著者
今井 功
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.787-794, 1996-11-05
被引用文献数
2

2 0 0 0 OA 参考太平記

著者
今井弘済, 内藤貞顕 編
出版者
国書刊行会
巻号頁・発行日
vol.第2, 1914
著者
今井 勝
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.145-156, 2011 (Released:2011-04-28)
参考文献数
107
被引用文献数
1 2

食用カンナは南米のアンデス地域に起源し,紀元前2500年頃にはすでに利用されていた記録がある.大型の多年生単子葉類の草本で,育種的改良はほとんど受けていないと思われるが,世界各地の熱帯・亜熱帯において小規模に栽培されている.観賞用の花カンナとは異なり,地際にイモ(根茎)を多数形成してデンプンを蓄積する.食用カンナのデンプンの物理的・化学的性質に関する研究は進んできたが,用途には未開発の部分が多い.草高が3 m,LAIが12にも達する大きな茎葉部は,直接家畜の青刈り飼料となるが,サイレージとしての利用も可能である.大型で楕円形の葉を着生する茎は,根茎から生じて分枝はしない.野生型の植物は湿気のある林地の周縁部に見出され,栽培型も多湿の土壌を好み,旺盛に無機養分を吸収する.光合成の面からは,多様な光環境と温暖な気候に適応した,中庸な純光合成速度を有する陽生のC3植物である.生育中・後期の個体群は高い葉面積指数を有し,良好な個体群成長速度を維持することができ,キャッサバやジャガイモに匹敵するかまたはそれ以上の生産能力を有しているものと考えられる.しかしながら,この植物に関する植物学的および農学的観点からの研究はかなり限られている.本総説では,多くの可能性を秘めた食用カンナの来歴,形態形成に関わる特徴,光合成,乾物およびデンプン生産能力,利用の側面等について包括的な紹介を行った.
著者
今井 三子
出版者
札幌博物學會
雑誌
札幌博物学会会報
巻号頁・発行日
vol.12, no.2-3, pp.148-151, 1932-07-10

2 0 0 0 OA 参考太平記

著者
今井弘済, 内藤貞顕 編
出版者
国書刊行会
巻号頁・発行日
vol.第1, 1914
著者
井本 美子 今井 雅子 前田 耕一 三沢 岳志 矢部 悟
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第17回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.1-6, 2020 (Released:2020-06-19)

グローバルに活躍する企業は競合企業と戦うために、事業方針に沿った知的財産戦略を持っていると思われる。本研究は、経済産業省が独自の分野で世界のトップを走る企業をまとめた「グローバルニッチトップ企業100選」の中から自転車部品業界で世界トップのS社を選び、その知的財産戦略を明らかにすることを目的にした。S社は自転車部品業界で世界的に圧倒的なシェア(約85%)を持つことと、自転車部品の組み合わせであるコンポーネントは独自でありながら、その外部インターフェースが公開されていることから「自転車界のインテル」と言われている。しかし調査をするとビジネスモデルも知財戦略もインテルとは異なる。また、ヨーロッパを中心に自転車業界がEバイクに急速に移行する中、S社は後発でありながら、Eバイクのコンポーネントでも一定のシェアを確保している。そこでS社の自転車部品におけるトップシェア獲得と、Eバイク市場への参入における知財戦略を一部でも読み解くべく研究を行った。
著者
今井 秀樹 萩原 学
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.4_9-4_15, 2009-04-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
53
被引用文献数
1

符号理論はディジタル情報の信頼性確保のために不可欠な理論であり,現在の情報化社会を支える基盤理論の一つである.この理論は約60 年前に米国で生まれたが,日本でもこの時期から符号理論の研究が行われていた.しかし,研究者が増え,国際的に認められる研究成果が出るようになったのは40~50 年前のことである.それには,この研究を米国で始めた方々の帰国とW. W. Peterson の著書の影響が大きい.このころ,日本において現在につながる符号理論研究の原点が形成されたといってよいだろう.その後,特に符号理論の応用の面で日本は世界を先導する役割も担ってきた.この間,符号理論は何度かの大きな変革を経ながら,その応用範囲を拡大しつつ発展を続けてきている.本稿では,このような符号理論の流れを日本の視点から俯瞰する.
著者
今井 健介 三浦 和美 飯田 博之 藤崎 憲治
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.147-154, 2011 (Released:2012-12-03)

クズは日本から北米へ導入されて害草化し、アメリカ合衆国では侵略的外来植物とされている.アメリカにおけるクズの生物的防除に資する目的で、原産国である日本におけるクズの天敵相を調査し、2004年~2005年に近畿地方を中心に行った野外調査と文献調査により48種のクズ食者を確認した.そのうち20種は先行研究で作成された日本産クズ天敵リストに掲載されていない種であった.これらの中で導入可能なクズの単食性天敵と推察されたのは、食性が知られていない3種、エゾコハナコメツキParacardiophorus subaeneus yasudai Ohira、ヨスジヒシウンカReptalus quadricinctus Matsumura、およびコガタヒメアオシャクJodis orientalis Wehrliであった.また、本調査で明らかになった近畿地方のクズ天敵相(41種)と鹿児島市における先行研究の結果(62種)を比較したところ、2地域間の共通種は21種で、天敵相に大きな違いが認められた.同様に、既存の日本産天敵リストと本研究の結果を併せた129種を、先行研究で報告された中国産天敵リストの116種と比較したところ、2国間の共通種は15種でさらに大きな差が認められた.このように調査地点により天敵相が大きく異なることから、気候等の環境条件の異なる多くの地点で探索することが有効な導入天敵の発見につながる可能性が示唆された.しかし、本調査の近畿地方における調査時間と累積発見種数との関係を解析したところ、今回の天敵探索方法による発見種数は飽和に近づいており、今後も天敵の探索を継続するなら、別の地域における調査や別の調査手法の導入が必要と考えられた.
著者
大久保 雄 金岡 恒治 長谷部 清貴 松永 直人 今井 厚
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0804, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】大腰筋は股関節および脊柱の屈曲に作用する深部筋である。先行研究において,腰痛患者では大腰筋の萎縮が生じていること(Baker et al., 2004)などから,リハビリテーション現場において大腰筋の重要性が示されている。また,中高齢者では大腰筋の筋断面積が有意に低下し,歩行能力低下と関連することが報告されている(金ら,2000)ことから,介護予防教室においても大腰筋エクササイズが注目されている。そこで臨床現場では,股関節屈筋群(大腰筋や大腿直筋など)のエクササイズとして,自動下肢伸展挙上(active straight leg raise,ASLR)が用いられているが,大腰筋は体幹の最も深部に位置するため活動様式を評価することが困難であり,ASLR時の大腰筋活動様式は明らかでない。そこで本研究では,ワイヤ筋電図を用いて大腰筋活動を測定し,ASLR時の大腰筋活動様式を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は健常男性9名とした(年齢:25±4歳,身長:170.1±6.2cm,体重:60.3±4.7kg,mean±SD)。股関節屈曲0゜~最大屈曲角度まで右側ASLRを行わせた際の筋電図および股関節屈曲角度データを同期させて収集した。被検筋は全て右側とし,大腰筋にはワイヤ電極を,腹直筋,外腹斜筋,内腹斜筋,大腿直筋には表面電極を設置した。大腰筋には超音波画像ガイドの下ワイヤ電極を刺入し,電極を留置後,電気刺激装置にて大腰筋の筋収縮を確認した。動作解析として,3台の赤外線カメラ(OQUS,QUALYSIS社製)を用いて,ASLR時の股関節屈曲角度を計測した。ASLR時の股関節屈曲角度から,屈曲初期,屈曲中期,屈曲後期の3phaseに分割し,各phaseの筋活動量(%MVC)を算出した。筋活動量の比較として,phaseと筋を因子とした二元配置分散分析を用い,有意差を認めた場合はTukey-Kramer法により事後検定を行った。また,ASLRの筋活動開始時点(onset)を「安静時の筋活動量±2SD」から求め,ASLR運動開始時点を基準(0秒)とした各筋のonsetを算出し,Kruskal-Wallis検定を用いて比較検討した。有意水準は5%とした。【結果】大腰筋の筋活動量は,屈曲初期:10.3±5.5%MVC,屈曲中期:18.1±9.3%MVC,屈曲後期:33.0±19.6%MVCであり,屈曲中期と後期で有意に大きかった。また,大腿直筋の筋活動量が屈曲中期:16.2±8.8%MVC,屈曲後期:18.3±14.6%MVCであり,他の筋よりも有意に大きい値を示した。ASLR運動開始時点に対する各筋のonsetは,大腰筋:-0.033±0.25 sec,大腿直筋:-0.003±0.12 sec,腹直筋:0.15±0.40 sec,外腹斜筋:0.27±0.36 sec,内腹斜筋:0.25±0.25 secであり,大腰筋および大腿直筋のonsetが内・外腹斜筋よりも有意に早かった。【考察】本結果より,大腰筋は屈曲初期から後期にかけて活動量が大きくなった。Yoshio et al.は屍体を用いた研究により,大腰筋は股関節屈曲0~15゜では大腿骨頭の安定化に作用し,股関節屈曲45゜以上から股関節屈曲作用が大きくなることを報告している(Yoshio et al., 2002)。さらにJuker et al.は,ワイヤ筋電図を用いて様々なエクササイズ時の筋活動量を比較した結果,股関節屈曲90゜位からの等尺性股関節屈曲運動で大腰筋活動が最も大きくなることを報告している(Juker et al., 1998)。以上から,ASLRにおいて大腰筋は股関節深屈曲位になる屈曲後期に活動量が大きくなることが示唆された。Onsetの比較では,下肢の股関節屈筋群が腹筋群よりもonsetが早かった。ASLRでは股関節屈曲運動に伴い骨盤前傾方向の回転モーメントが生じ,その骨盤の運動制御に腹筋群が活動した可能性がある。しかし,挙上側と反対側の内腹斜筋や腹横筋は,主動筋よりも先行して活動を開始するとの報告もあり(Hodges et al., 1997),今後は両側の腹筋群の反応を検討する必要がある。【理学療法学研究としての意義】本結果より,ASLRでは股関節深屈曲位にて大腰筋がより賦活化され,挙上側と同側の筋では股関節屈筋群から腹筋群の順に動員されることが明らかになった。ASLRは臨床現場で頻繁に用いられる運動であり,本研究はASLRを処方する際の有用な情報になると考える。
著者
今井 智弘 今村 裕之 平 勝秀 浜下 彩
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101923, 2013

【はじめに、目的】 我々は日常の臨床の中で早期離床や廃用症候群予防等を目的にギャッジアップ座位を実施する機会が多い。ギャッジアップによる身体とマット間の圧・剪断力が褥瘡の発生原因となりやすいことは良く知られており、その予防法としてギャッジアップ後に背部をベッドから離し背部の圧・剪断力を開放する背抜きがよく行われる。 しかし、ギャッジアップ時の圧・剪断力に対する背抜きが呼吸機能に及ぼす影響についての報告は少ない。そこで、ギャッジアップ後の背抜きが呼吸機能に与える効果の有無について調査を行った。【方法】 被検者は呼吸器疾患を有さない健常男性10例(年齢26.5±5.1歳、身長174.0±6.8cm、体重67.8±11.1Kg、BMI22.3±3.2)とした。 方法は、まず測定に対する慣れの要因を除くため、あらかじめ練習として坐位にてスパイロメータ(日本光電製、MICROSPIRO HI-205)による呼吸機能検査を数回実施した。次にベッド上背臥位となり、ベッド屈曲基部が被検者の大転子と一致するように被検者のベッド上の位置を設定した。ベッドはアウラ21(パラマウントベッド製)、マットレスはPARACARE(パラマウントベッド製)を使用した。頚部中間位および下肢伸展位にてギャッジアップを60度まで実施し、直後に呼吸機能検査を実施した。その際、体幹をベッドに押し付けるなどの代償動作の有無を目視にて確認した。検査項目は肺活量(VC)、%肺活量(%VC)、1回換気量(TV)、予備呼気量(ERV)、予備吸気量(IRV)、努力性肺活量(FVC)、1秒量(FEV)、1秒率(FEV1.0%)、ピークフロー(PEF)とした。次に背抜きを行った後、呼吸機能検査を実施した。背抜きは下肢・骨盤帯の位置が変わらないように検者が固定した上で介助にて被検者の体幹屈曲を行った。検査間の休憩時間を1分とし、以上の検査を3回測定し平均値を算出した。 背抜き前後における呼吸機能検査の各項目の比較には対応のあるT検定を用いた。有意水準を5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 被検者には本研究の主旨・測定方法を説明し研究への同意を得た。【結果】 VC(ギャッジアップ直後3.93±0.39L、背抜き後4.13±0.46L、P<0.05)、%VC(ギャッジアップ直後91.38±7.29%、背抜き後96.00±8.35%、P<0.05)、PEF(ギャッジアップ直後8.38±1.58L/S、背抜き後9.01±1.66L/S、P<0.05)においてギャッジアップ後に背抜きを行う事により有意な改善を認めた。他の項目に関しては有意な差は認められなかった。【考察】 ギャッジアップ後に背抜きを行うことで、ギャッジアップ直後と比べ肺活量およびピークフローが改善することが示された。ギャッジアップによる呼吸機能低下の原因として、ベッドから上部胸郭背面に向けて圧が高まり上部胸郭背面が固定された上で骨盤帯が前方へずり下がることにより、上部胸郭背面に対して上方への機械的ストレスが加わった結果、吸気時の肋骨の後方回旋運動が制限され、胸郭の拡張が阻害されたこと。また、肩甲骨も同様に上方への機械的ストレスにより拳上位となることから、吸気補助筋である胸鎖乳突筋や僧帽筋、肩甲挙筋が短縮位となり収縮機能が低下したことが考えられる。しかし、ギャッジアップ後の背抜きの実施によりこれらの影響を取り除くことで呼吸機能が改善したと考えられる。【理学療法学研究としての意義】 今回はギャッジアップ直後の呼吸機能を測定したが、背抜きを行なわない状態が長く続くと時間経過と共に剪断力の増加が予想され、さらに呼吸機能の低下が引き起こされることが推測される。特に胸郭可動性や咳嗽力が低下しやすい高齢者や呼吸器疾患患者においてはさらに影響を受けることが推測され、褥瘡予防という観点も含めてギャッジアップ後には必ず背抜きを行う必要性があると考える。加えて、理学療法士として看護師や家族といった患者のケアに関わる人々へこれらの点を踏まえてギャッジアップ後の背抜きを啓蒙していくべきであると考える。
著者
河野 えみ子 福井 順子 今井 玲 寺村 重郎 井野 千代徳 山下 敏夫
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 = Stomato-pharyngology (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.199-207, 2003-02-28
参考文献数
4
被引用文献数
1

うがい効果を十分に得るためには, 含嗽剤の殺菌作用と機械的除菌作用を有効に活用することにある.また, 咽頭炎などの感染症には "咽頭型" のうがいを, 口内乾燥症には "口蓋型" のうがいと疾患別のうがい方法を考案して作成したパンフレットを用いてうがいの指導にあたってきた.うがい教室に参加した症例を対象として, うがい効果を検討した.<BR>口内乾燥症は「口がかわく場合」のうがい方法を6ヵ月実施後, 40%に自覚的に効果があった.手術を勧められた習慣性扁桃炎患者に「のどが痛い場合」のうがいを6ヵ月実施後, 53%が扁桃炎の発症が減少して改善がみられ, 今回手術を見送った.掌蹠膿疱症14例は「のどが痛い場合」のうがいを6ヵ月実施後, 10例に改善がみられ今回手術を見送った.
著者
今井 篤 清山 信正 都木 徹
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 (ISSN:13431846)
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.17-5-1_-_17-5-2_, 2014

We studied about the basic processing method to give intended emotional feelings to the calm voices. We focused on change of the spectral characteristics of vowels between the calm voices and the emotional one. So, we examined statistically about the difference of vowel's power and F0. The result showed typical trend about "power" factor in the provided 2 parameters. We propose a primitive speech processing method to control the vowel's spectrum to convert the speech type (=quality) from the calm to the emotional expression.
著者
今井 由美子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.138, no.4, pp.141-145, 2011 (Released:2011-10-11)
参考文献数
40

近年,SARS,H5N1鳥インフルエンザ,そして2009年の新型インフルエンザ(H1N1)と,新興ウイルス感染症が社会的問題となっている.これらの新興ウイルス感染症はヒトに急性呼吸窮迫症候群(ARDS),全身性炎症反応症候群(SIRS),多臓器不全(MOF)をはじめとした非常に重篤な疾患を引き起こし,集中治療室(ICU)において救命治療が必要となる.2009年にパンデミックを引き起こした新型インフルエンザ(2009/H1N1)は弱毒型であったが,一部では重症化してARDS,心筋炎,脳炎などを引き起こした.その中には少数ではあるが,体外式膜型人工肺(ECMO)を必要とするような劇症型のものも含まれていた.一方,東南アジア,中国などを中心に拡がりをみせている強毒型のH5N1鳥インフルエンザが,次の新型インフルエンザのパンデミックを引き起こすリスクは依然として続いている.しかしながら新興ウイルス感染症が重症化して,ARDS,SIRS,MOFを引き起すメカニズムは十分解明されておらず,重症化すると決め手となる有力な治療法がない.本章では新興ウイルス感染症による呼吸不全の病態に関して,インフルエンザによるARDSの発症機構に焦点を当てて,RNAiスクリーニング,マウスモデル,ヒト検体などを用いた研究を中心に述べる.次いで,抗ウイルス薬,新しい治療薬の可能性に触れ,最後に,救命に不可欠である人工呼吸に関して,肺保護戦略の重要性に言及したい.
著者
石橋 正信 馬場 俊孝 高橋 成実 今井 健太郎
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.125-142, 2019 (Released:2020-02-29)
参考文献数
12

南海トラフの沈み込み帯において,M9クラス巨大地震とそれにともなう巨大津波の発生の可能性が内閣府により指摘されて久しい。この津波被害想定によると,地震域近傍の沿岸地域では地震発生から数分後に巨大な津波が到達してしまうため,津波防災に向けた行動計画の再構築や人的被害軽減のための迅速な対応策の検討が極めて重要になる。その対応策のひとつとして,高速かつ高精度な即時津波予測が有効と考えられる。本研究では,地震と津波観測に向けた稠密海底観測網(DONET)による沖合観測網を利用した即時津波予測システムを構築し,和歌山県沿岸6地域において実装を行い,その有効性の検討を行った。本システムにより,地震と津波の初動到達時間を即時評価できること,沿岸津波高や浸水域の即時予測が可能であることを示した。さらに,1944年昭和東南海地震の事例と内閣府のM9クラス巨大地震の波源シナリオを用いて本システムの予測精度を検証した。本システムで即時予測される沿岸津波高や浸水域面積はやや過大評価傾向にあるものの,おおむね安全側の予測結果となり,津波防災上有効なシステムであることを示した。