著者
久保 儀忠 栗栖 幹典 大屋敷 岳男 寺井 桃加 中川 勉 柴山 良彦
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【目的】医薬品の一包化調剤は、薬剤管理の簡便性が高まり、患者の服薬アドヒアランスの向上につながるため広く利用されている。エゼチミブ‐アトルバスタチン配合錠は、分包または一包化した際の安定性に関する資料がないため、PTPシートのまま保存及び調剤することが推奨されている。本検討は、エゼチミブ‐アトルバスタチン配合錠を多湿の条件下で保存した際の性状の変化について製剤試験を用いた検討を行った。【方法】エゼチミブ‐アトルバスタチン配合錠は、アトーゼット配合錠®HDを対象とし、相対湿度75%、30℃の条件下で4週間保存し、質量の測定、硬度試験、崩壊試験及び溶出試験を行い、保存前後における試験結果を比較した。【結果】アトーゼット配合錠®HDは吸湿により、質量が増加した。硬度試験の結果、PTPから取り出した直後の硬度が平均21.4㎏に対し、4週間保存後は平均11.7㎏に低下した。水を試験液とした崩壊試験の結果、崩壊に要した時間は、PTPから取り出した直後の場合は平均7分20秒であったのに対し、4週間保存後は平均42分38秒に延長した。溶出試験第2液にポリソルベート80を添加した試験液を用いて溶出試験を行った結果、アトルバスタチンの溶出率は保存後に著しく低下し、エゼチミブの溶出率はやや増加した。【考察】アトーゼット®配合錠は、フィルムコーティング錠であるが、吸湿によって錠剤自体の硬度は低下するものの、崩壊試験における崩壊に至る時間の延長から、フィルムコーティングの性状に変化が起こるものと推察された。また、溶出試験の結果から、高い湿度の保存条件下において、エゼチミブ‐アトルバスタチン配合錠をPTPから取り出し、長期間保存することは望ましくないものと考えられる。
著者
戸田 雄一郎 宮瀬 光梨 岩朝 睦美 和田 亮雅 竹田 宗馬 松野 隆幸 久保田 直行 見浪 護
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.872-884, 2021-11-15 (Released:2021-11-15)
参考文献数
15

未知環境において移動ロボットを自律行動させる場合,ロボット自身が自己位置推定および障害物の認識,目的地までの行動計画を行う必要があり,各タスクに応じた作業空間の環境地図を必要な粒度で獲得しなければならない.また,このような自律移動ロボットを災害現場や商業施設など様々な環境へ導入するために,未知環境において状況や用途に応じた経路計画を行う必要がある.そこで本研究では,高精度な自己位置推定のために用いる粒度の細かいメトリックマップから経路計画に適したトポロジカルマップを獲得するために,自律移動ロボットのためのGNGに基づく環境のトポロジカルマップ構築に関する新たな手法を提案する.本提案手法では,メトリックマップに含まれている占有度情報を環境地図の幾何的な構造を保持したまま学習することが可能である.つぎに,提案手法により位置情報と占有度情報を含んだトポロジカルマップを構築し,占有度を考慮した未知環境における経路計画手法を提案する.さらに,実機を用いた検証実験において未知環境における経路計画実験を行うことで提案手法の有効性を示す.
著者
溝口(久保) 和子
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.35-43, 2014 (Released:2017-11-10)
参考文献数
5

ハゼ科魚類のアベハゼは,特に高密度での飼育下で,長時間空気中で過ごすことがしばしばある.その生態的理由を探るため陸上部を備えた2種類の実験水槽を用意し,その中でのアベハゼの行動を断続的に目視観察した.スロープ状の陸地で区切られた大小2つの水域をもつ水槽で,小水域にのみ多数のアベハゼを入れて極端な高密度状態にすると,ほぼ1日以内に約8割の個体が水際近くに上陸した.数日後には,上陸個体のいくつかが陸上を通過して対岸の水域に移動した.水域を分けず水面の一部を覆う形で陸上部を設置した水槽での観察(密度は1/4程度)でも上陸は速やかに行なわれたが,水中に留まる個体数は増えた.上陸割合の変化は飼育水の汚れの進行とは無関係なようであった.これらの観察から,アベハゼは過密状態緩和のために上陸すると思われる.また陸上移動行動には,生息域を広げるという意義もありそうだ.
著者
佐藤 稜 沢谷 洋平 柴 隆広 広瀬 環 佐藤 南 石坂 正大 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.673-677, 2020 (Released:2020-10-20)
参考文献数
22
被引用文献数
3 3

〔目的〕要支援・軽度要介護高齢者における抑うつとサルコペニアの関係を明らかにすること.〔対象と方法〕通所リハビリテーション利用者,要支援1・要支援2・要介護1の65歳以上の高齢者79名,男性45名,女性34名を対象とした.抑うつの程度におけるサルコペニアの有病率と抑うつの程度における筋力,身体機能,骨格筋量の関係を検討した.〔結果〕男性のみ抑うつの程度とサルコペニアの有病率に有意な関連を認めた.また,男性は抑うつが強くなるに伴い骨格筋量の有意な低下が認められた.女性においては有意差が認められなかった.〔結語〕抑うつとサルコペニア間に,性差が存在し男性要支援・軽度要介護高齢者において抑うつとサルコペニアに関連があることが明らかとなった.
著者
久保田 弥生 森山 恵美 前川 昌子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.687-691, 2006 (Released:2007-10-12)
参考文献数
22

In order to clarify anti-deposition effects of mukuroji pericarps, deposition of carbon black onto cotton and polyester fabrics has been studied in aqueous solutions of mukuroji pericarps. The rates of deposition were evaluated from the reflectivity of stained fabrics. It was revealed that the rate of deposition of carbon black onto the fabrics in an aqueous solution of mukuroji pericarps was lower than that in an aqueous solution of sodium dodecyl sulfate as well as in polyvinyl alcohol, which is a known anti-redeposition agent. In addition, it was revealed that theses effects were not introduced by the saponin component alone, but by the whole mukuroji pericarp which contains the non-saponin component.
著者
久保 慶一
出版者
ロシア・東欧学会
雑誌
ロシア・東欧研究 (ISSN:13486497)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.33, pp.69-79, 2004 (Released:2010-05-31)
参考文献数
9

In Montenegro, there has been a deep divide between those who seek the independence of Montenegro and those who oppose it and seek the maintenance of the Yugoslav federation or the union with Serbia. It is well known that there is a correlation between the ethnic identity and the attitude towards this issue, particularly among ethnic minorities such as Albanians, Muslims (Bosnjaks) and Serbs. While one tends to assume that the ethnic identity is an independent variable that affects the behaviour towards the issue of statehood, I would argue that this assumption does not hold for Serbs. To do so, I firstly examine the correlation between the ethnic identity and the behaviour towards the issue of statehood. Secondly, by examining the census data of 1991 and 2003 in Montenegro, I point out that there seems to have been a significant scale of re-definition of the ethnic identity. In particular, a significant number of those who now regard themselves as “Serb” did not indeed do so only 12 years ago. This suggests that the assumption discussed above is wrong and the causal relations run in the opposite direction: they re-defined themselves as “Serb” because they support the maintenance of the union with Serbia. Thirdly, I briefly examine some factors that might possibly have affected the decisions made by those who regarded themselves as “Montenegrins” in 1991 to support or oppose the independence of Montenegro.
著者
久保 尚也
出版者
日本応用心理学会
雑誌
応用心理学研究 (ISSN:03874605)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.52-53, 2021-07-31 (Released:2021-10-31)
参考文献数
4

Three pigeons were exposed to concurrent chain schedules where the terminal links were either an FT X sec schedule or a conjunctive FR20 FT X sec schedule. Four interval conditions (20, 30, 40, 50 sec) were included in the FT schedule. One bird preferred the conjunctive schedule over the FT schedule on FT 20 sec condition but did not show a preference for the conjunctive schedule under other conditions. The other birds preferred the FT schedules or neither terminal links. These results suggest that behavior to fill in time might occur when waiting time until reinforcement is 20 second.
著者
梅原 広明 高橋 正昭 大坪 俊通 久保岡 俊宏
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.27-34, 2004 (Released:2004-06-22)
参考文献数
13

衛星通信等の発展にともない,静止衛星の数や利用度は増え続けている.静止軌道上で安全な運用を行うには,静止軌道のみならずその付近を運動する多数の衛星や漂流物体の軌道を正確に把握することが不可欠である.光学観測は,人工衛星からの受信電波を観測する方法より,周波数の不明な衛星,さらに周波数を発しない物体をも検出することができる長所を備えている.そのため,日本を含めた様々な国で光学観測施設が建設され観測が始められている.しかし,たとえ観測施設を増やしたところで観測領域は広大である.したがって,広域的・体系的・効率的な観測方法の構築が必要不可欠となっている.本論では,観測地から見える静止軌道を覆うように撮像領域を重ねるスキャン観測を基本にして,検出した多数の物体軌道を効率的に決定することができる観測手順を既定した.まず,静止軌道上の二点を交互に見続けるようなスキャンを二晩かけて行う.これによって,検出された物体それぞれの離心率ベクトル以外の軌道要素が概算される.軌道傾斜角がスキャンの視野角より大きな物体に対しては,追跡観測が必要ではあるが,既に他の軌道要素がほぼ正確に求められているため,各物体に対する追跡観測を単純・迅速に行うことができる.すなわち,多数の物体の軌道要素を二晩のスキャンと一晩の追跡観測から決定することができる.しかも,南北方向の運動がスキャンの視野角より10倍以上大きな物体をも軌道決定を行うことができる.通信総合研究所鹿島宇宙通信研究センターにおける光学望遠鏡を用いて観測手順が十分に機能することを示したが,様々な性能の光学観測機器で観測することができるよう,観測手順は性能変数による文字式で表現されている.