著者
森 裕紀 國吉 康夫
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.1014-1024, 2010-10-15
被引用文献数
3 2

Recent progresses of ultrasound imaging technology have induced observations of fetal intrauterine behavior and perspective intrauterine learning. Understanding fetal behavior in uterus is important for medical cares for prenatal infants, because the intervention like "nesting" in NICU (Neonatal Intensive Care Unit) is based on a perspective of intrauterine learning. However, fetal behavior is not explained sufficiently by the perspective. In this study, we have proposed a hypothesis in which two of fetal behavior, Isolated leg/arm movements and hand/face contact, emerge from exploration by neural oscillator in spinal cord and self-organization of nervous system through tactile information in uterus. We have conducted computer experiments with a simple musculoskeleta model and a whole body fetal musculoskeletal model with tactile in uterus for the hypothesis. We confirmed that tactile information induce reflexive behaviors by the experiments of the simple model, and the fetal model with human like tactile distribution have behaved with the two behavior similar to the correspond real fetal behaviors. Our experiments indicated that fetal intrauterine learning is possibly core concept for the fetal motor development.
著者
板宮朋基 山岸亨
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.61-62, 2014-03-11

講演者は、津波等の災害発生時に、避難行動の意思判断を支援する『デジタル皆助ナビ』の研究開発と実証実験を行っている。2012年より、発災後の津波の様子などをリアルタイムに配信することができる「ワンセグ型エリア放送システム(エリアワンセグ)」を組み合せた新たなシステムの開発に着手し、南海トラフ巨大地震で国内最大級の津波高が想定されている高知県黒潮町において、国内初の実証実験を実施した。地元の住民11名が、避難ナビシステムと、町内3カ所に設置されたカメラからのライブ映像をスマートフォンで確認しながら移動したが、ルートを外れることなく、高台の避難場所まで予想より短い所要時間で到着できた。自動車における稼働実験も行い、成功した。
著者
藤井 数馬
出版者
沼津工業高等専門学校
雑誌
沼津工業高等専門学校研究報告 (ISSN:02862794)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.365-374, 2008-01-31
被引用文献数
1
著者
高橋 薫
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.79, pp.1-39, 2014-09-16

かつてウェルギリウスがローマ帝国のひとびとのアイデンティティを高めるべく、トロイア戦争の落ち武者アエネアスを建国の雄としてその生涯を歌ったのに倣って、フランスでも中世以来アエネアスの同輩フランクスがフランス建国の祖であったという伝承が存在した。一六世紀最大の天才詩人ロンサールもこの主題にのっとった叙事詩の完成を目指したが、改革派対カトリック信徒という、国家のアイデンティティそのものの崩壊と当時の歴史学の発展により、所詮は虚構であるその叙事詩『ラ・フランシヤード』は完結の域には程遠い状態で出版された。世紀をあらためて一七世紀初頭、三人の韻文家がこの物語の完成を目指した。そのうちのひとり、クロード・ガルニエはロンサールの弟子を名乗って未完の叙事詩の続編を歌った。本稿で扱うのはロンサールとは異なり、より近代的な歴史記述のなかにフランクス伝承を組み入れ、いまだ尾を引く夢の国家的叙事詩の作成を目論んだ、ガルニエ以外の「遅れてきた」一六世紀詩人ふたりの作品である。本国での評価も低いため作者・作品の梗概に紙幅を割かれ、予定の枚数を大幅に超えたため複数回にわたって連続論評することをお赦しいただきたい。まず第一回はニコラ・ジュフランの作風を取り扱うものとする。
著者
眞方 陽子
出版者
神戸女学院大学
雑誌
女性学評論 (ISSN:09136630)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.75-93, 2011-03

This paper aims to describe how Beatrix Potter, upper middele-class woman in late Victorian times, became independently-minded in the process of her growth. First of all I introduced Beatrix Potter's secret journal written in code between the ages of 15 and 30(from 1881 to 1896) and cracked by Leslie Linder in 1958, to meka known the background of the early adult life of Beatrix. I also tried to point out that as a young woman Beatrix was eager to do fungus research scientifically and even submitted a Paper to The Linnean Society of London under the title of " on the Germination of the Spores of Agaricineae- Miss Helen B.Potter", which was not read by Beatrix but by a deputy, as ladies were not allowed to attend the Society's Meetings. Although she experienced not a few rebuffs, she determines to make her "little books" in the mid-thirties and her talent as the artist and storyteller was recognized - eventually she became one of the most famous children's writers of all time. The purchase of a working farm in Near Sawrey called Hill Top in 1905 provided her with a firm foothold to open a new life and yield independence all the more because she became interested in sheep and enthusiastic about farming. In middle age she married her solicitor and the Lake District, where she had spent family holidays between the ages of 16 to 25, was to become her permanent home. During more than twenty years of her life, she devoted, as a country woman, all her time to farming, breedeing the Herdwick sheep of the Lakeland fells. Canon Hardwicke Rawnsley, whom Beatrix first met when she was sixteen-year-old(1882), had a considerable effect upon her. He introduced her to his conviction that the natural beauty of the Lake District should be preserved and later in 1895 he formed with his friends The National Trust for Places of Historic Interest and Natural Beauty. She was faithful to his belief throughout her life and became a benefactor of The National Trust. When she died on22 December 1943, The National Trust became the main beneficiary.
著者
芦田 美輪 藏岡 愛 西村 香織 芦塚 文美 牛島 信雄 本間 喜蔵 西本 勝太郎 岩田 貴子 竹中 基 佐藤 伸一
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.43-47, 2010-02-01
被引用文献数
1

15歳(中学生),地元相撲クラブの男子。体幹,四肢の鱗屑を伴う紅斑と左側頭部のBlackdot ringwormにて2007年3月に当科を受診した。<I>Trichophyton tonsurans</I>(<I>T. tonsurans</I>)を分離し,塩酸テルビナフィンの3ヵ月間内服にて治癒した。高校の相撲部に入部後も再発を繰り返し,その都度治療により治癒した。再発のたびに頭髪のhair brush法にてコロニー数を確認した。部内における皮膚の症状を認める部員は,試合や遠征合宿の後に増加する傾向にあった。アンケートによる調査で,顧問教官の指導がなく,<I>T. tonsurans</I>感染症の認識に乏しいことが分かり,再発を繰り返す原因として無症候性キャリアーの存在が考えられた。小・中学生の相撲クラブとの交流もあり,さらなる感染の拡大を防止するためにも,継続的な集団検診,指導者への啓発,治療の徹底が重要と考えた。
著者
福本 誠二
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.719-724, 2007
被引用文献数
1

FGF23は,FGFファミリー最後のメンバーとして同定された.FGF23の作用過多は低リン血症性疾患を惹起するのに加え,FGF23の作用障害により高リン血症が惹起されることが明らかにされた.またklothoが,FGF23作用の発現に必要であることが示された.これらの成績は,FGF23がホルモンとして作用すること,FGFファミリーのリガントと受容体の関係が,従来知られていた以上に多様で複雑であることを示している.<br>
著者
有川 治男
出版者
学習院大学
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.5-44, 2004

本論文は、現在の美術史研究において一般的になっている「ゴッホ=種播く人」という解釈に対して、「耕す人としてのゴッホ」という視点を新たに提示するものである。 画家としてのゴッホを「新しい芸術の種播く人」として捉える見方は、既にゴッホ自身が残した数多くの手紙の中に見られるが、そのようなゴッホ像は、そののちの評論家、研究者たちによって支持され、強化されてきた。本論ではまず、そのような象徴的芸術家像がどのように形成されてきたかを、アルル時代の2点の《種播く人》の作品分析、ゴッホ自身の言葉による検討、そして研究史を辿ることによって、跡付ける。その際、《種播く人》に典型的に表明されたゴッホの「色彩の象徴主義」にも言及し、また、「種播く人」というモティーフが絵画史の中で負ってきた意味合い、とりわけミレーの《種播く人》とそれに関する言説の中で形作られてきた「種播く人」のイメージ全般にも注目する。 そのような前提のうえで、次に、そのような象徴的意味合いを負う《種播く人》に対して、同じくアルル時代に制作された《耕された畑》を例として挙げ、ゴッホの制作にとって重要なもうひとつの側面、すなわち、技法的側面に注目する。ゴッホは、英雄的な身振りをもって画中に堂々と登場する「種播く人」に自らの姿を重ね合わせただけではなく、広大な大地の上、黙々と農作業にいそしむ「耕す人」の小さな姿にも、また、画家としての自らの姿を見ていた。それは、「芸術の種播き」という象徴的身振りにとどまらず、筆によってキャンヴァスに絵具の筋を定着させてゆくという実際の制作行為に対応するものであった。 ゴーギャンに対して提示された、もう1点の《種播く人》や、サン=レミ時代の《耕す人のいる畑》などの検討をも踏まえ、絵具のタッチでカンヴァスに畝を刻み込んでゆくゴッホの「耕す人」としての自己表現が、また、当時の前衛美術の有力な担い手としてゴッホが強く意識していたゴーギャンやスーラに対する、自己差異化の有力な手段であったことも確認して、本論を閉じる。The creative activities of Vincent van Gogh have becn ordinarily interpreted in symbolic terms as that of"the sower","the sower of the new spiritual art". The artist himsclf was aware of his、vocation as such and represented the figure of the sower as the disguised selfi)ortrait repeatedly in his paintings throughout his life. The author of this article gives attention to anothcr side of the activities of the painter, "Van Gogh, the plowman", and surveys the usage of the motive of the plowman(the peasant working with plow or harrow)in Van Gogh's oeuvre and the reference to the plowman in his letters.When Van Gogh said,"I am plowing on my canvases as thc peasants do on their fields", he meant not only the symbolic role of thc artist, the creator, but also the practical activities of the painter, the worker. He likens the strokes of paint on canvases to the fhrrows op fields. The article also suggests that the image of the artist as the plowman was strategica11y adopted by Van Gogh to differentiate himself丘om othcr avantgarde artists, especially from Paul Gauguin and Georges Seurat.
著者
奥村 皓一
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.224, pp.70-95,

20世紀末から始まった米国の第5次M & Aブームは,史上最大の規模を誇り,欧州・アジアをも巻き込み21世紀の現在も進行中。そのM & Aの代表企業だったAT & Tは,長距離通信とメディア(CATV)の両業界を統合した"新独占<となったが,情報通信大競争化下でその王国は崩壊。旧子会社に買収され,140年の歴史を終えた。通信とメディアの合併統合化はさらに進み,巨大通信寡占体とメガメディアが互いの分野へ相互浸透し,さらに次なる業界を超えたメガ・マージャーへ進み21世紀型資本主義の主導的役割を目指す。
著者
若狹 重克
出版者
藤女子大学
雑誌
藤女子大学QOL研究所紀要 (ISSN:18816274)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.79-86, 2016-03-31

権利擁護は、「権利侵害から守る」という意味で使われることが多かった。しかし、介護保険制度の実施による福祉サービス利用方式の転換により、自己決定を支援し利用者をエンパワメントする積極的な意味を持つようになった。一方で、自己決定やエンパワメントは、ソーシャルワークにおける原則や理念としても重視されている。本研究は、権利擁護をソーシャルワークとして推進する際の基礎となる立場を示すことを目的とする。社会福祉における権利と権利擁護の意味および地域包括支援センターを対象とした調査結果から、ソーシャルワークとしての権利擁護推進の視座を以下のように考察した。1.高齢者や家族等を対象とする直接的な権利擁護実践(ミクロレベル)2.権利擁護支援が必要な者の早期発見・把握に向けたネットワークやシステム構築などの間接的な権利擁護実践(メゾレベル)3.権利擁護支援への強い関心により権利侵害を予防する・無くす社会を目指すソーシャルアクションによる環境変革(メゾ〜マクロレベル)
著者
奥村 皓一
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.225, pp.47-66,

20世紀末から始まった米国の第5次M & Aブームは,史上最大の規模を誇り,欧州・アジアをも巻き込み21世紀の現在も進行中である。そのM & Aの代表企業だったAT & Tは,長距離通信をメディア(CATV)の両業界を統合した"新独占<となったが,情報通信大競争下でその王国は崩壊した。旧子会社に買収され140年の歴史を終えた。通信とメディアの合併統合化はさらに進み,巨大通信寡占体とメガメディアが互いの分野へ相互浸透し,さらに次なる業界を超えたメガ・マージャーへ進み,21世紀型資本主義の主導的役割を目指す。
著者
藤垣 元治 南野 宏紀 村田 頼信
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.421-422, 2013

橋梁や鉄塔などの鋼構造物の内部欠陥の検査を行うために,デジタルホログラフィによるひずみ分布計測システムの開発を行い,小型化のために複数の撮像素子を用いることで入射光を1光束にして光学系を簡略化する手法を提案している.本研究では,その手法を用いた小型計測装置の試作を行う.
著者
田村 幸子
出版者
九州産業大学
雑誌
九州産業大学商經論叢 (ISSN:02867842)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.89-110, 1999-09-30
被引用文献数
1
著者
小川 真人 坪井 康典 杜 隆嗣 林 女久美 丸山 孝樹 三輪 雅彦 黒坂 昌弘 平田 健一
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.D4P1185-D4P1185, 2010

【目的】<BR>近年、急性心筋梗塞(AMI)患者の在院日数は短縮傾向にあるが、一方、二次予防を含めた包括的心臓リハビリテーションが重要視されている。AMIの有酸素性運動の処方強度としては嫌気性代謝閾値(AT)レベルが推奨されているが、これは心肺運動負荷試験による呼気ガス分析を用いなければ判定出来ない。その一方、運動強度が低すぎると効果が十分でないことが言われている。当院では、安全かつ効率的な心臓リハビリテーションプログラムを作成することが重要であると考え、最終的にはBorg Scale13程度でのトレッドミル歩行30分を退院時運動処方の目標としたAMIプロトコルを平成21年5月より運用開始したので、報告する。<BR><BR>【方法】<BR><B>対象</B><BR>平成21年5月~9月に、AMIを発症後、当院において経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行された24名(年齢 64.0±13.6歳 Peak CPK 1940.3±1373.0 IU/l)。 <BR><B>プロトコル進行基準</B><BR>自覚症状の急性増悪/HR<120bpm/Lown分類:4a以内/2mm以上のST低下(水平型・下降型) 著明なST上昇がないこと/立位保持までは収縮期血圧変動<20mmHg(心タンポナーデリスクが高いと判断された場合には、主治医許可があるまで、血圧コントロールは継続すること)。<BR><B>運動負荷基準</B><BR>自転車エルゴメーターを用い、40~60%体重(BW) Watt×20分から開始。進行基準を満たしていることに加えて、運動処方中のSBPが増加しており、Borg Scale 14未満であれば、処方強度を20%BW Watt/日ずつ、処方時間は30分に増加した。エルゴメーター負荷によって確定した、Borg scale13の心拍数(HR)をトレッドミルでの処方強度とした。<BR><B>検討項目</B><BR>トレッドミル歩行達成率、平均トレッドミル歩行速度、平均処方HR<BR><BR>【説明と同意】<BR>対象者には当院の心臓リハビリテーションプログラムについて医師、理学療法士より説明の上、同意を得た。<BR><BR>【結果】<BR>トレッドミル歩行達成率は70.8%(17/24例)であった。未達成理由としては、プロトコル進行基準抵触群が12.5%(3/24例)、患者希望の早期退院群が16.6%(4/24例)であった。トレッドミル歩行平均速度4.4±1.3km/h、平均処方HR 101.2±13.3bpmであった。心事故発生件数は0件であった。<BR><BR>【考察】<BR>呼気ガス分析装置を用いないトレッドミル歩行導入プロセスを作成した。呼気ガス分析による正確な嫌気性代謝閾値の判定が出来なかったが、心事故を起こすことなく、プロトコル運用が可能であった。このことは、当院の運動負荷プログラムは呼気ガス分析を用いることが出来ない環境においても十分に実用的に運用し得るものであると考えられる。今後呼気ガス分析を使用し、現在の運動負荷基準や経時的に変化する主観的運動強度について検討、再考することが必要であると考えられる。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>AMIの早期運動処方に際し、心肺運動負荷試験による呼気ガス分析を用いず、運動負荷プログラムを実施したが、心事故は発生せず、安全にプログラムを遂行し得た。