著者
佐藤卓己編
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
2016
著者
曽ヶ端 克哉 染谷 哲史 佐藤 卓 鳥越 俊彦 佐藤 昇志 平田 公一
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.1115-1118, 2005
被引用文献数
1

自動吻合器を使用したPPH (procedure for prolapse hemorrhoids) 法により痔核手術を施行したが,術後に巨大な直腸粘膜下血腫を生じ排便困難になった症例を経験した.患者は69歳女性で,痔核の脱出を主訴に外来受診し, Goligher分類ではIII度内痔核であったため手術を施行した.手術は肛門拡張器を肛門内に挿入し, Purse-string Suture Anoscopeを順次回転させながら2-0プロリンにて直腸粘膜に巾着縫合を全周にかけ,自動吻合器により切除を行った.巾着吻合の糸を索引した際に下腹部痛,嘔気および徐脈・血圧低下を訴え,術後も下腹部の違和感が残っていた.術後4日目になっても便が排出されず,肛門診の際吻合部に疼痛を訴えたため術後7日目に骨盤CT施行したところ,直腸に直径約7cmの粘膜下血腫を認めた. PPH法は手技も簡便で術後痔痛が少ないなど利点も多い.しかし安易な施行は合併症を起こすことを認識し,適応と手技を十分に検討していく必要があると思われた.
著者
花田 惇史 吉田 裕一 佐藤 卓也 後藤 丹十郎 安場 健一郎 田中 義行
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.161-169, 2016
被引用文献数
4

近年,受粉用ミツバチがしばしば不足し,果実を中心に園芸作物の生産コスト増大や品質低下を引き起こしている.その解決策の一つとして,医療用の無菌ウジ増殖技術を応用して生産したヒロズキンバエについて,施設栽培作物の花粉媒介昆虫としての実用化の可能性を検討した.イチゴ,トマト,ナスおよびメロンを対象として,開花期にヒロズキンバエをハウス内に放飼し,着果率や果実形態の比較によって,各作物への受粉効果を調査した.トマト,ナスおよびメロンにおいては,明確な着果促進効果は得られなかった.一方,イチゴでは,ハエは羽化直後から盛んに花に飛来する姿が観察され,ハエ搬入前と比較して受精不良果発生率は大きく低下した.ただし,90 m2当たり400頭の搬入では品種によって効果が不十分であった.しかし,1000頭搬入した場合は,ミツバチと同等の効果が得られたことから,ヒロズキンバエはミツバチの代替ポリネーターとして十分利用可能であると考えられた.
著者
佐藤 卓 池田 英男 古川 一 村田 雄司 供田 真由子
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.124, no.10, pp.705-709, 2004-10-01
被引用文献数
1 3

カンゾウ(Glycyrrhiza glabra Linn.)は甘味剤, 胃腸薬などとして用いられる重要な生薬で, 日本における消費量は増加傾向にあるが, その大部分を海外, 特に中国からの輸入に頼っている. 2000年の日本のカンゾウ総輸入量は4151tで, このうち中国産は3250tを占め, 中国からの輸入は過去10年で最高となっている(厚生労働省, 2002). その一方で, カンゾウの乱獲による環境破壊が中国西北地域一帯で進行しつつあり, 中国政府は現在まで実施していたカンゾウの輸出許可制度を活用した輸出総量規制, 輸出港の限定による無許可輸出の防止, 輸出許可取得料の値上げ, 生産地に対する管理, 規制などを進めている. そこで, 中国では野生カンゾウの採集に代わり, 栽培によるカンゾウの生産を実施しているが, かならずしも日本薬局方の定めるグリチルリチン酸含有量を満たしていない. 一方, 個人輸入業者が主として販売する未承認医薬品による健康被害があとを絶たないことから, 既存の漢方や生薬においてもより厳密な品質管理が求められる可能性が考えられる.
著者
岩佐 和晃 伊藤 晋一 大山 研司 佐藤 卓 富安 啓輔 横尾 哲也 益田 隆嗣 平賀 晴弘 奥 隆之 吉良 弘 倉本 義夫
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

電子の遍歴-局在転移、電子多極子秩序、さらに磁気・電荷秩序相と接する超伝導などの非自明な電子物性の機構解明には、磁気モーメントのミクロな秩序と揺らぎの観測が重要である。長年その目的に供されてきた中性子散乱法は、近年の線源性能の向上や高束線ビーム化により、従来は検出できなかった散乱シグナルの観測へと進展している。本研究では、ブリルアン散乱法や偏極中性子利用も視野に入れてこれまでアクセスできなかった測定への進化を目指しながら、遍歴-局在のデュアリティー性を示す近藤格子、鉄系超伝導の相図と磁気相関、ワイルフェルミオン系などを明らかにする成果を得た。
著者
貴志 俊彦 川島 真 陳 來幸 佐藤 卓已 佐藤 卓己 北村 由美 小林 聡明
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

この国際共同研究では、日本国内、台湾、韓国などで展開された学術交流によって、今後の関連研究に貢献できる次のような論点を明らかにできた。(1)エスニック・メディアに掲載された見解を分析することで、太平洋戦争終結による時代性の非連続的側面よりも、社会の環境および観念の連続性をより検出できた。(2)華人、金門人、日本人、コリアンとも、戦後直後においては、東アジアと東南アジアといった地域を移動する流動性が顕著であったため、時空間横断分析を進め、地域相関型の研究を推進することの重要性が確認された。(3)エスニック・メディアは、文字資料のみならず、映画、ラジオなど多様な非文字資料の役割が重要であるとともに、集団的、個人的コミュニケーション手段がコミュニティの拠点どうしを結ぶ機能を果たしていることを明らかにできた。なお、エスニック・メディア・データベースの構築は、引き続き課題として残された。
著者
佐藤 卓己
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2000

歴史学と社会学の学際領域であるドイツ新聞学の学説史的研究を通じて、メディア学の体系的研究に寄与する視点を構築することが、この萌芽的研究の課題であった。20世紀初頭のドイツで、歴史的手法を利用して成立した新聞学の社会史研究は、情報化社会が本格化する中でメディア研究の方法論が模索される現在、参照すべき貴重な系譜といえる。既に執筆済みの「第三帝国におけるメディア学の革新」(『思想』833号)、「ドイツ広報史のアポリア-ナチ宣伝からナチ広報へ」(『広報研究』4号)に加えて、この萌芽的研究に関連する成果としては、「ナチズムのメディア学」(『岩波講座文学 2 メディアの力学』所収)を発表した。ドイツを代表する世論研究者エリザベス・ノエル・ノイマンの反ユダヤ主義と戦争責任に関するドイツ公示学会での論争を紹介しつつ、総力戦体制化で誕生したアメリカのマス・コミュニケーション学とナチ新聞学の同質性を跡付けた。そうした連続性は戦時中はナチ新聞学の研究者として活躍し、戦後はアメリカ占領軍の指導に協力してマス・コミュニケーション学や世論調査研究の普及につとめた、小野秀雄・小山栄三など東京大学文学部新聞研究室(戦後の新聞研究所、現在の社会情報研究所)のメディア研究者においても確認できる。こうした総力戦体制期のファシスト的公共性とメディア研究の関係を、ドイツ-アメリカ-日本の比較において考察する著作『ファシズムのメディア学』(中公新書)を2004年の刊行を目指して現在執筆している。
著者
稲垣 恭子 竹内 洋 佐藤 卓己 植村 和秀 福間 良明 井上 義和
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1920〜30年代におけるアカデミズムとジャーナリズムを中心とする「知識人的公共圏」について、2ヶ月に1度のペースで研究会を開催し、それぞれのテーマについて報告した。そのなかで各自の研究成果の土台をつくると同時に、共同研究としての共通の方向性と知見を集約していった。その成果は『日本主義的教養の時代』(柏書房2006年)として刊行している。また、本研究グループと京都大学社会学環との共同開催による公開シンポジウム、および各自の研究論文、著書として発表している。シンポジウム、各自の著書は以下の通りである*公開シンポジウム「大学批判の古層-『日本主義的教養の時代』から」(平成17年6月21日京都大学時計台記念館)竹内洋『大学という病-東大紛擾と教授群像』中公文庫2007年佐藤卓己『テレビ的教養-一億総博知化への系譜』NTT出版2008年稲垣恭子『女学校と女学生』中公新書2007年佐藤八寿子『ミッション・スクール』中公新書2006年福間良明『殉国と反逆-「特攻」の語りの戦後吏』青弓社2007年植村和秀『「日本」への問いをめぐる闘争-京都学派と原理日本社』柏書房2007年石田あゆう『ミッチーブーム』文春新書2006年井上義和他(解題)『日本主義的学生思想運動資料集成I雑誌篇(全9巻)』柏書房2007
著者
佐藤 毅 佐藤 卓巳 川浦 康至 市川 孝一 津金沢 聡広
出版者
一橋大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1991

本研究は情報化が大衆文化のありかたにどのような変容をもたらしつつあるかを明らかにしようとしたものである。この研究の初年度にあたる本年度は、先行研究の収集とその分析を試みつつ、研究の粋組づくりと、若干の個別研究にふみこんだ。研究に大別して二つに分れて行なわれた。その第1は、関東グル-プによって行われた「ヴィデオゲ-ム」を事例にとった研究である。ここではまず研究の粋組づくりが行われ、“人ーメディア相互行為"の位置づけを試みた。すなわち、メディア内世界での人々のメディア依存の深化と高度化が、同時に、そこでの経験の自在感や自律性を高めることを指摘した。次に先行研究を国内と国外に分けてレビュ-し、また新聞と雑誌の記事の分析を通じて、ヴィデオゲ-ムをとりまく、論調の分析を行った。そこでは新しいソフトの開発がきっかけで論調の量と内容に変化が生まれていることがわかった。さらに、来年度の継続研究として、事例調査とアンケ-ト調査に着手している。第2は、関西グル-プによる、「カラオケ」を事例とする研究である。ここではまず家庭における情報・メディア機器の利用実態調査をふまえて、カラオケ歌唱行動やカラオケ文化の変容と類型化の試み、そのメディア社会史の分析などを行った。ここでは、カラオケ文化が高度情報化時代の産業的=技術的基盤の上に成立した現象であること、テ-プ・カラオケからLDカラオケへの移行のなかで、ナイト文化、ボックス文化、ワゴン文化、ホ-ム文化と四つの類型に分けられるに至っていること、そしてそれぞれに人々の仮想の「生きがい」が発散されていることが見出された。なお、本研究の詳細は別冊「情報化と大衆文化ー実績報告書」を参照されたい。
著者
佐藤 卓 Moreshet Samuel 高垣 美智子 篠原 温 伊東 正
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 = Japanese journal of tropical agriculture (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.61-69, 2003-06-01

地下水の過剰利用や地球環境の変化により、旱害は農業生産において深刻な問題となりつつあることから,乾燥条件下における植物生理の理解を深め、乾燥ストレス耐性を付与した品種育成を目的とした研究が急務となっている.Capsicum annuum L.の中で,タイチリとニューエースは環境ストレスに対して対照的な反応を示す品種として知られていることから,この2品種を用いて乾燥ストレスに対する生理的反応を調査した.乾燥ストレス処理に際し,ヒートパルス法によるサップフロー,気孔コンダクタンス,葉の水ポテンシャルの測定を行った.タイチリは乾燥に対してより高い感受性を示し,水分供給量が限られている場合に蒸散による余分な水分損失を押さえていると思われた.また,潅水を再開した後の,サップフロー,気孔コンダクタンス、葉の水ポテンシャルの回復はタイチリの方がニューエースよりも早かった.さらに,一度乾燥ストレス処理を受けた植物は二度目のストレス処理の際に,以前に乾燥ストレスを受けていない植物よりも強い乾燥ストレス耐性を示した.品種間における形態,生理的な違い,つまり,葉や根の構造、及び、乾燥に対する水ポテンシャル調整機能の違いが、乾燥ストレスに対する反応の違いをもたらしたと考えられた.
著者
竹内 洋 富田 英典 稲垣 恭子 佐藤 卓己 井上 義和
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

総合雑誌を中心とする論壇の「衰退」や、インターネットを中心とする新しい論壇の「誕生」といった現象の背後で進行してきたメディア史的な変動の過程について、中長期的なスパンで実証的に分析した。論壇的公共圏の成立の重要な契機として、進歩的文化人による「革新幻想」公共圏の形成があったことを示し、さらに論壇的公共圏の変容を解明するために、様々なタイプの雑誌メディアの変容過程について調査している。