2 0 0 0 横浜の歴史

出版者
横浜市教育委員会
巻号頁・発行日
1971
著者
伊藤 直樹 花輪 壽彦 及川 哲郎
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、社会的ストレスで誘発されるマウスのネガティブ思考に対する香蘇散の改善効果は観察されなかったものの、うつ様行動に対して香蘇散は抑制効果を発揮し、その作用メカニズムに脳内炎症抑制作用が深く関与することを明らかにした。また、うつの再発防止に香蘇散が有効である可能性も示された。これらの成果は、社会的ストレスによるうつの発症や再発における香蘇散の有用性を示唆するものであり、またこの研究を通して脳内炎症がうつの病態に深く関与することが検証され、今後の創薬研究に役立てられることが期待できる。
著者
深谷 芽吏 鈴木 綾香 船津 太一朗 松島 友二 八島 章博 長野 孝俊 五味 一博
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.27-37, 2020-03-31 (Released:2020-03-28)
参考文献数
28

歯科用CT装置(CBCT)は,診断に必要な部位とその周囲組織の3次元的形態を評価できるだけでなく,指定した部位からの距離や角度の計測も可能である。デンタルX線写真などから推測した骨欠損形態は,実際の骨欠損状態とは異なる場合がある。特に歯周組織再生療法を行う場合,事前に正確な骨欠損状態を把握しておくことは手術の成功に大きく係わる。そこで当講座では,歯周組織再生療法を予定する患者に対しCBCTの撮影を行い,さらに3Dプリンターで模型を作製し,事前に歯周組織再生療法のカンファレンスを行うことを義務づけている。本症例報告は,当講座における歯周組織再生療法のカンファレンスの流れと,実際に行った2症例について報告する。本症例は,検査所見にて垂直性骨欠損を確認した。その後,手術予定部位のCBCT画像,3次元模型,臨床データを基に術前カンファレンスを行った。歯周組織再生療法時に比較したところ,3次元模型は実際の骨欠損形態をほぼ再現していた。歯周組織再生療法を予定している患者に対して,CBCT撮影及び3次元模型を作成することにより,手術部位の骨欠損形態を事前に把握することができ,手術前の十分な討論が可能となった。我々の取り組みにより,手術をより安全かつ効果的に行うことができると示された。また手術前に十分なカンファレンスを行うことは,若手歯科医師の育成,および患者への説明のツールとしても有用であった。

2 0 0 0 原敬傳

著者
前田蓮山
出版者
高山書院
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1948
著者
黄 璐
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p>2016(平成28)年熊本地震では,震度7を2回記録する地震が発生し,熊本市全地域における住宅は多くの被害を受けた.被災地の生活を再建するに当たり,住宅再建は重要な課題の一つである.そのため,2016年4月以降に発生した熊本地震における地域コミュニティの被害と復興過程について検討してきた.とくに被災地の中,住民主導による速やかに生活が再建できた東無田集落を対象にし,主体間の関係性を着目しながら,復興の主体の関係づくりはいかに震災復興に影響したのかを分析することを目的とする.</p><p> 本報告は,熊本地震による被害の概要を振り返ったうえで,熊本地震の被災地で見られた地域コミュニティが地震直後からどのように生活を再建したのか,また,長期的な復興過程でどのように他の復興主体と関係づくりをしたのかについて検討しながら,地域コミュニティの自主行動にみられる主体性,とりわけ状況に応じて臨機応変にとられた行動について検討した.</p><p> そこで,まず行政,マスメディア,外部支援者など関係当事者が,被災地住民を支援する体制を表現する枠組みとして提起された「減災の四面体モデル」を援用し,この四つの関係当事者を災害復興の主体として主体関係を考察する.また,災害から復旧・復興の過程についての古典的なモデルに基づき,震災復興過程を①生活・住宅再建期,②復興主体形成期,③復興課題解決期3つの期間ごとに分析した.さらに,住民主導型災害復興に着目しながら,各段階の主体行動と関係性から震災復興における主体関係性とその形成要因を明らかにした.</p><p> 対象地域(東無田集落)の被害状況は以下の通りである.①集落全体の住宅被害が顕著し,約7割以上は全半壊を受けた.②集落住民の7割は高齢者であり,自力再建世帯は約60戸であった.③仮設住宅入居数は76戸中192名であった.集落の復旧・復興のために,どのように自発的に取り組んでいるのかとその効果,これらの活動を通して,他の主体との間にどのような関係を構築したのかを明らかにするため,2020と2021年に復興と関わる重要な人物と集落住民に向けた聞き取り調査とアンケート調査を実施した.</p><p> その結果として,東無田集落の復興特徴は以下の3点が挙げられる。①生活再建期(2016年4月-2016年6月):この期間は,独自のボランティアを受け入れた集落住民は外部支援者との双方向関係が構築することができ,ボランティア団体の作業効率化したうえ,集落の住宅解体作業が他地区よりも相対的に早く進んだ.②復興主体形成期(2016年-2017年2月):この時期は,東無田復興委員会の活躍を通じて,集落住民が復興の活動に主体的に取り組み外部から来る人々との交流を通じて主体性を回復させ,復興を自らの問題として取り組む時期である.とくにインターネットの活用,マスメディア団体を依頼と東無田独自の災害スタディーツアーなど積極的な活動を通じて,集落住民・復興組織とマスメディアとの双方向関係を促進できた.このような外部との交流の事業化は,外部へ発信しながら,積極的に行動を起こす住民の存在特に高齢住民の生きがいを発見しながら,集落と外部の関係だけでなく,集落内部関係も緊密に結びつけた.このような関係づくりはその後の復興課題の解決に多大な影響を与えた.③復興の課題解決期(2017年-2019年10月):この時期は,住民を主体としてまちづくり協議会と連動し,復興の目標を実現するための活動時期である.その典型例としては,災害公営住宅の建設問題について,協議会と意識高い住民を中心として展開より意識的課題解決に向けた能動的活動を行い,成果を取得した.さらに,この段階には行政との関係は以前の単一関係から双方向関係へ進化したことも明らかになった。</p><p> 主体性の立場から対象地域の復興過程の全体像を捉えるうえで,主体関係性からみた震災復興過程の地理学視点は次の3点が有効である.第1に,平時からの住民自治によるコミュニティづくりの取組が,住民同士の間,住民と行政または他の主体との信頼関係を築くことに有益である.第2に,地域住民は他の主体間の双方向関係は地域の復興効果を高めていると推測できる。特に本報告の場合,住民と外部支援者・マスメディアと支援したり支援されたり双方向関係の支え合い関係が災害復興に強い地域社会をつくることと繋がっている.また,住民主体的な復興といっても,行政や他の主体の役割も大きい.第3に,住民内部の相互関係づくりが震災復興の前提となり,住民主体の内発的意識と行動を呼び起こす中心人物が重要であることが指摘できる.</p>
著者
八田 一
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

キラヤサポニンは、南米に自生するバラ科の常緑樹シャボンの木(Quillaja Saponaria Mol.)の樹皮に含まれるトリテルペノイドサポニンである。欧米諸国では、古くからノンアルコール飲料やシェイク飲料の起泡剤として利用され、その食品添加物としての安全性が認められている。本研究は、起泡剤や乳化剤(食品添加物)として世界中で利用されているキラヤサポニン抽出物(QS)の人に対する新しい生理作用(自然免疫活性化機能)を明らかにすることを目的とし、QSを哺乳類(マウスおよびヒト)へ経口的に投与し、その自然免疫活性化機能を検討した。マウスのマクロファージ株化細胞系で、QSの貧食能活性化濃度は細胞毒性濃度の1/4000倍であった。また、QS経口投与(0.5mg/Kg体重/日)24時間後のマウス脾臓および腹腔滲出液から分離したマクロファージの走化性や貧食活性が2〜7倍に向上した。さらに、QS経口投与24時間後のマウスに対する大腸菌の腹腔感染実験の結果では、無投与群の感染5日目の生存率0%に対して、QS投与(0.5mg/Kg体重)群が60%と有意に高かった。最後に、QS配合飲料を試作してボランティア試験を実施した。その結果、ヒトに対してもQSの摂取量0.5mg/Kg体重/日、1週間の摂取で、抹消血マクロファージの走化性は10-15倍、貧食性は3-5倍に活性化された。また、血液検査の結果、肝機能への影響やIgGおよびIgEの上昇は見られず、またCRP等の炎症マーカーやIL-1αやTNF-αの変動はなかった。今後、より大規模のボランティア試験での検討や、その活性化のメカニズムの研究などが必要であるが、将来、QSが配合された加工食品を摂取し、感染症のみならず種々の疾病に対する抵抗力(自然免疫力)を高めることの可能性が示された。
著者
戒野 敏浩 鈴木 智博
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2010年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.72, 2010 (Released:2010-11-15)

音楽市場における消費者ニーズの多様化とデジタル化の進展に伴い、ヒットの確率をあげる音楽マーケティングが求められている。しかし、既存の音楽ビジネスや楽曲そのものに関する研究は定性的なものが中心で、定量的な研究はあまり多くはない。本研究は、J-POP楽曲のヒット要因について感性情報処理による分析を試みる。具体的には、オリコン年鑑2007の邦楽売上ランキングにおける上位1位から1,000位までの楽曲について、楽曲のヒット要因と思われる感性ワードの形容詞対によるSD法に則った質問紙調査を行い、因子分析によるヒット曲の感性要因抽出を試みる。また、2人の実務家へのインタビュー調査を通じ、実務への活用の可能性について検証する。
著者
高橋 美恵子
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.75-84, 2014

人々の健康と豊かな生活の実現を目指す上で、ワーク・ファミリー・バランス(WFB)は重要な政治課題といえる。我が国では男女双方のWFBの重要性を唱える一方で、性別役割分業を前提とするジェンダー規範は根強く残り、社会全体のジェンダー構造にも大きな変化はみられない。長時間労働や働き方の硬直性に特徴づけられる日本の就労環境でのWFBをめぐる男女間の不均衡は、ヨーロッパの先進諸国に比較すると突出している。本稿では、子育て世代の男女のWFBに主眼を置き、EU諸国を比較対象として、マクロデータとミクロデータを用いて、ジェンダーの視点からWFBをめぐる議論の動向と実践を考察した上で、日本の問題点を抽出し、今後の政策議論の方向性について検討した。本稿で提示した日本の問題点は、相互に関連する複数のギャップ-(1)男女間のギャップ、(2)WFB推進施策・制度と実践のギャップ、(3)理想と現実のギャップ-の存在である。スウェーデンを皮切りに、オランダやドイツ等のEU先進国では、共働きモデルへと転換を図った上で、男性のケア役割についての議論を行っている。日本でも、まずWFBにおける(1)のギャップを取り除いていくという視座に立つ実践的な取組みが求められる。時間的ゆとりをもって豊かに暮らせる生活の質を包括する概念としてWFBを捉え、EUで実践されているディーセント・ワークの観点から、働き甲斐のある人間らしい仕事についての共通認識を得ることも急務であろう。
著者
杉山 昌秀 青木 悠 篠原 佳祐 宮田 智陽 関口 展貴
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.512, 2018 (Released:2018-12-18)
参考文献数
4

潰瘍性大腸炎に対するタクロリムスの治療は,早期に高トラフ値に保つことの重要性が示唆されている。我々は添付文書より多い初期投与量で開始し,連日TDMによる用量調節を行なった2症例について検討を行なった。2症例とも10~15ng/mLの高トラフ域を維持されることで症状の改善が認められた。高トラフ域に入ったのが開始後9日目であり,添付文書の投与法と同程度の日数を要した。
著者
寺本 英 日高 敏隆 河合 雅雄 川那部 浩哉 伊藤 嘉昭 松田 博嗣
出版者
京都大学
雑誌
特定研究
巻号頁・発行日
1986

昭和58〜60年度の3年間におよぶ本特定研究の研究成果は下に述べるとおりであるが、本年度はそれらの研究成果をもとに国際シンポジウム「生物の適応戦略と社会構造」が計画され、この分野で活躍する外国の専門研究者17名の参加を得て実施された。本シンポジウムはいろいろな動物群あるいは数理モデル等の各分野の専門家が一同に会して動物の社会構造や社会行動についての諸問題を議論したユニークなものであり、本特定研究の研究成果に国際的な評価を与えるものとなった。シンポジウムの内容は特定研究の研究成果を含め英文報告書として取りまとめられた。また、それとは別に「生物の社会構造」と題する和文の啓蒙書も出版されている。3年間の本特定研究の研究成果は次のとおりである。昆虫における真社会性の進化、昆虫および甲殻類の交尾戦略・繁殖戦略の研究では、野外調査を主体に、特に南西諸島での本格的な調査とともにいくつかの事実の発見があり繁殖戦略・社会構造の理論の発展を得た。脊椎動物では魚類,鳥類,哺乳類を中心に調査研究が組織的に遂行され、交尾・育児・採餌行動と社会構造の詳細な比較検討が行なわれた。霊長類についてはニホンザルの調査を中心に、新しい調査方法によって採餌戦略・繁殖戦略によるサル社会の分析がなされ、個体群維持機構に関する事実が見い出された。ヒトに関する研究は旧来の伝統的風習や制度の残る沖縄や東北の僻地社会で重点的な調査が行なわれ貴重な資料が集収された。またそれに基づく社会構造と生存戦略の分析をとおしてヒト社会の特徴が抽出された。これらの広い研究対象で明らかにされてきた種々の動物行動の適応戦略的視点からみた統一的理論および社会構造形成モデル理論の探求が個体群動態論と適応戦略論の融合した理論として世界に先がけて精力的に行なわれた。
著者
岡部 繁男
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学会年会要旨集 第95回日本薬理学会年会 (ISSN:24354953)
巻号頁・発行日
pp.1-SL03, 2022 (Released:2022-03-21)

生体内での神経回路の発達には、シナプスの形成、除去、再構築が正確に制御されていることが重要である。マウスの大脳皮質では、シナプスの動態に2つの段階があることが、2光子イメージングによって確認された。第1期(生後20日まで)では、シナプスのターンオーバーが高く維持され、第2期(生後3週間以降)では、シナプス動態が強く抑制され、大脳皮質の神経ネットワークとしての成熟が起こる。このようなシナプス動態の変遷は、神経発達障害や精神疾患の病態生理の背景にあると考えられているが、その正確なメカニズムはまだ明らかになっていない。私たちの研究室では、(1)神経回路やシナプス形成過程の多様なメカニズム、(2)シナプスの動的変化の過程での構造・機能連関、(3)脳疾患とシナプス機能障害の関係、に焦点を当てて研究を行っている。最近では、スパインシナプスの超微細構造を定量的に解析する方法や、スパイン内部の分子ダイナミクスを測定する方法など、神経回路を研究するための新しいツールを開発している。さらに、これらのツールは脳疾患の研究にも応用可能である。本講演では、これらの研究を紹介するとともに、精神疾患の病態をシナプス障害として理解することの妥当性と展望について議論したい。