著者
横田 絵理 乙政 佐
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.125-138, 2016

管理会計研究の進展によって,新たに管理会計技法が発掘・開発される一方,マネジメント・コントロールのとらえ方も拡張されている。本研究では,近年のわが国の管理会計研究を対象とした文献分析を通じて,マネジメント・コントロールの主要なフレームワークと,管理会計研究技法との対応関係の現状を明らかにした上で,今後の課題を提示する。
著者
小栢 進也 樋口 由美 青木 紫方吏 松島 礼佳 岩田 晃 淵岡 聡
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0285, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】膝関節の滑膜に囲まれた空隙には滑液が貯留されており,関節運動の円滑性に寄与するとされる。関節内圧の変化によって滑液の貯留量は一定に保たれているが,炎症などによって滑液が過剰に産生されると関節浮腫を形成する。関節浮腫は大腿四頭筋の活動抑制や膝関節痛を生じるとされており,高齢者の身体活動に重要な膝伸展筋力の低下につながる。一方,高齢者の身体機能低下の予防には筋力トレーニングが実施され,筋力増強,動作能力向上など多くの効果が報告されているが,関節浮腫にどのような影響を与えるかに関しては十分な知見が得られていない。関節内圧は筋収縮によって上昇するため,筋力トレーニングは滑液循環に影響を与えることが予想される。さらに近年は筋力トレーニングによって炎症が抑制されるとの報告もあり,トレーニングにより関節浮腫を予防できる可能性がある。滑液量が過剰になると膝蓋上嚢の肥厚が認められることから,本実験では高齢者を対象として膝伸展筋力トレーニングを実施し,膝蓋上嚢の厚さがどのように変化するかを調べた。【方法】日常生活が自立している60歳以上の地域在住高齢者122名を対象とし,関節浮腫のスクリーニング検査を行った。ベッド上背臥位で膝30°屈曲位とし,膝蓋骨上縁に大腿骨長軸と水平になるよう超音波診断装置(Logiq Book XP)のプローブを当て,膝蓋骨上縁を撮像した。スクリーニング検査で膝蓋上嚢に1mm以上の肥厚が認められた方を対象として,実験の参加者を募った。ただし,膝窩部の浮腫であるバーカーズシストが確認された被験者は研究対象から除外した。研究参加に同意が得られた被験者を無作為にトレーニング群とコントロール群に分類した。トレーニングはセラバンドを用いた膝伸展抵抗運動10回3セットを自宅で実施することとし,週4回2か月間実施した。なお,高負荷トレーニングが実施できるよう初回に強度を指導した。介入前後に超音波を用い膝蓋骨上方の内側,中央,外側を撮像して,関節上嚢の厚さを計測した。身体機能検査は膝伸展筋力,歩行速度を計測した。統計解析にはSPSSを用い,トレーニング前の群間比較にt検定およびカイ二乗検定,トレーニング効果の検証に介入前のデータを共変量とした共分散分析を用いた。有意水準は5%とした。【結果】スクリーニングテストより対象となった73名のうち,45名に研究参加の同意が得られ,トレーニング群23名,コントロール群22名に割り付けた。トレーニング群1名,コントロール群2名は介入後の測定が困難であった。また,コントロール群の2名にバーカーズシストが確認されたため,最終的にトレーニング群22名(男性10名,女性12名,年齢74.0±6.8歳),コントロール群18名(男性6名,女性12名,74.1±5.8歳)が解析対象となった。介入前はすべての項目で有意差を認めなかった。膝蓋上嚢の厚さは内側部と外側部で交互作用を認め,トレーニング群で減少した(内側部:トレーニング群 介入前3.5±1.7mm介入後2.8±1.5mm,コントロール群 介入前4.1±1.5mm介入後4.2±1.4mm,外側部:トレーニング群 介入前4.0±2.3mm介入後3.4±1.7mm,コントロール群 介入前4.5±1.8mm介入後4.7±1.8mm)。膝伸展筋力にも交互作用が認められ,トレーニング群で筋力が向上した。その他の項目に有意差を認めなかった。【考察】トレーニング群では介入後に膝蓋上嚢の厚みが減少した。これは膝蓋上嚢に貯留している滑液が減少したためと考える。膝関節の滑液は膝蓋上嚢と膝窩部に貯留しやすいと言われているが,今回の研究では膝窩部の浮腫であるバーカーズシストが確認された被験者は除外している。よって,関節上嚢の厚み減少は膝関節全体の関節液貯留量減少による可能性が高いと考える。【理学療法学研究としての意義】膝伸展筋力トレーニングは筋力増強効果だけでなく,膝関節の滑液貯留量を減少させる可能性がある。本研究では筋力トレーニングの新たな効果が示された。
著者
宮城 信
巻号頁・発行日
pp.1-40, 2018-05-23

2018年5月23日:富山大学中央図書館で開催された「2018レポートの書き方講習会」の配布資料。 【この講習会の内容】 ・ 身に付けて欲しいこと・・・レポートを書くために、持つべき心構えや、守るべきルール、真似しておけば大丈夫な形式・構成・ 何をしないか・・・論文の細かい書き方、独創的なアイデアの出し方、文学的なレトリックなどは一切扱わない
著者
小林 万純 柘植 勇人 三宅 杏李 曾根 三千彦
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.121, no.10, pp.1273-1278, 2018

<p> 両耳聴の意義に対する認識が高まり, 補聴器も人工内耳も可能であれば両耳聴を目指す方向に向かっている. 今回, 装用前の語音弁別能は不良であったが, 両耳装用後に実用レベルに達した症例について検討した. 耳鳴を主訴とした両側水平性感音難聴の2症例で, 語音弁別能は初診時左右それぞれ30~55%であったが, 1年後には両耳装用下の音場検査にて各々80,95%という結果が得られた. これは周波数ごとに圧縮を変更しながら十分なファンクショナルゲインを確保したことと, 優れた両耳聴効果に起因するところが大きいと思われる. そして, 補聴器の調整を適正に行い十分な聴能訓練を行うことで, 補聴器の効果をより発揮できると考える.</p>

2 0 0 0 刀談片々

著者
本阿弥光遜著
出版者
南光社
巻号頁・発行日
1936
著者
谷口 洋志
出版者
公共選択学会
雑誌
公共選択の研究 (ISSN:02869624)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.9, pp.46-54, 1987-05-20 (Released:2010-10-14)
参考文献数
18

In his book The Limits of Liberty, Professor Buchanan argued that the state has two roles, that is, “protective” and “productive” ones, which are derived from the viewpoint of gains-from-trade among individuals. The purpose of this paper is to elucidate the characteristics of his view of the state described in this book and his essays.Professor Buchanan's theory of the state is characterized by (methodological) individualism, contractarianism, constitutionalism, libertarianism, subjectivism and democracy. All these elements are important and closedly linked each other. It should be emphasized, however, that contractarianism and constitutionalism, along with individualism, are specially important elements. And it should be pointed out that his libertarianism substantially means the constitutionalist-contractarian position based on individualism. Indeed, his own peculiar libertarianism distinguishes him from the libertarian anarchists, Hayek, Rawls and others. In this paper, we consider the difference between these modern thinkers and Buchanan in more detail.
著者
田坂 厚志 沖 貞明 田中 聡 島谷 康司 長谷川 正哉 金井 秀作 小野 武也 大塚 彰 坂口 顕
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.577-580, 2009 (Released:2009-09-24)
参考文献数
19
被引用文献数
1

〔目的〕超音波療法の客観的な有効性を明らかにするために,動物実験を行った。〔対象〕実験には10週齢の雌Wistar系ラットを16匹用いた。〔方法〕右足関節をギプス固定し,1日1回固定を除去して超音波照射後にトレッドミルで走行を行わせる超音波群(8匹)と1日1回固定を除去し超音波を照射せずにトレッドミル走行を行わせる対照群(8匹)の2群に分けた。〔結果〕個々のラットにおける実験開始前と実験開始1週間後の足関節背屈角度の変化をもって2群を比較したところ,超音波群では42.5±6.0度,対照群では51.2±11.7度となり,超音波群は角度変化が有意に少なかった。〔結語〕関節拘縮発生抑制効果に関する超音波の有効性が確認できた。

2 0 0 0 OA 日本新聞年鑑

著者
新聞研究所 編
出版者
新聞研究所
巻号頁・発行日
vol.昭和12年(15版), 1936
著者
根井 浄
出版者
Japanese Association of Indian and Buddhist Studies
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.241-248,1261, 2005-12-20 (Released:2010-03-09)

Nozoki Karakuri is a street performance. It took place in the 17th century. Spectators watch moving dolls and pictures, and so on, through a glass window in a box. Among the painted pictures, many were drawn from the idea of Buddhist Hell and Paradise. Nozoki Karakuri has been preserved in Fukae town, Nagasaki prefecture. It is one of the cultural treasures of Japanese Buddhism.
著者
七戸 克彦
出版者
九州大学法政学会
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.381-452, 2016-12-12
著者
加来 彰俊
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典學研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.28-42, 1960-03-29

What was the aim of Plato when he wrote his dialogue Gorgias? -It is the objective of my present article to clarify that aim of his by examining both the construction and content of that dialogue. First, as regards the construction of the dialogue, the questions we deal with here are as follows : What is the true theme of that work? How is the dialogue of three acts unified organically? To attain this unification, how are the interlocutors arranged and directed by the author? Next, as for the content, our problems are : How should we understand the difference of the criticism toward the rhetoric given in the Gorgias from that given in the Phaedrus? What is the real meaning of Plato's statement that Socrates is a politician in the true sense of the word? From my research made from the above viewpoints results the following conclusion concerning Plato's aim now at issue. In this dialogue Plato makes clear that he has given up ultimately his political ambition which has been cherished from his philosophical way of life which Socrates taught him. I. e. this work is Plato's so-called 'manifesto', in which he proclaims his conversion from politics to philosophy. Now Plato's criticism toward the actual politics at the time was founded upon Socrates' doctrine and way of life. It is really in this dialogue that he verifies. the validity of those words and deeds of Socrates reviewing them and thereby offers an apology for his master again, and at the same time he uses it as such for his own new life as well. Thus it is that we could call this dialogue the second 'Apologia Socratis' -nay, we should rather call it "Apologia Platonis (s. pro vita sua) " as its more appropriate byname. Having found the principle of the ideal politics in Socrates' philosophy, he has come to postulate that famous thesis in this dialogue for the first time, the thesis of the identification of philosophy with politics, which is afterwards to. be developed in the Respublica and the Epistula VII.
著者
寺田 泉 松山 美和 山田 博英 大野 友久
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.75-82, 2020-06-30 (Released:2020-07-23)
参考文献数
41

目的:緩和ケア受療進行がん患者の口腔内評価を実施し,生命予後予測と口腔内状況の関係を検証した。 方法:対象は,2017年11月から2018年7月の期間に,聖隷浜松病院に入院中の緩和ケア受療がん患者で,同意が得られた85名とした。基本情報はカルテから抽出し,口腔内の状態はOral Health Assessment Tool日本語版(以下,OHAT-J)と口腔機能評価表を用いて評価した。Palliative Prognostic Index(以下,PPI)を用いて,対象者を生命予後が3週未満と予測される群(以下,予後短期群)と,それ以上(以下,予後長期群)の2群に分け比較した。 結果および考察:対象者の平均年齢は65.6±13.2歳であり,予後長期群が62名,予後短期群が23名であった。OHAT-Jでは,口唇,歯肉・粘膜,唾液,口腔清掃の項目および合計スコアにおいて予後短期群で有意に悪化が認められた。口腔機能においては,すべての項目において予後短期群で有意な悪化が認められた。口腔粘膜など口腔乾燥が影響する項目に有意な悪化が認められたものと考えられ,口腔機能に関しては,Activities of Daily Living(日常生活動作:以下,ADL)や意識状態の悪化などの結果と推察された。 結論:生命予後予測と口腔内状況には関連性があり,予後短期群の口腔内状況は予後長期群よりも不良であることが示唆された。PPIによる予後予測は口腔内状況の把握に有用であることが示唆された。
著者
藤井 政樹 宗像 源博 山口 葉子 三田 稔 尾関 雅彦
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.191-196, 2020-06-30 (Released:2020-08-15)
参考文献数
12

インプラント治療後に認知症になり,介護施設に入居している患者のインプラントトラブルへの対応を行った1例を報告する.患者は86歳の女性.インプラント上部構造が脱離して,アバットメントが口唇や舌に当たって痛いとの訴えを介護施設の訪問診療歯科医師から相談を受け,アバットメントを除去して,インプラントのスリーピングを行った.現在は,インプラントのアバットメントによる口唇や舌の痛みはなくなり,義歯の着脱,管理ができるようになり,経過は良好である.
著者
榊原 啓 肥田野 等 土屋 整也 福井 明 高橋 洋平
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.968-973, 1984-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

播種性コクシジオイデス症の1例を経験した.症例は47才,男性で,昭和57年7月23日頃より38°C以上の発熱あり,近医にて加療するも不変のため, 7月30日本院受診し入院した.入院時胸部写真で,右上縦隔および右肺門リンパ節の腫大,右上葉のスリガラス様陰影を認めた.当初肺炎と診断し,各種抗生物質,抗結核薬を投与したにもかかわらず, 39°C以上の発熱が1カ月以上続いた. 8月中旬より右鎖骨上窩にリンパ節を触知し,母指頭大に腫大したため, 9月8日生検した.この結果コクシジオイデス症の疑いが濃厚となつた.なお,この生検部が一時外瘻化し膿汁が出現したため,これを培養した所, Coccidioides immitisと定し得た. 9月14日よりアンホテリシンBと5-FCの併用療法を行なつたが,無効のため, 10月1日よりMiconazoleとKetoconazoleに変更した.変更後2週間で下熱し,血沈も改善した.一時肺炎を合併したが経過は順調で12月16日MiconazoleとKetoconazoleを中止した.コクシジオイデス症は難治性疾患で,特に播種性コクシジオイデス症の半数は死亡するとされている.本症は北中南米にみられる疾患で,他地域には殆どみられない本邦では1927年に榊原らが朝鮮人労働者の1例を報告しているにすぎず,本症例は日本人として第1例目である.