著者
Nebil Achour 宮島 昌克 池本 敏和 稲垣 潤一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.164-164, 2005

2004年新潟県中越地震における医療機関の被害状況に関する現地調査およびアンケート調査を行なった. その結果に基づき, 医療機関の建物被害, ライフライン被害, 医療施設の被害などが地震直後の医療機能に及ぼした影響を分析した. さらに, 距離減衰式を構築して各病院の最大加速度を推定し, 地震動強さと被害程度の関係を定量的に考察した.
著者
津崎 哲雄 Tetsuo TSUZAKI 京都府立大学福祉社会学部
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-19, 2005-02

本稿では、戦後初めて全国的にメディアの注目をあびた栃木県宇都宮市における「里親による里子傷害致死事件」を素材に、現行里親制度・委託実務の現状を分析し、わが国における里親システムがいかなる特質をもつものであるか検討した。まず、わが国における里親制度のブローファイルを述べ、事件概要を紹介し、事件の要因分析をおこない、種々の側面からわが国の里親制度が諸外国のものとは著しく異なることを明らかにし、若干の他国のモデルと比較しつつ、今後の施策・実務課題や改善すべき点を明らかにした。具体的には、児童相談所の里親認定/調査の杜撰さ、委託後の指導/観察訪問が行われず、委託中の支援も皆無で、里親は全く研修を受けておらず、社会的孤立していたことが判明し、刑事裁判の判決(懲役4年実刑)が示唆するような容疑者個人に事件原因を収斂させることへの疑問を提示し、わが国の里親制度に巣食う根源的問題が真の原因であると結論づけ、今後改革を要する諸点を提示した。
著者
HIRAOKA M
雑誌
Lancet
巻号頁・発行日
vol.343, pp.519-520, 1994
被引用文献数
2 30
著者
小野 晃一 勝又 達也 菅原 泉 上原 巌 佐藤 明 Kouichi Ono Katsumata Tatsuya Sugawara Izumi UEHARA Iwao Sato Akira
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.60-67, 2011-06

森林施業に関わる野ネズミ類の役割を明らかにする一環として,林相の異なる針葉樹人工林と広葉樹二次林を跨ぐ形で林内に生息する野ネズミ類を捕獲・放獣する方法により2006年から2009年まで個体群の変動を調査した。その結果,調査対象としたアカネズミ(Apodemus speciosus),ヒメネズミ(Apodemus argenteus)の捕獲個体数は2006年9月には延べワナ数675個で157個体,422回と最高の高密度状態を記録したが,11月から急激な減少が認められ,その後は1年以上ひと月の捕獲個体が数頭という低密度で推移したことから,野ネズミ類個体群にクラッシュが生じたものと判断した。アカネズミとヒメネズミの捕獲個体数の変動を比較すると,それぞれの生息特性を反映して急減の時期に3か月の時間的差異が見られた。しかし,全体的な変動の傾向は両種とも同様の推移を示した。針葉樹林と広葉樹林での生息状況を見ると,アカネズミでは広葉樹林の利用頻度が高く,秋季から冬季にかけて針葉樹林の依存度が増す傾向にあった。ヒメネズミでは針葉樹林のみの利用個体が多いものの,年によっては夏季に広葉樹林のみ利用する個体が増加した。また,いずれの種とも両方の林分を同時に利用している個体は少ないという傾向を得た。行動範囲に関しては,高密度下では大きく,ランダムに分布し,低密度下では小さく,限定的になる傾向が見られた。
著者
藤代 裕之 河井 孝仁
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.59-73, 2013

東日本大震災では,利用者が増加しているソーシャルメディアを通じて被害状況が発信された。災害時における情報発信はマスメディアの重要な役割であり,ソーシャルメディアへの情報提供の必要性も高まっている。しかしながら,東日本大震災時に新聞社がソーシャルメディアをどのように利用して読者に情報を届けたのかは十分に明らかになっていない。本研究では,東日本大震災における新聞社のTwitter利用を比較して調査し,取り組み状況の差異と要因について考察を行った。全国紙5社と被災地にある地方紙4社を対象にTwitterのフォロワー数,担当部門や運用方法などの聞き取り調査を行った。その結果,Twitterのフォロワー数に違いが見られた。その要因は新聞社の規模ではなく,日頃からの運用実績と業務に含まれているか否かによるものであった。紙面とソーシャルメディアを連携して情報発信するという新たな取り組みが見られる一方で,記者との連携が不足したことで十分な情報発信ができていないという課題が明らかになった。今後もソーシャルメディアの利用者は増加していくことが予想される。新聞社が災害時にソーシャルメディアに情報を発信するためには,日頃からの運用と業務の位置付けを明確にし,あらゆるメディアを通じて情報を発信するという意識を組織全体が共有する必要がある。
著者
本間 大 三輪 敬之 井口 信洋
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.377-382, 1984-02-05
被引用文献数
6

This paper describes two different prototype micro manipulators which operate on the basis of the Shape Memory Effect (SME). One manipulator called "Skeleton-muscle type" is composed of aluminum pipe skeletons, bias springs and thin wire actuators of Ti-Ni shape memory alloy (50-50 at%) which contract and relux like a muscle and has 5 degrees of freedom, of which structure is suitable for a large size manipulator. The other called "Soft-body type" has simple soft and small body 20 mm in its length, made of Ti-Ni wire and silicone rubber coat for a bias spring, being capable of microminiturizing, which has 2 degrees of freedom. These manipulators are drived by pulse width electric heating of Ti-Ni alloy and program controlled using a microcomputer system. It was found in the performance tests that the "Skeleton-muscle type" performs 1 reciprocating arm motion in 3. 2 seconds and the "Soft-body type"in 17 seconds under normal condition. Both the voltage (concerning current) and duty ratio of the heating pulse increase with increasing the manipulated force, speed and variable, however they decrease as the load is increased. The Skeleton-muscle type repeats more than 104 stable movements at a temperature within Af point of Ti-Ni alloy. Key words : shape memory effect, manipulator, Ti-Ni alloy actuator, pulse heating, performance test, repeated motion, Ar point.
著者
平野 尊識
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.121, pp.19-48, 2002

「肩叩き」や「人助け」のような複合名詞について考える.このタイプの複合名詞の形成には,第一姉妹の原理が深く関わっていると言われてきた.しかし,「神隠し」や「虫食い」などの事例はこの原理では説明できない.本論では,このタイプの複合名詞の形成は,それが現れる文/談話との関連で考察する必要があることが議論される.複合化される要素は,文/談話的情報から復元できないからである.逆に,「文/談話」の「主語/題目」と同一指示のものは複合化する必要がない.これを基にして「基本構造」という概念を提案する.基本:構造:Topic[(N)(N)NV]V (Ni)(Ni) (N:複合化される名詞,i:同一指示)これに「同一名詞の反復を避ける原則」が適用され,名付け機能に応じて語彙化されるというのが本論の枠組みである.
著者
湊 正雄 橋本 誠二 陶山 國男 武田 裕幸 鈴木 淑夫 木村 昭二 山田 一雄 垣見 俊弘 市川 輝雄 末富 宏
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.60, no.708, pp.378-387, 1954-09-25
被引用文献数
2 3

Die machtige permische Formation des Setamai-Gelandes im Kitakami-Gebirge ist in zwei Subsystem teilbar; das obere ist das Toyoma-Untersystem, das lithologisch meistens aus Tonschiefern und granitfuhrenden Konglomeraten besteht und verhaltnismassig fossilarm ist, wahrend dagegen das untere Untersystem, d., i., das Yukisawa-Untersystem, ortlich sehr reich an kalkigen Tonschiefern bzw., Kalkschichten ist und bestehend fossilfuhrend., Hinsichtlich der vielen Gliedrungstiere kann das Yukisawa-Uutersystem wieder in zwei Serien gegliedert werden, in die Sakamotosawa- und Kanokura-Serie., Wir sind dabei der Ansicht, dass eine stratigraphische Lucke zwischen beiden vorhanden ist., Die wichtigsten Ergebniss in Bezug auf die Dauerzeit der Gattungen bzw., Spezies sind folgende: 1., Pseudoschwagerina erscheint bald nach dem Basiskonglomerat der Sakamotosawa-Serie und dauert bis zur J_0 Horizonte (Siehe Abb., 2)., 2., Dagegen erscheint Parafusulina in der I_2 Horizonte und dauert bis zur L_0., 3., Lepidolina zeigt eine Dauerzeit zwischen L_0 und L_1., 4., Lophophyllidium suetomii MINAT0 sind die wichtigen Gliederungstiere der I_0 Horizonte; Yatsengia Kabayamensis MINATO und Michelinia (Michelinopora) multitabulata YABE et HAYASAKA tritt besonders in der Horizonte J_1 auf; Waagenophyllum indicum var., usuginuensis MINATO, Wentzelella kitakamiensis YABE et MINATO charakterisieren die Horizonte L_0., 5., Die sogenanten Lyttonia-Faunen HAYASAKAS trenten nur im unteren Teile der Kanokura-Serie auf.,
著者
片野 良平
出版者
群馬県畜産試験場
雑誌
群馬県畜産試験場研究報告 (ISSN:13409514)
巻号頁・発行日
no.11, pp.22-29, 2005-03

グンマLは、能力の優れたオランダ系ランドレース種を基礎豚に閉鎖群育種により作出された系統豚である。平成3年度造成終了後12年にわたり当場にて維持に取り組み普及利用を推進してきたが、平成15年度をもってその目的を達成し維持を終了することとなった。維持終了に当たり12年間の維持の経緯について総括として報告する。1.維持概要:維持期間中の飼養頭数は種雄豚18〜5(平均10.5)頭、種雌豚50〜30(平均36.4)頭であった。平成15年の遺伝的構成は平均血縁係数41.9、平均近交係数36.4であり維持期間中の平均年間上昇率はそれぞれ1.53、0.73であった。2.長所:産肉性を中心に改良された豚であり、維持期間を通じ良好な成績を維持した。また、乳頭については数、配置、形状ともに非常に良好であった。3.問題点と対応:維持に際し遺伝的構成の変化を抑制したため体型や繁殖性の問題が表面化したため、積極的な種豚の更新や選抜淘汰を実施し維持段階における改良を推進した。4.今後の方向:系統豚としての利活用は終了するが、グンマLの持つ優良形質を貴重な遺伝資源として捉え、これを素材としたランドレース種豚としての利活用を図る。
著者
THIEDE Walther
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.145-146, 1986

筆者は1971年5月にビルマに1週間滞在し,ラングーン,マ ンダレー,およびパガンにおいて約26種の鳥類を観察した.そのうち特記すべきものとして,<i>Sterna arcuticauda</i> の観察と,<i>Sturnus burmannicus-stristis</i> の関係について言及した.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1818, pp.40-43, 2015-11-30

日本はもちろん、世界の国々が熱い視線を送るのが、海外旅行需要が大きく伸びている中国の団体旅行客だろう。喉から手が出るほど欲しいと周囲の国々が争奪戦を繰り広げる中、あえて規制をかけているのが台湾だ。 2008年に中国大陸からの観光客受け入れを開…
著者
松本 尚子 後藤 美津夫 加藤 一雄
出版者
群馬県畜産試験場
雑誌
群馬県畜産試験場研究報告 (ISSN:13409514)
巻号頁・発行日
no.7, pp.71-76, 2001-03

1.当場繋養種雄豚を父親候補とし、18種類のマイクロサテライトマーカーを用いて子豚の父子判定を行った。2.今回は、デュロック種(D)、ランドレース種系統造成豚グンマL(GL)、デュロック種とランドレース種の二元交雑種(LD)の3区分について、それぞれ父子判定を試みた。3.GLについては、当場Dよりも父子判定できた割合が比較的高かった。マーカーの種類によっては系統豚でも父子判定が可能であることがわかった。4.当場のDについては、今回のマーカーでは得られる情報が少なく更にマーカーを増やさなければ父親を決定できないという結論に至った。5.今回の検討でブタにおける父子判定が可能であることが示唆され、このような遺伝情報を用いて血統を確認できることが判明した。今後生産現場などにおける種豚の特定に利用できると思われる。
著者
越智 郁乃
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科 文化人類学分野
雑誌
コンタクト・ゾーン = Contact zone (ISSN:21885974)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.33-55, 2015-03-31

在日米軍施設が集中する沖縄県では、1961 年から2007 年までの間に軍用地利用から返還された土地が12 万ヘクタールにも上る。過密化する今日の沖縄本島中南部では、狭小な土地の有効活用のため返還跡地の開発が進められてきた。大規模商業地として開発が行われた地域では雇用が増大したが、商業偏重の開発とその後の経済や社会の持続可能性については疑義が呈されている。このように評価が分かれる跡地開発に対して、本稿ではかつての軍用地とその周辺地域を「接触領域」と捉え、今日までの特異な社会空間での地域の住民の経験、すなわち琉球王府、日本、米軍統治から日本復帰へというように次々と変わる支配者層および支配文化といかに相対し、いかに交渉してきたのかという長い道のりに注目する。具体的には、軍用跡地開発を経て誕生した那覇市新都心を事例に、そこでの住民の経験として沖縄戦前後、米軍による土地接収後の米軍住宅化やそれに伴う周辺地域での開発が、返還後の大規模再開発にいかなる影響を及ぼしているかということを明らかにし、単なる開発の評価だけではなく、その地に住まう人々にとっての軍用跡地開発の意義について考察する。
著者
里村 大樹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_209-I_214, 2015

近年,海上輸送・港湾分野において保安対策が強化されている一方,港湾のコンテナターミナルではゲート処理の時間短縮が課題となっている.そうした中,2014年7月1日から三点確認が義務化された.<br> 本研究では,三点確認義務化によりコンテナターミナルのゲート前の渋滞悪化が懸念されたため,現地調査を行った.また,今後,保安対策が強化された場合におけるゲート処理の円滑性確保策を検討した.現地調査を行ったコンテナターミナルでは,三点確認義務化による渋滞の悪化は確認されなかった.しかし保安対策が強化されてコンテナ搬入の処理時間が仮に5分長くなる場合を想定したシミュレーションの結果,現状設備ではオーバーフローするが,ゲート処理を多段化すること等でオーバーフローを回避でき,ゲートイン処理が効率化できる可能性が確認できた.