2 0 0 0 OA 神/王/justice

著者
石井 三記
出版者
The Japanese Association of Sociology of Law
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.46, pp.100-106, 1994-04-30 (Released:2009-01-15)
著者
水上 宏二 平田 祐子 森山 友幸
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.47-51, 2016 (Released:2016-03-31)
参考文献数
12

アスパラガスの半促成長期どり栽培において若茎調製残渣(以下,若茎残渣)の糖度と貯蔵根糖度との関係性を検討し,以下の知見を得た.春芽収穫期間中の若茎残渣糖度は,収穫始めは高く,収穫が進むにつれて漸次低下する傾向が認められ,定植後7~9年では3年および5年と比べて顕著に高く推移した.この株の生育年数による若茎残渣糖度の水準の違いは,夏秋芽でも同様な傾向がみられた.若茎残渣糖度の経時変動は,貯蔵根に蓄積された糖の濃度を推定できる貯蔵根糖度の変動と似通った.両糖度間には,春芽収穫期間が相関係数r = 0.9166の高い正の相関が,夏秋芽収穫期間ではr = 0.6963の正の相関が認められた.これらのことから,若茎残渣糖度をもって貯蔵養分の蓄積状況を推定できることが示唆される.
著者
赤谷 昭子 澤井 英明 鍔本 浩志
出版者
兵庫医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

「背景」成熟精子表面には、雄性生殖臓器特異抗原CD52(mrtCD52)が存在し、臨床的に精子抗体が原因で起こる不妊症は、このCD52の糖鎖が責任抗原であることがあきらかにされている。本課題では、動物実験によりmrtCD52抗原の免疫が同種メスに抗体産生を誘導することができるか、またこれを避妊ワクチンに応用することができるかを検討した。「方法」マウス雄性生殖組織(輸精管)より、mrtCD52を精製した。♂および♀マウスに完全フロインドアジュバントとともに皮下投与(全身免疫)した。また粘膜免疫として、コレラトキシンBをアジュバントとして経鼻投与した。抗体の産生はELISA、western blot法、蛍光抗体法により評価した。抗体の生物作用として、精子不動化試験、in vitro受精阻害実験、交配実験を行った。「結果」♂♀マウスの全身免疫により、mrtCD52に反応する抗体が産生された。また、経鼻投与によっても血中に抗体が検出された。いずれの抗体もCD52のペプチド部分には反応せず、糖部分が免疫原性を持つことがわかった。またこれらの抗体は、補体の存在下でマウス精子を不動化した。In vitro受精および免疫♀マウスの妊娠は阻害しなかった。「結論」mrtCD52には同種あるいは自己抗体を産生する糖鎖抗原が存在することが明らかになった。これによってヒト不妊症で報告されていた精子に対する同種抗体の産生を、マウスで実証した。免疫動物の妊娠阻害には至らなかったが、抗体が不動化作用を持つことから、避妊ワクチンの開発には、雌性生殖器器官に効果的に発現する抗体、分泌型IgAの産生を高めることが今後重要と考えられる
著者
北島 雄一郎
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.9-15, 2010 (Released:2017-09-10)
参考文献数
12

The basic idea of interventionist theories of causation is this: X causes Y iff there is a possible intervention on X for Y, and if the value of X were changed as a result of that intervention, then the value of Y would change. These theories are subdivided into reductive and non-reductive accounts. Reductive accounts, advanced by Menzies and Price (1993), reduce the notion of causation to a non-causal notion of intervention, while according to non-reductive accounts advanced by Woodward (2003), such a reduction is not possible. In the present paper, I investigate causation in algebraic quantum field theory from Woodward's point of view. I define the necessary condition for no causal relationship between the local algebras associated with two spacelike separated region, and show that this condition always holds under the usual axioms of algebraic quantum field theory.
著者
田宮 康臣 青柳 昌宏
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.35-44, 1982-03-31 (Released:2008-11-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

アデリーペンギンの非繁殖個体が,育雛期後半にルッカリーに再上陸し,放棄巣や未利用巣で模擬営巣することは従来より知られていたが,その意義についてはほとんど報告されていない。1968-69年のバード岬ルッカリーでの観察で,繁殖の成功に意義があると認められる彼等の行動結果を得たので報告する。この結果から,再上陸は繁殖にとって適応的であると共に,彼等のクレイシシステムはより多くの雛を巣立たせるために役立っていると考えられる。
著者
吉留 久晴 ヨシドメ ヒサハル Hisaharu Yoshidome
出版者
鹿児島国際大学福祉社会学部
雑誌
福祉社会学部論集 = Quarterly journal of welfare society (ISSN:13466321)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.51-62, 2018-02

本稿は、2010年代前半のドイツの訓練市場の情勢を詳細に分析することをとおして、同市場で新たに生じるに至った事態を明らかにしようとしたものである。分析の結果、少子化と高学歴化が進行している同国において、①訓練希望者、とくにこれまで同希望者の多数を占めていた基幹学校修了証取得者が減少する一方で、未充足の訓練ポストが増加するという事態が惹起していることを、さらに、②こうした事態を解決するために、デュアルシステムのステークホルダー、なかでも訓練供給サイドに、デュアルシステムの魅力向上や企業における実践的訓練の質改善、訓練生選考基準の変更などに取り組む必要性が生じていることを浮き彫りにした。
著者
池間 里代子 イケマ リヨコ
雑誌
流通経済大学社会学部論叢
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.11-26, 2009-03
著者
守安 功
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1620, pp.56-59, 2011-12-12

12月1日、プロ野球12球団は臨時実行委員会とオーナー会議を開き、ディー・エヌ・エー(DeNA)による横浜ベイスターズの買収を承認した。3カ月に及ぶ紆余曲折の買収劇。トップの守安功社長が、プロ野球参入を決めた真意と戦略を語る。 我々がなぜプロ野球球団を買収するのかというと、中長期的にDeNAという会社、そしてサービスのブランド価値を高めていくためです。
著者
粕谷 直
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.214-219, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)

researchmapは,科学技術振興機構が運営する日本の研究者総覧データベースであり,多くの研究者および研究機関が利用している。国を代表するデータベースとして,また研究業績管理サービスとして10年以上運用しているシステムであるが,特に近年は政策的な背景を受けて,競争的資金の応募・審査時に利用される等,その重要性はますます高まってきている。researchmapの概要と沿革,現在の利用状況,今後の展望について解説し,登録・利用をするメリット,またより負担無く快適に利用できるようなワークフロー等を紹介する。
著者
宇田 篤史 吉田 都 原口 珠実 櫨川 舞 水本 篤志 山本 和宏 平野 剛 内田 享弘 平井 みどり
出版者
日本病院薬剤師会
雑誌
日本病院薬剤師会雑誌 (ISSN:13418815)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.529-532, 2016-05

現代の日本人における不眠症の有病率は、成人で約20%と言われている。睡眠治療にはベンゾジアゼピン系睡眠薬が主に使用されているが、より依存性が低い非ベンゾジアゼピン系睡眠薬として、ゾピクロン錠やエスゾピクロン錠が広く使用されている。両剤はともに味覚異常を示すことで知られているが、エスゾピクロン錠は、ラセミ体であるゾピクロンから、活性を有するS体のみを精製して開発されており、明確な違いは明らかではない。そこで本研究では、両剤の苦味を比較することを目的に検討を行った。その結果、苦味特異的な物質に反応を示す味覚センサ試験で、ゾピクロン錠がより強い苦味を示した。さらに健康成人を対象としたヒト官能試験でも、ゾピクロン錠でより強い苦味を示すことが認められた。本検討は薬剤の苦味強度を示すものであるが、エスゾピクロン錠に比べてゾピクロン錠がより強い苦味強度を有する可能性が示唆された。
著者
内田修道編
出版者
筑摩書房
巻号頁・発行日
1986
著者
増子 敬公
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.4, pp.217-223, 2012 (Released:2017-12-11)

ワインはpHが低く,アルコールとSO2があるので微生物汚染に強い,と考えられていた。しかし,このような条件であっても醸造中や醸造後のワインの品質に危害を与える微生物はワイナリーに潜んでおり,安定して高い品質を維持するには適切なサニテーションが欠かせない。これまで日本語の解説が少なかったワイナリーのサニテーションに関する情報を紹介していただいた。
著者
PESTUSHKO Yuri S.
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本文化の解釈 : ロシアと日本からの視点
巻号頁・発行日
pp.261-273, 2009-12-15

国立ロシア人文大学, モスクワ大学, 2007年10月31日-11月2日

2 0 0 0 OA 用語を正しく

著者
松本 淳
出版者
Japanese Society for Joint Diseases
雑誌
日本リウマチ・関節外科学会雑誌 (ISSN:02873214)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.509-510, 1989-03-05 (Released:2010-10-07)
参考文献数
2
著者
高田 秀重
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.332-337, 2021-05-15

【ポイント】◆全てのプラスチックは遅かれ早かれ劣化しマイクロプラスチックとなり,生態系の隅々まで汚染する.◆マイクロプラスチックは食物連鎖における化学物質,特に添加剤の運び屋になり,ヒトの免疫系への影響が危惧される.◆人類の健康,温暖化抑止のためにも,流域単位で物資が流通・循環するような分散型持続可能な社会の中に,プラスチックフリーを位置付ける必要がある.
著者
秋山 順子
出版者
麻布大学
巻号頁・発行日
2005

人類の歴史とともにさまざまな動物が家畜化され、人々は限りない恩恵を受けてきた。1970年代より欧米先進国を中心として始まった人と動物の関係に関する研究によって、動物が人に与える精神的、身体的な効果についてさまざまな報告がなされている。特に、動物を人の健康に役立てる動物介在療法・活動(Animal-assisted therapy,AAT/Animal-assisted activity,AAA)が盛んに行われるようになり、21世紀に至ってさらに動物と人は新たな関係を築こうとしている。 AAT/AAAで用いられる動物は、犬や猫、馬、イルカなどであるが、動物がもつさまざまな特性を生かし実施されている。たとえば、犬や猫は人に最も身近な動物として、飼育しやすいことなどから、幅広い対象者に対して実施され、特に心理面への効果が期待されている。また、馬は、人を乗せるために特化された動物であり、リズミカルな動きや大きな体から得られる、身体面、精神面への効果が大きい。一方、イルカにおいては、犬や馬などと比べると知見が少なく科学的な報告は少ない。 イルカ介在療法(イルカセラピー)の研究は、1978年、Betsy A.Smithによって始められ、障害をもつ子どもたちの感情や行動、言語面において改善がみられたことを報告した。また、Nathanson(1993)は、さまざまな障害をもつ子どもたちに対してイルカセラピーを実施したところ、通常行っていた言語療法、理学療法では目標を達成できなかった対象者に対して、短期間で効果を得られたことを報告している。こうした海外での研究成果に比べ、国内の報告はみられない。 イルカ(鯨類)は、4000万年前に陸から海へ戻り、水生生物の中で食物連鎖の最上位に位置している哺乳動物である。海洋性のイルカの多くは大きな群れ(pods)を形成し、群れを維持するためのさまざまなコミュニケーション手段が推測されている。狩猟を行うには、群全体を統制するコミュニケーションが必要であり、また、個体間の連携が重要になる。個体同士の身体的接触、ブリーチングなどの非音声的信号のほか、特徴的な音声を用いたコミュニケーションがある。イルカはこれらのコミュニケーション手段を駆使して「社会」を作り、食物の探索、繁殖や防衛の効率化を図かり、環境への適応を進めてきたと思われる。 イルカが発する鳴音は、数10Hzから160万Hzに及ぶと考えられ、2種類が存在する。クリックスと呼ばれるパルス音は、広帯域の継続時間が数十~数百マイクロ秒程度の音でエコーロケーションに用いられる超音波成分を含む。非パルス音であるホイッスルは、周波数帯域が狭く、周波数変調をする継続時間の長い音で、人の可聴域である20kHz以下に主な成分をもっている。ホイッスルは、特にバンドウイルカなど社会的な群れを形成する種においての鳴き交わしが観察されており、お互いの位置を確認しあい、群れのまとまりを保つための鳴音と考えられている。また、イルカは、シグニチャーホイッスルと呼ばれる各個体特有のホイッスル音を持っており、互いの確認、母子の確認に使われていると考えられている。会話音と言われるホイッスルを分類し、行動との関係を明らかにすることによって、イルカとの会話、コミュニケーションを目的として種々の研究がなされているが、彼らが発する音は複雑であり、いまだイルカの鳴音に関する信頼のおける報告はない。 動物にとってコミュニケーションは、自らの生存や種の保存のために、なくてはならない重要な要素であり、集団生活を送る動物は、ふだんから身近の個体と持続的な交渉を持つ。このとき、イルカは主なコミュニケーションとして「鳴音」を用いていることは容易に想像できる。本研究では、さまざまな状況における鳴音を詳細に解析し、その基本的な仕組みを明らかにするとともに、イルカ対イルカのコミュニケーションは、人とのコミュニケーションへと発展しうるものであることを明らかにする。 第1章では、イルカの鳴音をどのように解析するかを目的に実験を行った。飼育下のバンドウイルカ3頭の鳴音を、水中マイクロフォンとポータブルミニディスクレコーダーを用いて録音し、データをソナグラムに表わすことによって鳴音(ホイッスル)の解析を試みた。その結果、4199個のホイッスルが得られ、それらをホイッスルコンター(外形)の抑揚型、周波数パラメータによって分類すると、コンターの抑揚型において、凸型が33.8%、トリル型30.2%、波型16.7%、残りは10%以下で現われた。パラメータの平均値は、開始周波数(11.5±2.3kHz)と比べると、終了周波数(10.9±3.2kHz)が低く、最低周波数9.7±2.0kHzから最高周波数16.2±2.9kHzの変調幅であった。また、持続時間は1.3±0.9secであった。イルカのホイッスルは、コンターの抑揚型によって、7カテゴリー(一定、上昇、下降、凸、凹、波、トリル型)に分類され、周波数(開始、終了、最高、最低、変調幅)と持続時間の6つのパラメータに基づいて示すことができた。 第2章では、イルカの会話音とされるホイッスルのうち、最も多く報告されているシグニチャーホイッスルに着目し、飼育下の3頭のバンドウイルカ(個体A,B,C)の鳴音を個々に録音し、ホイッスルの解析を行うことによって、シグニチャーホイッスルを明らかにした。すなわち、個体Aのホイッスルコンターは、波型(50.9%)とトリル型(28.8%)、個体Bでは、トリル型(67.8%)と凸型(27.0%)、個体Cでは、トリル型(84.2%)と波型(11.6%)が高い割合で示された。個体間のホイッスルパラメータでは、開始周波数、終了周波数、周波数変調幅、持続時間において有意な差(p<0.05)がみられ、個体ごとに異なるホイッスルを持つことが分かった。しかし、それらのホイッスルは、個体内、個体間において類似していた。イルカは、もともと大きな群れで生活していることから、多くの異なったシグニチャーホイッスルを持つことが推測されるが、3頭しかいないためにシグニチャーホイッスルに大きな差がなく、形が類似する傾向にあると思われ、環境や社会構造に応じて視覚なども含めた効率的なコミュニケーションを行っていると推察した。 第3章では、飼育下の3頭のバンドウイルカから日常の鳴音を記録・解析し、さまざまな状況(給餌前、給餌中、イルカのみの時間、人がイカダの上からアプローチする、人が水中からアプローチする)における鳴音の変化を考察した。その結果、それぞれの状況においてイルカが発するホイッスルに明らかな違いが認められた。給餌前ではホイッスル数(19.6±8.3/minute)が多く、周波数変調幅(7.2±2.6kHz)が広く、限られた種類(凸型)を持続的に発していた。一方、給餌外の時間では、数が減り、周波数振幅が狭く、持続時間の長いホイッスルを発していた。ホイッスルコンターは、給餌前では凸型が高く、給餌中では上昇型が高い割合で現われた。また、給餌以外の時間に人が関わるとき、よりイルカに近い水中のアプローチによってホイッスルが変化した。以上の結果より、イルカは日常において発するホイッスルを変化させており、イルカ個体間のコミュニケーションと同時に人に対するコミュニケーションを行っている可能性が示唆された。 第4章では、イルカ介在プログラムを行った際のイルカの鳴音について考察した。プログラムは、自閉症、ダウン症などの子どもたちが参加し、個々に合わせた内容で実施した。その結果、通常行われている給餌と比べると、ホイッスル数(14.0±5.8/minute)が多くなり、コンターの頻度が異なるなど、ホイッスルが明らかに変化していることが分かった。ホイッスル数は、給餌前に匹敵するほど多くなり、イルカセッションが、飼育下におけるイルカへの生活へのバリエーションを与えるために効果的であることが推察された。また、動物の能力が人の肉体的、精神的側面に影響を与えていると考えると、イルカセラピーにおけるイルカが発する鳴音の効果については、今後の検討に値するものと思われた。新規の対象者や活動を行う日常とは異なる状況下では、ホイッスルを変化させ、イルカ間のコミュニケーションあるいは人とのコミュニケーションを行っていることが推察された。 第5章では、台風前のイルカの鳴音を録音し、特別な状況における鳴音について考察した。その結果、通常と比べると、ホイッスルコンター割合、持続時間などパラメータに変化がみられた。イルカは、陸から海に戻ったのち、4000万年もの間、さまざまな環境変化に適応し生き延びており、イルカはホイッスルの変化による独自の予知能力によって、事前に自然災害を予測し、個体間でコミュニケーションしている可能性が推察された。また、上昇型の持続時間の短い型が台風時に高い割合で現われたホイッスルであり、今後、こうした特徴的なホイッスルをみつけることによって、自然災害予知が可能となることと推察した。 本研究より、イルカのホイッスルはコンターによって7カテゴリーに分類され、周波数と持続時間に基づいて6つのパラメータに分けられることを見いだした。この解析法により、イルカは飼育環境下におけるさまざまな状況において鳴音を変化させており、ホイッスルによって社会的関係を維持するための個体間のコミュニケーションを行っていることが分かった。イルカの鳴音は、イルカのみならず、明らかに人に対しても変化させており、イルカが人とのコミュニケーションを試みている可能性は高い。また、新規の人が入った給餌時間により多くのホイッスルを発しており、こうした鳴音に関するデータが、今後のイルカ介在プログラムの作成やイルカと人のよりよい関係の構築のための大きな指標となると思われた。さらに、自然災害を事前に察知する能力は、イルカと人の新たな関係を築くものとなろう。