著者
郡司 明彦 田村 幸彦 平尾 功治 町田 光 秋田 季子 小林 奈緒美 藤井 彰
出版者
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-8, 2010-04-01

Many epidemiological studies have shown that the prevention of dental caries by fluoride is a basic and indispensable method to maintain and improve dental health. However, the countermeasures for maintenance of dental health and implementation of preventive programs for caries are still not satisfactory in Japan. In developed countries, it is thought that the prevalence of water fluoridation and use of fluoride-containing dentifrices are the primary factors responsible for the remarkable decrease in the prevalence of dental caries in children. Topical application of fluorides, especially fluoride mouth rinsing, has an extremely important role in Japan as compared with various other countries, because systemic application of fluorides, such as water fluoridation and use of fluoride tablets are not yet available in Japan. However, fluoride mouth rinsing has not become prevalent on a nationwide scale. Therefore, it is hoped that fluoride mouth rinsing will be enforced in more kindergartens, elementary schools, and junior high schools to contribute to the improvement of dental health in the future.
著者
岩谷 いずみ 向井 義晴 寺中 敏夫
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-11, 2009-02-28
被引用文献数
7

エナメル質に対して高濃度の過酸化水素水を用いて多数回の漂白処理を施した場合,表層が脱灰されると報告されている.しかし,実際の口腔内においてエナメル質は漂白処理以外の期間は常に唾液に覆われており,漂白による脱灰は唾液中のミネラル成分により修復される可能性も考えられる.本研究では多数回の漂白が与える影響についてウシエナメル質を用いて,漂白処理以外の時間は脱イオン水(DW)に浸漬した(Hw)群と,唾液をシミュレートした再石灰化溶液に浸漬した(Hr)群を設け比較した.漂白には,35%過酸化水素水を主成分とするHiLite(松風)を用い,1週間を1クールとして12クール行った.脱灰様相はTransversal Microradiographyによるミネラル喪失量(IML),および超微小押し込み硬さにより比較した.また,漂白後の再石灰化処理がエナメル質結晶の構成に与える影響について顕微ラマン分光分析を用い,漂白面,および非漂白面の表面および断面10〜300μmにおける炭酸基とリン酸基の変化を測定した.なお,漂白効果の有無は色彩色差計を用いて判定した.Hw群には,エナメル質表面から10μmの位置にミネラル密度が約60vol%の表層下病巣が形成され,12週間再石灰化液に連続して浸漬したコントロール(C)群に比較し,IMLは有意に大きな値であった.Hr群はC群と同様,脱灰,ならびに硬さの低下は示さなかった.各群に耐酸性試験(D)を行ったCD,HwD,およびHrD群すべてに表層下病巣が形成されたが,IMLは全群間で差はなかった.Hr群の表面の顕微ラマン分光分析の結果,漂白面は非漂白面に比較しリン酸基の強度が上昇していた.12クールという多数回の漂白処理においても,口腔内をシミュレートした再石灰化環境に置かれたエナメル質では,漂白により無機質が溶出した後も,周囲環境中の無機質イオンがエナメル質中に取り込まれる可能性が示唆された.また,最表層部では,その後の耐酸性に影響を与えるほどの変化ではないものの,炭酸基が減少し,リン酸基の含有量が多い安定したアパタイトが沈着する再石灰化が生じていることが確認された.
著者
林 一彦 渡邉 佳恵 大村 雅 木場 秀夫
出版者
日本身体障害者補助犬学会
雑誌
日本補助犬科学研究 (ISSN:18818978)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.40-43, 2010

一般に、歯が折れたり欠けたりすることは破折と呼ばれている。犬においては、歯の破折は比較的しばしば認められる歯牙の実質欠損である。今回、著者らは2例の介助犬の歯の破折を治療する機会を得たので、その病態と治療方法について供覧する。また、その発生機序についても若干の考察を加えた。症例は2例とも上顎第4前臼歯が斜めに破折(斜折)しており、歯髄は露出していた。治療としては生活歯髄切断術と歯髄覆罩を行なったのちに光重合型コンポジットレジンで充填した。上顎第4前臼歯の斜折は硬いものをかんだ時に生ずる典型的な破折であるため、ストレス解消のために与えた硬いチュウトイが原因と推察された。したがって、今後は硬いチュウトイの代替となるストレス解消法を模索する必要があるのではないかと思われた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経automotive
巻号頁・発行日
no.48, pp.42-47, 2015-03

衛星、住宅、ロボット、公共交通、エネルギー、無人航空機——。米Google社が買収する多岐にわたる企業は、一見クルマと関係ないようで、「都市の効率化」という構想の中ですべてつながる。クルマは都市情報を収集する一端末だ。
著者
白幡 真紀
出版者
日本産業教育学会
雑誌
産業教育学研究 (ISSN:13405926)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.9-16, 2012-07-31

本稿はイギリス労働党政権下の行政システムと財政支援戦略を分析し、スキルと学習に対する公共管理の課題を考察した。同政権は社会的困難層への支援を実現する過程で、需要に焦点を合わせて再配分を行う需要主導システムの構築を目指す。重点配分による支援の枠組みは学習供給主体と個人学習者のそれぞれにインパクトを与え、基礎スキル向上プログラムは一定の成果をもたらした。予算の増大がサービス供給の量的向上を実現させながらも、この再配分のシステムは集権化と枠組みの標準化を進展させたことを示した。
著者
田淵 紀子 島田 啓子 亀田 幸枝 関塚 真美 坂井 明美
出版者
日本助産学会 = Japan Academy of Midwifery
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.25-36, 2008-06-30
被引用文献数
2 4

目 的<br> 生後1ヶ月児の泣きに対する母親の困難感とその感情に関連する要因を明らかにすることを目的とした。<br>対象と方法<br> 北陸地方の病産院にて出産し,1ヶ月健診時に調査の同意が得られた母親を対象に,自己記入式質問紙調査を実施した。調査内容は,児の泣きに対する母親の困難感と,その関連要因として,児の泣きの性質や母親の睡眠・授乳状況,サポート状況などの質問項目を設定し,各々4段階リカート尺度で点数化した。<br>結 果<br> 有効回答は,初産婦298名(47.3%),経産婦332名(52.7%),合計630名であった。全体の約半数の母親が,児が泣くと戸惑ったり,抱いたり,あやしても泣きやまない困難な状況を経験していた。困難感を示した母親は,小さな子どもと接したことのない初産婦に多く,子どもの泣き方が特徴的であったり,なかなか寝入らないなど,子ども側の要因と母親の生活状況,育児に対する負担感や自信感等の母親側の要因が困難感に関連していた。<br>結 論<br> 生後1ヶ月時の母児の支援には,児側の要因と母親側の要因の双方に着目し,児の泣きの特徴や,母親の疲労状態,育児に対する気持ち等に注意を向け,母親が児の泣きをどのようにとらえているのかを知ることが重要であり,これらのスクリーニングの必要性が示唆された。
著者
春田 晴郎
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.92-106, 1988
被引用文献数
1

A Pahlavi text entitled <i>Ayadgar i Zareran</i> (<i>AZ</i>) relates the legendary battle between Vištasp, Kayanian king, and Arjasp, king of Xyons. § § 17-21 of <i>AZ</i> describe the answer made by Zarer, Vištasp's brother, to Arjasp's demand that Vištasp should abandon Zoroastrianism. A new translation of <i>AZ</i> § § 17-21 is given here to elucidate the latent eschatology of Zoroastrianism in the answer full of metaphor. The latter half of the answer should be interpreted as follows: … Next month we, except you, shall (live in the peaceful world just as all the people) drink "immortality" (on the Last Day and live for ever); there, at Hutos-wood and the meadow (morv: Pth marγ) of Zardušt, not a high mountain nor a deep lake, on that level plain (just as gods are separated from demons on the Last Day, our) horses and brave footmen should be separated (from you for ever). Come from there so that we shall come from here. And you will see us and we shall see you. And we shall show you how (you will be struck by us just as) demons are struck at the hands of the gods (in the Last Day Battle).
著者
塚本 義明 生天目 章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.2664-2675, 1994-12-15
被引用文献数
1

ニューラルネットワークの規模の問題を解決するための方法として分散学習が考えられる、これは、大規模な問題がすでにいくつかの小さな問題に分割されており、その小さな問題について学習した結果を統合して大規模な問題を解決する試みである。また、この際に全体を掌握する管理者的存在はないものとする。本論文では、多層ネットワークの学習アルゴリズムである瞬時学習法および記憶に基づく学習を統合した構造化学習法に基づく分散学習法を提案する。大規模な問題が、すでにいくつかの小さな問題に分割されており、それらを並列処理するには並列処理された結果を統合するためのメカニズムが必要である。分散アルゴリズムが加法法性を有すれば、分散処理された情報を統合するためのメカニズムを容易に実現できる。本論文で提案する分散学習法は、一つの学習問題がいくつかに分割された状態で、それぞれ分割された学習問題に構造化学習法を並列的に適用し、それぞれの学習結果を統合することにより全体の問題を学習させる方法である。並列処理により獲得した分散ネットワークモジュールの線形結合として全体の問題のニューラルネットワークが求まることを示す。オブジェクト指向プログラミングにより分散学習シミュレーションツールを開発し、その適用例について示す。
著者
野口 裕介 後藤 真孝 谷口 秀夫 牛島 和夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.43-44, 1996-03-06
被引用文献数
3

現在、我々はプログラム構造に重点をおいたオペレーティングシステムTender(The ENduring operating system for Distributed EnviRonment)の開発を行なっている。Tenderでは、時計を一つの資源として扱い、各時計毎に時刻や時間の進み具合(時刻進度)を設定できる機能を持つ。これにより、それぞれのプロセスが異なった時間軸上で処理を行なったり、同一プロセスで速度の異なる時間を持つことが可能になる。 本稿では、Tenderにおける資源「時計」の機能内容、実現方式について述べる。具体的には、複数の時計を提供する機能や時計の速度を変化させる機能について述べる。また、実現方式として「時計」資源管理における時計の管理と処理の方式を述べ、提供インタフェースを説明する。