著者
片山 幸太郎
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.99-104, 2015-10-25

リスクリテラシーとは,リスクに接する際に,その背景にまで考えを及ばせ,リスクの波及範囲を正確に見極め対処する力を備え,さらにリスクを予防する能力のことをいう.市民生活におけるリスクリテラシーにおいては,日常の生活における種々のリスクに加え,不期遭遇的なクライシス状況に対応する能力も求められている.そこで本稿ではリスクマネジメントの概念についてまず整理をし,さらにクライシス状況に対し準備すべき具体的事項について武道家として概説する.
著者
柴田 圭子 渡邉 容子 三好 恵子 大貫 勇 眞田 英輔 宇田川 政喜 安原 安代
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.389-398, 2004-05-15
被引用文献数
2

オニオンスープをモデルに,ベースのスープ(炒めタマネギ添加前のブイヨンやコンソメ類)の影響およびタマネギの加熱方法がオニオンスープの食味や呈味成分へ及ぼす影響を検討し,以下のような結果を得た.(1)手作りのコンソメをオニオンスープのベースに用いた場合,特にうま味・こくが強くなって有意に好まれることが認められた.(2)即席コンソメを用いた場合でもオニオンスープの総合評価においては,嗜好的な有意差がみられなかった.(3)炒めタマネギの添加は遊離糖量の増加による甘味増強効果が認められた.同時に,有機酸量も増加したが,有機酸の種類と量および酸味抑制効果のあるペプチド類などの影響で官能的な酸味における有意な強弱差や嗜好差は認められなかった.(4)揚げタマネギを用いた場合,スープの色が濃く,甘味とうま味およびこくの弱い淡白な食味のオニオンスープであったことから,炒めダマネギの代用とはならず,別の食味を形成することが認められた.
著者
増田 智恵 今岡 春樹
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.915-925, 2004-12-15

"角度に基づく点集中のガウスの曲率(Kc=2π-θ:欠損角)"による衣服パターン3次元曲面形状抽出理論を用いて,青年男子(n=15l)の青年女子(n=203)と比較したときの密着衣服原型(密着衣)の相対的な曲面形状の特徴を明確に捉えることができた.すなわち,男女の周密着衣の5つのダーツのKcの総和と3つの境界線のKcの合計は,ガウスーボネによる一種の保存則にしたがい一定の720度になって絶対的なサイズに依存しない.男子の密着衣の内部のバストダーツと側部のダーツは小さいがバラツキがあって,前と側胴部の相対的密着衣曲面形状は緩やかではあるが個人差があり,境界線で示される密着衣形状にも前後差が認められた,これに比べて女子の密着衣の3次元曲面形状は内部のバストダーツにより主に形成されていた.このことにより,個々の男子の胴部形状に適合した普遍的なパターンを設計することは難しいことが予想された.これらの特徴はパターンの相似的曲面形状分類のための有効な資料であり,さらに,現在の絶対的サイズによる衣料サイズの他に将来付加すべきと考える相対的なパターン形状表示のための基本的な情報となる.
著者
荒川 志津代
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.729-736, 2005-10-15

The purpose of this study is to compare views of grownups on the cuteness of children between 1980 and 2005. A 21-item questionnaire was answered by 80 adults in 1980 and 200 adults in 2005. The adults who responded consist of 4 groups; a male group with a child or children, a female group with a child or children, male university students with no children, and female university students with no children. The main results are as follows : 1) In the case of the second group, or the female group with a child or children, their views are not identical between 1980 and 2005, the variance between the two is greater than that of the other groups, although their views come closer to those of the other 3 groups in 2005. 2) The number of those who stated that children were all lovely is larger in 2005 than in 1980. 3) The number of those who answered that they felt sympathy for babies or little children is larger in 2005 than in 1980. 4) Notable is the number of the respondents in the first and second groups who objected to the item that pensive or inactive children are not childish. Those who objected to the statement is larger in 2005 than in 1980.
著者
上野 智子 山本 昭子 島田 直子 和佐野 仁代
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.369-378, 2005-06-15

Concerning the consciousness of body shape of Japanese students in the Kyushu area, an investigation was made on 598 males and 557 females ranging in age from 18 to 29 from the viewpoint of differences between the sexes. The results were as follows: 1) The degree of satisfaction with their own body proportions is lower in females than in males. The principal body parts with which over 50% of subjects are dissatisfied are body height, upper limb girth and bust girth in males, and all the body parts in females. 2) Males and females differ on what constitutes the ideal female body shape. Females desire leaner bodies than males desire for them. 3) According to correlation analysis, the regression lines of the ideal body weight to ideal height show a bias toward leanness in females, while the regression line for males is centrally situated in the normal range based on BMI.
著者
加藤 健治
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

脳梗塞・脊髄損傷後による運動機能障害は、大脳皮質と脊髄間を結ぶ下行路が切断されているために起こるが、損傷領域の上位に位置する大脳皮質や、下位に位置する脊髄・末梢神経・筋はその機能を失っているわけではない。従って、機能の残存している大脳皮質より神経活動を記録し、損傷領域を超えて下位の神経構造へ、神経活動依存的な電気刺激を送る「人工神経接続」によって、失った随意運動機能を再建できる可能性がある。本研究では、脳梗塞モデルサルにおける大脳皮質-筋間の人工神経接続に対する運動適応過程とその神経メカニズムについて検討した。3頭のサルを用いレンズ核線条体動脈或いは前脈絡叢動脈を結紮することにより脳梗塞モデルサルを作成した。大脳皮質-筋間の人工神経接続は、大脳皮質前頭葉へ慢性留置したシート状電極のうち1極を任意に選択し、記録された脳活動よりhigh-γ帯域(80-120Hz)の特徴的な波形を検出し、その検出頻度に依存して電気刺激の強度と周波数を変調させることにより達成した。人工神経接続切断時では麻痺手の随意制御ができなかったが、人工神経接続中には、随意的に麻痺手の運動を制御することに成功した。さらに、一次運動野、運動前野、一次体性感覚野におけるいずれの脳活動を使っても、麻痺筋の随意制御は可能であり、手関節力制御タスクの成績は時間に伴って有意に向上した。その学習に関わる神経メカニズムを調べたところ、人工神経接続への入力信号を効果的に増加させることによって、自己学習できることがわかった。これらの結果は、脳梗塞サルであっても、自ら脳活動を大規模に再編成させて新規な大脳皮質-筋間の人工神経接続に対して自己適応し、失った手の随意制御を再建できることを示唆している。将来、このような神経代替方法によって、脊髄損傷・脳梗塞等で失った四肢の随意運動機能を補綴する基礎的なメカニズムの理解に、重要な貢献をなすものである。
著者
矢野 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.300, pp.89-94, 2005-09-15

大局的センシングは局所の特徴によらない全体の特徴に関するセンシングである.これは, 人間の脳においても活用されており, 従来の局所的特徴を用いたパターン認識にこれを加えることによって認識率が大幅に改善されることが期待される.この方式をここでは筆跡鑑定に応用した.手始めに, 縦横比, 上下, 左右に占める線の面積比等を前処理データとしてパーセプトロン型学習機械にかけたところ, 被験者3人の書いた各6文字中, 5文字で学習し, 残りの1文字で正しく鑑定できた.そこで, 被験者を増やし, 様々な前処理を工夫して実験を続け, 大局的センシングの有効性を示す結果を得た.
著者
渡邊 純一郎 藤田 真理奈 矢野 和男 金坂 秀雄 長谷川 智之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.1470-1479, 2013-04-15

組織の生産性をいかにして向上させるかということは,リーダやマネージャにとって大きな関心事である.しかしながら,生産性向上に向けたこれまでの施策は,マネージャの経験や勘など定性的な評価に基づくものが主であった.我々は,ウェアラブルセンサを用いて物理的な人間行動を長期的に計測し,身体的な動きの度合いである活発度や対面コミュニケーションと生産性との関係を定量的に評価した.アウトバウンド型コールセンタにおいて受注率に影響を与える要因を調べた結果,休憩中の職場の活発度と受注率が相関することが分かった.両者の因果関係を明らかにするために少人数のチームごとに休憩時間を合わせる施策を行った結果,休憩中の対面コミュニケーションに起因するチームの活発度が生産性に影響することが分かった.本研究の結果は,センサにより職場の活発度を定量的に計測しマネジメントすることにより,生産性を向上させられる可能性を示唆する.

3 0 0 0 OA 藩翰譜

著者
新井白石 著
出版者
吉川半七
巻号頁・発行日
vol.第7上−8上, 1896
著者
張 粤 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.328-337, 2005-12-01
被引用文献数
1

共産主義の政治色としての赤は、今日相変わらず中国の最たるイメージ色であり続けている。本研究は現代の中国人学生の赤のイメージに対する解釈を試みたものである。本研究は中国の北京、武漢、杭州、重慶の4つの地域において、536名の大学生(男性294名, 女性232名)に対し、赤系色票を提示したうえ、赤に対する認識、赤に対する嗜好、赤い物の所有状況、赤からの連想語、日中のイメージ色、色彩に対する態度などに関するアンケート調査を行った。その結果、中国人学生は赤を嗜好する傾向が見られた。彼らにとって、赤は伝統、政治、機能などの意味が込められる色であることが分かり、特に、代々受け継がれてきた伝統の「めでたい」意味が強く赤の嗜好を左右することが分かった。また、文化交流と時代の影響で赤が持つ意味も変化してきていることが示唆された。
著者
森岡 俊介 上田 博唯
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.457, pp.37-41, 2011-02-28

カメラとプロジェクタをキッチンカウンタの上方に設置し、カメラにより得た、その食材の大きさや位置や傾きなどの情報を使って食材に対してプロジェクタから必要な情報を重畳表示するような新しい調理支援システムを提案する。本研究ではこのようなカメラとプロジェクタを使ったシステムではどのような調理支援システムを実現することができるかについて述べ、試作例を示して、その有効性を検証する。
著者
橋本 鉱市 丸山 和昭
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.85-104, 2010-03-10

In this paper, we defined the “field of education” as the political field which consists of educational problems and participants. Then we clarified its structure and relations by using the network analysis. We comprehended the peripheral problems which have been overlooked in the analysis of the process of the higher educational policy and extracted core issues and core actors, then tried to clarify the characteristics of the structure of the field of education in modern Japan. As a result, (1) We could extract the core issues and actors in the field of education and higher education. And our findings are (2) there is a large difference in its network density and structure, and (3) the field of higher education consists of some actors such as governmental, quasi-governmental actors and mediators with business field and so on.