著者
岡部 美沙子
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.279-297, 2017-03-31

Hakutaku (Baize 白澤) is a divine animal that appears in ancient Chinese mythology. In China, Hakutaku's icon has been expressed like "tiger's head and dragon’s body" or "dragon's head and animal body". This icon spreaded from China to Korea. And it has been handed down. In contrast, Hakutaku icon is expressed like "human face and ox body" in both Japan and Ryukyu (琉球). Xian (西安) Huxian (戸県)'s Hakutaku statue show us two kinds of possibility. The one can provide the evidence for the ox body Hakutaku, which appears in China, the other can show the possibility Hakutaku and Kirin (Qilin 麒麟) that is made up a pair.
著者
佐藤 亨至 三谷 英夫 メヒア マルコ A 伊藤 正敏
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:0021454X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.300-310, 1996-08
被引用文献数
8

咀嚼と脳賦活との関わりについての基礎的検討として, 若年者を対象として個体が示す顎顔面骨格構成および咬合形態によって, 咀嚼時の脳血流動態に差異が存在するかどうかについて調べるため, 酸素標識の水とポジトロンCT(PET)を用いて検討を行った.研究対象は, 21∿32歳の健常ボランティア男性6名である.それぞれ頭部X線規格写真の撮影と歯列模型の採得を行い, 顎顔面骨格構成および咬合について検討した.脳血流動態については安静時とガムベース咀嚼時にPETを用いて測定を行った.得られた脳血流画像について関心領域を設定し, ガム咀嚼に伴う局所脳血流(rCBF)の変化を求めて咬合や顔面形態との関連について検討した.その結果, ガム咀嚼による脳血流変化には個体差が大きいものの, 上・下顎骨に調和のとれたおおむね良好な咬合を有する者では, 1次運動感覚領下部(ローランド野), 島, 小脳半球などで明らかな脳血流の増大が認められた.一方, 顎顔面骨格や咬合に種々の問題を有する不正咬合者では咀嚼による脳血流変化が正常咬合者と異なる傾向が認められ, 1次運動感覚領下部や島での明らかな賦活は認められない者もいた.以上のことから, 咀嚼による脳の賦活化部位とその量は個体間でかなり変異に富んでおり, それには個体の示す顎顔面骨格構成および咬合とそれに関わる咀嚼運動様式が関与している可能性が示唆された.
著者
ジェラール・ロラン
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.2_1-2_21, 2019

<p>本稿は,古代の時代から2つの異なる種類の制度システムが存在していたことを示す証拠を提示する.1つは,古代中国,古代エジプト,インカ帝国などの領域国家に存在した中央集権的計画システムに似た制度システムである.もう1つは,地中海諸国だけでなく世界中の都市国家に存在し,私的所有権が保護された,強い市場制度をもつシステムである.本稿では,このような異なる制度クラスターが古代から存在したことを示す新しいデータベースを概観し,それらの関係について分析する.</p>
著者
佐仲 雅樹 瓜田 純久 中西 員茂 中嶋 均
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 = An official journal of the Japan Primary Care Association (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.299-305, 2012-12-21
参考文献数
46

<b>要 旨</b><br> 経験豊富な医師や看護師は, 一見軽症と映る患者に対して直感的に「重症感」を抱くことがある. このような直感的判断の重要性は広く認識されているが, いまだ経験則と言わざるを得ない. そこで我々は本稿において, 「重症感」の具体的意味を考察し, 1つの病態生理学的/症候学的モデルを提唱した. このモデルに基づいて言語化すれば, 重症感とは, 病態生理学的には「生体のホメオスタシスが破綻する前兆」であり, 症候学的には「急性に発症する全身性自律神経反応とacute sickness behavior」である. 重症感という直感を言語化し, 研修医や新人看護師に伝えることは, 「危険な患者」の見逃し防止につながると考えられる.
著者
桜井 英治
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.1211-1246,1360, 1995-07-20 (Released:2017-11-30)

Bills of exchange in medieval Japan, which were called saifu, are understood to have been a means of remittance useable only once. However, in the late medieval age new types appeared which were able to pass from hand to hand as valuable means of exchange. They worked as a means of not only remittance, but also payment and exchange, that is to say, as money. This can be proven by the fact that their face value was fixed at 10 kanmon, that between a drawer and a remitter merchants often stood as intermediaries, and that people in those days did not discriminate between saifu and zeni (coins). According to the extant copies of saifu, all of them bore a fixed face value of 10 kanmon, and were payable to bearers on sight or several days thereafter. Being payable to bearers made them suitable for passing from hand to hand, and being payable on sight or several days thereafter made their long negotiation possible. When their fixed face value is included, all the conditions on which they could be negotiated were satisfied. There were two important premises which allowed negotiable saifu to come into existence. One was that they stood neutral in terms of economic relations: they did not involve interest charges or commissions. The other was that all proper nouns except the name of the drawer (and the payer), were omitted from the face of the bills, which made it as simple as possible. What kind of idea maintained the system of saifu is difficult to attribute to one thing: the strange system by which a piece of paper bearing a large value no less than 10 kanmon could be negotiated without state intervention, but basically it must be, the author believes, the common illusion of a "fetishism for documents" (which also had a large influence on the world of legal thought) that supported the credit of Saifu.
著者
高木 絢加 岸田 菜々 鈴木 麻希 武田 一彦 木村 理恵 永井 成美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.165-173, 2016 (Released:2017-01-19)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

【目的】我々は,温スープ摂取後の安堵感の上昇にはスープの嗜好性が,体温上昇にはスープの温度が関連することを若年女性において見出したが,スープ中のナトリウム(Na)の影響の程度は不明であった。本研究の目的は,日常で摂取している容量のNaが嗜好性・安堵感や主観的温度感覚,深部・末梢体温の上昇に及ぼす影響を,スープと食塩のみを除いたスープ(食塩無スープ)を用いた実験により明らかにすることである。【方法】前夜から絶食した若年女性12名に対し,スープ(Na 440 mg)摂取,食塩無スープ(Na 61 mg)摂取,スープ摂取なし(ブランク)の3試験を異なる日の朝9時より無作為な順序で行った。サンプル(65°C,150 ml)は5分間で摂取し,直後に嗜好調査を行った。深部体温(鼓膜温),末梢体温(手先温・足先温),心拍数は,摂取10分前から65分後まで測定し,安堵感と主観的温度感覚は質問紙で6回測定した。【結果】スープでは食塩無スープと比べて嗜好得点が有意に高く,摂取後の足先温(曲線下面積:AUC)も有意に高かった。重回帰分析より,足先温上昇に嗜好得点が関連していることが示された。安堵感,主観的温度感覚,心拍数の各AUCは,両スープともにブランクより高かったがスープ間での差はなかった。【結論】スープに含まれるNaは,食塩としてスープの嗜好性を高め,摂取後の足先温上昇に関与することが示唆された。一方,両スープ摂取後の安堵感,主観的温度感覚,鼓膜温,心拍数は類似した経時変化を示したため,本研究で用いたサンプルのNa濃度の影響は限定的だと考えられる。
著者
永田 雅靖
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.96-99, 2013-02-15 (Released:2013-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
2 3

HPLCによるアスコルビン酸およびデヒドロアスコルビン酸の同時定量法を検討した.Yasuiら(1991)の方法をもとに,原報の樹脂カラムとは異なる分離モードのODSカラムの中から最適な分離を示すカラムを選択した.カラムに Imtakt Unison UK-C18(3 μm,4.6 mm × 150 mm)を用い,Yasui らと同じ溶離液:2 mM HClO4 1.0 mL/min,ポストカラム反応液:100 mM NaOH,100 mM NaBH4 0.5 ml/min,検出:UV 300 nm の条件で,従来の方法よりもピークの分離が大きく改善し,分析時間も短くなった.
著者
高村 大也 奥村 学
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.505-513, 2008 (Released:2008-09-17)
参考文献数
22
被引用文献数
3 3

We discuss text summarization in terms of maximum coverage problem and its variant. To solve the optimization problem, we applied some decoding algorithms including the ones never used in this summarization formulation, such as a greedy algorithm with performance guarantee, a randomized algorithm, and a branch-and-bound method. We conduct comparative experiments. On the basis of the experimental results, we also augment the summarization model so that it takes into account the relevance to the document cluster. Through experiments, we showed that the augmented model is at least comparable to the best-performing method of DUC'04.
著者
玉 真之介
出版者
青森県
雑誌
青森県史研究 (ISSN:13427431)
巻号頁・発行日
no.8, pp.1-20, 2003-12

一九三六(昭和一一)年から開始された満洲林業移民と営林実務実習生制度については、これまで研究がなされてきていない。それは満洲移民の中でそれが占めるウエイトが小さいためであるが、視角の定め方によっては、この意味は小さいとは言えなくなる。すなわち、本稿が着目するのは、この二つがスタート時点から満洲への「技術移転」という目的を明確に持っていたという点である。「満洲国」が日本の傀儡国家であり、そこにおける資源開発も日本の総力戦体制の構築・維持のためのものであったことは、すでに明らかにされてきているが、その目的を達成する手段として「技術移転」が進められた点についての検討は、未だ十分とは言えない。実際、農業移民についても後半になればなるほど、技術移転が重要視されていったのである。この満洲林業移民と営林実務実習生制度は、青森・秋田の両営林局(現、東北森林管理局)が移民の募集や実習生の受入の中心になったものであった。その結果、林業移民の多くが青森県の林業労働者で構成された。また、営林実務実習生制度については、通算すると一〇〇名を超える中国人実習生を青森県で受け入れ、営林実務の訓練を行っている。本稿では、当時の関連文献並びに東北森林管理局青森分局所蔵の一次資料から、青森県と満洲国(中国)との林業技術面における関わりの歴史としてもこの二つを考察した。その結果、満洲林業移民については、初年度は熟練技術者を主眼としたものであったが、翌年からは大量農業移民政策の影響を受けて、農業移民としての定着に重点が変更され、そのために多数の退団者が出たことが明らかとなった。また、営林実務実習生制度については、優秀な実習生が渡日すると共に、濃密なカリキュラムが準備され、林業技術の移転に一定の役割を果たすものであったとの評価も可能であることを論じた。また、小学校の運動会への参加など、実習生と地元との交流についても触れた。
著者
黒谷 佳代 中出 麻紀子 瀧本 秀美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.77-88, 2018-08-01 (Released:2018-09-21)
参考文献数
38
被引用文献数
8

【目的】主食・主菜・副菜を組み合わせた食事と健康・栄養状態および食物・栄養素摂取との関連について国内の研究動向を把握した。【方法】2000~2017年に発表された論文を対象に,医学中央雑誌とNII学術情報ナビゲータ(CiNii)を用い「主食AND主菜AND副菜」で検索した。表題,抄録,本文を,本研究の以下の採択基準と照合・精査し,包含基準(日本人対象,分析疫学研究,曝露が主食・主菜・副菜を組み合わせた食事摂取,アウトカムが食物・栄養素摂取状況及び健康・栄養状態,対象集団の特徴明記)と除外基準(介入研究,ケースレポート,ケースシリーズ,エコロジカル研究)を満たす12件を採択した。【結果】採択論文はすべて横断研究で,研究対象者は成人期が最も多かった。主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の把握は,質問紙調査法によるものが過半数を占め,それらの質問項目は様々であった。食物・栄養素摂取との関連を検討した研究6件では,いずれも主食・主菜・副菜の揃った食事回数の多い人ほど,エネルギー,たんぱく質,各種ビタミン・ミネラルの摂取量が多く,日本人の食事摂取基準に合致していることが報告されていた。健康・栄養状態との関連を検討した8件の研究は,一貫した結果を示さなかった。【結論】主食・主菜・副菜を組み合わせた食事は必要な栄養素の十分な摂取に関連していることが示唆された。健康指標との関連については,縦断研究を含めたさらなる研究が必要である。
著者
小佐野 豪績
出版者
日経BP社 ; 1992-
雑誌
日経情報ストラテジー (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.68-71, 2013-08

ただしクロネコメンバーズの会員は現在約930万人。宅急便の1年間の個数は約14億8000万個であるから、そこから想定できる宅急便の利用顧客数を考えると、まだまだカバー率は低い。そこでクロネコメンバーズ以外のお客様については、配達データの履歴を分析する…
著者
若木 太一
出版者
長崎大学教養部
雑誌
長崎大学教養部創立30周年記念論文集(Bull. Faculty of Liberal Arts)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.一-一六, 1995-03-27

天和二年(一六八二)十月大坂で出版された『好色一代男』八巻八冊は、その後多くの風俗小説の出現をうながし、いわゆる浮世草子の創始を飾る作品として文学史の上でも画期的意味をもつ。その時代の欲望を表象する主人公「一代男」世之介は、どのような背景から生み出されたのか。『一代男』巻八の五 < 都のすがた人形 > は長崎を舞台とする一章であるが、本書執筆以前に西鶴の長崎来遊の足跡は認められない。そこで延宝九年(一六八一)刊の遊女評判記『長崎土産』の記事との比較をすると、巻頭の巻一の一 < けした所が恋のはじまり > 及び巻末の巻八の五 < 床の責道具 > の章との濃密な影響関係を指摘できる。すなわち西鶴は『長崎土産』の案内者「嶋原金捨」を原型として主人公世之介の出自・境遇・性格・趣味等の属性を付与し、造型したと考えられる。本稿は、両書の文章や構想・設定を具体的に比較・検討して、『長崎土産』が『一代男』の一原拠であることを考証する。
著者
馬場 みちえ 板並 智子 一木 真澄 畝 博
出版者
The Japanese Association for Cerebro-cardiovascular Disease Control
雑誌
日本循環器病予防学会誌 (ISSN:13466267)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.75-80, 2007

目的 : 要介護4・5の重度の要介護状態になるリスク要因を明らかにすることである。<BR>対象と方法 : 福岡県Y町において症例対照研究を実施した。症例群は介護保険の要介護4と5の高齢者 (以下、要介護者群) 62人、対照者群は健常高齢者あるいは要支援の高齢者から性、年齢をマッチさせ、1 : 1の割合で無作為に抽出した。2001-2002年に聞き取り面接調査を行い、要介護状態になった原因疾患、既往歴・治療歴、基本健康診査受診回数、生活習慣、性格、趣味などの情報を得た。さらに、過去の血圧値と降圧薬服用状況、および実際の基本健康診査受診歴について、1989年~1993年の基本健康診査データを参照した。<BR>結果 : 要介護状態になった原因疾患は、脳血管疾患が41.9%、認知症27.4%、大腿骨骨折12.9%の順であった。要介護に関連する要因では、糖尿病治療歴のある者ではオッズ比は3.54 (95%CI : 1.07-11.76, p<0.05) と有意に高く、高血圧治療歴のある者ではオッズ比が0.82とリスクの上昇がみられなかった。そこで、要介護者群と対照者群の高血圧症の頻度およびその治療状況を過去の基本健康診査データ (1989-1993年) に遡って22ペアについて比較した。既に治療中である者も含めた高血圧症の数は、要介護者群が14人 (63.6%) 、対照群が8人 (36.4%) であり、要介護者群に高血圧症が多かった (p<0.05) 。そのうち降圧薬を服用している者は、要介護者群では4人 (28.6%) 、対照者群では4人 (50.0%) であり、要介護者群に高血圧症でありながら治療を受けている者が少なかった。また実際の基本健康診査受診歴 (45ペア) では、要介護者群に受診回数が少なかった。<BR>結論 : 要介護者群では、高血圧症の者が多いにもかかわらず、高血圧症への認識や治療へのコンプライアンスが悪く、また基本健康診査の受診回数も少なかった。定期的に健康診査を受けることは、人々の高一血圧への認識や治療へのコンプライアンスを高めることにつながり、重度の要介護状態になることを予防していることが示唆された。