著者
大江 秋津 岩井 良和 岡田 幸彦
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.173-176, 2014

本研究は、新興企業成立プロセスにおける、財務担当役員であるCFOがビジネスプランの質の向上や組織パフォーマンスへ与える影響を明らかにした。データは、米国新興企業家858企業の6期に渡るパネルデータを利用した。分析の結果、新興企業は創業者チームにおけるCFOの貢献度が高いほど黒字化し、ビジネスプランの修正を行い、実務とその内容が一致することが明らかとなった。さらに、ビジネスプランの修正と、実務とその内容の一致は、新興企業の黒字化に強い正の影響を与えることから、ビジネスプランの質の向上を意味する可能性を示した。
著者
中内 基博
出版者
早稲田大学
雑誌
産業経営 (ISSN:02864428)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.3-24, 2004-06-15
被引用文献数
1

本稿は近年,多くの議論を呼んでいる経営上層部視座パラダイムが抱える実証結果の矛盾の原因を探求するとともに,これまで無視されてきた意思決定に重大な影響を与える要因を見出し,それを当該パラダイムに組み込むことによってモデルの精緻化を試みるものである。具体的には当該パラダイムの発展段階で捨象されてしまった社長やCEOが意思決定に与える影響を再考する。次に意思決定に重大な影響を与えるTMT内部のパワー関係に着目し,チーム内のパワー関係とTMTの構成が密接な関係にあることを示す。また,こうした関係は経営上層部視座パラダイムの特徴であるデモグラフィック指標によって客観的に捉えることが可能であることを提示する。これまでモデルの精緻化を試みた先行研究は,新たな介在変数を見出すとともに,代理変数としての心理学的指標の開発に努めてきた。ただし精緻化の代償として,経営上層部視座パラダイムの有用性である,指標の客観性および時系列かつ大規模サンプルによる分析を諦めざるを得なかった。しかし,本稿の主張では,チーム内のパワー関係を,デモグラフィック指標を用いたモデレータ変数としてモデルに組み込むことにより,当該パラダイムの有用性を損なうことなくモデルを精緻化することが可能となるのである。このことは当該パラダイムが依然として説明力をもつパラダイムであることを示すと同時に,今後の実証研究の更なる発展可能性を示唆するものと考えている。
著者
山下 淳
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, pp.444-452, 1998-09-30
参考文献数
59
被引用文献数
1

97年の法律改正により産業廃棄物処理施設の設置許可手続が大きく変化したが, これまで行われてきた自治体ごとの事前手続はなお維持される見込みである。本稿は, 問題の核心が社会的な紛争であるという視点から, 自治体の事前手続における都道府県, 市町村, 住民の役割認識を検討することを通じて, 廃棄物処理法の事業許可手続では処理しきれない利害状況であること, むしろ紛争当事者間の交渉が可能となる枠組みを創り出すべきことを指摘する。
著者
仮屋崎 圭司 日比野 直彦 森地 茂
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_1001-67_I_1010, 2011

首都圏の鉄道は,高密度な鉄道網整備,列車の長編成化,高頻度運行,相互直通運転の実施,ホームドアの設置等により,広域かつ巨大な通勤需要を正確かつ安全に輸送可能とした世界に誇れるシステムである.しかし,現在,輸送障害に至らない慢性的な遅延が顕在化し,新たな問題として生じている.そこで本研究では,遅延の発生・波及の要因について,列車運行の実績値データを用いた分析を行うとともに,列車の運行挙動を再現するシミュレーションモデルを構築した.また,それ用いて列車間隔に起因する遅延の波及と拡大の現象を定量的に示したうえで,列車運行における遅延対策の課題を抽出する.最後に,遅延発生後における遅延拡大の抑制方法と,遅延の早期回復方法について得られた示唆を報告する.
著者
樋田 京子
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.34-39, 2012

がん組織を養う血管を標的としがんを兵糧攻めにできる血管新生阻害療法は全てのがんに共通する血管新生を標的としており、がんの新しい治療法として近年注目されている。本法の標的である腫瘍血管内皮細胞は正常血管内皮とは様々な点で異なる性質を持つことがわかってきた。腫瘍血管内皮細胞の特性を理解することは腫瘍血管新生のメカニズムの解明、新たな血管新生阻害療法の開発に寄与するものと期待される。本章ではわれわれの研究を含め腫瘍血管内皮細胞の特異性についての最近の研究結果を概説する。
著者
平田 勝哉 渕 拓也 大西 祐介 多久島 朗 佐藤 誠司 舟木 治郎
出版者
同志社大学
雑誌
同志社大学理工学研究報告 (ISSN:00368172)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-8, 2010-04

本論分は,任意回転軸を持った三次元ファンの翼表面上の微小な非定常圧力の測定技術を確立するための基礎研究である.作動流体は空気であり,任意の姿勢で回転する圧力センサは,二重のシュラウドシステムによりしっかり密封する.その任意の姿勢による回転運動は,圧力センサを片持支持部材に埋め込むことによって作られ,それは回転円盤につながれている.結論として,我々は,圧力センサからの信号の無効成分である遠心力効果や重力効果が,主要な支配的である影響であると定量的に決めた.This paper concerns a fundamental approach to develop the measuring technology for minute fluctuating pressures on the three-dimensional blade surfaces of the fan which rotates with an arbitrary rotation-axis direction. Using air as working fluid, a pressure transducer rotating with an arbitrary attitude is closely sealed by a twofold shroud system. The rotational motion with an arbitrary attitude is produced by fixing the pressure transducer to the cantilever which is connected to a motor-driven disc. To conclude, we have quantitatively determined governing effects upon the non-effective component of the pressure-transducer signal, which are the centrifugal-force and the gravitational-force effects.
著者
趙 亜男
出版者
埼玉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
日本アジア研究 : 埼玉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程 (学際系) 紀要 (ISSN:13490028)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.137-161, 2017-03

江戸時代の茶道において、千利休の教えと見られるものを和歌の形にした「利休道歌」が世に伝わり、よく知られている。現在にいたっても、「利休道歌」「利休百首」の注釈書類が相次いで出版されており、茶の初心者や茶人たちに愛用されている。小論は、これまで検討されていない東京芸術大学附属図書館所蔵の『利久居士茶道百首』(以下芸大本と称す)を研究対象として、その成立年代と構成を紹介したうえ、他伝本との校合を通して、芸大本と「紹鴎百首」との関係を分析し、本伝本の意義を試論した。七伝本と校合した結果、芸大本は「紹鴎百首」系統の諸伝本と同じ歌を数首持っていることから、「利休百首」系統より「紹鴎百首」系統により近いことが分かった。そして、筒井紘一氏を代表とする先学たちの研究成果を踏まえて、小論は次の説を提示する。芸大本は、千利休以降茶の湯が遊芸化から精神化へと発展している江戸中後期、ある流派の茶人が侘茶の宗旨を目指して千利休の名を冠して制作したものである。現存諸本のなかに百首に整っている最古の写本として、そこには作者の編集意識が現れているではないかと考える。最後に、茶道百首の研究に新しい情報を提供することと、茶道流派における家元システムの成立と発展に対する研究に、芸大本の意義があることを論じた。
著者
舟木 治郎 渕 拓也 大西 祐介 長坂 繁弥 多久島 朗 佐藤 誠司 平田 勝哉
出版者
The Japan Society of Mechanical Engineers
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.77, no.779, pp.2795-2804, 2011

The present study is a fundamental approach to reveal the minute fluctuating pressures on three-dimensional blade surfaces of a basic propeller fan. Because, among the concerning physical quantities, the unsteady pressures on the rotating blades give us useful information for the fan flow and its sound-noise level. The authors correct the centrifugal-force effect, the gravitational-force effect and the other leading-error effects for accurate measurements of the minute pressures using a measuring technology developed by the authors (Hirata et al., 2009). As a result, we show the Reynolds-number effects and the spatial distributions on the blade of both time-mean pressure and pressure-fluctuation intensity.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.660, pp.164-169, 2009-09

「やるぞ,やるぞ,やるぞー」と手を突き上げて叫ぶ「やるぞコール」。自分が掲げる目標を足腰が立たなくなるまで絶叫し続ける「実行宣言」。そして毎回,リタイア者が出るマラソン…。この「地獄の訓練」に今,まさに挑もうとしているのは,全国各地の工場に勤務する,約40人の女たちである。東海道新幹線は岐阜羽島駅。
著者
平 辰彦 Tatsuhiko TAIRA 尚美学園大学非常勤
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.83-105, 2011-12-01

古今東西の演劇における幽霊は、「古典主義的演劇」の幽霊と「バロック的演劇」の幽霊に大別することができる。前者の幽霊は、「三単一」の法則が守られた劇作法で創造された幽霊であり、後者の幽霊は、「三単一」の法則を無視した自由奔放な劇作法で創造された「非古典主義的演劇」の幽霊である。 本稿では、古代ギリシアの「悲劇」と中世日本の能楽の「古典主義的演劇」の幽霊及びエリザベス朝時代のシェイクスピア劇と江戸時代・明治時代の歌舞伎の「バロック的演劇」の幽霊をそれぞれ比較しながら、そこにあらわれた幽霊の民族的特性と演劇的普遍性が、どのようなものかを明らかにする。The present paper is a contribution toward a comparison the characteristics and theatrical functionsof ghosts on the classical theatres and the baroque theatres.Similarities and differences between the ghosts of the classical theatres and the baroque theatres, inconclusion, the result of complex, very different traditions, which differently stress objective versussubjective perception, and realistic versus stylized artistic expression.
著者
時田 喬 柴田 康成 小川 剛 宮田 英雄 大野 道敏
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.602-610, 1993

A new apparatus capable of recording head and eye movements was devised to examine the vestibulo-ocular system. Horizontal and vertical head movements were recorded with a sensor of terrestrial mgnetism. Eye movenments were recorded by an electronystagmographic technique. The transmitted data were stored on a floppy disc and analyzed with a microcomputer in a specially designed program.<BR>1. The apparatus was useful as a tool for recording spontaneous and gaze nystagmus and pursuit and saccadic eye movements in patients with labyrinthine and central disturbances.<BR>2. Transfer function (gain and phase) of the vestibulo-ocular system was calculated with head and eye movements obtained from pseudo-random head oscillation in the dark. In normal subjects, gain with head movements as input signal and eye movements as output signal indicated a frequency-dependent gain enhancement;the phase difference between head eye movements was 180°.<BR>3. The vestibulo-ocular reflex (VOR) induced by the right and left labyrinth were examined with velocity recording of head and eye movements induced by quick head movements to the right and left at intervals of 1 second in the dark. Patients with unilaterl labyrinthine disturbance showed a low amplitude response in head movements toward the affected labyrinth.<BR>4. The integration mechanism in the pursuit system was examined from the velocity recording of eye movements during vertical head oscillation with fixation on a visual target. A patient with primary position upbeat nystagmus caused by nutritional deficiency encephalopathy showed a disturbance of the up neural integrator from velocity signal to position signal in the visual vestibular oculomotor system.<BR>The apparatus was usuful for the examination of the vestibulo-ocular system of patients with vertigo and equilibrium disturbances.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.650, pp.60-61, 2016-10-24

2010年4月にJR東海に入社。13年7月から東海道新幹線の大規模改修を担当し、2年目に入ると主に名古屋地区の鋼橋の工事を担った。その一つである岐阜羽島─米原間の「水門川橋りょう」(岐阜県大垣市)は橋長約176mで、木曽川水系の水門川に架かる。
著者
池松 由香
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.269, pp.48-52, 2007-02

2006年4〜6月号のコラムで登場した、ケーキメーカーのフレシュール。当時、「初の脱落者か?」と山田をヒヤヒヤさせた同社だが、その後、「火事場のばか力」で大復活を遂げていた。取材・文◎池松由香(編集部)写真◎堀 勝志古(P48下の写真を除く)2006年、師走。山田日登志(67歳)は岐阜羽島の駅で、ある男と待ち合わせをしていた。