著者
今井 勝喜
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

数保存的な性質を持つセル・オートマトンは物理シミュレーションなどに広く使われているにも関わらず、その性質を計算能力と規則のプログラミングの見地から研究する試みはあまり多くなかった。本研究では、1次元2近傍の保存的セル・オートマトンの万能性を示し、1次元3近傍の場合に可逆性と保存性の両方を持つセル・オートマトンの規則の設計手法を提案した。さらに、不均一な近傍における保存的セル・オートマトンの実装を可能にするため、ある種の保存的セル・オートマトンを容易に設計することができる分割セル・オートマトンを準周期タイル上のセル・オートマトンに実装する方法を示した。
著者
塩谷 信喜 柴田 繁啓 今井 聡子 小野寺 誠 藤野 靖久 井上 義博 遠藤 重厚
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.282-292, 2010-06-15 (Released:2010-08-13)
参考文献数
38
被引用文献数
1

【背景】アナフィラキシーは,抗原の暴露後に急速に進行する全身性の致死的反応である。当センターは,岩手県中央部の救急医療の中心的な役割を担っており,アナフィラキシー症例を経験する機会も多い。そこで地域におけるアナフィラキシーの実態を明らかにすることを目的に自験例を分析したので報告する。【対象と方法】当センター開設1980 年11 月から2009 年10 月の29 年間にアナフィラキシー症状を呈した302 例を対象とした。原因,年齢・性別,症状について,診療録により後方視的に検討した。【結果】平均年齢は48.0 歳で,男性に多い傾向がみられた。アナフィラキシーショックは193例(63.9%)で,8例(2.7%)が心肺停止となり,4 例が死亡に至った。アナフィラキシーの主要原因は,ハチ毒148 例(49.0%),薬物89 例(29.4%),食物58 例(19.2%),食物依存性運動誘発アナフィラキシー3 例(1.0%),その他4 例(1.3%)であった。ハチ毒では,スズメバチ,アシナガバチによる被害が多く,薬物では,非ステロイド性解熱鎮痛薬,抗菌薬,食物では,海産物とソバが多く認められた。最も多い初期症状は,心血管症状(65.9%),皮膚粘膜症状(42.1%)であった。【結語】主要原因はハチ毒が多く,薬剤,食物と続いた。食物は,全国調査とは異なり,海産物(46%)とソバ(6.9%)が多くを占めた。ハチによる被害の背景には,岩手県は広大な山林面積を有し農林就業者が多いことが考えられた。海産物は地域住民の消費動向によるもの,ソバによる被害は県外の旅行者に関係していると考えられた。アナフィラキシーの原因に占めるハチ毒や食物の割合は,地域による産業別就業や食文化の違いにより影響される。
著者
池田 浩子 今井 昇 井川 雅子 岩井 謙 道端 彩 高森 康次
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.55-63, 2017 (Released:2019-04-24)
参考文献数
34

症例の概要:72歳男性.咀嚼時の両側咬筋の疲労感・開口障害による咀嚼困難を主訴に口腔外科を受診した.顎跛行,開口障害,複視,めまい,体重減少,間歇的な頭皮の痛みなどの症状が認められたため,精査目的に専門施設(神経内科)を紹介した.頸動脈エコー,側頭動脈生検の結果,巨細胞性動脈炎と診断された.ステロイド治療が施行され,速やかに症状の改善が認められた.考察:巨細胞性動脈炎は頭痛以外にも多彩な症状を呈する.顎顔面領域にも顎跛行や開口障害など様々な症状が発現するため歯科を受診する可能性も高いと考えられる.巨細胞性動脈炎が呈する症状のうち,顎跛行,複視,側頭動脈の拡大・圧痛・拍動消失は陽性尤度比の高い症状とされており,そのような症状が認められた場合は速やかに専門施設へ紹介することが重要である.そのためには歯科医師も巨細胞性動脈炎の病態を正確に理解しておく必要性があると考えた.結論:顎跛行および開口障害を主訴に口腔外科を受診し複視,めまい,体重減少,間歇的な頭皮の痛みおよびリウマチ性多発筋痛症の合併も考慮された巨細胞性動脈炎の症例を経験した.
著者
今井 宏平
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.150, pp.186-202,L18, 2007-11-28 (Released:2010-09-01)
参考文献数
52

The aim of this paper is to explore how Turkey contributes to American foreign policy during the Post-Cold War era, especially Middle Eastern dimension.The discussion has three parts. Firstly, this deals with American foreign policy toward the Middle East during Post-Cold War era and demonstrates American failure. Since the collapse of the Soviet Union, international order started to change and the United States intensified its hegemonic power. But America failed to manage Iraq War, and Middle East region is becoming disorder and nest of terrorism. Furthermore, Anti-Americanism is spreading rapidly in this region. The United States is coming to reach a deadlock.Secondly, Turkey will be situated “Transmission Middle Power” after Iraq War. Since the word of “Middle Power” is ambiguous, it has to be conceptualized at first. In this paper, “Middle Power” is classified as “Classical Middle Power”, “Functional Middle Power” and “Transmission Middle Power”. Historically, Turkey has been described as “Middle Power”. However, its role and quality of power have been changed by relationship of Great Power and international structure. Now, Turkey pioneers “Transmission Middle Power” by using historical and cultural factors.Thirdly, this focuses on American-Turkish relations. Since both states faced the Soviet threat during the Cold War period, Turkey contributed American containment policy. The end of bipolar system, however, changed their relationships. During the Gulf War, Turkey assisted the United States through economic sanction against Iraq and offered the multinational force to military bases. Turkey acted as “Classical Middle power” in the Cold War era. But after the Gulf War, both countries disagreed with OPC (Operation Provide Comfort) and OPCII in Northern Iraq. In Iraq War, Turkey did not offer to military bases. This was watershed of American-Turkish relations. After this decision, Turkey seeks to contribute to Middle Eastern stability as “Transmission Middle Power”. In particular, the Broader Middle East and North Africa (BMENA) is a good deliberative place among Middle Eastern countries to prevail democracy. Turkey is one of chair countries in Democracy Assistance Dialogue (DAD), which is a component of BMENA..In conclusion, Turkey is “Middle Power” so it has to keep good relationships with the United States to spread its influence toward International politics in the Post-Cold War era. However, the forms of cooperation have changed all the time by international affairs and structure. Now, “Transmission Middle Power” is the best form both America and Turkey.
著者
塚本 克彦 柴垣 直孝 齋藤 敦 長田 厚 北村 玲子 今井 佳代子 樋泉 和子 島田 眞路
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.515-519, 1999-08-01 (Released:2010-10-14)
参考文献数
13
被引用文献数
4 5

ユーカリエキスを配合した入浴剤のアトピー性皮膚炎に対する有用性を検討するために, セラミド誘導体などの油性保湿剤を配合した入浴剤を対照とし, これにユーカリエキスを配合した入浴剤を用いて臨床試験を行った。対象はアトピー性皮膚炎患者31例(ユーカリエキス配合入浴剤使用群15例, 対照入浴剤使用群16例)で, 入浴剤を4週間使用してもらい, 2週間毎に診察した。その結果, 1. 皮膚所見に関しては, 「そう痒」, 「紅斑」, 「落屑」において両群とも有意な改善が認められたが, 両群間に有意差は認めなかった。2. 「全般改善度」, 「有用性」に関しては, ユーカリエキス配合入浴剤使用群の方が対照入浴剤使用群に比し優れた傾向が認められた。特に, 入浴剤を20回以上使用した患者においては, 「有用性」に関して, ユーカリエキス配合入浴剤使用群(13例)の方が対照入浴剤使用群(12例)に比し有意に優れていた。以上の結果より, ユーカリエキスを配合した入浴剤の使用は, アトピー性皮膚炎の治療において一つの有用な補助療法となる可能性が示唆された。
著者
今井 功
出版者
サイエンス社
雑誌
数理科学 (ISSN:03862240)
巻号頁・発行日
vol.13, no.8, pp.p66-71, 1975-08
著者
西村 悦子 今井 昭夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_659-I_667, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
14

本研究では,国内外の大規模コンテナターミナルで使用される荷役方式に着目し,そこで主として使用される荷役機器とターミナルレイアウトの特徴がコンテナの配置計画にどのような違いをもたらすかを検証する.具体的には荷役機器の違いは,コンテナヤードの保管エリアにあるコンテナブロック間に設けられた通路のどこを搬送車両が走行するかで移動に要する時間が異なること,さらに荷役機器の大きさや機動性に伴ってターミナル全体の保管容量が異なることがある.そこで評価指標には,総サービス時間とスペース占有率を用いた.計算結果より,港の混み具合や係留パターンに関わらず,タイヤ型門型クレーンで評価が高かったが,そのうち半数のケースでレール式門型クレーンと同等の評価を得ることが分かった.
著者
今井 暹 鎌田 好二 佐藤 幸子
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.274-280, 1975-08-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1

茂原市郊外のヨード工場ならびにモリブデン工場周辺部の養蚕家に出現した異常蚕について研究した結果, つぎの成績を得た。工場群から特定方向の一定距離内の桑園が工場から出る有害物質の被害をうけ, その桑葉を食下した蚕に異常がみられた。この桑葉は50~100ppmという高濃度のヨウ素に汚染され, これを食下した蚕は特異な病状を呈しながら発育を阻害されることを明かにした。したがってこの異常蚕はヨウ素中毒によるものであり, その病状はヨウ素添食蚕と全く一致していた。また中毒死は, 蚕体内にかなり高濃度に留存しているヨウ素にその原因があるように考えられた。
著者
根本 彰 影浦 峡 青柳 英治 海野 敏 小田 光宏 河西 由美子 岸田 和明 倉田 敬子 古賀 崇 鈴木 崇史 竹内 比呂也 谷口 祥一 研谷 紀夫 中村 百合子 野末 俊比古 松本 直樹 三浦 太郎 三輪 眞木子 芳鐘 冬樹 吉田 右子 今井 福司 河村 俊太郎 浅石 卓真 常川 真央 南 亮一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

5年間にわたる本プロジェクト(通称LIPER3)では、過去2回のLIPER研究で抽出した図書館情報学教育の問題構造に変化を与えるために次の実践研究を行った。第一に、図書館情報学教育の教育内容を見直すために、新しい標準的な教科書シリーズを執筆し刊行した。第二に、この標準的な教育内容に沿って各教育機関がどのような教育成果を上げているかを自己評価できるように、図書館情報学検定試験を4年間にわたり実施した。第三に、外国の図書館情報学教育の状況を把握し関係者と交流するために、アメリカの標準的教科書を翻訳・刊行し、国際学会で日本の図書館情報学教育について発表し、欧米の教育機関での聞き取り調査を実施した。
著者
阪口 雅弘 井上 栄 吉沢 晋 菅原 文子 入江 建久 安枝 浩 信太 隆夫 今井 智子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.439-443, 1991-04-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
4

布団内のダニアレルゲンの除去方法として, 1) 真空掃除機による吸引, 2) 布団たたきと真空掃除機の組み合わせ, 3) 機械式丸洗い, の3法を比較した. 布団内ダニアレルゲン量は, 布団内15箇所から綿を取り出し, アレルゲンを水に抽出して, 主要アレルゲン (Der f I, II; Der p I, II) の絶対量を免疫化学的に測定した. また, 布団をたたいてアレルゲンを空気中に放出させ, それをエアサンプラーを用いて集め, 定量した. 真空掃除機およびそれに布団たたきを併用した場合には, 布団内アレルゲン量の減少は40%前後であった. 機械丸洗いでは業者によるアレルゲン除去率の違いがあったが, ある業者では除去率は90%以上であった. また空気中に発生するアレルゲン量も, その業者では90%以上減少した. したがって, 布団から発生するダニアレルゲンによる暴露を減らすためには,布団の機械式丸洗いは, 布団たたきや掃除機法に比較して有効な方法である. ただし, 丸洗いによるアレルゲン除去率は, 業者によって違いがあった.
著者
三宅 誠音 磯田 豊 今井 圭理 小熊 健治 澤田 光希
出版者
北海道大学大学院水産科学研究院
雑誌
北海道大学水産科学研究彙報 (ISSN:24353353)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1-11, 2020-08-24

The shelf slope off Cape Erimo is very steep, and its slope width (L~30 km) is smaller than the internal radius deformation (λi~50 km). A simple model is used to investigate the dynamic response of Oyashio barotropic flow passing through this local steep slope area. Model results suggest that near-bottom Oyashio water cannot intrude from shelf area off Cape Erimo to Hidaka Trough, because inverse flow accompanied by the bottom trapped shelf wave is generated over the steep slope under the physical condition of L <λi. To confirm the existence of such inverse flow, hydrographic data at upstream and downstream both sides of shelf area off Cape Erimo were examined.