著者
高原 淳一 久武 信太郎 栗原 一壽
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

プラズモニック導波路は金属を用いた光導波路であり、光の回折限界よりずっと微小な領域での光伝送など誘電体光導波路では不可能な機能を実現できる。金属薄膜は最も基本的なプラズモニック導波路である。本研究では金属薄膜を用いて超集束、分散制御によるスローライトや負屈折などの新しい光機能へとつながる現象を見出し、実際に受動機能デバイスを実現した。将来はナノ空間での非線形光学デバイスの効率向上に応用できる。
著者
半田 太郎
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

近年,超音速マイクロ噴流を工学的に応用する試みが数多くなされている.各種機器に超音速マイクロ噴流を効率良く適用するためにはこの噴流の詳細な構造を理解する必要がある.とくにマイクロ噴流のブレークダウン長さは,ブレークダウンが起こると噴流が急激に乱れて広がり始めるので,応用上この長さを知ることは極めて重要である.本研究ではレーザー蛍光・りん光法を用いて超音速マイクロ噴流のブレークダウン長さを計測した.その結果,ブレークダウン長さはレイノルズ数の増加とともに減少し,亜音速マイクロ噴流と似た実験結果が得られた.しかしながら,亜音速マイクロ噴流ではブレークダウン長さはレイノルズ数の逆数に比例するが,超音速マイクロ噴流ではそのような結果とはならなかった.この結果から,超音速マイクロ噴流にはレイノルズ数以外にもブレークダウン長さを支配するパラメータが存在することが明らかになった.
著者
原口 和也 佐々木 慶文
出版者
小樽商科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ラテン方陣完成型パズルの基本問題である「部分ラテン方陣拡大問題」に対し、効率の良い局所探索法を開発した。マクマホン立方体パズルに関連して、未解決問題1つを含む3つの問題を解いた。本研究で取扱ってきたパズルを遊ぶことのできるサイト「LatinPuzzler」およびiOSアプリ「ふとうしきパズル」を開発し、公開した。
著者
長谷 純宏
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

植物の突然変異育種の効率化を図るため、変異の方向性制御に着目した。シロイヌナズナのアントシアニン生合成関連遺伝子の発現量は蔗糖溶液を与えることによって上昇した。イオンビーム照射による色素欠損変異体の獲得頻度は、蔗糖を与えなかった幼苗に比べて蔗糖を与えた幼苗で高かったことから、高発現する遺伝子が変異を起こしやすい可能性が示唆された。
著者
鷲見 裕史
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では、BaO-ZnO-P_2O_5 ガラスにおいて、添加元素や合成温度がリン酸構造やプロトン伝導性に及ぼす影響について詳しく調べた。Ba を Zn で置換するとリン酸分岐構造から直鎖構造に変化し、プロトン移動度が向上した。また、合成温度の低下に伴ってプロトン濃度が上昇した。800℃で合成した 30 mol%ZnO-70 mol%P_2O_5 ガラス電解質を用いて燃料電池を試作したところ、 250℃で 1×10^<-3>S/cm の導電率および 0.4 mW/cm^2の出力が得られた。ガラス構造は、プロトン伝導性に強く影響を及ぼすことが明らかになった。
著者
竹内 崇
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、現在おもに使用されているドーパミンーセロトニン受容体遮断薬の非定型抗精神病薬によっても十分に改善しない、陰性症状・認知機能低下などに対し、NMDA受容体グリシン結合部位アゴニストとして作用するD-サイクロセリンの臨床応用の可能性を検討することを目的としている。D-サイクロセリンはすでに本邦では抗結核薬として承認されており身体的安全性のデータの蓄積はあるが、脳内の薬物動態の解析についてはほとんど解析されていない。本年度は、陰性症状を主体とする統合失調症患者に対して、6週間のクロスオーバーによるD-サイクロセリンおよびplaceboを経口投与する二重盲検法の臨床試験を開始した。各種臨床評価尺度をもちいて、平成16、17年度に評価者間のばらつきを検討した評価尺度を使って症状改善度を評価すると同時に、最終評価後に統合失調症の難治性症状に対する有用性と有効血中濃度を検討するため、D-サイクロセリン血中濃度測定用の採血を行った。また、投与開始前に拡散テンソル画像を含むMRI検査を施行し、統合失調症患者の脳の形態およびMRIシグナルの特徴について、D-サイクロセリンの臨床効果を予測する指標としての可能性を調べている。現在のところ臨床試験を開始した統合失調症患者の症例数が少数であるため、陰性症状・認知機能低下に対するD-サイクロセリンの有用性に関して結論には至っていない。今後は症例数を重ねて解析を継続していく予定である。一方、動物実験において、内側前頭葉皮質における、内在性NMDA受容体コアゴニストのD-セリンの細胞外液中濃度に対するD-サイクロセリンの影響を調べた。さらに、この相互作用の分子機序を知るため、大脳皮質初代培養系細胞の準備を進めた。
著者
鈴木 江津子
出版者
上智大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

記憶の生理学的基礎と考えられている海馬長期増強は、生体内ではあまり見られない高頻度な電気刺激をシナプ部に与えることにより誘導されることが多く、内在性の誘導メカニズムは明確ではない。本研究では、内在性の長期増強誘導メカニズムとしてのアセチルコリン受容体およびカリウムイオンチャネルの可能性を検討することを目的とした。ラット海馬スライス標本を用い、内在性のアセチルコリン放出による海馬長期増強調節作用メカニズムについて検討した。海馬CA1への海馬内入力線維であるシャファー側枝に対し、高頻度刺激を与える30秒前に中隔からのアセチルコリン入力線維のあるCA1上昇層に対し電気刺激を行うことにより、高頻度刺激によるCA1長期増強の程度が有意に増加することが確認された。この長期増強の増大は、ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)阻害薬投与により阻害された。一方で、Kv7/M型カリウムイオンチャネル阻害薬を、mAChR阻害薬と同時投与することにより、上昇層刺激による高頻度刺激誘導性長期増強の増大が認められた。また、Kv7/M型カリウムイオンチャネル阻害下では、上昇層への先行刺激なしに、高頻度刺激のみでも長期増強の程度が増大した。カリウムイオンチャネルの不活性化は細胞膜の脱分極を引き起こすことから、膜電位依存性カルシウムイオンチャネル活性化により細胞内にカルシウムイオンが流入し、長期増強増大が生じている可能性を検討するため、T/R型カルシウムイオンチャネル阻害薬を投与したところ、上昇層刺激による高頻度刺激誘導性長期増強増大が阻害された。このことから、内在性アセチルコリン放出による長期増強増大には、mAChR活性化およびKv7/M型カリウムイオンチャネル不活性化とそれに伴う膜電位依存性カルシウムイオンチャネル活性化が関与していることが示された。
著者
峯田 史郎
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、大メコン圏(GMS)において、国家スケール主導の開発プログラムによって社会変化を強いられてきた生活者に注目し、彼ら自身が生活領域を確保する実態を検証することを目的とした。境界地域に暮らす生活者は、関係する各種行為体から、政治的、経済的、文化的影響を受けながらも、境界領域の権力構造を巧みに利用し、生存戦略を模索する過程を明らかにすることができた。
著者
小坂 克子
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

我々は嗅覚の一次中枢嗅球におけるGABAニューロンについて、ニューロンの化学的性質及び形態的性質の両方に注目し、発生学的解析を進めてきた。現在までの結果は以下のことである。A.発生過程での表現形質の可塑的変化の可能性:我々の免疫細胞化学的研究によって、従来独立であるとされていた古典的神経伝達物質GABAとカテコールアミンが嗅球糸球体層で同一ニューロンに共存していることが判明し、しかも成体では共存関係を示さないニューロンも発生過程では一過性に共存関係を示し発生過程において古典的伝達物質GABAとカテコールアミンの共存関係が変化していく所見を得た.これは胎生後期に発生したGABA陽性カテコールアミンニューロンが、発生途上での表現形質の可塑的変化の可能性を示唆する所見であった。更に、ある時期に発生するニューロンを特異的に除去するX線照射実験により、上記の所見を支持する結果を得た。B.免疫細胞化学的研究によって嗅球の外網状層に存在するCa-結合蛋白parvalbumin(PV)含有ニューロンがGABAニューロンの一部であることを明かにし、Golgi鍍銀様に染色できるPV抗体で細胞体及び神経突起の形や広がりを解析した。その結果外網状層に存在するPV含有GABAニューロンは形態的に少なくとも5つ以上のサブグループに分けられた。更に、発生学的解析でそれらのPV含有ニューロンはラットでは生後10日頃、外網状層の内半層に観察され、その後急激に数が増えるが外網状層外半層には生後2週で初めて陽性細胞が出現し生後3週でほとんど成体と同様になる事を明かにした。我々はこの観察からa)外網状層の外半、内半の発生が著しく異なること、b)PVの発現が、推定されるニューロンとしての発生からかなり遅れていることを示唆する所見を得ることができた。
著者
座間 紘一 任 雲 小松 出 金山 権
出版者
桜美林大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

得られた知見を以下の11項目にまとめる。1.国有企業改革の性格は現物資産所有に基づく計画の執行体としての国有企業を近代的財産権に基づく法人化=株式会社への転換によって所有と経営を分離し、現代企業への転換を図ろうとするものである。今日の到達段階は国有企業の改革の構図が明らかになり、外的市場的条件(金融証券)、内的条件(国有資産管理とコーポレートガバナンス機構)の同時的整備が開始された段階である。2.国有企業の制度問題は外部制約の弱化によるインサイダーコントロール、特に経営者のレントシーキングである。その原因は委託-代理関係の不明確さにある。3.今日における国有企業改革の重要な側面は国有資産管理である。3階層の国有資産管理の「上海モデル」は政府職能の分離、所有と経営の分離、コーポレート・ガバナンスの模範的形態である。4.3階層の国有資産監督管理機構の問題点はこの巨大な機構を誰が管理するかということである。5.グローバル競争に勝ち抜くための巨大な企業集団形成の現段階はこれら企業集団が未だ政府の保護と管理の下での育成段階にあるということである。6.金融改革は立ち後れており、従来の国有企業を中心とした改革から、金融システムと国有企業両方の改革を並行する総合的改革へと移行しなければならない。7.電力産業と電力企業の改革は様々な問題を抱えるものの、最近確実に市場化への方向で進んでいる。8.鉄鋼産業の改革は新しい戦略再構築が必要な段階にある。9.国有紡織企業の退出では、民営化コストは多大であり、中西部地域では更なる財政的支援が不可欠である。10.今日の国有企業経営者の利益請求権は「欠如」しているが、それは改革の段階性に規定された合理性を持つ。漸次的整備の必要とその形態を提起した。11.国有企業改革で蔑ろにされがちな労働者への矛盾のしわ寄せ問題について、その解決のために6項目の提案をした。
著者
岩本 誠一 前園 宜彦 中井 達 時永 祥三 藤田 敏治
出版者
九州大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

従来のポートフォリオ理論では平均・分散基準の確定的最適化を数理計画法によっておこなっているが、本研究においては、数理ファイナンス分野おける新しい評価基準として単一評価クラスと複合評価クラスを導入して、その不確実性の下での動的最適化手法を提案している。とくに、リスクとリターンを確率変数そのものとして取り扱い、制御マルコフ連鎖上で分数型基準の条件つき期待値を再帰的に最適化している。分数型評価は複合評価の典型的な基準の一つであるが、他に、比型、分散などの複合型基準の動的最適化をおこなっている。さらに、動的計画法を中心とした動学的最適化手法として、(1)全履歴法、(2)パラメトリック法、(3)マルコフ法、(4)多段確率決定樹表を開拓し、既存の最適化手法では解けない問題を提案し、これらの最適解を導いた。また、動的最適化手法をより分かりやすく、説得力あるものにするために、各種グラフィックス表示およびその開発をおこなった。とくに、不確実性の下において非加法型評価の多段階意思決定過程の最適化を動的計画法によって行った。具体的には、(1)事前条件付き意思決定過程と(2)事後条件付き意思決定過程の二つを新たに導入し、(3)条件なし(本来の)意思決定過程との最適解の構造およびそのアプローチにおいて三つの過程の相違点を明らかにした。本研究によって、閾値確率制御問題が上述の多様な方法で解けることが明らかになった。とくに、閾値確率最大化問題の逆問題は数理ファイナンスにおけるバリュー・アト・リスクの最小化問題なることがっわかり、バリュー・アト・リスクの最小化に新たに動的計画法・埋め込み法が適用できることになった。この二つの方法はこれまで確定的システムの最適化に多用されて成果を上げてきたが、本研究によって確率システム・あいまいシステムに対しても動的計画法・埋め込み法が適用できることが判明した。したがって、本来不確実性の下で変動するポートフォリオシステムの最適化方法が多様・多彩になってきた。これらはまさしく本萌芽的研究の成果である。
著者
高濱 和夫 白崎 哲哉 副田 二三夫 田中 英明
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

我々はこれまでに,グリシン(Gly)受容体が排尿反射の中枢機序に関与する可能性を明らかにしてきた.本研究では,まず脳幹Gly受容体が排尿反射に如何に関与するか検討した.中脳水道中心灰白質(PAG)から、排尿期に発火が増加するI型と、逆に発火が減少するII型の2種類のニューロン活動を微小電極法により記録した。両タイプとも、ブレグマより-8000〜-8300μmの領域に多く、I型は腹側に、II型は背側に多い可能性が示された。これらを含む腹外側および背内側PAGよりニューロンを単離し、Gly誘発電流を記録した。検討した全例でGly応答が記録され、その特性は脊髄等での報告とほぼ一致した。GlyとGABAの電流比は約1であり、ニューロンの形態(錐体細胞、双極細胞、多極性細胞)に依存しなかった。無麻酔の中大脳動脈(MCA)梗塞モデルラットにおいて、膀胱容量、排尿閾値、尿流率および膀胱コンプライアンスの減少、排尿潜時の短縮と尿道抵抗の増加が、梗塞後24時間以上持続した。この時、PAGおよびLDT領域のGly受容体α_1サブユニットの発現は変化しなかった。ストリキニーネ(Str)はMCA梗塞による排尿反射障害に影響しなかった。デキストロメトルファン(DM)は梗塞24時間後の投与で膀胱容量と排尿潜時を改善した。膀胱内酢酸注入は、内側視索上核、PAG、バリントン核、腰仙髄の後角、副交感神経核など、多くの脊髄・脳幹部でFos蛋白質を増加させた。StrおよびDMはPAGやバリントン核など排尿関連核でFos蛋白質の発現を抑制した。マウスMCA梗塞モデルにおいて、クロペラスチン(CP)は尿流率の減少と尿道抵抗の増加を改善し、無排尿性収縮の発現回数を抑制した。CPは、選択的GIRK(チャネルブロッカーとは異なり、5-HT誘発シングルGIRKチャネル電流の開時間に影響せず、閉時間を延長させた。
著者
三宅 康之
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、江沖民時代の中国のガバナンス構造を理解するため、その核心である中央地方関係を分析することを目的とするものである。1993年と2001年におこなわれた財政制度改革の政治過程を事例に「、中央が人事を絡めて地方指導部を牽制したため財政制度改革に成功した」という仮説、「人事・財政リンケージ説」に立って分析を進めた結果、人事データの整理、制度改革の過程の解明についてもっとも詳細な水準に到達できた。
著者
溝井 裕一 細川 裕史 齊藤 公輔 浜本 隆志 森 貴史 北川 千香子
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

我々は、ナチスによる集合的記憶の乱用の問題について調査を実施した。その結果、ナチスが過去の「アーリア人の遺産」に由来する要素を、建築、祝祭、演説などに織り込み、これによってドイツ人のアイデンティティを変化させ、彼らに人種主義的かつ優生学的な思想を植え付けようとしたことが明らかとなった。ナチスが実施した絶滅動物の復元も、「過去の想起」に関連するものであった。我々はまた、戦後の大衆文化における「集合的記憶におけるナチスのイメージ」も研究対象とした。そして、ナチスのイメージは現実というよりも我々の期待を反映したものにすぎず、世代交代や社会環境の変化に合わせて変質していくものであることを解明した。
著者
藤川 智紀
出版者
独立行政法人農業工学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

国内の4カ所の農地(東京都,茨城県(以上,耕耘後裸地状態),青森県(牧草地およびデントコーン畑)を対象として,表層土壌の不均一性が土壌-大気間のガス移動に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,地表面からのCO_2ガス発生量と土壌の理化学性を測定した.特に,未だ研究例の少ない表層土壌中のガス移動特性(ガス拡散係数,土中ガス濃度)とガス発生量の関係に注目した.ガス発生量の測定の結果,ガス発生量の変動係数(C.V.)は,4カ所で違いは見られず,0.16〜1.03であった.牧草地を除いては,時間の経過と共にC.V.は小さくなり,耕耘によってガス発生量の不均一性が大きくなり,その後均一になることが示唆された.土壌中のガスの拡散移動のしやすさを表すガス拡散係数の測定からは,土壌の気相率の不均一性よりもガズ拡散係数の不均一性が大きくなる傾向が見いだされ,気相の量だけでなく気相の構造(間隙構造)も,拡散係数の不均一性に影響を与えていることが明らかになった.また,ガス拡散係数と共に拡散移動の量を規定するガス濃度は深い層ほど大きく変動し,表層のガスの拡散移動量の不均一性は,より深い層でのガス濃度に大きく影響を受けることが分かった.このことから,ガス発生量の不均一性の解析の際に,表層だけでなく,より深い層のガス挙動の把握が重要であることが示唆された.各圃揚におけるガス発生量とガス拡散移動量の平均値の相関係数は0.75と高く,また特定の場合を除いて差も50%の間に収まり,表層土壌中のガス拡散移動が地表からのガス発生量に大きな影響を与えていることが確認できた.しかし,各測定点におけるガス発生量とガス拡散移動量の間には有意な関係は見いだせなかった.測定をおこなう範囲や方法の違いが影響している可能性も考えられるため,測定方法を改良し,更にデータを蓄積することが課題として残された。
著者
北神 慎司
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

ジェンダーバイアス(own-gender bias)とは,異性の顔よりも同性の顔のほうが認識しやすく,記憶しやすいという現象である.本研究では,ジェンダーバイアスの生起に,接触経験などの知覚的熟達要因,あるいは,同性他者への興味・関心などの社会的認知要因が関与しているかどうかを検討した.その結果,特に,再認記憶におけるジェンダーバイアスには,知覚的熟達要因ではなく,社会的認知要因が関与していることが示唆された.
著者
黒田 泰介
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究はイタリアの歴史的都市内に現存し、今なお住まわれ続けている歴史的な居住空間について、その再生・利活用:レスタウロの理念および建築的介入の内容を、実測調査による史的痕跡の明確化および建築類型学的分析を通じて、実証的かつ総合的に明らかにしようとするものである。フィレンツェを中心としたイタリア中部の歴史的中心地区を対象として、歴史的な居住空間の修復・再生事例を現地調査すると共に、建築史、都市史に関する資料収集を行い、有益な成果を上げた。
著者
四方 賢一
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

我々は過去の一連の研究によって、糖尿病性腎症の成因に炎症(microinflammation)が関与していることを明らかにした。本研究の目的は、糖尿病性腎症の成因に関与する炎症関連分子を探索するとともに、microinflammationをターゲットとした腎症の新しい治療薬を開発することである。Oeteopontinノックアウトマウスに糖尿病を惹起して、腎障害の進展を野生型マウスと比較解析することにより、osteopontinが腎症の進展に深く関与しており、腎症の治療標的となる可能性が示された。また、GLP-1受容体が糸球体内皮細胞や単球/マクロファージに発現しており、糖尿病ラットにGLP-1受容体作動薬を投与することによって抗炎症作用を介して腎障害が抑制されたことから、GLP-1受容体作動薬が腎症の治療薬として有望であることが確認された。
著者
大畑 雅典
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

2008年にヒトポリオーマウイルスとしては初の腫瘍ウイルスであるメルケル細胞ポリオーマウイルス(MCPyV)が報告された。欧米ではMCPyVと慢性リンパ性白血病(CLL)との病因的関与について報告がなされているが、我が国でのMCPyVとCLLの関係については明らかにされていなかった。本研究において一部の本邦発症CLLでMCPyVが検出されたが、CLL発症に直接的な役割を果たしているかは不明である。MCPyVは単球にも持続感染することが報告されている。この持続感染が細胞の腫瘍化へと発展させるのかどうかは不明であった。そこで、単球性白血病におけるMCPyVの感染有無について解析した。
著者
加来 和子 WENZ Sharon GREGORY Barb KENDALL Robb 松下 清子 豊嶋 秋彦 KENDALL-MELTON Robbie 安藤 房治 DONALD F. De ROBBIE M. Ke
出版者
弘前大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

(1)早期療育とトランジション制度(進路選択の保障制度)を中心とした日米の比較研究-テネシー大学マーチン校(UTM)の早期療育センター長であるSharon L.Wenzは,日本の早期療育制度について次のような勧告をした。全国的な早期療育システムの確立に既存の公衆衛生制度を充実させて教育と医学の連携をはかること,障害の判定基準を明確にして対象者の選定を妥当なものとすること,子どもの障害発見のための広報活動を活発化し,照会手続きをわかりやすいものにすること,家庭が専門家の助言を受けられるセンターの設置等である。Dr.Barbara A.Gregoryは,UTMでは学習障害のある学生に対する総合的支援プログラム(P.A.C.E.)を作成し,学生,両親、高校及び大学のトランジション専門職員等が協力して実施していること,また自分の障害の理解や学習への影響の理解能力,必要な設備の認識,法律上の市民権の知識,職場や学習の場で自分に必要なものを伝える技能,等の4つの適切な基礎的トランジションの技能は,特に学習障害の学生には重要であることを紹介した。また,これら4つの基礎技能が14歳以前の早い段階で指導されることが高校卒業後の成功にも結び付くと述べた。(2)統合教育と体育指導-松下は障害児の障害の種類や程度の影響をなるべく少なくした一種の「スポーツテスト」として静的動作20種目を選択編成し,弘前市内2つの養護学校の協力を得て,児童生徒に実施した。アメリカでの障害児調査は,様々な理由から困難だったため,UTMと弘前大学の学生を対象にほとんど同じ種目による自己評価方式で静的動作調査を行い,日米比較を行った。(3)統合教育に関する日米の教員の意識・態度調査.及び知識・技能の自己評価調査の結果の検討と提案-平成5年度に日米の大学,及び附属学校の教官を対象に行った統合教育に対する意識及び自己効力調査の結果が次のとおりである。Dr.Kendallの意識調査の比較では,米国の教師の方が日本の教師より,統合教育に好意的であり,事務量や仕事が増えるが,障害児の地域社会や普通の子ども達との交流を援助し,公立学校では通常学級で障害児を教育すべきだと考えている。自己評価調査の結果,日本の多くの教師は障害児に関する知識や技能を身につけたいと考えており,行政職も含めた現職教育の必要性を示している。また自己効力の