著者
大風 翼
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

1)「積雪環境予測」のための数値モデルの開発・昨年開発した雪粒子が流れ場へ及ぼす影響を表現するサブモデルについては、風速が比較的を大きく、雪粒子がより多く飛散する状況下でも適応できるよう、平成23年度後半に追加で行った風洞実験を基に、モデル係数のチューニングを行った。・雪の飛散・堆積モデルについて、昨年度に開発したサブモデルをさらに改良し、雪面から飛散し雪の積雪全体に対する寄与率を導入することで、降雪時に、風によって形成される建物周辺の吹きだまりの形成要因の分析を可能にした。2)吹きだまりを最小にすることを目的とした市街地形態に関するパラメトリックスタディ・上記の1)で完成させた「積雪環境予測」を用いて、市街地形態に関わる建物の密度、隣棟間隔等のパラメータを系統的に変化させた数値解析に基づく積雪環境の数値予測を行い、積雪分布や融雪エネルギーの水平分布を求めた。・建物高さHと隣棟間隔Dの比H/Dが0.71になると、南北の建物間の融雪エネルギーのピーク値は120[W/m2]と,それよりもH/Dが小さい(隣棟間隔が広い)ケースのピーク値(約160[W/m2])に比べて3/4程度まで急減することがわかった。3)積雪時の都市・建築空間における対流・放射の相互作用のメカニズムの検討・上記の2)の解析結果の分析を進め、積雪時の都市・建築空間における対流・放射の相互作用のメカニズムを明らかにした。建物南側では、短波放射と下向き長波放射による熱取得量が、顕熱や潜熱の輸送による熱取得に比べ大きいことが分かった。・これを踏まえ、都市・建築空間の積雪環境を形成する都市全体として吹きだまりを最小にする形態を明らかにした。建物高さHと隣棟間隔Dの比で一般化すると、0.50<H/D<0.6[-]のとき、すなわち,建物高さに対して1.75~2倍の隣棟間隔があれば,南北に並ぶ建物の間の領域の積雪量が最も小さくなる可能性の高いという結論を得た。
著者
森 貴彦 臼井 敏男 小林 義光 北川 輝彦
出版者
岐阜工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

メカトロニクスの実践的エンジニア育成のために,学生が自ら問題を考え,課題を設定し,問題解決能力を取得することを可能とするPBL教材開発と自己増殖・進化型教材作成及び運用システムのプラットフォーム設計と,その有効性を実証した.実施計画とスパイラル型フィードバックシステムに基づいて,これまでに製作した電子機能ブロックが持つ幾つかの課題を解決するために改良した電子機能ブロックを,低学年の学生に協力してもらい評価を実施するとともに学習の見直しを図ることができた.
著者
中條 拓伯 城 和貴
出版者
東京農工大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

平成18年度は量子コンピュータの命令セットについて,シミューレータによる動作検証を進めるとともに,FPGAによるエミュレータテストベッドボードの実現を試みた.また,国内外の旅費を中心に用いてさまざまな研究者の意見や成果発表を行った.申請者はすでに,ShorやGroverのアルゴリズムを解析し,汎用量子コンピュータに必要とされる具体的な命令について検討を行い,従来の計算機アーキテクチャの観点から量子コンピュータの持つべき命令セットを洗い出している.さらに,その命令セットを実現する汎用の量子コンピュータアーキテクチャの内部ブロックの仕様を確定し,データパスはそれぞれのユニットの制御信号の設計を行った.ここで提案するアーキテクチャは,まずShorの因数分解アルゴリズムに代表される数種の量子アルゴリズムを検証した結果より抽出された量子命令セットを含む.そして,進展が目覚しい量子通信分野において,その基礎理論となる量子テレポーテーション理論を用いてコンポーネント間の情報伝達を行い,さらに量子コンピュータにユニークな,量子初期化レジスタ,量子が絡み合った状態のEPRペアから構成されるEPRレジスタ,量子ALUをコンポーネントとして含む量子ユニットと従来のモデルとしてのフォンノイマン型ユニットを融合した形態のハイブリッドアーキテクチャである.また,これまでのプログラム内蔵方式とソフトウェアを柔軟に継承することが可能になる.本アーキテクチャが,大規模な量子計算を量子ワイヤリングで全て構成された量子回路で処理するような完全な量子コンピュータが数十年後に実現されるであろうその一歩手前のプロトタイプとして位置付けられるという点で意義高いものと考える.
著者
清水 チエ 大山 篤
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

歯科研修医の医療事故防止をはかる目的で、平成17年度と18年度第2年次研修医101名(男性31名、女性70名)に対し、医療事故の実態を把握し、4種の心理テストSDS,CMI,MAS,STAIによる心理的特性を分析した。1)研修医の医療事故等に関する年間集計アクシデント(医療事故)は、平成17年度26.5%、平成18年度は19.2%の研修医が経験ありと報告した。内訳は、切削器具による口腔内の損傷が6件、治療終了後または根管治療中に気分が悪くなった例が4件、その他の順であった。医療事故により後遺症の残った患者はいなかった。ニアミス(ヒヤリ・ハット)の経験は、平成17年度が69.4%、平成18年度は75.0%であった。最も多い順から、バーの着脱が31件、タービン・バーによる損傷が17件、その他の順であった(いずれも複数回答)。2)心理的特性の分析SDSでは63.0%の者が抑うつ傾向のない正常領城で、中等度以上の抑うつ傾向を有する者は4.0%にみられた。CMIでは87.6%の者が神経症傾向のない正常領域であり、IV領域の者は2.0%であった。MASでは72.0%の者には自覚しうる顕在性の不安傾向がなかった。STAIでは、37.9%の者の特性不安が高かった。4種の心理テストにおける医療事故あり群と医療事故なし群との間には、ほとんど有意差があるとはいえなかった。これらの傾向については、医療事故あり群の数が少ないため、今後も事例を集積して慎重に検討していくことが大切である。
著者
津幡 笑
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

不正競争防止法により営業秘密として保護されるためには、(1)秘密管理性、(2)有用性、(3)非公知性の3つの要件を満たさなくてはならない。とりわけ注目すべき要件は「秘密管理性」であり、この点に関する企業の努力は大きな意味を持つ。具体的に、企業に望まれる営業秘密の管理水準はいかなるものであるべきかが問題となる。そこで、これまでの研究において、日本の裁判例を分析したところ、情報に接する者にとって秘密であることが認識可能であったか否かで判断する裁判例群があるほか(相対説)、近時、高度な絶対的な基準をとり、その一部を欠くだけで秘密管理性を否定する一連の裁判例(絶対説)がみられることが明らかになった。相対説、絶対説のいずれが妥当であろうか。この秘密管理性要件の問題については、日本ではまだ積極的な議論が行われていないため、本研究ではこの問題を考えるひとつの参考となる視座を提供しうる素材として、アメリカを中心とした諸外国の裁判例・学説の検討を行った。
著者
成澤 才彦 太田 寛行 佐藤 嘉則
出版者
茨城大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

多くの分類群を含む菌株を供試して,内生バクテリアの存在を確認したところ,接合菌類からPCR増幅を確認できた.検出されたバクテリアは, M. elongataより検出されている内生バクテリアの近縁種であった.Veronaeopsis simplex 3菌株を供試して,内生バクテリアの検出および系統解析を行った. DNA抽出を行い PCR増幅を行った. その後,クローンライブラリー解析に供し,内生バクテリアの同定を行った.解析の結果,V. simplex 3菌株から共通してRhizobium属細菌が検出され,これらが宿主植物の生育に関わっていることが推察された.
著者
内藤 克彦 水野 幸男
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

年間の湿度変化を踏まえた上で、自然状態において絶対湿度の3〜20mg/cm^3の条件下でがいしのフラッシオーバ電圧に及ぼす絶対湿度の効果を調べた。試料として懸垂がいし、ピンがいし、ステーションポストがいし、ラインポストがいし、長幹がいし、高分子がいしを用いた。印加電圧は、交流電圧、雷インパルス電圧、開閉インパルス電圧および直流電圧とした。高分子がいしについては、フラッシオーバ電圧に影響を与えると考えられる表面の撥水性に関する基礎実験も実施した。本研究で得られた結果を以下に示す。1. 3年間の湿度実測データを解析した結果、絶対湿度は冬期に最小値3mg/cm^3の程度、夏期に最大値20mg/cm^3程度を示し、その間は緩やかに変化することがわかった。2.懸垂がいしおよびピンがいしに正・負雷インパルス電圧を印加した場合には、フラッシオーバ電圧は絶対湿度の上昇とともに低下することが確認された。現行のIEC(国際電気標準会議)規格の湿度補正係数に修正が必要と思われる。3.それ以外のがいしでは、フラッシオーバ電圧は絶対湿度とともに上昇した。現行のIEC規格の湿度補正は、ほぼ妥当と考えられる。4.高分子がいし外被に使用されるシリコーンゴム表面の水滴に関しては、電圧印加時に振動すること、形状が変化し水滴同士が結合する場合があること、従ってフラッシオーバしやすくなることがわかった。5.シリコーンゴム表面汚損時のフラッシオーバ電圧は汚損直後には低いが、時間経過とともに徐々に上昇し、1週間程度で一定値になることがわかった。
著者
権 奇法
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究においては、公共施設の設置及び管理に関する法制度を、PFI制度(韓国では、民間投資制度)を中心とて比較研究を行った。日本に比べ、韓国では、民間投資事業が活発に行われており、一定程度の成果を上げていると評価されていると同時に、多くの問題点が指摘されている。本研究では、まず、両国のPFI制度を比較検討した後、韓国の民間投資制度における問題点や課題を抽出することによって、日本のPFI事業の実施に当たっての示唆を得ることができたと思われる。
著者
黄 嵩凱
出版者
東京理科大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究では中央トルコ地域と日本全国約3000ヵ所から採取した自然堆積物に含まれている様々な重鉱物の種類と化学組成を分析し、その情報を産地の情報と結びつけることで考古学と法科学分野試料の起源推定へ応用した。すなわち、試料の重鉱物組成情報からその試料の地質起源を推定し、古代社会の交易の解明や、土を証拠資料とする科学捜査のためのデータベースの構築を目的とした。一方、重鉱物組成による起源推定の結果の検証とその結果を支持できる別次元のデータを得るために、試料中に含まれている特定重鉱物種の化学組成分析あるいはバルク試料の微量重元素組成分析も行った。本論文で同定された重鉱物の種類は20種以上あり、分析数は約5万粒を越え、得られた重鉱物の情報は研究対象とした地域の地質学や地球化学などの分野の研究に対しても重要なデータとなっている。考古学の研究ではSEM-EDSとEPMAによる古代土器の重鉱物分析及び単一鉱物の地球化学分析を行い、各試料中の重鉱物組成及び角閃石の化学組成のデータから如何にそれらの試料の地質起源を高精度に推定ができるかを示した。そして、法科学の研究では新しく開発した最先端の分析技術である全自動放射光粉末X線回折システム(SR-XRD)を重鉱物の分析に応用し、犯罪捜査で被害者の靴や車両などについた微量の土砂から事件に関係する場所を特定するための日本全国の重鉱物データベースの開発を目指した。さらに、高エネルギー放射光蛍光X線分析(HE-SR-XRF)による試料に含まれる微量重元素の組成情報による試料の特性化法も新しく開発した。本研究により、古代土器の重鉱物による産地推定の新たな手法と法科学土砂データベース開発を可能にする新規放射光利用分析技術を確立することができた。
著者
古市 晃
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

5・6世紀の王宮について、恣意性をともなう『古事記』『日本書紀』の宮号ではなく、居地にちなむ王名から検討できることを明らかにした上で、5世紀の王宮が大和・河内・山背など広汎に分布していたこと、6世紀前半には淀川水系や大阪湾岸西部にも展開するようになったこと、この変化が倭王権の支配構造の転換に対応するものであることを明らかにした。さらに、『播磨国風土記』を中心とする地域社会の神話・伝承を検討し、5・6世紀を通じて、中央支配者集団による地域社会の統合の度合が国レベルから村レベルに深化することを明らかにし、中央支配者集団再編の過程と地域統合の進展が密接不可分の関係にあったという見通しを得るに至った。
著者
奥 彩子
出版者
共立女子大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

2011年度におこなってきた東欧地域研究の研究会の成果として、論集『東欧地域研究の現在』を出版するにいたった。本論集には、狭義の東欧(ドイツ語圏と旧ソ連圏をのぞいた、ヨーロッパの旧共産圏の国々)のすべての国についての論考が収められているという、東欧研究のなかでも類例のない規模の論集となっている。申請者はこの論集に編者の一人として参加し、さらに、自らも東欧の女性作家についての論考を執筆している。また、亡命の諸相に関しては、ダヴィド・アルバハリ、ウグレシッチ、アレクサンドル・ヘモンらを論じた論文「記憶の変奏-ユーゴスラヴィア解体と文学的ディアスポラ」(『ユーラシア世界2ディアスポラ論』東京大学出版会、2012.7)を発表した。
著者
新井 香奈子 牧野 裕子 小枝 美由紀
出版者
園田学園女子大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

患者・家族の高度実践看護師に対するニーズは、①最新の医療に対する情報提供、②最新の看護実践技術の提供、③家族に対するケアの3点であった。地域プライマリケアに関わる専門職の高度実践看護師に対するニーズは、①身体・精神的な状況が複雑な事例への積極的な看護介入、②独居や超高齢者世帯などの生活困難事例への積極的看護介入の2点であった。高度実践看護師が地域プライマリケアを基盤においた活動を実践するには、専門外の高度実践看護師、他職種、市行政との共同・連携が欠かせなかった。地域で働く高度実践看護師は少ないことから、就職先に留まることなく、「高度実践看護師は地域の資源である」という仕組みが急務であった。
著者
山田 寛 NAIWALA PATHIRANNEHELAGE CHANDRASIRI
出版者
日本大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

表情応答を行う刺激人物の視覚的特性についての検討を行うことの重要性を認識し、平均顔の視覚的特性について吟味する心理工学的実験も行った。より具体的に問題としたのは、二枚の顔画像の平均顔画像が人間にとっても平均として認識されるかという点である。この検討を行うにあたり、まず顔画像サンプルの全てのペアの平均顔画像を作成した。次に、実験参加者に、ある平均顔画像とその元の二つの顔画像を提示し、平均顔画像の全体的な印象から、それがどちらの元画像に似ているか判断させる実験を実施した。平均顔画像が知覚的にも平均の顔として認識されているならば、実験を通じてどの元画像も同一割合で選択されると仮定される。しかし、結果として、それぞれの元画像が選択された割合には顕著な差が現れた。この点を検討する上で顔画像の主成分分析を行い,shape-free eigenface methodに基づいた顔空間を作成した。そこで顔空間での各顔画像の原点からの距離とその顔画像が選択される割合との間の相関分析を行ったところ、両者に高い相関が認められた。この研究は、心理学における顔研究の中での一つの重要な研究課題となっている人物の顔の特異性の問題を解明する上でのきわめて重要な手がかりを提供するものといえる。PFES(Personal Facial Expression Space)に基づく顔表情分析・合成システムを構築した。さらにシステムの表情応答分析能力を確認するための表情同調反応実験を実施した。まず3次元構造を持つ顔モデルをベースに、モーフィングの技法を用いて変形させた顔画像の合成を行う。実験では、フレームの時間制御を行うことによって、さまざまな変化速度の条件のアニメーションを実験参加者に提示できるようにした。また、システムでは、そのアニメーションをモニターに提示しながら実験参加者の表情応答を分析することができる。実験の結果として従来の研究ではほとんど扱われてなかった顔表情応答の表情の強度とタイミング情報までを取得できることが確認できた。さらに、これまでの心理学研究において現象として報告されている、喜びと怒りの表情の同調反応の確認も行い、その同調のパターンの詳細な分析を行い得る可能性が示された。
著者
杉山 淳司 今井 友也
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

セルロース合成酵素がセルロースを合成する仕組みは、実はあまり解明されていない。そこでセルロース合成酵素・合成活性を直接解析するために必要な下記3点の実験基盤を構築した:(1)セルロース合成酵素複合体の大腸菌発現系の構築、(2)試験管内および大腸菌内c-di-GMP合成系の構築、(3)試験管内セルロース合成活性の速度論的解析。いずれの実験材料・実験系もセルロース合成酵素そのものの解析を進める上で大変重要なものである(特に(1)は今まで報告のない貴重な研究資源である)。以上から、今後のセルロース生合成研究を飛躍的に進展させるための研究基盤を整備した。
著者
岡田 佳子 石原 照也
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は,光照射で屈折率(吸収)変化する有機非線形媒質バクテリオロドプシン(bR)を利用して,光制御型光スイッチ素子を実現することである.光スイッチの小型化,低動作パワー,高速動作などの点からチャネル型導波路が有利と考え,当初方向性結合器型を提案したが,グレーティング結合器型スイッチ素子の方が将来性があると判断して素子構成を変更した.提案したグレーティング結合器は,電子ビーム露光装置およびドライエッチング装置を用いて石英基板上に作製したスラブ型フォトニック結晶(露光面積1.5mm^2,周期600〜720nm)上に,各種bR混合ポリマー膜をスピンコートしたものである.最適導波路膜厚を求めるためPVAのみをコーティングして透過スペクトルを測定した.膜厚を130〜200nmに制御し,法線方向から白色光を入射させて(-40〜+40度)ポリクロメーターで分光したところ,導波モードあるいはBraggモードの励振による透過強度の損失に対応する鋭いディップが観察され,膜厚180mm付近で最大Q値を示した.さらにPVA溶液にbRを混合してスピンコートした膜,bRを塗布して乾燥させた上にポリスチレンをオーバーコートした膜についてそれぞれ光学測定した結果,複数の新しいディップが出現し,そのQ値は最大1000程度を示した.各ディップエネルギーを波数k_x=ksinθの関数としてプロットした分散関係から,有効屈折率を計算したところ,1.7〜2eV付近ではn^*=1.47,2.4〜2.7eV付近ではn^*=.53となり,これらの値は石英の屈折率やPVAの屈折率に非常に近いことがわかった.これらのサンプルにArイオンレーザー(515nm)を照射してbRの屈折率を変化させ,それに従って導波路に結合するモードすなわちディップの波長を変化させたところ,シフト量は1〜2nmで,He-Neレーザー633nm(半値全幅1.4nm),半導体レーザー682nm(半値全幅2.0nm)のスイッチングは十分可能であることを確認した.このように,入射角度によって複数のディップを同時に選択でき,その波長シフトを光で容易に制御できることから,本研究で提案したフォトニック結晶スラブは,多波長光スイッチング素子として利用できることを示した.
著者
赤坂 文弥
出版者
首都大学東京
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、サービスに関する設計知識の再利用に基づきサービス設計支援を行う計算機環境の構築であった。初年度は、サービス機能の実体化に関する知識ベースを構築し、本知識べースを用いて設計支援を行うための方法を提案した。第二年度では、設計されたサービスをシミュレーションにより評価するための手法を開発した。本年度では、サービスをモデル化するための手法を新たに提案し、シミュレーション結果を用いて設計改善を行うことを支援可能とした。また、これら提案手法を設計プロセスとしてまとめ、設計方法論を構築した。本研究では、最終的に、以下の三点を明らかにした。(1)サービスを多様な利害関係者から成るシステムとしてモデル化する手法サービスを多様な利害関係者から成るシステムとして表現・モデル化するための手法を提案した。加えて、このモデルを用いて設計を進めるためのモデル操作方法を明らかにした。ここでは、初年度で提案した知識ベースによる設計者支援を適用することも可能である。(2)多様な利害関係者が受け取る価値を評価するためのシミュレーション手法多様な利害関係者が受け取る価値を評価するためのシミュレーション手法を提案した。本研究では、System Dynamicsを用いたシミュレーションにより、利害関係者間の相互作用を考慮した価値評価を実現した。(3)多様な利害関係者が高い価値を享受可能な実現構造を設計するためのサービスの設計プロセス多様な利害関係者が高い価値を享受可能なサービスの実現構造を設計するための「設計プロセス」を提案した。ここでは、サービスに係わる利害関係者が受け取る価値を、設計者が確認をしながら最終的な設計解を導出するための設計プロセスを構築した。また本研究では、提案した設計プロセスを複数の事例に適用し、その結果をもとに、提案した方法論の有効性を明らかにした。
著者
日下部 健 岡田 利也 柴田 雅朗 武下 愛
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

Adipsin/ASP経路は補体活性化と、血中遊離脂肪酸の細胞内取り込みを交差させる複合的な生理システムである。流産の発症要因に補体系が関係することから、本経路の生殖学的な意義について検討した。流産を起こした胎盤では脂質成分の有意な上昇と血管への脂肪滴の蓄積が認められた。妊娠マウスへadipsinタンパクを投与すると流産率が増加し、胎盤に変性所見が認められた。投与によって脂質代謝関連因子と妊娠に重要なサイトカインの変動が認められた。妊娠期の主なadipsin産生部位は乳腺であることが判明し、本経路が過剰に活性化した場合、胎盤局所の傷害作用と全身性の代謝変動により流産が誘導される可能性を示した。
著者
高林 純示 松井 健二 松田 一彦 佐藤 雅 松村 正哉 五味 剣二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

本研究では(1)植物の香りの生合成経路であるフィトオキシリピン経路の間接防衛に果たす役割の全体像の解明とその応用の研究から、みどりの香りの生態機能に関する多くの新知見を得た。とくに除虫菊の研究から新たな植物防衛の機構が明らかになった。また(2)植物の揮発性物質が生態系の生物間相互作用ネットワークに及ぼす影響の解明とその応用に関する研究では、相互作用・情報ネットワークの概念を確立するとともに、揮発性物質の利活用による害虫防除法を発見した。
著者
清尾 康志
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

本研究では独自に開発した人工核酸の特性を活用した新しいmiRNA検出技術の開発を、有機合成化学と核酸検出技術を融合して開発した。まず、既に開発していた人工核酸dAChcmPNAの短鎖RNA選択的結合能をさらに高めるために化学構造を改変した第二世代の修飾核酸の開発を行い新規RT-PCR法への応用を目指した研究を行った。また、蛍光残基で修飾した人工核酸の合成法の開発と蛍光特性の評価を行い、短鎖RNAの蛍光イメージングプローブとしての開発を目指した研究を行った。さらにではdAChcmPNA をスライドグラスに固定化した短鎖RNA選択的microarrayを開発するための基礎技術の開発を検討した。
著者
加藤 博一
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

1.正方形マーカーを用いたインタフェース方式の改良小型カメラを2台内蔵したHMDを用い,ステレオカメラ方式での拡張現実感システムを構築した.これにより精度・安定性を向上させた.また,カメラのレンズ歪みモデルにも改良を加え,カメラキャリブレーション手法のユーザビリティの改善を図った.2.評価実験の実施上述のシステムを用いて,3次元拡張現実感インタフェースの評価実験を行った.特に複数人での共同作業場面における有効性の確認や問題点の発見に注目した.ステレオ表示の有効性が確認され,また,現実世界と仮想物体の逆隠蔽問題による指差し行為の妨害効果なども確認できた.3.平面対象物の位置姿勢計測アルゴリズムの開発テンプレートマッチングに基づき平面対象物の位置姿勢をリアルタイムに検出する手法を開発した.対象画像からトラッキングに有効と思われる複数の特徴点を自動的に検出し,それを用いて特徴点を自動登録する.トラッキング中は,利用可能な特徴点の中から位置姿勢計算に有利な4点を動的に選択しテンプレートマッチングによりトラッキングを行う.4.屋内環境でのリアルタイム位置合わせ手法を開発屋内環境を平面近似によりモデル化し,そのモデルに基づく屋内環境でのリアルタイム位置合わせ手法を開発した.3の手法を応用し,多少の凸凹のある物体に対しての位置合わせを実現した.5.仮想物体表示における実世界シーンへのシャドウイングアルゴリズムの開発仮想物体を実世界映像上に重畳表示する際に,仮想物体の影を実世界シーンに投影するリアルタイム表示アルゴリズムを開発した.6.本・定規・カップ・サイコロによるインタラクション方式の考案と実装本,定規といった日常的道具を用いたインタラクション手法を考案した.それぞれの道具の有するアフォーダンスを有効に利用することで,ユーザが直感的に理解しやすいインタラクション方式を実現した.