著者
荒木 尚志 池田 悠 富永 晃一 山川 隆一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

非正規雇用の中核を占める有期雇用に関して、まず、欧州の規制アプローチとアメリカの市場調整アプローチという対照的政策の存在を明らかにした。次に、欧州の規制アプローチを、締結事由規制、濫用規制、不利益取扱い禁止規制に整理し、締結事由規制から濫用規制へという規制比重の変化を明らかにし、ここから重要な教訓を得るべきことを主張した。2012年には、濫用規制を中心とする労働契約法改正が実現したため、新設条文および有期労働契約法理における基本概念について解釈論的検討も行った。有期労働・パート労働・派遣労働についての規制の相互関係や、雇用形態差別として議論されている課題についても検討を深めた。
著者
高梨 秀樹
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

イネ花粉管誘引物質を同定するためには, 遺伝子発現情報をもとに候補遺伝子の選抜を行う必要がある. そこでまず, 申請者らがこれまでに得たマイクロアレイ・RNA-seq解析によるイネ助細胞の遺伝子発現プロファイル (Ohnishi and Takanashi et al. 2011) の結果から, 助細胞で高発現し, かつ分泌性タンパク質をコードする複数の遺伝子を候補として多数選抜した.選抜した候補遺伝子についてはノックアウト株が存在しなかったため, それが花粉管誘引物質をコードしているか否かを判別するためには遺伝子ノックダウンによる機能解析が必須である. 本研究ではpANDAベクター (Miki et al. 2005) を用いてRNAiによる遺伝子ノックダウン系統の作出を計画している. 将来的にRNAiが機能している胚嚢をGUS染色により判別する必要があること等を考慮し, 後の実験をスムーズに行うため現在pANDAベクターの改変を行っている.花粉管誘引物質の同定には, 花粉管が胚珠からの誘引シグナルにどのように応答するかを生きた状態で観察できるsemi in vitro重複受精系を用いた, 候補物質の花粉管誘引活性解析が必須である. しかしながら, イネ花粉管は一般的に用いられる花粉管伸長培地上では伸長が芳しくないことが明らかになったため, イネ花粉管に最適化した花粉管伸長培地の作製を試みている. またイネ胚珠は組織が厚く内部構造の観察が困難であるため, より詳細な観察のためにイネ胚珠の透明化手法についても検討し, 複数の有効な透明化手法を見出した.
著者
阿保 大介
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

2012年3月までに3頭の雌豚を用いた実験を行い、その結果の解析を行った。この結果を2012年度中に北海道IVR研究会で発表した後、2013年4月に日本医学放射線学会総会、同5月に日本IVR学会総会の2つの国内学会で発表した。通常診療で頻用される血管塞栓用コイルのみでの閉塞困難な動脈瘤や出血に対する塞栓術症例に対し、n-butyl-2-cianoacrylate(NBCA)を併用することは、しばしば行われているが、その組み合わせの方法論について確立したものは存在していなかった。本研究は、その方法論の確立を行ったものであり、その着眼点が大きく評価された。2013年5月現在、その内容を国際学会誌に投稿する準備中である。
著者
梅谷 陽二 黄 声揚 山田 陽滋
出版者
豊田工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究は,把持部に滑りセンサーを持つ自由移動型の作業用宇宙ロボットによって,外力駆動されていない慣性運動中の対象物体をできる限り非衝撃的に把持する方法を研究することを目的としている.まず,平成7年度では,掌中に囲い込んだ物体を出来るかぎり非衝撃的に把持するプロセスを考察した.すなわち,各指関節に等分に衝撃力や回転運動量の負荷が分散されるようなマニピュレータ・コンフィギュレーションを,仮想質量の概念と各関節に誘起される関節加速度の仮想ロータ慣性を導入することによって求めた.このような力学を用いて,各関節に等分に衝撃負荷が分散されるようなマニピュレータ・コンフィギュレーションの理論的に求めた.つぎに,回転運動検出用すべりセンサーを開発し,いくつかのプロトタイプを製作した.平成8年度は,まず既設の空気浮上ベッドを用いて2次元モデルによる総合的な実験を行なった.また,回転運動検出用すべりセンサーの試作も行なった.衝撃を緩和するための把持方法は,把握される物体が多くの指に囲まれ衝突を繰り返しながら次第に把持される,と言うプロセスである.しかし実際に把握できる対象物体はおそらく並進速度や回転速度き小さいものに限られるだろうと思われる.次に,回転検出用の滑りセンサーの開発は順調に行なわれた.この種の触覚センサーの共通的な課題は,どのような滑り感覚を知覚するのか,検出感度とレンジをどれほど要求するのか,そしてライフはどうか,である.宇宙用のセンサーでは,ライフは重要であるが本研究では未着手に終わった.しかし回転滑り用の十分な感度を持ったセンサは開発できた.
著者
梅谷 陽二 広瀬 茂男
出版者
東京工業大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985

本研究は、顕微鏡下において、プレパラート上に置かれた真核をもつ生物細胞を操作対象とし、この細胞を微小操作器で切断,切除,開口などの手術を行ない、さらに細胞内の核を吸出して他の断片を注入するなどの操作を、非熟練者でも自由に行なえるようなマイクロマニピュレータ(微小操作器を含む)を開発することを目的としている。咋年度にひき続き、本年度は3自由度のバイモルフ型微小操作器の性能向上を目的として試作を重ねた。この微小操作器はピエゾ素子(セラミック素材)をバイモルフ形に構成しており、微小並進運動を実行させるとき、極めて感度の高い位置制御が可能となり、最終試作器では容易に1/10ミクロンメータの感度を実現させることができた。微小操作器の先端には、通常ガラス製の針やピペットが取り付けられ、これを介してプレパラート上の細胞と接触している。そこで、この微小操作器システムをサーボ化するに必須とされる接触反力信号検出を行なうため、咋年度に確認した自律振動形に微小歪ゲージ機構を適用した方式を採用し、針先端での印加力の検出感度を【10^(-3)】dyne域にまで高めるべく解析と設計試作を繰り返したが、実際の操作條件では、針やピペットが液浸状態となるため、目標よりも2桁低い感度にならざるを得ないことが分った。画像処理系による自動位置決め系は予定通りの機能をもつことが分った。しかし画像処理系とマイクロマニピュレータ系との連けいについては問題がある。つまり顕微鏡の視野は非常に狭いから、マニピュレータの一連の作業動作の大半は視野外となるため、この画像処理系が有効に働くのは実際に細胞操作を行なっている期間に限られている。このため、シーケンス制御回路によって駆動するように設計した。総合試験の結果、おおむね予期された充分な性能を有することが検証された。
著者
梅谷 陽二 吉田 和哉
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

宇宙基地と科学実験衛星などの間を往復し、実験機材や機器の搬送、取付け、調整などの作業を行なうためのマニピュレ-タ付き軌道作業衛星の運動は、地上のロボットマニピュレ-タのそれと基本的に異なる点が多く、その制御については未知の部分が多い。本研究はこのロボット衛星の基本モデルとして、一本の多関節マニピュレ-タをもつ衛星が、近くを浮遊する目標物体を捕捉するケ-スをとり上げ、その運動をエアスライドテ-ブルの上でハ-ドウェアモデルによって行なわせ、同時にその時間経過を光学的に追跡して、ソフトウェア的にグラフィックシミュレ-ションによって検証するという手段を採用した。本年度の研究は、一本のマニピュレ-タを持つ軌道作業衛星がその近傍を浮遊する物体を捕捉する作業の制御問題を中心課題にして、以下のような研究成果を得た。すなわち目標の相対速度レベル、大きさ、形状を定義し、それを捕捉する制御問題に拡張した。移動対象物体の捕捉にあたって、以下の三つの制御法をグラフィックシミュレ-ションを理論的に検討し、その有効性を確かめた。(1)最適軌道および保証作業領域を考慮した目標先端速度設定法によるオンライン分解速度制御。(2)直線軌道および保証作業領域を考慮した目標先端速度設定法によるオンライン分解速度制御。(3)直線軌道および等時刻直線到達領域を考慮した目標先端速度設定法によるオフライン分解速度制御。また上記のアルゴリズムに関して、以下の捕捉動作上の特徴を見出した。(1)の制御法に関しては、捕獲の段階で位置偏差をゼロにでき、ソフトな捕獲が可能である。(2)の制御法は捕獲の対象物の位置偏差をゼロにするだけであり、捕獲合体の際の衝撃は大きい。(3)の制御法は、(2)と同様に捕獲の際の速度偏差をゼロにすることは考慮に入れていないので、捕獲の際の衝撃力は大きい。
著者
中村 勇規
出版者
山梨大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

花粉症では鼻水や鼻閉などの症状が夜から明け方に悪化することが知られている。しかし、「体内時計」が花粉症の病態に関与するか否かについては未だに明らかではない。そこで、動物モデルを用いて「体内時計」が花粉症の病態に関与することを検証した。マウス花粉症モデルを用いて検討した結果、野生型マウスにおける花粉症の症状は日内変動を示し、時計遺伝子Clock変異マウスでは消失することが確認できた。また、体内時計に作用する薬剤を投与することで、花粉症の症状が抑制できること、加えて、マウス慢性時差ぼけモデルではこの日内変動が消失していた。これらの結果から、体内時計が花粉症の病態に関与することが強く示唆された。
著者
竹内 大介
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究ではジイミンパラジウム錯体によるオレフィン類の異性化重合を利用し、官能基の密度、分布が完全に制御された高分子の合成と、その機能の探索を目指して研究を行った。ジイミンパラジウム錯体により非共役ジエンやトリエン、アルキルシクロペンテンやアルケニルシクロヘキサンなどの異性化重合が選択的に進行し、立体構造の制御された五員環や六員環を含む高分子が得られることを見いだした。モノマーのアルキル基の長さを変えることにより、高分子中の環構造の密度や分布を完全に制御することも可能である。トリエンの重合では官能基が一定間隔で交互にならんだ高分子が得られた。1,3-トランス五員環を含む高分子は液晶性を示した。
著者
竹内 正明 尾辻 豊 春木 伸彦 西村 陽介
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

老人性大動脈弁狭窄(AS)では僧帽弁狭窄(MS)がしばしば観察される。本研究では、3次元経食道心エコー法により僧帽弁複合体を評価し、弁輪弁尖の石灰化と僧帽弁口面積(MVA)の関連を検討し、大動脈弁置換術後このMSが心血行動態に及ぼす影響を負荷心エコー法により検討した。MVAはAS群で小さく、約1/4の症例は中等度以上のMSを呈し、MVAは、内側弁輪面積、僧帽後尖と弁輪のなす角度に規定されていた。負荷時さらにMSが増悪することはなく、負荷前に比べ負荷後MVAは増大した。負荷時のMVAの増大は血流量増加と比例した。ASに合併するMSは偽性のことが多く、高度でない限りは治療の対象とはならない。
著者
泉田 勇輝
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

本年度は主に二つの研究課題に取り組み、成果を得た。(i)有限時間で動作する熱機関、具体的には有限時間カルノーサイクルに局所平衡を仮定してその最大仕事率時の効率論を構築した。有限時間過程においても作業物質に熱力学諸変数が定義可能(局所平衡仮定)とすることで、熱力学的力と流れやこれらを結ぶ関係式について作業物質や熱源の熱力学変数を用いた新しい表現を導いた。これらの表現を用いて、有限時間カルノーサイクルが線形非平衡状態での最大仕事率時の効率の上限値を達成するモデルであることを示すことにも成功した。こうした局所平衡仮定に基づく熱機関の定式化は従来の非平衡熱力学と親和性が高く、非平衡蒸気機関の理論を構築する際の第ゼロ近似としての役割を果たすことも期待できる。以上の成果をまとめた論文を現在投稿中である。続いて(ii)結合振動子系における「同期のエネルギー論」の構築に取り組んだ。結合振動子がリズムを揃える同期現象は位相方程式によって簡潔に記述される非線形力学系の一例である。一方、リズム現象自体はエネルギーの流出入がバランスすることで維持される非平衡散逸系の典型例であり、非平衡熱力学の研究対象として考えることもできる。本研究では微小生物の鞭毛の流体力学的相互作用による同期現象を念頭に、結合振動子系にエネルギー論を導入した。まずそれぞれ円周上に束縛された二つの結合振動子に独立な白色ガウスノイズが加わった系のフォッカー・プランク方程式を考え、その解析解を導いた。続いて得られた確率分布関数を利用し、非平衡熱力学や揺らぎの熱力学を適用することで、結合振動子の振動に伴うエネルギー散逸率の公式を導出した。これを流体力学的相互作用するストークス球などへ適用し、同期・非同期によるエネルギー散逸率への影響を定量的に評価することにも着手した。これらの成果は日本物理学会において発表され、現在論文を準備中である。
著者
坂本 雄三 前 真之 赤嶺 嘉彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

「建物」と暖冷房「機器」の両者を踏まえ、快適性と省エネ性を統合的に評価する手法(以下、統合的評価手法と記す)を検討し、提案するに至った。検討にあたって、各種暖冷房方式による温熱環境の差異や実働効率などの機器の稼働状況などの実態を実験・実測により把握し、そのデータを整備した。また、通風による冷房負荷削減効果を予測する上で不可欠となる、建物に作用する風圧力に関するデータベースを風洞実験により整備した。なお、統合的評価手法については、今後も検討・改良を加えていく所存である。An integrated assessment method of comfort and energy saving were investigated, and proposed in this study. This method is based on both sides of "Building specifications" and "HVAC systems". In this investigation of the method, thermal environment by various HVAC systems and actual efficiency of equipments were arranged by experiments and actual survey. Moreover, the data base of wind pressure coefficients of buildings was maintained by the wind tunnel experiment.
著者
井坂 行男
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

アフガニスタンの教員養成短期大学における特別支援教育教員養成課程開設のためのカリキュラム開発の基礎研究に取り組んだ。教育関連法規、現地ニーズやリソース、イスラム教、特別支援教育の現状、国家教育戦略計画等を踏まえて、教員養成短期大学の特別支援教育教員養成課程のカリキュラム原案を作成した。アフガニスタンの特別支援教育教員養成カリキュラム開発においては、イスラム教、国家教育戦略計画やインクルーシブ&チャイルドフレンドリー教育方針、関係者の合意形成、カリキュラム承認プロセス、カリキュラム開発と人材育成が必要であることなどに配慮したカリキュラム開発を考慮することが大切であると考えられた。
著者
糟谷 知香江 BLANCO Tatiana
出版者
九州ルーテル学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

「人生紙芝居」とは生活史に基づいた手作り紙芝居である。これは、過去の経験を時系列に並べ、視覚的に提示する心理教育的技法である。本研究ではコスタリカにおいて以下の3つの課題に取り組んだ。(1)この技法の実施手順を改良した。(2)心理教育的技法としての有効性を考察した。(3)制作した紙芝居がマイノリティ理解のための教材となりうるか検討した。
著者
日比 泰造
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は臓器の脱細胞化技術を用いて作製したブタ由来の小腸スキャフォールドに、小腸オーガノイドを生着させ小腸グラフトを開発し、小腸不全に陥り小腸移植を必要とする患者の新たな治療の嚆矢となることを目的とした。ブタ小腸の脱細胞化を繰り返し行い手技の安定化後、資源的な面からラットに計画を切り替えた。グラフト腸管および血管を確保しヘパリン化生食による還流に成功し、免疫染色で明らかな細胞核が存在しないことを確認できた。現在、電子顕微鏡で内部の微細構造を観察しているほか、細胞骨格に含まれているDNAおよび細胞外マトリックスの評価を行っている。
著者
山口 勧 森尾 博昭 八木 保樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

自尊心の国際比較では、一部において、日本人およびアジア人の自尊心は低く、アジアにおいては自尊心は重要でないことが主張されていた。これに対して、本研究成果は、日本人にとっても自尊心は欧米と同じような意味をもっていて重要であることを示した。さらに、自尊心の表明の際に控えめに表明することが日本では適応的であることが示された。
著者
加納 信吾 児玉 文雄 角南 篤 中野 壮陛 林 裕子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

先端医療分野において、イノベーション発生後の後発事象としての「イノベーションを利用するためのルールが組成されない状態(=レギュレーション・ギャップ)」の発生現象を説明するために、レギュレーションを組成できる限界である「レギュレーション・フロンティア」概念を導入し、この概念を用いてレギュレーション・ギャップを分析する一般的な分析フレームワークを構築した。この分析フレームワークを用いてDNAチップ診断薬の日米の事例分析を実施し、日米における規制組成過程の違い及び規制組成において実質的に規制当局とメーカーを媒介している境界組織の違いを分析し、米国ではFDA主導による統合型の規制組成過程が存在し、規制組成のための研究活動を実施しているのに対して、日本側では規制当局の機能が経済産業省・厚生労働省に分散していること、規制組成のための研究活動が脆弱であることを明らかにした。
著者
川田 都樹子
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

〈芸術諸学と芸術批評と芸術作品の関わり〉美学の自律性を確立したカント、これを発展的に継承し、純粋視覚の理論を用いて芸術学を美学から独立させる方向を見いだしたフィードラ-、これを受け継いで、美術史を視覚の歴史と定義し、様式史としての美術史を提唱したブェルフリン。独における、ある意味では、フォーマリズムの系譜とも言えるこの芸術諸学の展開を根底に持ちつつ、米20世紀半ばのフォーマリズム批評を代表するC.グリーンバーグは、同時代の芸術諸作品の評価・分析を行う。彼にとって、先駆となる美術批評は、イギリス20世紀初頭のR.フライである。フライのフォーマリズムとは、まさに、仏のフォーマリスティックなモダン・アートが、それまで文学色の濃いラファエロ前派などを主流としていたイギリスに上陸してくる時代に不可欠のものであった。さらにフライが、影響を受けた批評家とは、独のマイヤー・グレーフェ、仏のモ-リス・ドニであるが、前者は独の芸術論に関わりながらも、むしろその観念論の性質を受け継ぎ、フォームの問題に留まるよりむしろ、作者存在に留意するものだった。後者は、自身も仏のモダン・アートの作者であり、極めてフォーマリスティックだが、芸術諸学との関連はうすい。この両者を止揚しつつフォーマリズム批評を成立させたのがフライだったのである。グリーンバーグは、アメリカ抽象表現主義の作品に対する批評において、フライに倣いつつフォーマリズムを見事に適応させたが、しかし、それ以後の現代芸術への適応は不可能であった。というのも、現代において芸術作品も芸術諸学もフォーマリズムから離れていたためである。フォーマリズム超克の試みは、現在、様々になされているが、むしろ独の芸諸学においてフォーマリズム超克に成功したハイデガ-にまで逆上り、芸術存在の本質から問わねばならないだろう。
著者
MARKON Sandor 桑野 溝博 吉田 博哉 大寺 亮
出版者
神戸情報大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

空中映像との多感覚インタラクションとして、空中触覚刺激、空中聴覚刺激を融合した操作を可能とした実験装置を開発し、操作実験を行った。空気ジェットによる触覚刺激の最適パラメーター設定を調査し、有効な使い方について研究した。アミューズメントへの応用についてゲームを使った心理実験を行い、一定の知見が得られた。また空中映像を使った医療情報可視化システムにおいて、触覚刺激を与える装置を開発し、その効果を確認した。空中映像を操作するための指先検出方式も確立させた。結果は国際会議で数回発表し、2回最優秀賞をもらった。開発した基礎技術は今後アミューズメントや医療データ可視化分野で事業化できると期待される。