著者
萩岡 松韻 久保田 敏子 野川 美穂子 長谷川 慎
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

地歌箏曲の楽曲アーカイブを目的とした研究。稀曲等次代への伝承が危ぶまれている楽曲について、音源の収集、楽曲の伝承者に指導を受けることで、楽曲の音源化・楽譜化を試みた。地歌箏曲では口頭伝承が昭和の初めまで行われていた。現在は作品の多くが楽譜化されているが、楽譜化できない口頭伝承の部分を知る実演家の多くは没し、口頭伝承を受けた実演家の存在は貴重である。本研究はそうした実演家より直接指導を受け、楽曲をアーカイブすることを目的とした。地歌箏曲の喫緊の課題といえる現存する古典曲の調査、楽曲の楽譜化、録音等による伝承者の演奏の保存、稀曲等の公開演奏を行うことで無形文化財ともいうべき楽曲の保護保存を進めた。
著者
久保 達彦 藤野 善久 村松 圭司 松田 晋哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.299-303, 2013-12-01 (Released:2013-12-14)
参考文献数
10
被引用文献数
2

英国では2010年からThe Statement of Fitness for Work(通称Fit Note)と呼ばれる就業支援を目的とした医療文書を地域医療を担うGeneral Practitioner(GP)が発行する仕組みが導入されている.今回,我々はFit Noteの導入影響に注目しつつ英国の産業医制度の現状について現地で2名の産業医に対してインタビュー調査を実施した.現地の産業医からは産業医が不足して国民全体,とりわけ中小企業や自営業者には産業保健サービスが行き渡っていないことへの強い課題認識が繰り返し聴取された.Fit NoteはGPの産業保健への参加を誘導するツールとして位置づけられ,地域医療の担い手であるGPは産業保健の新たなパートナーとして期待されていた.現地の産業医はFit NoteおよびGPの産業保健への参入を英国の産業衛生の着実な前進と評価していた.
著者
久保 得二
出版者
東京帝国大学
巻号頁・発行日
1927

博士論文
著者
中村 英慈 久保 有朋 岡崎 篤行
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.39-44, 2020-06-08 (Released:2022-06-08)
参考文献数
15

花街は日本の文化をソフト・ハード両面から包括的に継承している稀有な場であり、近年ではその価値が再評価されつつある。赤坂花街は、明治期には多くの陸軍や政界の客が利用する等、東京都内では新橋と並び特に格式の高い花街として知られていた。本研究では赤坂花街の戦前の最盛期である1933年頃、戦後の最盛期である1955年頃、衰退が始まる直前の1965年頃、衰退過程である1988年、現時点の2019年の5時点での花街建築の業種毎の分布とその変遷を明らかにする。主な結論として、花街建築の集積する場所が1933年以来変化していないこと、昭和末期以降に料亭の営業形態が茶屋形態から料理屋形態中心に変化したこと、置屋の大半がいずれの年代においても路地沿いに分布していたことが挙げられる。
著者
中山 祐一 新家 一輝 髙島 遊子 久保田 牧子 中島 るり子 山崎 あけみ
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.393-401, 2016-12-01 (Released:2019-04-01)
参考文献数
18

本研究は特別支援学校卒業前後の重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))と養育者の体験を明らかにすることを目的として、特別支援学校卒業後から5年程度の重症児(者)の養育者15例に半構造化面接を行い、質的帰納的分析を行った。調査期間2015年2月~2015年11月。重症児(者)は19~24歳(男10名、女5名)、養育者は45~61歳(男1名、女13名、両親参加1組の計16名)、面接時間は平均103分であった。卒業前後の体験を表すカテゴリーを7つ抽出した。養育者は重症児(者)に【充実した人生を過ごして欲しいという思い】を抱き【養育者友達との支え合い】の中で養育し続けてきた。重症児(者)は支援学級や特別支援学校に就学し【充実した学校生活】を過ごしていた。卒業後は重症児(者)の体調・卒業後の行先・携わる人によって【重症児(者)の生活の相違】が生じ、社会資源の活用の程度によって【養育者の生活の相違】も見られた。現在、養育者は【子どもの将来を懸念】しながら【子離れに逡巡】し、将来について悩んでいた。
著者
三好 潤 大森 泰 高木 英恵 玉井 博修 川久保 博文
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.126-127, 2008-12-10 (Released:2013-07-31)
参考文献数
2

症例は71歳,女性。ANCA関連血管炎に対するステロイド療法に伴うビスホスフォネート製剤の内服開始後47日目に心窩部痛が出現した。上部消化管内視鏡検査にて胸部中部下部食道に全周性の易出血性びらん・潰瘍が多発し,切歯列33cmに穿孔を疑う深い潰瘍を認めたが,胸部CTでは縦隔気腫・膿瘍形成を認めず保存的加療にて軽快した。本例は同剤の稀ながらも重篤な副作用である食道潰瘍が不適切な服薬状況により生じたと考えられる教訓的な症例である。
著者
久保 栞 全 邦釘 伊藤 克雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.2, no.J2, pp.87-96, 2021 (Released:2021-11-17)
参考文献数
24

高度経済成長期に建設されたインフラ構造物の老朽化に伴い,膨大な維持管理コストが必要となっている.導水路トンネルにおいては,大型機械の投入が困難である点や点検時に断水を伴う点を鑑み,AI技術を活用した維持管理の効率化が望まれる.本研究では,そのような状況を考慮し,トンネル内壁面における変状箇所やその状態を効率よく把握することを目的として,YOLOv5を用いたチョーキング箇所の検出を行った.その結果,データ数が多く,チョーキング箇所が明瞭である場合には,高精度で検出可能であることを確認した.さらに,IoUが低い場合であっても,チョーキング箇所の一部を捉えられているため,検出結果から劣化状況やその分布を把握することで,劣化原因の究明や劣化状況に合わせた補修計画の立案が可能となろう.
著者
中川 裕美 前田 泰宏 久保 真人
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.4-14, 2020 (Released:2022-02-22)
参考文献数
21

本研究の目的は,うつ病等の休職者を対象としたリワーク・プログラムにおいてマインドフルネス認知療法(MBCT)をベースとした「マインドフルネス講座」を実施し,その有効性とワーク・ライフ・バランスへの影響について検討することであった。マインドフルネス講座は,1回につき2時間の集団によるプログラムを計3回により構成した。本研究の参加者は17名であり,無作為に介入群(9名)と待機群(8名)に割当てて有効性の検討を行った。その結果,セルフ・コンパッションのポジティブ因子が向上し,身体的症状が軽減され,ワーク・ライフ・バランスの家庭の重要度が増した一方で,仕事への労力度が低下することが示された。また,各回における感想から,マインドフルネスの体験が参加者にもたらした変化について検討し,復職支援におけるマインドフルネスの意義と今後の課題について考察した。
著者
忍久保 洋 大蔦 幸一郎
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.13-23, 1999-01-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
26
被引用文献数
8 10

Two types of reactions with organomanganese have been examined. The first is a reaction of manganate reagents with carbon-carbon multiple bond. Catalytic version of these reactions is also disclosed. The second is a reaction of gem-dibromo compounds such as gem-dibromocyclopropane and dibromomethyltrialkylsilane with trialkylmanganate (II). The reaction was initiated by bromine-manganese exchange.
著者
橋爪 正 神田 大周 久保田 隼介 一戸 大地 横山 拓史 山田 恭吾 松浦 修
出版者
一般社団法人 日本外科感染症学会
雑誌
日本外科感染症学会雑誌 (ISSN:13495755)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.18-25, 2019-03-30 (Released:2019-07-13)
参考文献数
23

術後高血糖は大腸手術の手術部位感染(SSI)リスク因子である。1990~2009年の初回開腹腸切除 2,099例を対象として,全例に SSI予防バンドルを施行し,1990~1999年(前期)は血糖目標値200mg/dL,随時インスリン皮下注(SCI)法を行った。前期の糖尿病患者の創部 SSI率は17%と高かった。2000~2009年(後期)は目標血糖値を150mg/dLに変更し,一部の糖尿病と耐糖能異常に5%または7.5%糖濃度の維持輸液を投与し,術後 48時間まで持続インスリン静注(CII)法を行うきめ細かな血糖管理を前向きに実施した。CII法は SCI法に比べてすみやかに高血糖を改善し,血糖変動が少なく,術後 2~4時間で血糖値は安定した。著しい低血糖の発生もなかった。後期糖尿病患者の創部 SSI率は10%まで改善した(非糖尿病9.3%)。150mg/dLを目標とするきめ細かな血糖管理は大腸手術 SSI予防に有用と確認された。最近の SSIガイドラインは血糖目標値 150~200mg/dLを示しているが,今後も周術期血糖管理に関して詳細な検討が必要と思われる。
著者
久保田 裕道
出版者
東京文化財研究所
雑誌
無形文化遺産研究報告 = Research and Reports on Intangible Cultural Heritage
巻号頁・発行日
no.15, pp.13-24, 2021-03-31

The present paper discusses the influence Covid-19 has had on the intangible folk cultural properties of Japan with focus on case studies from 2020. First, it is noted that many folk events are held in the hope of appeasing infectious diseases. For example, the lion dance in Hakone, Kanagawa Prefecture, was started as an event to ward off contagious diseases that occurred frequently from the last half of the 19th century to the first half of the 20th century. Social relevance of this type of folk events should be shared by many people. Next, impact such as cancellation and postponement of folk events and measures like video delivery that were taken in 2020 are discussed in the section on the condition of intangible folk cultural properties in the midst of Covid-19. In this situation, much criticism has been voiced even about folk events that were held in order to pray for the end of infection. Such a trend connects to a questioning and negation of values associated with these folk events. Finally, the problems related with intangible folk properties in the midst of Covid-19 are discussed. Intangible folk properties are one of the categories of intangible cultural heritage unique to Japan. It is different from traditional performing arts performed by professionals in that it is cultural properties of the “people.” It is rooted in the faith, society, entertainment and other aspects of a given region. But the influence of Covid-19, by negating their values, brings about a great risk to the regional society.
著者
岡本 敬司 野崎 剛弘 小牧 元 瀧井 正人 河合 啓介 松本 芳昭 村上 修二 久保 千春
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.369-375, 2001-06-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
16

栄養状態の回復期にカルニチン欠乏および高CPK血症をきたした神経性食欲不振症を報告した.症例は30歳女性.入院時体重は19.6kg(-57%標準体重).入院時より高度の肝機能障害を認めたが, 栄養状態の改善に伴い入院30日目には正常化した.しかし, そのころよりCPKが上昇しはじめ, 入院時は正常範囲にあった血清カルニチン濃度が正常の半分以下まで低下した.その後, 摂食量の増加にもかかわらず, 血清カルニチン濃度はわずかに上昇したのみで, CPKも漸減しただけであった.そこでカルニチン製剤を投与したところ, CPK, カルニチンともに速やかに正常化した.神経性食欲不振症の栄養状態の回復期におけるCPKの上昇とカルニチンの関連を考察した.
著者
菅原 典子 山村 菜絵子 高橋 安佳里 田澤 星一 久保田 由紀 小澤 恭子 浅田 洋司 田中 佳子 永野 千代子
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.30-36, 2018 (Released:2018-04-15)
参考文献数
15

マイコプラズマ肺炎を疑われ,小児における用法・用量の範囲内のトスフロキサシン(tosufloxacin: TFLX)を内服中に血清クレアチニン(creatinine: Cr)値上昇を来した7 例(4~13 歳)の臨床経過を検討した。4~7 回の内服後に血清Cr 値上昇に気づき,内服中止にて回復傾向を認めた。4 例が急性腎障害の診断基準を満たした。4 例で腹部症状を合併したが,内服中止2 日以内に症状は消失した。1 例は腹痛時にコンピューター断層撮影法での小腸壁の肥厚と磁気共鳴画像での腹水貯留を呈した。既報においても腹部症状を合併する例が多いが,その機序や血清Cr 値上昇との関連は不明である。TFLX による血清Cr 値上昇はcast nephropathy がその成因と想定されており,既報では小児における用法・用量を逸脱した内服が行われていたが,本検討の7 例は規定の範囲内での内服にも関わらず血清Cr 値上昇を来した。今後血清Cr 値上昇や腹部症状の発症機序が明らかとなり,より有効かつ安全にTFLX が使用されることが期待される。
著者
芦澤 淳 久保田 龍二 高橋 清孝
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.75-86, 2018 (Released:2018-07-23)
参考文献数
38
被引用文献数
4

アメリカザリガニによる生態系等への被害防止には、罠を用いた駆除が実施されてきたが、捕獲効率の向上を目的とした罠の選択や設置方法に関する十分な検討は行われていない。本研究は、捕獲個体の大きさと数、及び捕獲効率を指標に、籠網、アナゴカゴ、カニカゴ、網モンドリの効果的な使用方法を検討した。アメリカザリガニの捕獲個体数は、4 種類の罠すべてにおいて、罠設置後の時間経過と共に増加し、一旦ピークに達した後、減少した。試験期間全体では、籠網とアナゴカゴによる捕獲個体数が多かったが、罠を設置してから5 時間以内であれば、網モンドリによる捕獲個体数も籠網及びアナゴカゴと同程度に多かった。長時間の設置で餌の誘引効果が減少すると、罠からの脱出が生じたが、その程度は入口が開いている罠で高く、閉じている罠で低かった。そのため、アメリカザリガニの捕獲効率は罠の種類と設置時間によって異なり、0.2 日後には網モンドリで、1 日後と3 日後にはアナゴカゴで、7 日後には網モンドリ以外の罠で高かった。そこで、餌による誘因効果の経時的変化と罠からの脱出し易さを考慮して検討した結果、アメリカザリガニが高密度に生息している場合には、網モンドリを用いて数時間おきに1日2回以上の捕獲を行うこと、生息密度が低下し捕獲効率が低下した段階でアナゴカゴに切り替え長期間設置することで、効率的な捕獲が実現できると考えられた。