著者
小長谷 有紀 小長谷 有紀
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.517-567, 2021

本稿は,19 世紀末から 20 世紀初頭にかけてモンゴルを訪問したさまざまな調査隊が撮影した写真について,研究上の重要な資料として利用されるように概要を紹介するものである。一次資料となる写真は各国のアーカイブなどで保管されているため,国別に扱う。具体的には,ロシア地理学協会などの地理学協会や,北欧諸国の博物館など,調査隊の派遣元や資料の所在地ごとに写真コレクションを紹介する。こうした総合的な紹介は,とりわけコレクションの横断的な比較分析研究に寄与するであろう。
著者
坂上 昇 大倉 三洋
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-7, 2001-03-31

ストレッチングはスポーツ活動後に疲労回復を促し,障害予防,パフォーマンスの維持・向上といった目的で実施されている.しかし,その実施状況は決して高率ではなく,その原因はストレッチングの効果が十分に理解されていないためと考えられる.そこで本研究は,健常成人男性4名(平均年齢20歳)を対象に,ストレッチングの筋疲労回復効果について検討した.自転車エルゴメーターによる30秒間全力駆動を主運動として,その後10分間の休息を取らせることを2セット行った.その休息時に安静臥位,軽運動,ストレッチングを実施した.検討指標として筋柔軟性,血中乳酸値,作業能力,アンケートを取り上げた.筋疲労による筋柔軟性低下の予防効果については軽運動が効果的であり,ストレッチングは大腿直筋においてはあまり効果がなく,ハムストリングスにおいても安静臥位とあまり差がない傾向を示した.血中乳酸値の回復については,ストレッチングは安静臥位と比較すると低い傾向にあるがその回復傾向には差が見られなかった.作業能力の回復については軽運動が比較的良く,ストレッチングが低い傾向を示した.このように,激運動後の筋疲労回復に対してストレッチングは全ての指標において安静臥位とあまり差がなく,効果的でない傾向を示した.今回の結果は,運動後の筋疲労の速やかな回復という観点では,一般的に認識されているストレッチングの効果を否定する結果となった.しかし,今回の結果は,ストレッチングが身体に与える影響を全て否定するものではない.
著者
岡 俊孝
出版者
関西学院大学
雑誌
法と政治 (ISSN:02880709)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.841-885, 1989-12-20

Few studies have been made of the foreign policy of the Japanese Empire toward Italy and Ethiopia during the Italo-Ethiopian conflict which moved Benito Mussolini to the fateful conquest of Ethiopia in October 1935. This study is a reexamination of Japan's diplomacy toward Italy and Ethiopia as well as the latters' reactions thereto prior to the beginning of the Italo-Ethiopian war. The author's paper consists of following sections : I. Introduction. II. Italian-Japanese Relations before the Italo-Ethiopian Conflict. III. Ethiopia and Japan. IV. Ambassador Sugimura's Remarks and their Repercussions. V. The Mediterranean Crisis and Italo-Japanese Relations. VI. Conclusion.
著者
西山 教行 程 遠巍
出版者
日本フランス語教育学会
雑誌
Revue japonaise de didactique du français (ISSN:18805930)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.32-48, 2013

本稿は東アジアにおける『ヨーロッパ言語共通参照枠』の受容について,中国と台湾の事例を論ずる。両国はそれぞれ『参照枠』の翻訳を刊行し,中国語,英語教育,また台湾では,台湾語,第二外国語教育にも『参照枠』の影響を認めることができる。しかしその受容は共通参照レベルにほぼ限られており,台湾ではこれをアメリカの教育文化が生み出した「スタンダード」の変種として活用する動きもある。しかし,『参照枠』はアカウンタビリティなどアメリカ流「スタンダード」の特徴を持たず,トップダウン型の教育装置ではない。

5 0 0 0 IR 幽霊と参加

著者
小林 久高 猿渡 壮
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.1-19, 2014-09

「幽霊を信じる人ほど投票に行ったりボランティア活動をしたりする傾向がある」などと言えば,多くの人は不思議に思うに違いない。本稿の目的は,この奇妙な命題が真実であること,ならびに,この奇妙な命題が成り立つメカニズムについて,計量データを用いて明らかにすることにある。議論ではまず,霊的意識,政治参加,社会参加の間にプラスの相関関係が存在することが示される。次いで,霊的意識が自然志向,象徴志向,儀礼志向,共振性と関連していることが確認され,それらが人間の社会性や身体性に根ざした環境との結合に関わる原初的な意識であることが示唆される。最後に,この原初的な意識が参加を促す1つの道筋について,同類への愛着との関係を考慮しつつ分析される。人の政治活動や社会活動への参加の理由を個人の合理的な利益追求に求めるという観点は重要に違いない。しかしながら,参加を目的合理的な利益実現行動とする視点からは説明できない現象が存在することも事実である。本稿では,「幽霊と参加」という問題を分析することによって,政治参加や社会参加の背後に,個人利益の合理的追求には還元できない世界が存在することを示すものである。
著者
古田 尚輝
出版者
成城大学
雑誌
成城文芸 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
no.204, pp.117-94[含 英語文要旨], 2008-09

本論は、1980年代後半から90年代前半にかけてフランスで大量に放送された日本のテレビ・アニメーションが与えた衝撃と反響を考察する試みである。本論では、これを研究が未開拓であった日本のアニメーションの輸出を手掛かりに探る。 東映動画が製作した『UFOロボ・グレンダイザー』が『ゴールドラック』(Goldorak)と改題してフランスで放送され始めたのは、30年前の1978年7月のことであった。この作品は、従来フランスで放送されていた幼児を対象としたアニメーションとは全く異質で、ロボットを主人公としたキャラクター設定やストリー展開の早さなどで異常な反響を呼んだ。これがきっかけとなって、日本のテレビ・アニメーションの地上波での放送は折からの商業テレビ局の開局を背景に80年代後半から急増し、90年にはアニメーション放送全体の35%を占めるに至った。これを東映動画の記録で見ると、フランスへ輸出されたテレビ・アニメーションは70年代から90年代に東映動画が製作した作品の約60%にも上っている。 しかし、こうした異質な文化の集中豪雨的な輸出は、異文化への免疫性に乏しく批判的視聴を経験していない子どもたちの人気を沸騰させる一方で、アニメーションは幼児向けという既成概念に捕われた親たちの激しい拒絶反応を招いた。日本のアニメーションは暴力的、性的で教育上好ましくないと批判され、90年代後半に入ると批判を恐れる放送局の編成方針も影響してその比率はアニメーションの放送全体の7%にまで激減した。現在では視聴者が限定された衛星放送やケーブル・テレビで細々と放送されているだけである。そして、これによって生じた地上波放送の空白を埋めるかのように、フランスのアニメーション産業は手厚い保護育成策に守られて再起し、アニメーション放送全体に占める割合は80年代後半の約17%が2000年代には約35%に倍増するまでに至っている。 日本のテレビ・アニメーションのかつての"氾濫"と現在の衛星波などでの微々たる放送との激しい落差、その間接的な効果としてのフランスのアニメーション産業の再起。これらは表面的には"異文化の囲い込み"の成功とも解釈出来よう。しかし、その一方で、幼児期に日本のテレビ・アニメーションの大量放送によって触発された好みや感性が今やフランスの青年層に内在化し、"第2のジャポニスム"の底流を形成しているとも考えられる。著者には、一見矛盾するような"異文化の囲い込み"と"第2のジャポニスム"のいずれもが『ゴールドラック』の残影のように思われる。This paper is an attempt to study the impact and repercussions of Japanese television animation widely broadcast in France from the late 1980s to early 1990s by observing the exportation of Japanese animation, which has not received much attention from researchers. In July of 1978, the French TV public channel Antenne2 began broadcasting Toei Animation's UFO Robot Grendizer, changing the title to Goldorak. With its robot hero and fast-paced storyline, contrasting sharply with traditional works of animation broadcast for small children, the program was an extraordinary success. This led to a rapid increase in the broadcasting of Japanese animation on French television in the latter half of the 1980s at a time when new commercial TV stations were being launched, and by 1990, over 35 percent of animation programs in France were Japanese. According to Toei Animation records, about 60 percent of their productions were exported to France from the 1970s into the 1990s. This cultural-import deluge, while tremendously popular with children, who were unprejudiced about foreign culture and uncritical in their viewing habits, aroused much concern among parents, who were accustomed to animation as a gentle, innocent medium for small children. Japanese animation was severely criticized as being too violent, sexually explicit, and unsuited for children, and by the late 1990s, as French TV stations sought to ward off further public criticism, only 7 percent of the animation broadcast in France were Japanese. Today, Japanese animation is only shown on satellite and cable networks to a limited audience. The animation vacuum was filled, thanks to generous protective government subsidies, through a fortuitous comeback by France's own animation industry, which doubled its share of all animations broadcast in France from 17 percent in the late 1980s to 35 percent by the early years of the 2000s. The flood of Japanese animations of the past, and their current limited broadcasting on satellite and cable stations, along with the revival of the French animation industry as the indirect result, might be superficially interpreted as a success in the "encirclement" of alien culture. On the other hand, the tastes and sensibilities cultivated in the period when Japanese animation was broadcast in large volume during the childhood of a generation of young people in France may have been internalized, setting in motion a "second wave Japonisme." These two contradicting factors of "alien culture encirclement" and "second Japonisme" both seem to be reverberations of the "Goldorak" era.
著者
やぎぬま ともこ
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.387, pp.117-119, 2007-08

▲ハロウィンはキリスト教の亡くなった諸聖人を記念する日「万聖節」の前夜(10月31日)のことで、日本のお盆のようなもの。現在は、カボチャをくり抜いたちょうちんを飾ったり、お化けに仮装した子どもたちが近所の家を訪ね歩いて「トリック・オア・トリート(お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ)」と唱えて、お菓子をもらう行事となっている。
著者
長門 祐介
出版者
慶應義塾大学倫理学研究会
雑誌
エティカ (ISSN:18830528)
巻号頁・発行日
no.4, pp.135-158, 2011

1. リクールによるアリストテレス解釈2. イーザーの読解理論と三つのミメーシス3. 歴史叙述への応用及び記号論批判4. リクールとイーザーの読解論の差異
著者
大久保 理恵 坂野 永理 内丸 裕佳子
出版者
岡山大学国際センター, 岡山大学教育開発センター, 岡山大学言語教育センター, 岡山大学キャリア開発センター
雑誌
大学教育研究紀要 (ISSN:18815952)
巻号頁・発行日
no.8, pp.1-9, 2012-12

岡山大学の日本語コースでは,各レベルの到達度の目安として,CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の到達レベルを取り入れることを検討課題としている。本稿では,ヨーロッパの高等教育におけるCEFR 導入の背景を述べ,ベルギー,ドイツ,ハンガリーの三大学におけるCEFR導入状況の調査結果を報告する。調査により,各大学によりCEFRの取り入れ方は様々であることがわかった。しかしながら,どの大学においても,CEFR がきっかけとなり,日本語コース,教員,学生に変革が起こり,その変革が授業やカリキュラムの向上につながっていることが明らかになった。