著者
大坪 研一 中村 澄子 今村 太郎
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.388-397, 2002-02-01 (Released:2008-11-21)
参考文献数
22
被引用文献数
20 36

精米の袋に品種,産地,生産年を表示することが義務づけられたため,客観的方法によって表示の正否を確かめるための技術開発が必要とされている.そこで,農業試験場の基準品種を試料とし, PCR法による実験に供試した.有望なRAPDプライマーを用いて品種識別バンドを選定し,アガロースゲルから切り出したDNAを大腸菌に組み込んで増幅し,その塩基配列を決定した.その配列のRAPDプライマー部分から延長して15~29量体のフォワードプライマーおよびリバースプライマーを設計した.こうして作成したSTS化プライマーを組み合わせることにより,「コシヒカリ」を他の品種と識別するためのポジティブプライマーセットおよびネガティブプライマーセットを開発した.これらのセットを用いるPCRにより,全国の33産地の「コシヒカリ」では同一のDNAパターンが得られ,「コシヒカリ」と他の49品種との識別が可能であることが明らかとなった.このプライマーセットの開発により, 1粒の米試料による「コシヒカリ」の同定が可能であるばかりでなく,他品種米の混入も簡易かつ明瞭に検出することが可能となった.
著者
中村 弘 石黒 章夫 内川 嘉樹 ROLF Pfeifer
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.18, no.7, pp.963-971, 2000-10-15
参考文献数
9
被引用文献数
10 3

Conventional artificial intelligence and cognitive science approaches have been arguing the emergence of intelligence by completely separating the cognitive agent from its environment. In this paper, we intensively investigate and analyze the role of the system-environment interaction through the comparison between the information processing and embodied cognitive approaches. By taking account of this interaction, we experimentally show some of the hard classification problems suffering from the large input space and the ambiguities due to the perceptual aliasing problem can be greatly alleviated. To demonstrate this concept, we apply to a garbage-collecting task as a practical example.
著者
横田 朗 深沢 元晴 中世古 知昭 石井 昭広 池上 智康 木暮 勝広 西村 美樹 松浦 康弘 森尾 聡子 中村 博敏 王 伯銘 比留間 潔 浅井 隆善 田辺 恵美子
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.35-39, 1996 (Released:2009-04-28)
参考文献数
12

症例は36歳男性。12歳時より尋常性乾癬を発症し,ステロイド外用剤およびPUVA療法を行ったが,改善は軽度であった。1987年再生不良性貧血を発症。各種治療が無効のため,1993年同種骨髄移植を行った。移植前処置はtotal lymphoid irradiation 7.5 Gyとcyclophosphamide 200 mg/kgで行い,GVHD予防はcyclosporin A + short term methotrexateで行った。移植前の乾癬の活動性は高く,全身性に融合傾向の強い紅斑が多発し,著しい爪の変形も認められた。移植後十分な造血の回復とともに,皮疹は消失し,爪の変形も改善した。乾癬の発症には免疫学的機序の関与が知られているが,同種骨髄移植による細胞性免疫の再構築により乾癬の消失が得られたと考えられた。難治性の免疫異常による疾患に対して,同種骨髄移植が一つの治療法となり得ることが示唆された。
著者
伊藤 進一郎 中村 宣子
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.262-267, 1984-07-25
被引用文献数
3

1976〜1979年の4年間, 東京大学農学部小石川樹木実験圃場において樹木の白紋羽病被害の発生状況について調査を行った。ヤマナラシの生枝による菌の捕捉調査および被害木の分布状態から本圃場には白紋羽病菌(Rosellini anecatrix)が広く分布していることが判明した。調査期間中に45科158種の樹木で発病が観察されたが, そのうち135種が未記録の新宿主であった。発病樹種のなかでは, トチノキ, ブナ, ウメモドキ等では被害木の発生本数が多かった。一方, コウヨウザン, シュロ, クマザサ等では, 土壌中で本菌の生息が確認された位置にありながらまったく被害が発生しなかった。被害は根元直径2cm以下, 樹高1.5m以下の幼樹に集中してみられ, 夏期に発生が多かった。本圃場では, 1960年代に導入改良ポプラ類の系統保存が行われたが, その際本病に罹病した根が未処理のまま残された。このときのポプラ植栽位置と今回罹病個体が集中して認められた位置とがきわめてよく一致するところから, これら罹病ポプラの残根が本圃場での白紋羽病の発生源となり, さらにそこから若齢の植栽樹に被害が拡大したものと推測された。
著者
中村 好德 福間 康文 金子 真 小林 良次
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:2185081X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.51-55, 2017 (Released:2017-07-01)
参考文献数
19

ホルスタイン種去勢雄牛16 頭の半腱様筋を用いて,熟成処理の違いが肉質に及ぼす影響を調査し た.熟成処理は無処理(NA),冷蔵熟成(2˚C で38 日間;WA),氷温熟成[ − 1˚C で54 日間(HA-S)と108 日 間(HA-L)] ならびに乾燥熟成(2˚C で38 日間;DA)に区分した.NA に比べてWA とHA-S でドリップロスが 有意に増加した.HA-L とDA で破断強度が有意に低下し,DA で過酸化物価が有意に上昇した.WA で一般生菌 数が有意に増加したが,大腸菌群数は全ての検体で陰性だった.遊離アミノ酸総量は有意に増加し,特にHA-L で 顕著であった.また,脂肪融点,タウリンとカルノシン含量,遊離アミノ酸組成は変化しなかった.と畜後の熟成 処理により肉質は変化し,熟成方法によりその変化は異なることが示唆された.
著者
佐々木 弘子 中村 尚子 青柳 康夫 菅原 龍幸
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.90-97, 1988-02-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
29
被引用文献数
5 5

干し椎茸の水もどし加熱調理において,浸漬水温と浸漬時間におよぼす影響について検討し,次のような結果を得た. (1) 干し椎茸を25℃で水もどしを行うと,浸漬時間が長くなるに従い,タンパク態窒素量は減少し,一方,アミノ態窒素量は増加していた. (2) 遊離型のタンパク性アミノ酸は水もどしにより増加し,増加量は浸漬水温が高いほど,また浸漬時間が長いほど多かった. (3) 遊離非タンパク性アミノ酸は水もどしによる増減はみられないようである. (4) 水もどし後の加熱調理では遊離アミノ酸量の変化は殆ど見られなかった. (5) レンチニン酸は水もどしおよび加熱調理によっても減少した.
著者
中村光夫著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1964
著者
中村 八重
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

自治体や民間団体を主体として朝鮮通信使を見直す事業が振興している。これらは「日韓交流」を掲げる団体と各地の自治体による、地域を越えて記憶を共有しようとする試みとみることができる。本発表は、全国の各地で朝鮮通信使行列の再現が行われるようになった現象をとりあげこうした事業の発展過程で新たに作られていく記憶と忘却されていく記憶について論じる。
著者
中村 周作
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.192-205, 1993-04-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
34
被引用文献数
2
著者
並木 政人 中村 壮亮 橋本 秀紀
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.136, no.7, pp.485-493, 2016

Recently, wireless charging via magnetic resonance coupling has gained attention because it has the potential of efficient midrange wireless charging. Here, functions such as sensing at the transmitter and wireless communication from the target are the essential elements to realize a standard wireless charging system. Currently, the sensing and communication protocol of the hardware (i.e., the high-frequency power source and antenna configuration) compatible with wireless charging is gaining attention in terms of its cost and space reduction due to the use of common components for multiple functions. However, this protocol has the problem of narrow effective areas due to the fact that the sensing range depends on the fixed Q factor of the antenna. To overcome this problem, the concept of wide-area sensing based on a Q controllable antenna is proposed, and the effectiveness is verified through a theoretical analysis and an experiment. As a result, it is clarified that the effective area can be expanded up to a ratio of the distance g between the transmitting and receiving antennas to the inner diameter d of the antenna g/d =5.0.
著者
中村 萬次
出版者
四日市大学
雑誌
四日市大学論集 (ISSN:13405543)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.79-102, 1996-03-01
著者
功刀 卓 青井 真 中村 洋光 藤原 広行 森川 信之
出版者
SEISMOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
地震 第1輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.243-252, 2008
被引用文献数
20

A new calculation method is proposed for a real-time seismic intensity indicator (<i>I</i><sub>r</sub>), whose concept is similarly to the JMA seismic intensity (<i>I</i><sub>JMA</sub>)defined by Japan Meteorological Agency. With the increasing requirements of earthquake early warning (EEW) system, it is much more obvious that <i>I</i><sub>JMA</sub> has a real-time delay since the <i>I</i><sub>JMA</sub> needs a filtering operation in frequency domain. In order to improve the real-time calculation suitable for the EEW system, a new real-time seismic intensity indicator, <i>I</i><sub>r</sub> (real-time seismic intensity), is defined by using an approximating filter in time domain instead of the original filter in frequency domain. This indicator, <i>I</i><sub>r</sub>,can be calculated as a time series on real-time and its maximum value, <i>I</i><sub>a</sub> (approximate seismic intensity), corresponds to an approximate value of <i>I</i><sub>JMA</sub>. The relationships between <i>I</i><sub>JMA</sub> and <i>I</i><sub>a</sub> value are examined by means of using a large number of strong motion records. Results show that <i>I</i><sub>a</sub> value estimates <i>I</i><sub>JMA</sub> with reasonable accuracy in wide intensity ranges. For a small computing system like a strong-motion seismograph, it is easier to process <i>I</i><sub>r</sub> than processing <i>I</i><sub>JMA</sub>. Therefore, <i>I</i><sub>r</sub> is suitable for using in an EEW system based on the concept of JMA seismic intensity.
著者
中村 泰治 ナカムラ ヤスハル Yasuharu Nakamura
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.50, pp.85-98, 2014-02

金融システムの機能は景気循環の各局面に応じて変化する。典型的な景気循環において、好況期の上昇局面では、金融システムは資本蓄積を積極的に促進するが、不況期の下降局面では、むしろ資本蓄積をマイナスに促進する。独占段階になると、大恐慌のように長期の下降局面が現れることがあるが、こうした局面では金融システムの機能の逆転性はヨリ明確になる。しかしこの機能変化は金融システム自身に原因があるのではない。資本蓄積の変化が基礎にあり、金融システムはその変化を増幅する機能を果たしているに過ぎないのである。The financial system plays the different functions in each phase in a business cycle.In the typical business cycle, it promotes the accumulation of capital positively inthe rising phase, but it reduces the amount of capital in the declining phase. On thestage of monopolistic capitalism, the contrary function of the financial system appearsclearly in such a declining phase as the Great Depression. But the financial systemdoes not change the function independently. It only expands the change in thecondition of the accumulation of capital.
著者
中村 泰治 ナカムラ ヤスハル Yasuharu Nakamura
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.44, pp.15-29, 2011-01

商業銀行の基本業務は預金収集と手形割引であり、商業銀行といえども、基本的には他のタイプの銀行と同様に金融仲介機関である。しかし商業銀行は別の業務も行う。たとえば手形割引の拡大のために銀行券を発行するが、この信用創造は、商業銀行の基本業務というより、基本業務をベースにして行う商業銀行の特徴的業務といえる。また、商業銀行は銀行券による預金収集や手形交換を行うし、銀行間で短期金融業務も行う。これらの業務も基本業務をベースにして登場し、基本業務を増幅すると同時に信用創造を拡大する意義をもつものということができる。Collecting deposits and discounting bills are basic services of a commercial bank which is a financial intermediary just like other types of banks. But it makes more services. Issuing service of bank notes to expand discounting bills is what is called credit creation, which is not a basic service but a characteristic service of a commercial bank. It also makes depositing service of bank notes, clearing service of bills and financing service of short-term loans. These services are of significance to amplify basic ones and credit creation of a commercial bank.
著者
法山 徹 勝木 道夫 後藤 伸介 中村 立一
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.28, 2012

<b>【目的】 </b>超音波治療(US)は、局所へ理学療法(PT)の一手段として用いられ、その生理学的効果としては、コラーゲン組織の伸張性増大や疼痛の軽減等が報告されている。しかし、臨床においては関節可動域(ROM)制限に遭遇する頻度は比較的多いものの、USがその改善に寄与したとする報告は少ない。そこで、本研究では腱板断裂術後患者に対するUSがROM改善に及ぼす効果を検証することを目的とした。<br><b>【方法】 </b>症例は50歳代の男性であり、広範囲腱板断裂に対し、関節鏡視下腱板修復術(大腿筋膜を用いたパッチ法)を施行された症例であった。術後3ヶ月にて、大工への職業復帰を目標に当院に紹介され、初回評価時の日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(JOA score)は66.5点、肩関節自動屈曲ROMは95°であった。研究デザインはABAとし、期間Aは通常の運動療法のみを行い、期間Bは運動療法とUSの双方を行い、AとBを2週間ずつ其々週3回の介入で交互に実施した。期間BにおけるUSは、Ultrasonic Apparatus Model ES-1(OG技研社製)を使用し、周波数は1MHZ、出力は1.2W/㎝2、施行部位は肩甲骨内側縁(肩甲棘~下角間)、照射時間は10分間とし移動法にて実施した。また、運動療法については肩甲上腕関節及び肩甲胸郭関節のROM運動、胸椎モビリゼーション、肩甲骨周囲筋のリラクゼーション及び自主運動指導を期間A, Bとも同様に行った。評価は、PT前の肩関節自動屈曲ROMとし、初回Aの前(以下preA)、Bの前(以下preB)、2回目Aの前(以下preA&rsquo;)、2回目A終了翌日(以下post A&rsquo;)に行い、2回測定した低値のものを採用した。結果の処理は、PT前の肩関節自動屈曲ROMについて各セッションの前後での変化率(%)を算出した。<br><b>【説明と同意】 </b>患者には、本研究の趣旨を説明し同意を得て行った。<br><b>【結果】 </b>preA, preB, preA&rsquo;、post A&rsquo;における肩関節自動屈曲ROM(°)は、各々120, 125, 145, 135であった。ROM改善率は、期間Aで104.1%、期間Bで116.0%、期間A&rsquo;で96.4%であり、運動療法にUSを併用した期間で改善する傾向を示した。また、期間A&rsquo;より大工への職業復帰となった。<br><b>【考察】 </b>本研究により、腱板断裂術後患者に対して運動療法にUSを併用することはROM改善に有効であることが示唆された。今回の症例ではUSを肩甲骨内側縁に施行していたが、これは同部に生活上での倦怠感を訴えていたことや圧痛が出現していたことから挙上の阻害因子と考えたため行った。USの併用によりROMが改善したことについては、僧帽筋や菱形筋等の肩甲骨内側組織の伸張性が改善したことにより肩甲骨上方回旋が促通されたためと考えた。また、期間A&rsquo;においては、ROMが低下する傾向を示していたが、職業復帰により急激に上肢の運動量が増し、仕事後の疼痛増強もみられていたため職業復帰による過用が原因と考えた。<br> 今後は、USの実施方法(筋収縮の併用や施行筋の肢位、プラセボ化等)について、より効果的な方法を検討していくことが必要と考えた。<br><b>【まとめ】 </b>腱板断裂術後患者に対してUSの有効性を検証した。運動療法にUSを併用することは、ROM改善に有効であることが示唆された。
著者
中村 文亮
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織学会大会論文集 (ISSN:21868530)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.13-18, 2017 (Released:2017-08-18)
参考文献数
14

In social capital theory, network and assets embedded in tie have been studied as antecedent of individual innovation activity. Although acquisitions are reported resulting in the change of co-inventor network for R&D personals in acquired firms due to the position allocation and turnover, the prior studies have not enough investigated the impact of such a social capital change on the individual innovation activity after acquisition. This paper investigates the effect of the two types of their ego-network changes on the postacquisition innovation performance. First is disruption of exiting tie after acquisition, and second is the extension of new tie to inventors in acquiring firms. Using patent data, on a sample of 429 inventors in American semiconductor industry, we find that their old ties which are preserved after acquisition, and their new ties to acquirer's inventors increase the performance. Furthermore, we find that the positive impact of new ties is expanded as the degree of overlap in the technological knowledge of acquiring and acquired firm becomes lower.