著者
伊藤 公一
出版者
関西法政治学研究会
雑誌
憲法論叢 (ISSN:24330795)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-11, 1995-10-16 (Released:2018-01-10)

A number of scholars of the Constitution of Japan support the theory of double standard. They interpret freedom of expression as the highest valuable human right. Consequently prior restraint of freedom of expression is forbidden generally. The Ministry of Education inspects the contents of textbooks now in our country. Quite a number of scholars of the Japanese Constitution insist that the inspection is contrary to the constitutional provision of freedom of expression. But the textbooks are used for education for good citizenship and children are compeled to study the textbooks by the law. These books are specific books unlike other books. In this paper, I argue that we must conclude constitutionality about restriction of freedom of expression in due consideration of purpose of the restriction and nature of textbook. It may be given as a conclusion that the present inspection of textbook dose not violate the freedom of expression.
著者
橋口 拓 伊藤 裕久 石榑 督和
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1334-1341, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

現在の福岡市中心部は、福岡部と博多部の2つから構成される。前者は那珂川を境に西側にある武士の町で、後者は那珂川の東側にある商人の町である。1945年の空襲で破壊された天神地区は現在、商業施設が高度に集積した九州最大の繁華街であるが、かつての天神地区は福岡城下町の場末で、商業の中心地は中世から続く博多であった。本稿では、戦前戦後の福岡市中心部を構成した中小規模の市場・商業空間に着目し、戦後それらの空間がどのように変容したのかを明らかにする。そこで本稿では、多くの市場・商業空間の中で、罹災した博多部の商人が福岡部で商店街を再興した「新天町商店街」、戦時体制下に空き店舗になった場所に商人が入居した「柳橋連合市場」、復興計画で変容する闇市として「三角市場」に着目する。これらの市場・商業空間は天神地区の発展に重要な役割を果たした。
著者
杉原 桂太 伊藤 俊
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.127-141, 2021-05-20 (Released:2022-05-21)
参考文献数
16

本稿は,日本における自動運転車の社会実装を議論するために行われたワークショップを提示することを目的とする.このワークショップでは,最新技術である自動運転車の社会実装について広い視点を参加者に提示するために,構築的テクノロジー・アセスメントが用いられた. 第一に,上記の目的を明確にし,本研究のフレームワークを明らかにする.第二に,米国と欧州,日本における自動運転車を取り巻く社会状況を提示する.ここでは,これらの地域におけるこの技術についての社会受容に注目する.その上で,社会実装を議論する場の必要性を指摘する.第三に,自動運転車の社会的な実装を議論するアプローチとして構築的テクノロジー・アセスメントを提示する.そのオランダにおける起源と特徴に着目する.第四に,ワークショップの詳細を示す.ワークショップでは三件の基調講演が行われている.さらに,日本における自動運転車の実装についての議論を促進するために三つのケース・スタディが用いられた.第五に,ワークショップの成果について議論する.最後に,全体をまとめ,今後の研究の必要性について指摘する.
著者
島田 俊雄 荒川 英二 伊藤 健一郎 小迫 芳正 沖津 忠行 山井 志朗 西野 麻知子 中島 拓男
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.863-870, 1995-07-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
15
被引用文献数
2

1994年7月,琵琶湖の生け簀で青白く光るスジエビ(所謂ホタルエビ)が大量に発見され新聞やテレビで報道されるなど注目された。採取後発光したスジエビは次第に衰弱し,その殆どがその日のうちに死亡した(所謂エビの伝染性光り病)。死んだエビの甲殼から発光細菌が分離された。同一のエビから分離された発光性4菌株は,TCBS寒天培地上で白糖非分解性の青色集落,PMT寒天培地上ではマンノース分解性の黄色集落を形成し,無塩ブイヨンおよび42°Cで発育した。トリプトソーヤ寒天およびブイヨンで,22°C培養で最も強い発光が見られたが,30°Cでは弱かった。これらの菌株はその形態・生理・生化学的性状がVibrio cholerae non-O1またはVibrio mimicusに類似していたが,その代表株(838-94)によるDNA相同性試験ではV.choleraeの基準株(ATCC14035)と高い相同性(79%)を示したが,V.mimicusのそれとは低い相関しか認められなかった。従って,これらの分離菌株はルミネセンス産生性V. cholerae non-O1と同定され,またその血清型はいずれもO28と型別された。一方,該菌株はコレラ毒素(CT)を産生せず,またCTおよびNAG-STのいずれの遺伝子も保有していなかった。
著者
伊藤 雅 林田 巧
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.124, no.7, pp.1396-1403, 2004 (Released:2004-10-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

This paper presents an optimization method for guitar fingering. The fingering is to determine a unique combination of string, fret and finger corresponding to the note. The method aims to generate the best fingering pattern for guitar robots rather than beginners. Furthermore, it can be applied to any musical score on single notes. A fingering action can be decomposed into three motions, that is, a motion of press string, release string and move fretting hand. The cost for moving the hand is estimated on the basis of Manhattan distance which is the sum of distances along fret and string directions. The objective is to minimize the total fingering costs, subject to fret, string and finger constraints. As a sequence of notes on the score forms a line on time series, the optimization for guitar fingering can be resolved into a multistage decision problem. Dynamic programming is exceedingly effective to solve such a problem. A level concept is introduced into rendering states so as to make multiple DP solutions lead a unique one among the DP backward processes. For example, if two fingerings have the same value of cost at different states on a stage, then the low position would be taken precedence over the high position, and the index finger would be over the middle finger.
著者
宮崎 由樹 伊藤 資浩 神山 龍一 柴田 彰 若杉 慶 河原 純一郎
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.222-230, 2020-12-15 (Released:2021-12-11)
参考文献数
17

顔を細く・小さく見せることに対する日本人の関心は高いが,どのような要因が顔の見かけの大きさを左右するかについては未検討な点が多い.本研究は,顔全体のサイズ知覚に,どの顔部位のサイズ情報が関与するか検証することを目的とした.そのためにまず,女性・男性顔132画像において,20箇所の顔部位の縦幅や横幅を計測した.また,その計測サイズとそれらの画像毎に評定された見かけの顔サイズ評定値との相関を算出した(研究1).その結果,顔全体のサイズ知覚には,顔画像の性別に関係なく,顔面上部(額の長さ等)にくらべて顔面下部のサイズ(頬の広さや顎の長さ等)が強く正相関していた.この結果に基づき,顔面下部を衛生マスクで遮蔽し,顔面下部のサイズ情報を観察できなくすることで,顔のサイズ知覚が変わることも実証した(研究2).これらの結果は,顔全体のサイズを判断する際,顔面下部のサイズ情報が重要な手がかりとして用いられていることを示している.
著者
伊藤 操子
出版者
特定非営利活動法人 緑地雑草科学研究所
雑誌
草と緑 (ISSN:21858977)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.2-12, 2017 (Released:2018-02-15)
参考文献数
12
被引用文献数
2

生物は外部からの化学物質に対して様々な生体反応を示し,これは医薬と人間・病原菌等と同様に除草剤と雑草にも当てはまる.除草剤の最終的に効果である雑草の死亡に至るまでには,薬剤の植物体(茎葉,根,種子)へ吸収,体内の作用部位への移行,作用点での特定の生化学反応の阻害,これらの過程中での薬剤の代謝・分解といった,様々なプロセスが関わっている.そして,この各プロセスは植物の種類,生育段階等による差異が大きく,このことが望む効果を決定づけたり,ときには薬害の原因になったりしている.“雑草がなぜ枯れるか”については,緑地雑草管理の関係者も日頃あまり気にかけないか,その必要を感じていないのではないかと思われる.しかし,実際は望ましい結果を得るためには,枯れるまでの各プロセスへの正確な知識は非常に重要であり,少なくとも米国の雑草管理事業者はこれらを身に着けているようだ.そこで本稿では,1)除草剤はどのようにして植物体内に入るか,2)どのようにして作用部位にたどりつくのか,3)どのような作用によって雑草を枯死させるのか,および4)除草剤の精緻な作用機構が生んだ深刻な問題である除草剤抵抗性変異について,現場関係者の理解を目標に,できるだけ分かりやすく解説することを試みた.
著者
伊藤 純
出版者
帝塚山大学奈良学総合文化研究所
雑誌
奈良学研究 (ISSN:13445936)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.39-51, 2022-02-20
著者
伊藤 幹二
出版者
特定非営利活動法人 緑地雑草科学研究所
雑誌
草と緑 (ISSN:21858977)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.16-27, 2013 (Released:2017-06-30)
参考文献数
13

現代社会は,技術がほとんどの問題を解決するという観念を育んできた.しかし,自然の資源が生成されるよりも早く消耗されてしまうという問題は,技術では決して解決することができない.現在,資源の根源と云うべき‘表土と植生’を持続可能に管理していくことが国際的規範となっている.さて,表土とは何か? 表土の機能,表土喪失のリスク,表土資源管理の諸問題を再検討することから,表土保全育成の在り方を考えてみた.
著者
伊藤 謙
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

国内外での石薬のマテリアルプロファイル構築や基原解明における継続的な調査を、3か年に渡り精力的に実施した。本研究では、医療用のみならず冶金やその他の用途に用いる石薬についての研究・調査も継続的に実施し、研究成果を論文や学術講演だけでなく、展覧会という形でもアウトリーチを実施し、社会に公表・発信した。研究成果は計3編の学術論文、計12回の国内外での学術講演として発表した。その一部は、産経新聞1面(2017年5月19日夕刊)をはじめとする多数の新聞社やテレビ局により、広く報道された。加えて、計2回の展覧会(2017年、2018年)、1冊の出版物(2019年)の形でも、研究成果を発信した。
著者
伊藤 亜紀
出版者
国際基督教大学キリスト教と文化研究所
雑誌
人文科学研究 (ISSN:00733938)
巻号頁・発行日
no.39, pp.107-127, 2008-03

チェーザレ・リーパの図像学事典『イコノロジーア』(1593年初版) において定義されている5種類の「節制」の擬人像のうち、一人は「ポルポラの服を着た女性」である。すなわち「節制」とは「中庸」であり、それは「ふたつのまったく異なる色」の「合成物」たるポルポラの服によってあらわされるのだという。これはポルポラが二色の合成色であることを最初に明言したという点で特筆すべきものであるが、リーパはこの知識をいかにして得たのであろうか。 古代のプルプラ貝による染色はとうに廃れ、15世紀の染色マニュアルや衣裳目録には、「ポルポラ」という色名すら見いだすことはできない。チェンニーニ等による諸文献は、ポルポラが赤と青の合成色、もしくは赤そのものとみなされていたことを間接的・・・に伝えているが、いずれにせよポルポラはすでに一般的な色彩用語ではなかったことが理解できる。 16世紀に各種出版された色彩象徴論からも同様な事情が窺える。エクイーコラ、テレージオ、モラート、リナルディ等は、ポルポラを古典文学作品に頻出する色と認めつつも、それを単に赤をあらわす色名の一つとみなしているに過ぎない。 しかし1565年、紋章官シシルの『色彩の紋章』のイタリア語訳が出版されたことが、イタリア人のポルポラ観を変えることになった。この書の第一部では、紋章を構成する基本色として金、銀、朱、青、黒、緑、プールプルが論じられているが、そこではプールプルが「他の [6 つの] 色で出来て」いる合成色であることが明言されている。さらにシシルは、プリニウスや聖書の記述からプールプルが王や皇帝に属する「高貴な」色であることを強調しており、このことはイタリア人にポルポラの象徴的価値を再発見させることにもなったと考えられる。 シシルの論はイタリアで版を重ね、ロマッツォの『絵画論』等、16世紀後半以降に書かれた色彩象徴論に大きな影響を与えたが、リーパも寓意像の服の色彩を決めるにあたってこれを参照したことは間違いない。とりわけ『イコノロジーア』におけるポルポラを着る寓意像の説明には、シシルのプールプル論が色濃く反映されている。さらにポルポラを二色の合成色とみなす考え方も、『色彩の紋章』第二部における、プールプルは「赤と黒のあいだの色であるが、黒よりも赤により近」く、「藍か青の色をもつ」という記述を踏まえたものだと考えられる。したがってリーパの言う「ふたつのまったく異なる色」とは、赤と黒、もしくは赤と青と考えられるが、それを明らかにしなかったのは、ポルポラが人によってさまざまな色名で言い換えられる色調の定まらぬ色だからである。
著者
伊藤隆二 櫛渕欽也 池橋宏 中根晃 東正昭 谷口晋
巻号頁・発行日
no.21, pp.79-91, 1974 (Released:2011-09-30)