著者
平野 直人 奥澤 康一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.108, no.11, pp.691-700, 2002-11-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
43
被引用文献数
10 8

嶺岡帯,鴨川市峠においてアルカリ玄武岩溶岩中に噴出時に取り込まれたと考えられる砂岩を発見した.この砂岩はおもに,斜長石・ダトー石・石英・および珪長質火山岩片から構成され,ダトー石を除けば嶺岡層群神塚層または愛宕山層の砂岩の構成粒子の鉱物組み合わせに似ている.アルカリ玄武岩の活動場は,このような陸源性砂岩が供給されるような場であった事が明らかとなった.アルカリ玄武岩は,その産状と化学組成から,海山を構成していたと考えられるが,アルカリ玄武岩の噴出場と含まれている陸源性砂岩の堆積場は,おそらく海洋プレートと島弧もしくは大陸が会合する収束境界付近であった見込みが高い.アルカリ玄武岩の放射年代は,嶺岡帯のオフィオリティック岩体が本州弧側へ定置したとされる時代の直前であり,本論の結果と調和的である.本研究において嶺岡帯の形成過程を論じるにおいて新たな見地が得られた.
著者
笹嶋 一大
出版者
一般社団法人日本医療機器学会
雑誌
医療機器学 (ISSN:18824978)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.560-567, 2018 (Released:2018-11-19)
参考文献数
1
著者
Keiichi Osaki Shinichiro Morishita Tetsuhiro Shimokawa Akiho Kamimura Takashi Sekiyama Chisaki Kanehiro Atsushi Shindo Kensuke Shiga Eri Kawata
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
Progress in Rehabilitation Medicine (ISSN:24321354)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.20230007, 2023 (Released:2023-03-11)
参考文献数
20

Background: This case report describes the successful management of rehabilitation therapy for a hematological malignancy patient who was receiving chemotherapy and had coronavirus disease 2019 (COVID-19).Case: A 76-year-old man receiving chemotherapy for relapsed refractory multiple myeloma (MM) presented to our hospital with fever and dyspnea and was hospitalized with a diagnosis of COVID-19. Physical therapy (20 min/day, 5 days/week) was started on day 6 of hospitalization while the patient was receiving oxygen therapy. Conditioning exercises and movement exercises were performed in an isolation room, and blood counts, fracture susceptibility, and respiratory status were monitored. The patient was severely immunocompromised and required 34 days of isolation due to persistent severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 virus (SARS-CoV-2) infection. Physical function was assessed by manual muscle testing of the lower extremities and by the extent of lower extremity fatigue and dyspnea on exertion, as assessed using the Borg scale. Motor capacity was assessed using the de Morton Mobility Index (DEMMI) score and the Barthel Index (BI). Muscle weakness and severe dyspnea developed 4 days after physical therapy was started. However, physical therapy led to improvements in DEMMI score and BI. The patient was discharged home on day 43 with home medical care.Discussion: Careful management of MM and COVID-19 facilitated safe treatment with physical therapy. The patient’s physical function improved with a carefully planned physical therapy program. Moreover, the patient required prolonged isolation due to persistent viral shedding; however, as a result of the treatment, which was coordinated between physicians and nurses, the patient could be discharged home.
著者
井上 岳彦
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、ロシア帝国の仏教外交がチベット仏教の枠を超えて南アジア・東南アジアの仏教圏にまで展開し、そこにロシア帝国内のチベット仏教徒が深く関与し、現地の民族知識人とのあいだに相互作用が生じる過程を、歴史学的に解明するものである。とくに、19世紀末から20世紀初めにおけるロシア東洋学者とロシア国内の仏教徒の動向について、ロシアの未公刊史料の収集・分析によって読み解き、南アジア・東南アジアの仏教徒社会への関与のありようを検証した。
著者
小林 幸夫
出版者
上智大学
雑誌
上智大学国文学科紀要 (ISSN:02895552)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.21-36, 2004-03-01
著者
鵜飼 祐生 藤吉 弘亘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J106-D, no.3, pp.195-206, 2023-03-01

人物再同定は,異なるカメラで撮影された同一人物の画像を検索するタスクである.人物再同定はその応用上の重要性から注目を集めており,ラベル付けされた大規模データセットを用いて深層学習モデルにより学習することで大きな進展を遂げてきた.また,あるラベル付けされたソースドメインで学習したモデルを他のドメインに適用した場合,推論精度が大きく低下する実用上の課題に対しても,数多くの教師なしドメイン適応手法が提案され,大きく改善されてきた.これらの手法の多くは,Global Average Poolingによる出力のみをもつモデルを用いており,画像特徴の平均的な特性のみを考慮している.そのため,例えばFine-Grainedな問題設定で重要とされる局所的な情報は十分考慮されていない,という課題がある.そこで本論文では,上記の課題を解決するため,Global Average Pooling(GAP)及びGlobal Max Pooling(GMP)により出力される,異なる特性をもつ二つの出力間の違いを考慮しながら,その両方を利用する新たな教師なしドメイン適応手法を提案する.公開された複数の人物再同定を対象とするデータセットにおける実験により,提案手法の人物再同定における教師なしドメイン適応における有効性を確認した.
著者
MARTA GRACIELA MÉNDEZ SUSANA ALICIA SALCEDA MARÏA FERNANDA LÖPEZ ARMENGOL
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
Anthropological Science (ISSN:09187960)
巻号頁・発行日
vol.105, no.2, pp.83-98, 1997 (Released:2010-10-21)
参考文献数
28
被引用文献数
1

The quantitative variables related to aspects of prehistoric populations of Patagonia and Fueguía were analyzed.Skulls from adult individuals of both sexes, 100 deformed and 100 undeformed ones, were studied.Thirty-four linear and angular variables described by Herrera Fritot (1964) based on the sagittal profile were recorded.Data matrices, one for each sample (deformed and undeformed), were computed.Both samples were analyzed by principal components analysis and cluster techniques.Variables with major discriminatory power for each sample were obtained.Results were compared and four sets of variables were delimited.The first one consisted of variables which shared discriminatory power between both the deformed and undeformed skulls;the second set includes those which deal with the variation for undeformed skulls;the third set with the variation for deformed skulls, and the fourth set did not provide any important contributions dealing with the intrasample variation. Differences among variables by region were also analyzed.
著者
本橋 豊
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.358-362, 2005-05-01

自殺予防運動の進め方 自殺予防の問題が公衆衛生学の課題として社会的に論じられるようになったのは,決して古いことではない.わが国で本格的に自殺予防が国のプログラムとして認められたのは,2000年に開始された健康日本21においてである.その後,秋田県,青森県,岩手県,鹿児島県などで,メンタルヘルスの観点から地域の自殺予防活動が活発に展開されるようになった.このことは,わが国において,公衆衛生活動としての自殺予防対策が動き始めたと言うことができる. 一方,2004年9月にWHOは次のようなメッセージを世界に向けて発信した1).「自殺は大きな,しかしその大半が予防可能な公衆衛生上の問題である.自殺は暴力による死の約半分を占め,毎年約100万人以上の死亡原因となっており,何十億ドルもの経済的損失をもたらしている」.心の問題は個人の問題であり,行政が介入すべきでないというような意見が唱えられやすいのであるが,WHOは明快に自殺を「公衆衛生学の問題である」と断言したのである.21世紀における公衆衛生学的課題としての自殺予防対策が,国際的にも十分に認知されたと言うことができる2).

2 0 0 0 OA 独唱:捨てた葱

著者
野口 雨情[作詞]
出版者
ニッポノホン
巻号頁・発行日
1927-10
著者
Yusuke Kawashima
出版者
Japanese Proteomics Society
雑誌
Journal of Proteome Data and Methods (ISSN:24346454)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2, 2023 (Released:2023-03-08)
参考文献数
8

We established a deep proteome analysis method of cell-derived proteins in fetal bovine serum-containing culture supernatants and successfully detected more than 3500 cell-derived proteins.
著者
長谷川 眞紀 大友 守 三田 晴久 秋山 一男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.478-484, 2005-05-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
11
被引用文献数
6

【背景】"シックハウス症候群"は室内環境要因-アレルゲン, 病原菌, 揮発性化学物質など-によって惹起される健康被害と考えられているが, その病態, 病因についてはまだ確立していない. また"シックハウス症候群"は微量の揮発性化学物質によって起こる化学物質過敏症と重なる部分が大きいと考えられる. 【方法】我々の施設を訪れた患者の中から, 4つの仮のクライテリア((1)化学物質への曝露歴, (2)多臓器の症状, (3)症状を説明するような他の疾患の除外, (4)慢性の症状)によって, 化学物質過敏症の可能性例を選び出し, その臨床像を調べた. 【結果】130名余りの患者のうち, 50名が可能性例と判定された. 女性が38名, 男性が12名, 年齢は15歳から71歳であった. そのうち42名(84%)の患者がなんらかのアレルギー性疾患の既往, または合併を持っていた. これは本邦一般人口中のアレルギー疾患の有病率よりずっと大きい. アレルギー疾患の中ではアレルギー性鼻炎が最も多かった. 総IgE値は比較的低値で32名(64%)が200IU/ml未満であった. 抗ホルムアルデヒドIgE抗体が陽性の患者はいなかった. 化学物質負荷試験後の末梢血ヒスタミン遊離反応では, reactivityもsensitivityも低下していた. 【結論】化学物質過敏症がアレルギー的機序によって惹起されるとは考えられないが, 化学物質過敏症がアレルギー疾患を持っている患者に起こりやすい, またはアレルギー疾患を顕在化させる可能性が考えられた.
著者
櫻本 秀明 卯野木 健 白坂 雅子 田本 光拡 佐藤 智夫 大内 玲 佐土根 岳 藤谷 茂樹
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.429-432, 2020-09-01 (Released:2020-09-01)
参考文献数
3

鎮静・鎮痛・せん妄・睡眠管理およびICU diaryに関する実践を明らかにすることを目的に,Webアンケートによる実態調査を実施した。ICU/high care unit(HCU)看護師からの227件の回答を分析し,鎮静目標が明確な施設は66.1%,目標鎮静設定を毎日見直すは22.9%であった。ほぼ全ての施設で定期的に鎮静評価が行われていた。客観的疼痛評価はbehavioral pain scale(BPS)37.4%,critical-care pain observation tool(CPOT)38.3%で行われていた。せん妄評価ツールを全く使用していない施設は13.7%にとどまった。睡眠促進は,明るさの調整(84.6%),モニター音の調整(48.5%)であった。ICU diaryを全く使用していない施設は77.5%に上った。重症患者に対する鎮静・鎮痛・せん妄評価,睡眠の促進は広く普及しつつあるが,ICU diaryも含めるといまだ十分とはいえず,今後も適切な普及に組織的に取り組む必要性が示唆された。
著者
田中 皓介 長谷川 貴史 宮川 愛由 三村 聡 氏原 岳人 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.356-368, 2018 (Released:2018-11-20)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

近年の日本では大型店舗立地による雇用機会,税収,買い物客の増加が期待されるものの,その根拠は乏しい.それどころか先行研究では,大型店舗での買い物は地元商店での買い物に比べて,地域経済の活性化に繋がらないことが実証的に示されている.本研究は,京都市での先行研究の知見が他都市においても妥当するかを検証するため,岡山市を対象に調査・分析を行った.その結果,買い物支出のうち岡山市に帰着する割合は,地元小型商店,地元中型商店ではそれぞれ67.13%,55.21%であった.一方,天満屋,全国チェーンYではそれぞれ40.00%,28.48%に留まり,地元小型商店や地元中型商店の方がチェーン型大型店舗よりも,買い物支出が岡山市に帰着する割合が高いことが示された.こうした傾向は京都市を対象に行った先行研究の知見を支持する結果である.
著者
狩野 安正
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.414-417, 1992-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

患犬は, 発症翌日に来院した.前日の朝から食欲・元気なく, 流涎・腹痛・吐き気を主訴としていた.初診から6時間後に嘔吐が出現し, 沈鬱状態の進行がみられ7時間半を経過して瘋痒感が出現し, 右後肢で右肩甲関節後方を瘋くような動作を示した.8時間後に熱発と意識の混濁がみられた.13時間後に心機能の低下がみられ, 血液検査所見ではCPK, LDH, GOT, ALP, PCV, WBC (好中球) の著しい増加とβ-グロブリンの減少が認められた.嘔吐は断続的にみられ白色泡状から瀕死期には黒褐色水様となった.初診から21時間後に死亡したので, 病理組織学的検査, 細菌学的検査ならびにウイルス学的検査を行った.延髄に核内封入体をともなった非化膿性脳炎像が認められ, 肺からオーエスキー病 (AD) ウイルスが分離された.以上のことから, 本症例をADと診断した.