著者
有馬 学 季武 嘉也 中村 尚史 日比野 利信 永島 広紀 一ノ瀬 俊也
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は北九州地域の都市を主たる対象に、近代日本の都市化・工業化における地方都市の位置と機能を明らかにすることを目的とする。本研究の鍵となる史料は、今回初めて利用可能になった安川敬一郎の日記をはじめとする関係史料(北九州自然史歴史博物館蔵、以下「安川文書」と略)である。本研究では第一に、「安川文書」の整理を同博物館と協力して行い、その史料情報をデータベース化して活用できるようにした。「安川文書」の活用は、地方財閥の代表的な存在であった安川財閥の企業活動を詳細に明らかにするのみならず、企業、政党、行政、社会運動等の都市主体の動向と相互関係(対抗・競合・協調)を検証し、それによって近代日本の地方都市史研究に新たな地平を開くことを可能にすると思われる。「安川文書」の主要な内容は、(1)安川敬一郎日記、(2)安川家の経営実態を示す帳簿類をはじめとする経営史料、(3)安川宛の書簡および安川の書簡草稿、(4)安川の膨大な意見書類である。本研究ではこれらの分析によって、安川の経済活動のみならず、それと結びついた政治活動、および政治・経済活動を結び付ける独特の国家観、国際情勢認識を明らかにすることができた。帳簿類の検討からは、安川家と松本家の事業上の関係(組織構造)や安川家の投資行動(資産運用のあり方)の実態が解明された。それによれば、安川家は日清戦争時の石炭ブームで得た利益を、鉱区の拡大と鉄道投資に投下し、事業多角化を実現した。また、安川敬一郎日記、書簡、意見書等を、的野半助関係文書、永江純一関係文書、新聞史料などと付き合わせることによって、これまでほとんど言及されなかった安川の政治活動の詳細が初めて明らかになった。衆議院選挙における安川の活動の舞台は北九州ではなく福岡市であり、そこでは安川は政友会系と玄洋社系双方の支持を調達できる立場にあった。安川は中央政界にも人脈をもち、第二次大隈内閣期に立憲同志会と政友会を牽制する第三勢力の形勢をはかったが、その意図は挙国一致による日中関係の安定化と、そのもとでの中国への資本進出にあった。
著者
佐宗 晃 中村 尚五
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, 1996-09-18

喉頭癌などのために喉頭全摘出を行い声帯を失ってしまった人が音声を取り戻す方法の一つに、食道に空気を貯蔵し食道入口を代用声帯として発声する食道法がある。その音質は(1)気管孔などから発生する雑音を含み、(2)発声が長く続かず途切れ、(3)ピッチ周期が不規則に変化し、(4)男女を問わず平均的なピッチ周波数が低いなどの特徴を持ち明瞭度が著しく悪い。ある程度訓練により音質を改善する事ができるが、食道者が不自由なくコミュニケーションをとれるようになるにはかなりの時間を要する。このような食道者の負担を軽減すべく、音質改善装置の研究が進められている。現在行なわれている音質改善法の一つに、腺形予測法を用いて食道音声から声道バラメータを抽出し、それをもとに人工的に生成した音源信号から音声を再合成する方法が文献などで述べられている。しかし、この方法では話者によって合成音声の音質がオリジナル音声よりも劣化すると報告されている。ここでは、食道音声から線形予測法による声道パラメータ抽出の問題点を考察する。
著者
長棟 輝行 中村 尚志 遠藤 勲 井上 一郎
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.462-469, 1991-05-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

廃糖蜜とほぼ同一の糖組成 (スクロース : グルコース : フルクトース=2 : 1 : 1) に調整した合成培地を用いた回分培養系および逐次流加培養系において, 酵母菌体結合のインベルターゼによるスクロース加水分解過程ならびにインベルターゼの最大分解速度の変化過程について実験的に検討した.その結果, スクロースの加水分解速度はスクロースによる基質阻害, 加水分解反応の生産物であるフルクトースによる拮抗阻害, またグルコースによる部分的な非拮抗阻害を受けることがわかった.さらに, 酵母菌体結合インベルターゼの最大加水分解速度は, 全糖濃度が高い場合には低く抑制されているが, 全糖濃度が低くなるにつれて増加することがわかった.この最大加水分解速度と全糖濃度との関係は一本の無次元特性曲線で表すことができた.これらの結果に基づいて, 酵母菌によるスクロースの加水分解過程のモデル式を構築し, これを用いてシミュレーションを行った.シミュレーション結果は, 回分培養系および逐次流加培養系におけるスクロースの加水分解実験結果と良く一致した.
著者
中村 尚史
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.13-34, 2007-03-09

本論では, 日露戦後期の電鉄企業による不動産事業の展開過程を, 小林一三がひきいる箕面有馬電気軌道の事例に注目しながら検討した.日本における電鉄企業の不動産事業の特徴は, 線路用地買収と前後して停車場建設予定地付近に広大な土地を取得しておき, 鉄道開業後に宅地造成と住宅建設を行って分譲するという点にある.このビジネス・モデルが成功するためには, (1)住宅用地の買収能力と(2)分譲住宅の販売能力に加えて, (3)広大な未開発地を長期間寝かせておける資金力が必要である.箕面有馬電気軌道は, このうち(1)については沿線地域の有力者を代理人する共有地や民有地の買収で, (2)についてはPR誌等を活用した沿線地域のイメージ・アップ戦略と月賦販売による新中間層への売り込みによって, さらに(3)については電鉄業の社会的信用と株式現物商の機動力を活用した低利の社債募集によって, それぞれ解決することに成功する.こうして同社は, 電鉄企業による不動産経営の開拓者となった.
著者
中村 尚史
出版者
The Society of Fiber Science and Technology, Japan
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.384-387,381, 1957

Influence of the catalyst, solvent and temperature on the fibrous acetalization of polyvinyl alcohol with cyclohexanone was studied. As cyclohexanone is insoluble in water, mixtures of water and methanol were used as a solvent. Degree of acetalization was higher when methanol concentration and temperature of reaction was low. But it was difficult to obtain higher degree of acetalization than 30mol%.<br>Boiling water resistence of the obtained fibers were not sufficient.
著者
佐々木 弘子 中村 尚子 青柳 康夫 菅原 龍幸
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.90-97, 1988-02-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
29
被引用文献数
5 5

干し椎茸の水もどし加熱調理において,浸漬水温と浸漬時間におよぼす影響について検討し,次のような結果を得た. (1) 干し椎茸を25℃で水もどしを行うと,浸漬時間が長くなるに従い,タンパク態窒素量は減少し,一方,アミノ態窒素量は増加していた. (2) 遊離型のタンパク性アミノ酸は水もどしにより増加し,増加量は浸漬水温が高いほど,また浸漬時間が長いほど多かった. (3) 遊離非タンパク性アミノ酸は水もどしによる増減はみられないようである. (4) 水もどし後の加熱調理では遊離アミノ酸量の変化は殆ど見られなかった. (5) レンチニン酸は水もどしおよび加熱調理によっても減少した.
著者
中村 尚
雑誌
天気 = Tenki (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.687-689, 2002-08-31
著者
斎藤 豊 松田 尚久 中島 健 坂本 琢 山田 真善 斎藤 彰一 池松 弘朗 和田 祥城 岡 志郎 河野 弘志 佐野 寧 田中 信治 藤井 隆広 工藤 進英 浦岡 俊夫 小林 望 中村 尚志 堀田 欣一 堀松 高博 坂本 直人 傅 光義 鶴田 修 樫田 博史 竹内 洋司 町田 浩久 日下 利広 吉田 直久 平田 一郎 寺井 毅 山野 泰穂 金子 和弘 山口 裕一郎 玉井 尚人 中野(丸山) 尚子 林 奈那 岩館 峰雄 石川 秀樹 吉田 茂昭 The Japan NBI Expert Team (JNET)
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.2314-2322, 2016 (Released:2016-11-20)
参考文献数
14

現時点で日本から提唱されている大腸NBI拡大分類(佐野分類,広島分類,昭和分類,慈恵分類)の臨床研究の結果から,大腸病変における質的・量的診断に対して,NBI拡大観察の有用性が数多く報告されている.また欧米と日本の共同グループから非拡大でも使用可能な分類としてNICE分類が提唱された.学会・研究会で討論を重ねるに従い,ⅰ)同一類似所見に対して複数の定義呼称が存在する,ⅱ)拡大内視鏡分類におけるSurface patternの必要性の有無,ⅲ)隆起型,表面型病変におけるNBI所見の相違などの問題点が議論されるようになった.2011年,この問題を解決するべく,大腸拡大NBI統一分類作成を目的とするThe Japan NBI Expert Team(JNET)が吉田茂昭先生の声かけのもと結成され,国立がん研究センターのがん研究開発費の班会議で検討が行われた.まずワーキンググループが結成され,JNET分類の元となるスケールが形成され,会議で了承を得た.このJNETスケールを元にWeb-baseでVessel pattern, Surface patternの診断精度を検討し,単変量・多変量解析の結果を基に議論を重ねたのち,2014年6月大腸拡大NBI統一分類がmodified Delphi methodによるコンセンサスを得て提唱されるに至った.JNET大腸拡大NBI分類はVessel pattern, Surface patternのカテゴリーからなるType 1,2A,2B,3の4分類に分類される.Type 1は過形成性ポリープ,Type 2Aは腺腫~低異型度癌(Tis),Type 2Bは高異型度癌(Tis/T1a),Type 3は高異型度癌(T1b~)の病理所見に相関する.所見の目合わせに関して現在班会議,日本消化器内視鏡学会附置研究会において議論を重ねている段階である.
著者
工藤 勇人 中村 尚彦 浜 克己 鈴木 学 大塚 弘文
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第59回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.853-854, 2016 (Released:2017-02-01)

釣りは障害者にも広く楽しまれていることが知られている.そこで、様々な身体条件の方に釣りをスポーツ、またはコミュニケーションツールのひとつとして楽しんでもらうため、釣りのバリアフリー化を目指したFishingHelperの開発を行う。
著者
兵藤 知典 竹内 清 中田 正也 宮坂 駿一 金森 善彦 東原 義治 梅田 巌 木村 逸郎 山越 寿夫 高橋 善昭 古田 悠 内田 俊介 田中 義久 片岡 巌 播磨 良子 布施 卓嘉 中井 優 島村 光 大久保 正紀 田中 俊一 三浦 俊正 伊藤 泰義 西村 達雄 中村 尚司 金井 康二 山路 昭雄 植木 紘太郎 木邨 祐二 竹村 守雄
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.312-321, 1973-05-30 (Released:2010-04-19)
参考文献数
74

This is a report on the activities of the Research Committee on Neutron Shielding (Apr. 1970-Mar. 1973), Atomic Energy Society of Japan. The Committee studied the present status and problems in Japan and the trends in foreign countries in such fields as neutron reactor shielding, including transport calculations, duct streaming, spectroscopy, shielding optimization and cross sections for shielding calculations. Three working groups established in the Committee-Neutron Transport, Duct Streaming and Cross Section for Shielding-undertook such activities as (a) calculations of the five benchmark problems for testing computational methods in neutron transport, (b) a survey of theoretical and experimental approaches to duct streaming, and (c) intercomparison of nuclear data for particular nuclides related to shielding in data libraries such as ENDF/B-I, III, KFK-120 and -750.
著者
飯本 武志 藤本 登 中村 尚司
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.93-102, 2014
被引用文献数
1

本事業は,高校生による放射線等に関する課題研究活動を,文部科学省が支援するものである。この課題研究は,交流会,自主研究,成果発表会の三つの柱で構成されている。メディアでも紹介され,大変に評判のよい事業であったが,残念なことに,この支援事業は平成24年度で打ち切られた。7年間の支援事業の概要を紹介すると共に,今後の展開の可能性を考察した。
著者
平川 幸子・村上 佳菜・義澤 宣明・滝澤 真理・河合 理城・佐藤 理・高木 俊治 中村 尚司 義澤 宣明
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.167-172, 2014

<p>2011 年3 月11 日に発生した東日本大震災に伴う原子力発電所事故直後から環境中及び露地野菜,原乳,水道水等から,ヨウ素131 が検出された.本稿では,主にヨウ素131 による内部被ばく線量の再評価の参考となる,事故直後の福島県住民の避難状況及び避難者の避難中の食生活及び流通実態について調査し,課題を整理した. 調査結果からは,事故直後に避難者が摂取した食品等の多くは事故前からの備蓄品又は被災地外からの支援物資であったことが確認された.さらに,対象野菜の出荷制限,水道水の摂取制限の他,流通施設の被災,小売店舗の閉鎖,等の状況からヨウ素131 で汚染された食品等が大量に消費される状況ではなく,一般に広く流通した可能性は低いことが示唆された.</p>
著者
中村 尚広 竹内 広宜 山口 高平
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

サービス業におけるサービス改善の方法として,消費者の声を直接反映している口コミ情報が注目されている.しかし,口コミ情報を直接読むだけでは,サービス改善の糸口を発見することは困難な場合が多い.本研究では,サービス改善のきっかけとなる示唆を得るために,オントロジーを用いて口コミ情報を,様々な視点からの分析ができるよう構造化する手法を提案する.また,サービス改善の糸口を導出する分析手法を提案する.