が残された理由として、昔話における「殺す」「殺される」というモチーフが単に残酷性を表わすものではなく、独自の意味を持っていることが挙げられる。本論は『赤い鳥』の欧米昔話の再話作品群を中心に、作品中の「食べる」「食べられる」「殺す」「殺される」などの場面を取り上げながらその特徴を明らかにし、そこに現れた三重吉を代表とする『赤い鳥』の編集方針とその意図を検討したい。
著者
井村 隆介 石川 徹
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.120, no.Supplement, pp.S155-S164, 2014-08-31 (Released:2014-12-26)
参考文献数
16

霧島山は,南九州の鹿児島・宮崎の県境に位置する,第四紀の複成火山である.本コースでは,2010年に日本ジオパークネットワークに登録された霧島ジオパークのジオサイトを巡りながら,霧島山の噴火史や2011年1月に始まった新燃岳(しんもえだけ)噴火について紹介する.巡検では,まず,麓から霧島火山全体の地形や生い立ちを学び,その後,高千穂河原(たかちほがわら)や新湯(しんゆ)付近にて,2011年の噴出物や噴火による地形の変化などを観察する.噴出物に覆われた地域の植生回復の様子も見どころのひとつである.
著者
Shenghui MEI Leting ZHU Xingang LI Jiaqing WANG Xueyun JIANG Haiyan CHEN Jiping HUO Li YANG Song LIN Zhigang ZHAO
出版者
(社)日本分析化学会
雑誌
Analytical Sciences (ISSN:09106340)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.665-670, 2017-06-10 (Released:2017-06-10)
参考文献数
25
被引用文献数
13

Methotrexate (MTX) plasma concentration is routinely monitored to guide the dosage regimen of rescue drugs. This study aims to develop and validate an ultra-performance liquid chromatography tandem mass spectrometry (UPLC-MS/MS) method for plasma MTX analysis, and to establish its agreement with the fluorescence polarization immunoassay (FPIA) in patients with high-dose MTX therapy. Separation was achieved by gradient elution with methanol and water (0.05% formic acid) at 40°C with a run time of 3 min. The intra- and inter-day inaccuracy and imprecision of the UPLC-MS/MS method were –4.25 to 3.1 and less than 7.63%, respectively. The IS-normalized recovery and matrix effect were 87.05 to 92.81 and 124.43 to 134.57%. The correlation coefficients between UPLC-MS/MS and FPIA were greater than 0.98. The UPLC-MS/MS method was in agreement with the FPIA at high levels of MTX (1.0 – 100 μmol/L), but not at low levels (0.01 – 1.0 μmol/L). Further studies are warranted to confirm these results.
著者
野中 直之 髙田 智仁 西片 由貴 大澤 一輝 栗原 早紀 小林 大泰 染谷 慶子 李 輝
雑誌
書道学論集 : 大東文化大学大学院書道学専攻院生会誌 (ISSN:13489313)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.3-26, 2015-03-31

手鑑とは、古人の筆跡(手)である古筆切や短冊、色紙等を鑑賞や手習いの手本(鑑)とするために貼り込んだ帖のことを指す。本手鑑は2004年度に大東文化大学図書館に受け入れられたものである。縦38.8センチ、横25.6センチである本手鑑は、表面66葉・裏面66葉の計134葉を収め、聖武天皇、光明皇后から始まる基本的な手鑑行列の配列に従っているものの、貼り替えの跡が多数見られ、また手鑑行列も乱れている点から、製作当初とは所収内容が変更されていると思われる。しかしながら、伝藤原有家筆「墨流切(多田切)」、伝西行筆「曽丹集切」、伝藤原俊成筆「顕広切」などの固有古筆名を有した名物切も所収する。本解題は表面2回・裏面2回の計4回に分けて掲載を予定し、2回目に当たる本年度は表面のうち、後半の「大覚寺殿義俊」から「徹書記正徹」までの29葉を扱うものである。
著者
西村 貴士 林 晃平 山田 外史 岩原 正吉
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:02850192)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.387-390, 2006 (Released:2007-02-21)
参考文献数
7

It is important to understand leakage magnetic fields surrounding magnetic machines and devices for facilitation of development and evaluating the environmental effects of the magnetic field level to determine whether it conforms to the EMC guideline. The magnetic projection method is a measurement technique that can detect a leakage magnetic field by means of a simple probe. The principles of 2-D magnetic field measurement and reconstruction have been previously reported. This paper proposes the principles of a spherical magnetic projection method, and reports on an experiment carried out to observe the overall leakage magnetic field around a sample object. As a result, it is shown that the projection method can easily measure and visualize a magnetic field on a spherical surface with good accuracy.