著者
源河 亨
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.81-91, 2014

<p>This paper aims to show that the absence of sounds can be an object of auditory perception. First, I present various types of objections to the possibility of hearing the absence of sounds. Next, I explain that there is a kind of absence of sounds which seems to be heard, namely, the absence of sounds occurred in between sounds. I argue that perception of such an absence can be explained by the same mechanism for hearing sounds and detecting sound sources, that is, auditory scene analysis. I also argue that such an absence can be characterized, analogous to holes, as a dependent object which ontologically depends on previous and succeeding sounds. Based on these considerations, I reply the objections. Finally, I propose a modality-neutral model of absence perception based on the auditory case, and suggest that this model casts a doubt on the basic assumptions about perception.</p>
著者
大橋 明
出版者
中部学院大学
雑誌
中部学院大学・中部学院大学短期大学部研究紀要 (ISSN:1347328X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.23-34, 2008-03

本論では、人間が生きていく上で必ず出会う"あきらめ"という心的様相について考察した。あきらめの語義を整理したところ、あきらめには"明らかにする" "心を晴れやかにする" "断念する"などの意味があることが示された。また村象喪失やあきらめについて述べてきた研究者の論を吟味したところ、あきらめは"不運に従う" "向き合わない" "放棄する"といった側面で捉えられている一方で、対象を断念する中でその痛みや思慕の情に折り合いがついていくという意味で用いられていることが示唆された。加えて従来の臨床研究を検討し、あきらめと希望との関連性について肯定的な視点から論じた。
著者
黒田 和明 河邊 径太
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.659-668, 2007-09-05
参考文献数
32
被引用文献数
2

ハルスとテイラーによるパルサー観測によりその存在が確認された重力波を直接検出することは,一般相対性理論の検証として重要であるばかりでなく宇宙観測の新しい手段として天文学や宇宙論の発展に貢献する.この重力波の検出を目指し,世界で大型レーザー干渉計が建設され,観測が行われている.干渉計による長期観測データの取得でいち早く世界をリードした日本のTAMA計画,すでに連星中性子星合体現象を15Mpc^<*1>までカバーできる感度ぞ観測中の米国LIGO計画と特徴的な検出器を擁する英独合同のGEO計画,観測に加わる態勢が整った仏伊合同のVirgo計画など,地上のレーザー干渉計検出器が本格的な観測を開始する.これに加えて,重力波の確実な検出を目指してより高感度な干渉計を建設する動きも強まっている.地上の検出器の完成に合わせて,より低い周波数の重力波検出を目指歩宇宙干渉計の計画も進行している.以上について解説する.
出版者
京都大学大学文書館
雑誌
京都大学大学文書館だより = Kyoto University Archives Newsletter
巻号頁・発行日
no.30, 2016-04-28

「開かれた大学」と総合博物館の歩み / 岩﨑奈緒子 [2]2つの検索システムの整備について / 坂口貴弘 [4]日誌 [6]大学文書館の動き : 矢島脩三関係資料の公開 [7]人の動き [7]「教育熱心」だった京大 --戦時下の一コマ-- / 西山伸 [8]
著者
鈴木 聡
出版者
木更津工業高等専門学校
雑誌
木更津工業高等専門学校紀要 (ISSN:2188921X)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.23-28, 2014-03-31

A PID temperature control system was built with a Peltier device and an educational visual programming language called Scratch. Homemade interface board using PIC18F2550 microcontroller with USB interface was included in the PID control system. The Peltier device was connected to the interface board via an H bridge circuit. Highly precise temperature control was performed using a feedback circuit with a thermistor and PI algorithm. Developed system can be applied to a cooling module for semiconductor devices and a teaching material for instrumentation and control engineering.
著者
村山 陽
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-10, 2009

This study aimed to investigate the effect of exchanges with aged persons on children. In all, 381 upper graders at an elementary school completed the questionnaires. The nature of an exchange with aged persons was measured by the interaction frequency and the diversity of interaction with the aged persons. The results indicated that the effect of the exchange with the aged person was determined by physical proximity, the attribution of the aged person, and the gender of the child. At the same time, these exchanges influenced the development of emotional responses, interpersonal perceptions, and behaviors. For example, the lengths of exchange and the diversity of conversations with aged persons affected the empathy of children, which in turn influenced their helpfulness toward the aged persons. It highlighted the efficacy of intergenerational exchange for children of the present generation who have no contact with aged persons in daily life.
著者
坂本 篤郎 堀田 龍也 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.85-88, 2009
参考文献数
4

初等教育の教科学習での協調学習場面において,教師が学習者のどのような要因に着目して足場はずし(Fading)を行うのか明らかにすることを目的とし,10名の小学校教師に対して質問紙と半構造化インタビューを用いて調査を行った.抽出された足場はずしを,それらが行われた際の理由や状況によって類型化した結果,3つのカテゴリ,7つのサブカテゴリに分類することができた.以上より,教師が協調学習場面で足場はずしを行う際に認識している観点が示された.
著者
光村 実香
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101822-48101822, 2013

【はじめに、目的】訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)は、利用者の生活を基盤としたリハビリテーション(以下、リハビリ)を展開することが重要である。そのためにリハビリ専門職である理学療法士(以下、PT)、作業療法士、言語聴覚士らは訪問リハを行う上で自らの職業専門性を発揮することが必要だと考える。しかし現在、訪問リハにPTが携わることの意義や効果については不明確である。そこで本研究では、訪問リハにおいてPTがどのような関わりや場面で理学療法の専門性を意識し、実践しているかのプロセスを明らかにすることを目的に行った。【方法】対象者はスノーボールサンプリング法により抽出された訪問リハ経験年数1~12年のPTp9名(女性6名、男性3名)である。調査期間は2012年3月6日~2012年11月7日であった。まず訪問リハ業務で理学療法の専門性が役に立った(役に立っている)経験や他職種と関わりの中でのPTとしての役目などについての質問項目をインタビューガイドとして作成し、それをもとに半構造化面接を行った。面接時間は60~90分、インタビュー内容は録音し、インタビュー終了後逐語録におこした。分析は、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて、概念やカテゴリーを生成し結果図を作成した。【倫理的配慮、説明と同意】研究説明書を用いて研究手順や個人情報の保護等について説明を行い、同意書の署名をもって研究参加の承諾とした。内容は1)調査結果は連結可能匿名化を行い、個人が特定されないようにすること2)調査結果は厳重に保管し、研究以外の目的で使用されないこと3)研究への参加は自由意志で調査の途中でも参加を拒否することができ、それによって不利益を生じないこと4)本研究への協力に関する謝金の支払いがないことである。【結果】【カテゴリー】3、〈サブカテゴリー〉2、「概念」11を抽出した。PTが訪問リハにおいて理学療法の専門性を意識し、実践するプロセスは、他職種や家族との協業を通して利用者の生活動作をより良いものに創作するためにPTの専門的知識技術を再認識し、役割を見出していくことであった。以下に【カテゴリー】、〈サブカテゴリー〉、「概念」を用いてストーリーラインを示す。訪問に従事するPTはまず、利用者が「生活の中でしたいこと」を聞き出し、叶えようと努める。また維持期に入り大きな機能変化が望めない場合でも現状の「在宅生活を成り立たせるために」身体・精神的関わりを探り、安心して生活できるようにする。一方で利用者や家族、他職種には「リハビリに対する絶対的病院イメージ」があるため病院で行うリハビリを期待され、PTが考える生活を基盤としたアプローチとの間に相違が生じる。こうした要因の中でPTは【訪問でPT関わる意味を模索】し、悩む。しかし「限られたサービス時間・頻度」や利用者の生活全般を支えるのが「家族やヘルパーが介護の主体」であることから、訪問時の直接的アプローチだけではなく【他職種や家族との協業で成し得ること】を基盤にアプローチの幅を広げていく。すると他職種との関わりの中で【PTの専門性を意識した関わり】として「生活を見据えた身体機能評価」や「安全に動きやすくすること」、「動作から現象を説明すること」が〈PTだからこそ言えること、できること〉だと認識し、「情報発信伝達役」、「生活環境課題発見役」、「生活動作評価役」など動作からみて考えること、それを他者へ伝えることで他職種との差別化を図り〈PTが関わることの役割を見出す〉。【考察】在宅という特性から活動や参加を意識したアプローチが必要であり、そのために利用者以外にも家族や他職種など様々な背景や立場を持った人々と協業関係を構築しながらアプローチを展開しなければならない。この関わりを通して訪問に従事するPTは、病院でのリハビリとの差異を感じながら、訪問業務における理学療法の専門性について意識し考えるようになり、PTが関わることの意義を見出そうとしていると考えられる。【理学療法学研究としての意義】訪問リハでのPTの役割を明確化する一助となる。それにより他職種との連携が図りやすくなり、利用者に質の高い理学療法を提供することができる。
著者
任 章
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-20, 2015-03

米国会計学会『基礎的監査概念』(ASOBAC, 1973)は、現代の監査概念形成に関りマウツ=シャラフ『監査哲学』(1961)の貢献が多大であると認めている。マウツらが監査証拠の属性に見出していた要素と、彼らが用いた接近法は、畢竟、米国20世紀初頭に興隆した実用主義基盤の分析哲学観の応用であった。本稿の目的は、監査概念基盤に対して現代哲学が強く影響した可能性について論究することにある。本稿にては殊に、嘗てマテシッチ(2008, 序言)が言及していた視座、なかんずく「会計史は哲学史に相似性を有する。それはドクトリンかつ方法論の歴史であり、財務上のリアリティーを実用主義的に表現する方法の一つである」、に依拠し、監査概念基盤への分析哲学の浸透過程を探る。以って筆者は、会計とは事実的記録に過ぎず、監査とは報告数字の単なる検証に留まるという、根深い、軽薄な社会的妄信の打破に努める。
著者
渕元 純子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.396-398, 2005-01
被引用文献数
1

少子化の波が押し寄せ, 合計特殊出生率は1.29という戦後最低の値を示した。また, 伝統的にあった三世代複合世帯や「向こう三軒両隣」といった近隣関係は崩れ, 子育てを家族内や地域で支え合う旧来の関係は期待できない時代となっている。孤立したなかでの子育てが増え, 育児不安が増大し, 親のストレスはたまり, そしてついには子どもの虐待が始まる。子育て、女性健康支援センター (社)日本助産師会は, 「母子に身近な地域で, 助産師が気軽に相談に応じることにより, 親の育児不安の緩和、解消および育児ノイローゼやマタニティーブルーの予防を図り, ひいては子どもの虐待を防止する」ことを目的に, 平成10年度より各支部に「子育て、女性健康支援センター」の設置を推進してきた。これを受けて, 滋賀県支部では平成11年度より電話相談、来所相談、訪問相談を中心とした活動を開始した。相談内容の概略 実際の相談内容は多岐にわたる。平均相談時間は11分で8割は15分以内だが, 2時間を超える相談も少なくない。
著者
高木 浩人
出版者
愛知学院大学
雑誌
心身科学部紀要 (ISSN:18805655)
巻号頁・発行日
no.2, pp.61-67, 2007-03

本研究は205名の大学生を対象に,組織への帰属意識と充実感との関連について検討した.重回帰分析の結果,充実感のすべての要素(充実感,孤立感,自立・自信,自己の存在の肯定)が,大学生の所属組織への組織コミットメント3要素(内在化要素,愛着要素,規範的要素)によって説明可能であることが明らかとなった.とくに,(a)内在化要素は,充実感,自立・自信,自己の存在の肯定と有意な正の関連を示し,(b)愛着要素は充実感と有意な正の関連を,孤立感と有意な負の関連を示し,(c)規範的要素は自己の存在の肯定と有意な正の関連を示していた.今後の研究への含意が議論される.