著者
中村 南美子 萩之内 竹斗 浅野 陽樹 池田 充 龍野 巳代 赤井 克己 大島 一郎 中西 良孝 髙山 耕二
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部学術報告 = Bulletin of the Faculty of Agriculture, Kagoshima University (ISSN:24321885)
巻号頁・発行日
no.71, pp.23-30, 2021-03-30

都市部でのニホンアナグマ(以下,アナグマ)の生息実態に関する基礎的知見を得ることを目的とし,地方都市における大学キャンパスでのアナグマの出現状況とそれによる農作物への被害発生状況について検討した。2019 年1~12 月に自動撮影カメラ4 台を教育学部実習地,農学部附属農場(研究圃場ならびに動物飼育棟)および植物園内に設置し,アナグマの出現状況については静止画,農作物への被害発生状況については動画でそれぞれ撮影した。自動撮影カメラで野生哺乳類は計302 枚撮影され,そのうちタヌキは147 枚(48.7%)と最も多く,次いでアナグマは113 枚(37.4%),ノネコは41 枚(13.6%)およびイタチは1 枚(0.3%)の順であった。場所別ではアナグマが教育学部実習地で最も多く観察された。月別にみたアナグマの撮影頻度指数は,5~7 月で高く,1~3 月および8 月で低かった。しかしながら,その出現は年間を通じて認められ,5 月には教育学部実習地でビワの実の採食被害が認められた。以上より,地方都市にある大学キャンパスでアナグマは年間を通じて生活しており,農作物の一部に採食被害が起きていることが明らかになった。
著者
神 一敬 板橋 泉 中村 美輝 中里 信和
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.40-44, 2020-02-01 (Released:2020-02-06)
参考文献数
22

焦点てんかんは, 焦点の局在により, 発作に対する睡眠の影響という点でそれぞれ異なった特徴がある。後頭葉てんかんは覚醒中の発作が多いのに対して, 前頭葉てんかんは睡眠中の発作が半数以上を占める睡眠てんかんの代表的疾患である。前頭葉てんかんでは, 焦点性間代発作, 非対称性強直発作, 過運動発作 (運動亢進発作) といった運動症状をきたす発作がみられる。睡眠中に異常運動・行動をきたすため, ノンレムパラソムニア (ノンレム睡眠からの覚醒障害群) との鑑別が問題となる場合があるが, 発作が一晩に複数回群発することがある, 運動症状がステレオタイプで無目的である, といった点が鑑別点として重要である。終夜睡眠ポリグラフ中にイベントが記録されれば, 前頭葉てんかんの発作はノンレム睡眠stage N2に起きることが最も多いのに対して, ノンレムパラソムニアはノンレム睡眠stage N3に起きる点が特徴である。
著者
久保 暁子 山本 清龍 中村 和彦 下村 彰男
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.33(2019年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.181-186, 2019-11-25 (Released:2019-11-22)
参考文献数
9

本研究では,ストレス軽減のためデジタル機器から一定期間離れる取り組みであるデジタルデトックスの基盤的な研究を企図して,①回答者の属性とデジタル機器の使用状況,デジタル機器の依存性を把握し,それらの関係性を明らかにすること,②平日・休日の過ごし方,デジタルデトックスへの意向を把握し,デジタルデトックスの可能性を考察すること,の2点を目的とした。その結果,約半数の学生がデジタル機器を4時間以上使用し,一部の学生は機器の使用によって学生生活に問題を抱えていた。学生の意向をふまえれば,日常の機器使用制限や自然豊かな場所への外出はデジタルデトックスに有効と考えられた。
著者
佐藤 朝美 椿本 弥生 荒木 淳子 堀田 博史 松山 由美子 中村 恵 松河 秀哉
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では、園と保護者が連携し、パートナーシップの関係性を構築するためのポートフォリオを開発することを念頭に、設計要件を導くための調査を行った。写真を共有するシステムを利用している保育者と保護者へインタビューを行い、パートナーシップの構築のために、保育者と保護者の互いの専門的知識を提供し合う方法が課題として挙げられた。そこで、保護者が園から提供された情報をもとに子どもの成長や学びについて深く考えていくために、園生活や活動の意義、園や先生の役割、保護者の成長と園との関連について振り返る支援を行うワークショップを開発・実践した。保護者の意識が変化し、そこから保育者との相互理解の可能性が示唆された。
著者
目叶 裕史 江口 直人 加藤 たつ郎 中村 中
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.47-52, 2016 (Released:2016-01-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

血液透析の分野は生命予後の改善や生活の質 (quality of life : QOL) の向上のため, 浄化法や管理方法の検討がされており, 当院では内部濾過を踏まえた透析量増大を考え, 現在350mL/min以上の高血液流量で治療を行っている. 日常的な制限を極力設けない高血液流量透析のQOLを含む生命予後への影響について当院のデータと日本透析医学会やほかの研究データと比較した. 高血液流量透析は透析効率や透析量, 栄養指標, QOL評価が高い傾向にあり, 粗死亡率は5.2%と十分に低く, 透析歴20年以上の長期透析患者は21.9%と高い割合を占めた. 高い血液流量により内部濾過が増えれば予後不良因子を多く除去できる大きな透析量が得られ, その大きな透析量が食事制限を必要としない栄養状態の良好な生活が維持できてQOLの向上に貢献していると考える. 高血液流量透析は生命予後の改善, QOLの向上のため重要な基本条件である.
著者
中村 修也
出版者
文教大学
雑誌
教育研究所紀要 = Bulletin of Institute of Educational Research (ISSN:09189122)
巻号頁・発行日
no.5, pp.17-26, 1996-11-01

現代社会において、漫画やアニメは一つの文化として確立している。このことを踏まえた上でも、「セーラームーン」は幼児教育にとって害をなすものである。それはセーラームーンが、GNPを高めた金満国家の中年趣味をベースに作成されたものであり、それを商業ターゲットとした幼児に企業を始めとする大人が与えたものだからである。

3 0 0 0 OA 訓蒙図彙 20巻

著者
中村惕斎 編
出版者
山形屋
巻号頁・発行日
vol.[3], 1666
著者
仲村 秀子 尾島 俊之 中村 美詠子 鈴木 孝太 山縣 然太朗 橋本 修二
出版者
東海公衆衛生学会
雑誌
東海公衆衛生雑誌 (ISSN:2187736X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.71-75, 2013-07-20 (Released:2018-12-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

目的 2011年に発生した東日本大震災前後の岩手県・宮城県・福島県の出生率・男児出生割合・低出生体重児割合の変化を明らかにすることである。方法 2007年から2011年の人口動態統計を用いて,全国,岩手県,宮城県,福島県における各年の出生数・出生率,男児出生割合,低出生体重児数と割合の推移を,それぞれの変化率を用いて検討した。出生数・出生率は男女を合わせた総数を,低出生体重児数と割合は,総数と男女別の検討を行った。次に,2007年から2010年を合わせた出生率,男児出生割合,低出生体重児割合と2011年のものと比較し,χ2検定を行った(有意水準を5%)。結果 2007年から2011年にかけて全国,岩手県,宮城県,福島県の出生数と出生率は,概ね低下していた。2007年から2010年を合わせた出生率と2011年との比較では,全国,岩手県,宮城県,福島県いずれも2011年は有意に低下していた。男児出生割合は,2007年から2011年にかけて全国は緩やかに減少していた。岩手県は52.26%から50.44%に年々減少し,宮城県,福島県は50.78%から51.91%の間を増減しながら全体としては横ばいであった。2007年から2010年を合わせた男児出生割合と2011年との比較では全国と岩手県は有意に減少していた。低出生体重児割合は,2007年から2011年にかけて総数では,全国は安定していたが,岩手県・福島県は年によって増減しながら,ほぼ横ばいであった。宮城県は概ね上昇していた。男女別にみると,男児は2007年から2011年にかけて,全国は8.50%前後を推移したが,岩手県,宮城県,福島県は増減を繰り返し,ほぼ横ばいであった。福島県は他県と比較して増減の幅が大きかった。女児は全国では10.70%前後を推移したが,宮城県は概ね上昇していた。岩手県,福島県は増減を繰り返しながら横ばいであった。2007年~2010年を合わせた低出生体重児割合と2011年との比較では,宮城県の女児は10.02%から11.04%へと有意に増加し,福島県の男児は8.25%から7.56%へと有意に減少していた。結論 東日本大震災が起こった2011年の全国・岩手県・宮城県・福島県の出生率は2007年から2010年と比較して有意に低下し,男児出生割合は全国と岩手県で有意に減少していた。低出生体重児割合は,宮城県の女児で有意に増加し,福島県の男児で有意に減少していた。今後,より詳細な分析が必要である。
著者
園生 智弘 白川 透 藤森 遼 島田 敦 奈良場 啓 高橋 雄治 橋本 英樹 中村 謙介
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.151-155, 2020-06-30 (Released:2020-06-30)
参考文献数
16

目的:救急外来(ER)における患者動態の把握は,業務の評価および患者予後改善の観点から重要であるが,測定が困難である。本研究では,システムログを用いてER混雑度と患者待ち時間の定量化を行った。対象:2019年6月1日〜2019年6月30日に当院ERをwalk-in受診した患者を対象とした。ERシステムNext Stage ERの記録を解析することで,ERにおける待ち時間およびER滞在時間・滞在人数を算出した。結果:観察期間中のwalk-in受診患者857名のうちトリアージ時間のデータのある者691名を解析対象とした。トリアージ待ち時間の中央値は10分36秒であった。急なwalk-in患者の増加に対して,待ち時間の延長を認めた。結語:日常診療において自動的に収集されるシステムログを活用することで,ERの業務評価,および診療の質評価と改善につながる可能性が示唆された。
著者
中村 真理 高橋 涼子 坂口 俊二
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.185-193, 2019 (Released:2020-07-13)
参考文献数
15

【目的】日本での 「小児はり」 は250年の歴史ある鍼灸治療のひとつである。 近年の報告では、 その治療件数は減少傾向にあるとされるが、 本鍼灸院でのニーズや臨床の手応えとに乖離がある。 そこで今回、 夜泣き児83例について6年間診療録を振り返り、 治療効果を検討した。 【対象と方法】対象は、 2012年9月~2018年9月の間に、 初診時 「睡眠症状 (広義の夜泣き)」 の調査スコア1以上に記載のあった83名 (男児38名、 女児45名、 平均年齢2.2±2.8歳) とした。 治療は随証治療とし、 鍼は切皮しない大師流小児鍼と鍼を用いた。 灸は線香灸 (皮膚に近づける) を用いた。 評価は小児はり学会認定の自記式評価票を用いて、 大項目として 「睡眠症状 (広義の夜泣き)」、 その小項目として“(狭義の) 夜泣き”“寝付きが悪い”“途中覚醒”の3項目、 一晩の途中覚醒の回数、 小児はりきゅう治療に対する満足度を調査した。 評価時期は、 初診時と5回目治療前とし、 評価票のスコア・途中覚醒の回数変化を比較検討した。 解析にはWilcoxon符号付順位和検定を用い、 有意水準は5%とした。 【結果】大・小項目のスコア、 途中覚醒の回数に有意な改善がみられた。 90.4%が治療に満足と回答し、 不満はみられなかった。 【考察】小児はりきゅう治療は 「睡眠症状 (広義の夜泣き)」 の改善に有効であることが示唆された。 臨床研究が進みつつある小児はりの分野で、 その有効性・有用性のエビデンスを示すことで、 多くの保護者が安心して育児することに寄与できると考える。 【結語】4回の小児はりきゅう治療により、 大項目 「睡眠症状 (広義の夜泣き)」 と、 その小項目“(狭義の) 夜泣き”“寝付きが悪い”“途中覚醒”のスコア、 途中覚醒の回数が有意に改善した。 小児はりきゅう治療は 「睡眠症状 (広義の夜泣き)」 の症状改善に有効な治療方法であることが示唆された。
著者
三船 毅 中村 隆
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.83-106, 2010

衆議院選挙投票率が1996年以降に低水準で推移してきた一因を究明する。戦後日本の衆議院選挙投票率は1993年から急激に低下して1996年に最低投票率を記録した。その後の2000年,2003年の選挙でも投票率は低水準で推移しており,2005年の郵政選挙では有権者の関心も高く投票率は若干上昇したが,この間の投票率は1990年以前の水準とは大きく乖離している。投票率が1996年以降に低水準で推移した一因として,有権者のコウホート効果の存在が考えられ,コウホート効果の析出を行った。分析方法はコウホート分析における識別問題を克服したベイズ型コウホートモデルを用いた。使用したデータは,1969年から2005年までの総務省(自治省)による「衆議院選挙結果調」における年齢別投票率と,明るい選挙推進協会の「衆議院議員総選挙の世論調査」から集計した年齢別投票率である。分析結果から,およそ1961年以降の出生コウホートから投票率を低下させるコウホート効果の存在が確認された。
著者
中村 将人
出版者
北海道大学大学院経済学研究院地域経済経営ネットワーク研究センター
雑誌
地域経済経営ネットワーク研究センター年報 (ISSN:21869359)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.61-74, 2020-03-30

寿都鉄道は,大正期から昭和中期にかけて北海道後志地方に存在した局地鉄道であり,国有鉄 道に買収してもらうことを前提に,当面の輸送手段確保のために地元資本によって敷設された当座企業 であったと言われる。大正期の鉄道業では減価償却が実施されつつあったが,その根底にあるのは「継 続企業の公準」であり,換言すると安定的な減価償却は継続企業性を示す指標であった。寿都鉄道の減 価償却実務を分析すると,処分可能剰余金に感応的な計上額ではあるが減価償却を実施しており,未成 熟ながらも継続企業性を模索していたことが判明する。
著者
中村 元保 加藤 晶人 井上 元 鈴木 恵輔 中島 靖浩 前田 敦雄 森川 健太郎 八木 正晴 土肥 謙二
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.407-410, 2020-12-28 (Released:2020-12-28)
参考文献数
7

症例は89歳の女性。身長147cm, 体重43kgと小柄で慢性閉塞性肺疾患 (Chronic Obstructive Pulmonary Disease : COPD) の既往歴がある。1カ月前から呼吸困難を自覚していた。朝に呼吸困難が増強したためにツロブテロールテープ2mgを1枚胸部に貼付したが, 症状改善ないために夕方に2枚目を胸部に追加貼付した。追加貼付2時間後から動悸, 嘔気を自覚したために救急要請した。救急隊到着時は意識レベルJCS1であったが, 嘔吐が出現し意識レベルJCS100まで低下し当院へ救急搬送された。搬送時意識障害は改善傾向であり, 胸部に貼付されていたツロブテロールテープ2枚を剝離したところ動悸と嘔気が消失した。臨床症状よりツロブテロールテープによる中毒症状が疑われた。貼付薬は容易に自己調整できるが, 高齢者や乳幼児など管理能力に問題がある場合や, 低体重の症例では使用方法に注意が必要となる。また, 救急対応の際には全身観察での貼付薬の有無の確認も必要となってくる。
著者
中村 英夫
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4-5, pp.149-157, 2019-09-10 (Released:2019-12-19)
参考文献数
30

This manuscript is to introduce the recording and analytic methodologies of surface electromyography (sEMG). sEMG is often concerned not only biomechanics and sport sciences but also recently IoT and ordinary life monitoring. However, although there are many publications for studies of biomechanics or rehabilitation, their documents for EMG is not understandable enough for the persons who are not specialized as EMG users. In view of the development of IoT or computer technologies, it must increase the researches and the novel technologies with EMG recordings in our daily lives but, because there is no standard for EMG, the beginners for EMG might face the difficulties to use EMG in their own interests. The author will try to explain for them on the physiological basis, the recording and analyses for EMG and then will also describe the applications of EMG.
著者
山本 孝治 中村 光江
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
pp.20180706031, (Released:2018-11-30)
参考文献数
24

本研究の目的は,青年期以前に発症した中年期のクローン病患者がこれまでどのように生活を再構築してきたのか,今後どのように病気とともに生活しようと考えているのかを明らかにすることである。中年期クローン病患者7名を対象とし,半構成的面接から得られたデータを質的に分析した。その結果,[再構築の契機となる経験][調子のよさを維持させる][体調コントロールの軸は自分][体調を優先させて生きる強さをもつ][自分の感覚が頼り][体得した自分流の工夫を生活に組み入れる][加齢や合併症出現による将来の生活の不安]の7つのカテゴリー,[乗り越えてきた喜びと自信][豊かに生きていく]の2つのコアとなるカテゴリーが抽出された。生活の再構築は繰り返され,病気や加齢による影響をふまえ,自分らしく豊かに生きていこうとするものであった。患者が自分流の工夫を実践し振り返りながら修正させ発展できるような支援が必要である。