著者
後山 尚久 池田 篤 植木 實
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.177-184, 2003
被引用文献数
2

元来の神経質素質と心気的傾向に医師の不用意な言葉を強化子として形成された頑固な骨盤内疼痛(身体表現性疼痛障害)の診療を経験した.患者は36歳の事務員.仕事に没頭し,男女交際を避けていた生活において36歳で男性との性的初体験の際の「ささいな」骨盤内違和感から,しだいに下腹部の堪え難い疼痛となり,慢性的な全身倦怠感,肩こり,不安感を認め,生活(仕事,家庭内の日常的内容)に支障をきたした.相手の男性への心担い言葉に対するアンビバレンス感情の中で,行動の抑制ができなくなり,骨盤内疼痛への執拗なとらわれ,日常の行動に疼痛顕示行為がみられた.薬物療法への消極的な姿勢のため,治療6ヵ月過ぎから通常の心理療法に加えて森田療法的アプローチ,オペラント条件づけなどを積極的に行ったところ,奏効し,前向きの人生を描くことができるようになり,治療1年で治癒した.本症例は,元来の性格に,異性の問題,職場への固執などがストレス要因としてからみ,些細な身体違和感から疼痛症状が固定化した身体表現性疼痛障害に分類される慢性骨盤内疼痛(chronic Del vieoain: CPP)である.医師の一言が強化子となっていることが判明したため,行動論的カウンセリングを行った.またヒポコンドリー性判断が容易になされる性格であったので,森田療法的アプローチも行い、運良く奏効,前向きの人生に向けて再出発できた.
著者
村上 由佳 渡邊 三津子 古澤 文 遠藤 仁
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

1.はじめに<br><br> 2004年新潟県中越地震以降、集落の孤立とそれに伴う情報の途絶が、災害のたびに問題になってきた。2017年九州北部豪雨においても、情報の途絶が発生した。また、近年の災害においては、SNSを介して有益な情報がもたらされる一方で、それらがもたらす混乱も新たな問題として浮かび上がってきた。災害時に必要な情報が必要な場所に届けられるにはどのような対応が必要だろうか。発表者が調査を行ってきた2011年台風12号水害(紀伊半島大水害)を例に検討する。<br><br> 紀伊半島熊野川流域は、国内有数の水害常襲地域として知られている。本発表で対象とする和歌山県新宮市は、熊野川河口に位置する。2011年台風において、土砂災害・浸水・河川氾濫等により、死者13人、行方不明者1人、81棟の全壊及び家屋流出を含む2,968棟の住家被害等があり、局地激甚災害に指定された(和歌山県新宮市、2015)。<br><br> また、紀伊半島大水害時には、新宮市内の高田・相賀・南檜杖地区及び熊野川町地域全域が孤立するとともに、電話の不通、テレビ放送等の利用不能(和歌山県新宮市、2015)、防災行政無線の難聴(新宮市議会災害復興対策特別委員会被災地現地調査部会、2012)など、情報の途絶がおこった。<br><br> 本発表では、新宮市議会会議録や地方新聞(熊野新聞等)から、紀伊半島大水害時における情報の送受信に関する問題点を把握し、その対応と課題を整理する。<br><br> <br><br>2. 紀伊半島大水害時における情報伝達の課題<br><br>2.1. 被災時における情報送受信に関する課題<br><br> 被災時における情報の途絶により、被災者に被災状況が伝わらないことが問題であるが、他方で、例えば新宮市熊野川町西敷屋では、「平成23年には、携帯を含めて電話が一切つながらなかった。消防にも連絡がつかず、亡くなった方を自分たちで運び出した」(渡邊ほか、2015)というように、被災者側から必要な情報が伝達できなかったことも大きな課題といえる。<br><br>2.2. 課題に対する行政の対応<br><br>紀伊半島大水害の後に新宮市は、防災行政無線のデジタル化整備事業を実施し(計画は水害以前から存在)、防災行政無線をデジタル化、個別受信機の配備、防災行政無線難聴時に備え、メール配信サービス等を整備した。全国瞬時警報システムJ-ALARTの運用を開始し、津浪や地震などが発生した場合に、消防庁から人工衛星を通じ、防災行政無線を自動起動させて、緊急情報を伝達する仕組みを整えた(「紀南新聞」2015年3月29日)。このように被災者に情報を伝える対策は進んでいる。<br><br>一方で、被災者が被災情報等を伝達する方法については、課題が多い。防災行政無線をデジタル化することにより、情報の双方化が実現しているが、これは、被災者個人からの連絡手段というよりも、行政間、屋外の放送局と双方向で情報をやりとりするというところに主眼を置いた対応である(新宮市議会平成23年3月 定例会3月9日)。現実問題として、被災者は公的避難所ではなく、自宅の2階や、地形的に一段高いところに立地する隣家に身を寄せたりして難を逃れた。本地域では、高齢化が進んでおり、そうした地域において、遠くの公的避難所に避難することが困難な場合は多く、避難の現状に即した、被災者からの情報伝達手段の検討が必要である。<br><br>2.3. 被災者側から情報を伝えるための方法の整備について<br><br> 新宮市議会において、被災時に徒歩で向かうことが困難な集落から外部への連絡手段として、衛星携帯電話の配備が議論されたことがある(平成26年9月定例会)が、実現はしていない。しかしながら、散在した被災者個人から、情報を適宜適切に伝える手段としても、行政がSNS上の雑多な情報に惑わされずに、正確な情報をつかむという意味でも、衛星携帯電話等を整備することが有効であろう。ただしその場合、設置場所、導入コスト、被災時を想定した訓練や、連絡網等を作成する場合などの、個人情報保護との兼ね合い等が課題となる。<br><br> <br>和歌山県新宮市(2015)『紀伊半島大水害 新宮市記録集』/新宮市議会災害復興対策特別委員会被災地現地調査部会(2012)『水害時の避難行動調査からみるこれからの洪水対策 報告書「防災」から「減災」へ』/渡邊三津子ほか(2015)「水害常襲地域における流域社会の変容と災害対応に関する基礎的研究-新宮市熊野川町西敷屋地区を事例に-」、奈良女子大学地理学・地域環境学研究報告、Ⅷ、111-120頁。
著者
藤谷 哲造 井之口 順 可児 一孝
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.491-501, 1973 (Released:2013-05-10)
参考文献数
11

A retrospective study of 16 cases with visual disturbances resulting from head injury, seen in our clinic between the years 1969-1972, is described. A proposed endnasal-trans-ethomoidal operative technique was performed in all cases, and the following results were obtained.1) The patients consisted of 14 males and 2 females.2) The most prominent cause of visual disorders of the present series was the accident of motor cycle crashes.3) Once blindness occurred completely, their visual powers have never recovered, even if the operation procedures were performed safely in these 6 cases except one case.4) In 10 cases of having imcomplete loss of visual power, some remarkable improvements were gained after the operation.5) Having compared the time of operation with their results, they have been no difference in the series. 6) An otologist should be consulted early in all cases of visual loss resulted from head injury.
著者
赤羽 悠
出版者
日仏社会学会
雑誌
日仏社会学会年報 (ISSN:13437313)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.107-128, 2016

<p>Bien que la société moderne soit souvent définie par ses principes démocratiques, liberté et égalité, ces mêmes principes ne constituent pas nécessairement la réalité de cette société. Ainsi nous sommes amenés à nous demander ce qu'est réellement la société moderne démocratique. Louis Dumont répond à cette question en adoptant un point de vue anthropologique qui lui est propre. Tout en soulignant les particularités de l'idéologie individualiste de la société moderne, il met à jour la tension propre qui l'habite et qui provient de l'écart entre son idéologie et la réalité sociale holiste. Les arguments de Dumont ont en cela de particulier qu'ils se fondent sur l'existence nécessaire de la hiérarchie en tant que fait anthropologique. Loin de prétendre que la hiérarchie <i>doit être</i> introduite dans la société moderne démocratique, Dumont démontre qu'elle y <i>existe toujours et déjà</i> en tant que valeur dans la mesure où l'homme est un être jugeant et agissant. La société démocratique est redéfinie, dans cette perspective, comme une société où la hiérarchie, tout en étant refoulée par la représentation individualiste, entre nécessairement dans le domaine de la représentation. Dès lors, la question de la société démocratique ne consiste plus simplement à rendre réels les principes de liberté et d'égalité, mais à articuler une forme de hiérarchie proprement démocratique et irréductible qui ne saurait être réduite à la hiérarchie prémoderne, impossible à retrouver, pas plus qu'à la hiérarchie pathologique, dont nous pouvons donner ici en exemple le racisme aux États-Unis. En d'autres termes, il s'agit de remettre en question le sens du « tout », ou de l'autorité sociale, qui se déploie dans une dynamique propre à la société démocratique. En fin de compte les arguments de Dumont, qui part de la nécessité de hiérarchie, mettent en lumière l'essentialité de cette question dans notre société.</p>
著者
古屋 徳彦
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究はNeurodegeneration with brain iron accumulation (NBIA)原因遺伝子群の機能解析をオートファジーとの連関に注目して行った。siRNAを用いたNBIA原因遺伝子群のノックダウン(KD)を試みたところ、FTL、 PANK2、COASYのKDによりオートファジーへの影響が認められた。CRISPR/Cas9を用いて作成したFTL ノックアウト(KO)細胞を解析したところ、フェリチノファジーの低下、ミトコンドリア機能の低下、酸化ストレスに対する耐性の低下が認められた。これらの表現型がNBIA病態発症メカニズムと関連していると考えられる。
著者
中島 一憲 溝口 るり子
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.429-435, 1993-04-15

【抄録】 我が国では稀な病態である多重人格を主とする多彩な症状を呈した解離型ヒステリーの1例を報告した。症例は19歳の女性。発現した症状は,人格交代,健忘および遁走,幻聴などであり,人格交代では,本来の第一人格とは対照的な特徴を持っ第二人格と,13歳以前の第一人格への自動的な年齢退行を示した人格の二つの交代人格がみられた。第二人格への交代には,就職や失恋体験との時間的関連が強く認められた。入院治療が症状消退に対しては有効であった。 本症例では,特有な性格特徴を基盤として,現実生活における葛藤状況からの逃避や願望充足という意義を持つ心理的防衛機制が働き,症状発現に至ったものと考えられた。また13歳時の「母親の急死」という心的外傷体験が病理性をはらみ,症状発現に関与していたと推定された。さらに人格交代に対する治療的かかわり方や心理検査についても考察を加えた。
著者
阿部 征次
出版者
東京女子体育大学・東京女子体育短期大学
雑誌
東京女子体育大学紀要 (ISSN:03898806)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.104-112, 1985-03

陸上競技のトレーニングの性差をどのようにとらえているかを知るために,高校指導者に質問紙により調査し,因子分析をし次のような結果を得た。1)練習意欲・研究心に男子はすぐれ,他の選手や本で研究し,テレビ,ラジオなどで関心をもち,自分で計画を立て実践すると見られている。2)練習や試合でコーチに依存する傾向は,女子の方に強く,男子に自主性があるとされている。3)女子の練習は質より量であり,練習を多く行い休養はそれほど必要ないと思われている。4)男子は強い選手への指向があるのに対し,女子はウェアや異性への関心が高く気分によって練習態度が変わることが多いとみなされている。これらのことは,女子が効果的に陸上競技のトレーニングを行っていくことの難しさを示しているように思われる。高校の指導者からよく耳にする「女子の指導は難しい」あるいは「面倒で手がかかる」という声を,そのまま表わしているように感じる。このような結果を,筆者の立場(女子を対象とする指導者)からみると,次のような見方をすることができる。女子競技者には,練習意欲をもたせるために,常に身近な目標をもたせ,練習課題を明確に示して研究するように指導する。練習計画の立案やその遂行に絶えずアドバイスを与えて,練習の進行,試合での力の発揮に精神的援助を与える。男子より多めの練習をくり返し行うようにし,練習に集中しにくい条件を取り除いてやる。このような配慮をすることによって女子の指導の効果を男子以上にあげることも可能であろう。今回の調査票の質問項目間の相関行列から,項目数を整理し5段階尺度を女子の特性をより明確にするよう工夫し,今後研究を続け,女子のトレーニングの効果をあげるための指導上の留意点を明らかにしていきたい。
著者
荒木 茂 中村 晴亘 井上 彬 真柄 佐俊 稲葉 雅男
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:18849644)
巻号頁・発行日
vol.24, no.11, pp.877-887, 1970-11-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
9

放送用4ヘッドVTRにおける色むらの発生要因について説明し, 現在実用化されている色むら補正器の補正精度の比較を行ない, さらに1ライン遅延線を用いたVTRの色むら補正器のシステムとその概略性能を述べる.1ライン遅延線を用いれば, ラインごとに色むらを補正することができ, 最も精度の高い補正が得られる.また, 性能の良好な1ライン遅延線が容易に得られることを紹介する.
著者
七沢 潔 原 由美子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.42-70, 2018

2017年、NHK放送文化研究所は北米の4つの大学でNHKのアーカイブ番組を使った実験授業を行った。対象はアメリカのプリンストン大学、ハーバード大学、ダートマス大学、カナダのトロント大学の学生136名。「東京大空襲」「満州国」「アメリカの日系人部隊」など戦争に関係した番組や、「サラリーマンのランチタイム」や「東京多国籍街の八百屋」など日本の現在の生活や風俗を伝える番組、「サイボーグ型ロボット開発者」の人間ドキュメントなどが、学生と教員にだけ限定的にネット配信され、学生たちはそれを事前に視聴して授業に臨み、教員のリードで活発な議論が行われた。その結果、少なくとも3つの目的でNHKの番組がアメリカの大学でテキストとして待望されていることがわかった。 1)日本について学ぶことに役立つ 2)日本語学習に役立つ 3)世界共通の社会問題の理解に役立つ 当初日本を研究する知日派の大学教員の授業に役立てば、との観点で始めた実験授業だが、2)、3)のようなより幅の広いニーズの存在に気づかされ、NHK番組の国際発信を活性化する端緒となる可能性も見えた。実験授業の概容を、視察結果を中心に学生のアンケート調査結果を交えて報告し、番組の教育用配信の事業化の現在と未来についても考える。
著者
神宮司 洋一
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.185-209, 1978-06-30 (Released:2009-11-11)
参考文献数
46
被引用文献数
1

On the development of mammalian diaphragm it is generally accepted that the muscle of diaphragm was derived from lower cervical myotomes. In the recent, however, it was described on the diaphragm of xenopus, which was consisted of pars ventralis and pars dorsalis, that the latter one was derived developmentally from the mesoderms of forelimb bud.To compare the origin and migration of muscle of mammalian diaphragm with those of xenopus, the author has investigated the development of mouse diaphragm by means of light and electron microscopy on the embryos aged from 9.25 through 12.5 gestational days. The graphic reconstructions traced from photomicrographs taking from the tinctorially examined serial sections are available for the present study.From these observations the following results are obtained;1) The most part of diaphragmatic premuscle mass arises from the ventral edges of 4th and 5th cervical myotomes at early limb bud period (9.75-10.25 gestational days), and secondarily it migrates ventrolaterally toward the dorsal part of transverse septum during at early to late limb bud periods (9.75-11.5 g.d.).2) Only at the late limb bud period (10.5-11.5 g.d.) the diaphragmatic premuscle mass, which was just mentioned in 1), comes into contacts with the proximal border of the mesoderms of forelimb bud, and it appears that the former premuscle mass has received some part of the latter mesoderms during this period. With further development, the diaphragmatic premuscle mass after receiving some part of mesoderms from forelimb bud has migrated far ventral to the transverse septum; thus the contribution of the mesoderm of forelimb bud to the development of diaphragm has been demonstrated in mouse embryos as in xenopus.3) During the process of migrations, the diaphragmatic premuscle mass has mainly consisted of presumptive myoblasts which were characterised by its spindle shapes and numerous free ribosomes with no detectable myofibrils in their cytoplasms.Appearance of myoblasts containing myofibrils is proven in the transverse septum firstly at the later stage (12.5 g.d.) when the premuscle mass has arrived its definitive sites.
著者
山田 哲司
出版者
日本プロテオーム学会
雑誌
日本プロテオーム学会誌 (ISSN:24322776)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-4, 2018 (Released:2018-07-21)
参考文献数
11

大腸がんの90%以上の症例でAPC,CTTNB1,TCF7L2等のWntシグナル伝達経路の遺伝子に変異があり,同経路が恒常的に活性化している.Wntシグナルは細胞増殖,細胞死の抑制に加え,幹細胞機能の維持にも重要であり,このシグナルを遮断することで大腸がんが治療できると考えられてきたが,医薬品として実用化されたものはない.これは,大腸がんの80%以上でAPC遺伝子に機能喪失変異があり,その下流でWntシグナルを遮断する必要があるからである.我々はAPCの下流でWntシグナルの実行因子として働くTCF4(T-cell factor-4)転写複合体と相互作用する分子を徹底的にプロテオーム探索し,TNIK(TRAF2 and NCK-interacting protein kinase)キナーゼを同定した.TNIKはWntシグナルの活性化,大腸がん細胞の増殖に必須であり,その活性を抑える化合物はヒト大腸がんマウス移植腫瘍に対し著明な増殖抑制効果を示し,有望な臨床候補化合物と考えられた.
著者
Kimitoshi Sakaguchi Chisato Isobe Kazuyoshi Fujita Yoshihiro Ozeki Taira Miyahara
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-100, (Released:2019-07-17)
被引用文献数
2

Modern molecular biology techniques have enabled the generation of novel flower colors. Standard cultivated varieties of delphinium have blue flowers as a result of the biosynthesis and accumulation of delphinidin-based anthocyanins. Some cultivars have pink flowers due to the biosynthesis and accumulation of pelargonidin-based anthocyanins. The biosynthetic pathway of the latter becomes active due to the inactivation of flavonoid 3',5'-hydroxylase. Cyanidin-based red-purple flowers have not been identified to date in delphiniums because these species do not express the flavonoid 3'-hydroxylase gene. However, in our previous work, we identified expression of the flavonoid 3'-hydroxylase gene in a wild delphinium (Delphinium zalil) that accumulates quercetin 3-glycoside. D. zalil lacks the anthocyanidin synthase, the key enzyme to produce anthocyanins, so the flowers do not contain any anthocyanins. Here, we report the use of conventional breeding to introduce cyanidin biosynthesis into delphiniums. We introduced the flavonoid 3'-hydroxylase gene of D. zalil into D. cardinale by hybridization breeding, causing accumulation of cyanidin-based anthocyanin. In the hybrid plants, flavonoid 3'-hydroxylase was transcribed and a cyanidin-based anthocyanin was biosynthesized, generating novel purple-red flowers. Greater understanding of the anthocyanin biosynthetic genes expressed in wild species will benefit the development of breeding strategies to generate novel flower colors in cultivars of high horticultural value.
著者
村松 英子
出版者
山野美容芸術短期大学
雑誌
山野研究紀要 (ISSN:09196323)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.89-95, 1994-03-25

帯(紐)は,呪術性を秘めたものとして,『万葉集』の時代より実に多くの描写をみることができる。呪術性をもった帯が次第に装飾性をおび,歌舞伎役者などによって流行は変遷していくが,その根底には古代よりの"魂結び"の心が生き続けていて,現代(いま)に残る"縁結び"のそれと同じものであると考えられる。今回,帯を結ぶ行為が人を結び,さらには心をうつし出す手段として大きい意味をもつという積極的服飾表現を,近松門左衛門の『曽根崎心中』より見出だした。
著者
金谷 優莉香 仲谷 佳恵 室田 真男
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.213-216, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
8

語彙力向上のためには,文脈に応じて適切に表現出来る語彙の習得が必要である.本研究の目的は,文脈比較による類語の使い分け学習支援である.各単語が使われる文脈を類語間で比較することで,文脈に応じた適切な使い分けを習得させることを目的とした学習支援システムを開発した.本学習の特徴は,表による比較で類語が使われる文脈の特徴を体系的に学習し文脈の特徴から使い分けを習得させることにある.評価実験の結果,文脈比較を促さない学習と比較して本システムは,文脈に応じた類語の使い分け知識の習得に効果がみられ,より高い学習目標に到達したという達成感を学習者に与えたことが明らかになった.