著者
越山 健治 室崎 益輝
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.5, pp.89-96, 1995-11

【研究の背景】 平成7年1月17日未明に阪神・淡路地区を襲った大地震は、死者5千人以上、全壊家屋約10万という戦後最大の大惨事となった。地震動・火災により多くの家屋が使用不可能になり、直後には避難所がパンク状態になった。ライフラインは大きな被害を受け、交通網も遮断され情報が入らず、被災地の状況は混乱を極めた。近年にない都市直下型地震であったため、様々な対策が後手後手を踏むこととなり、結果的に被災者の人たちに厳しい長期間にわたる避難生活を余儀なくすることになった。今回特に避難空間の供給方法が問題化した。避難所・応急仮設住宅という従来の供給システムも、あまりにも大きな規模のため限界が顕在化した。市街地内に空地が不足し郊外や臨海部に何千という超巨大な仮設住宅団地を建設することとなり、周辺環境をも一変させてしまった。都市部においても公園や学校のグラウンドなど公共空間が仮設住宅用地となった。このような大きな被害において、住宅復旧システムをいかに体系化していくかが今後の課題であるが、今回の地震における問題点を改めて確認し、被災者の生活救済のための応急対策の迅速かつ的確な対応を確立することが急がれる。 【研究の方法】 本調査は神戸市を中心に、1次・2次発注で建設された応急仮設住宅がある周辺7市において、アンケート調査を実施した。調査項目は、主に被害程度・避難移動形態・仮設住宅の住居環境・今後の住宅再建への希望等である。このアンケートにより今回の応急仮設住宅の供給方法を過去の事例と比較しながら、今後の震災復旧対策のあり方を検討するものである。 【研究の概要】 本研究で明らかになった主要なことは以下の点である。1. 住宅被害の中で長屋建てや集合住宅の被害が大きく、自力による早期住宅復旧が困難な状態にある人が多い。どうしても応急仮設住宅に頼らざる負えない。2. 仮設住宅団地の立地場所が郊外や臨海部になると生活上不便になり、大規模化・画一化が顕著になり、各戸の孤立性が高くなり特に高齢者には厳しい環境となる。3. 仮設住宅の性能上の問題では、今回特にユニットバスを備え付けたが、使用上の問題点が多く聞かれ特に高齢者・障害者の人には不評であった。4. 今後の住宅希望では、公営住宅への期待が大きい。旧住所との関係やコミュニティーの形成などを考慮して計画していかなければならない。
著者
堂寺 知成
出版者
日本結晶成長学会
雑誌
日本結晶成長学会誌 (ISSN:03856275)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.16-23, 2009
参考文献数
68

ソフト準結晶が近年話題になっている.この小論では,まずソフト準結晶創成には多元系,複雑分子を用いるなど5回対称クラスターや新たな長さスケールの導入が必要であることを計算機実験の立場から論じた.また,高次元結晶学を解説し,準結晶探索には近似結晶探索が鍵となっていることを記した.準結晶の起源論には2つあり,エネルギーとエントロピーの2つの立場があるが,エントロピー説に関連して準結晶特有のフェイゾン乱れを解説した.さらに,ABC星型高分子系のタイリング構造を説明し,格子高分子の計算機実験の予測を経た高分子準結晶発見への道筋を解説した.最後に,フェイゾン動力学の考慮も準結晶探索には重要な要素になっていることも論じた.
著者
林 正夫 日比野 敏 本島 睦
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, 1982-03-15

原子力発電所の立地拡大策の一つとして, その有効性の評価が行われている。本報告はこれら地下立地における大規模な地下空洞の安定性について, 岩盤力学上の研究成果をとりまとめている。すなわち, (1)空洞の安定性解析手法の適用性と実証性ならびに信頼性(2)空洞形状の最適化による空洞の安定性の向上と今後の設計(3)双設空洞掘削時の周辺岩盤の緩み相互干渉(4)三つの並列した空洞の周辺岩盤の相互干渉(5)岩盤のかぶり深さが空洞の安定性に及ぼす影響(6)軟岩における空洞の安定性(7)三次元解析によるロックストラットの効果の検討(8)想定事故時の内圧による空洞の安定性(9)水平震度による空洞周辺の応力状態である。既往の揚水式地下発電所で得られた岩盤の物性値, 地圧と想定される空洞の大きさを組み合わせて検討した結果, 原子力発電所地下立地における空洞は, 安定に建設が可能であること, およびそのための技術指針となるべき事項がかなり明らかとなったこと, 今後はサイトに応じた詳細検討を行うことになろうことなどを指摘している。
著者
Ohkuwa Yoshiaki
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
Progress of theoretical physics (ISSN:0033068X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.1058-1067, 1981-03-25
被引用文献数
20

We calculate neutrino velocity in a background gravitational field on the basis of the Weinberg-Salam model and the general theory of relativity. We get an unexpected result which apparently contradicts with the equivalence principle. The neutrino velocity is greater than the ordinary light velocity C for some background metrics. The origin of this effect is that the neutrino, being virtually a pair of e^--W^+ or ν-Z, gets a quantum field theoretical space-time extension and feels tidal force. We discuss the relation between our result and the macrocausality.
著者
東海林 克彦
出版者
日本環境変異原学会
雑誌
環境変異原研究 = Genes and environment : the official journal of the Japanese Environmental Mutagen Society (ISSN:18807046)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.121-124, 2005-07-31
参考文献数
7

This article aims to introduce the outline of issue and phenomena of welfare of laboratory animals which is enacted in Law for Welfare and Proper Management of Animals, and to clarify the difference of conception and method between welfare of laboratory animals and experiment using laboratory animals, in anticipation of contributing to its improvement in practice.
著者
米澤 朋子 ブライアンクラークソン 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.2810-2820, 2002-08-15
参考文献数
12
被引用文献数
9

本論文では,文脈に応じた音楽表現を用いた,新しいぬいぐるみインタラクションを提案し,その効果を評価するものである.様々なセンサを埋め込んだぬいぐるみとの接触インタラクションにより,あらかじめ与えたぬいぐるみの内部状態を変化させ,その状態に応じた音楽を生成するシステムを実装した.また,人間同士のコミュニケーションにおける,本システムの音楽表現による効果を評価した.We present a sensor-doll capable of music expression as a sympathetic communication device. The doll has a computer and various sensors to recognize its own situation and the activities of the user. It also has the internal ``mind'' states to reflect different situated contexts.The user's multimodal interaction with the passive doll is translated into musical expressions that depend on the state of mind of the doll. Finally we evaluate the effect ofmusic expression to the human communication using the tactile doll.
著者
圓田 浩二
出版者
沖縄大学
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.55-64, 2004-03-31

本稿は近年増えつつあるとされる男性の摂食障害に焦点を当て、「なぜ男性が摂食障害になるのか?」、「男性の摂食障害は女性の摂食障害と比較してどう違うのか?」という問いに答えるべく、社会学的見地から男性における摂食障害の原因について考察を深めている。具体的には、文献資料とインタビューデータを用いて、男性摂食障害者の発症モデルを構築する。この作業によって四つのモデルは構築された。(1)ボディ・イメージ型、(2)食事不安型、(3)ジェンダー・アイデンティティ型、(4)環境不適応型である。結論として、ジェンダー・アイデンティティ型を除くと、三つのモデルに男性らしさや男性的価値観が影響していることがうかがえる。それらはさらに二つのタイプに分類できる。一つは見た目に関わるボディ・イメージ型と、もう一つは常に成功者や勝利者でなければならず、失敗を恐れ、それが他人に知られることを極度に恐れる食事不安型と環境不適応型がある。