著者
大谷 卓史 芳賀 高洋 池畑 陽介 長尾 憲宏 佐藤 匡 髙木 秀明 山根 信二
雑誌
情報教育シンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.73-78, 2015-08-10

筆者らは,スマートフォン(スマホ)やソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などを活用する情報安全リテ ラシーを定義し,地域社会におけるこの向上を図るため,地域の情報通信技術(ICT)の利用状況と情報安全リテラ シーの実態を調査し,調査にもとづき,地域の生徒・児童の保護者および社会人を対象として,スマホおよび SNS の情報安全リテラシーの基本的知識を提供する講演会を開催した.上記調査結果の概要と実践活動を報告する.
著者
原 裕太 佐藤 廉也
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2022年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.39, 2022 (Released:2022-10-05)

1. 背景と目的 1950~1960年代における発展途上国等の地表面環境を高分解能で把握する重要なツールの一つに米国の偵察機U-2による偵察空中写真がある.米軍偵察衛星による撮影頻度が比較的低い1960年代前半以前は,土地被覆を把握する有力な選択肢であり,1960年代以降は偵察衛星を補う目的で撮影が続けられ,貴重な情報が蓄積されている.しかし,機密解除された写真フィルムはアーカイブ化が進んでおらず,近年当該写真を紹介する先行研究がいくつか発表されているものの(Sato et al. 2016; Hammer and Ur 2019),経路,頻度の全容解明は道半ばである.本研究では U-2に関する米国中央情報局(CIA)の機密解除文書を用い,東アジア,中央アジアにおける偵察飛行の地理的特徴の解明を試みた. 2. 対象地域と調査資料,研究方法 主な対象は日本,中国,朝鮮半島,ヒマラヤ山岳地域,中央アジア(ソ連領)である.調査資料は米国情報公開法により開示されたCIA機密文書で,当局の電子データベースにミッション名等を入力して網羅的に収集した.なお開示資料には現在も白塗りの非公開情報が多数含まれる.また一部飛行経路は米国立公文書館Ⅱで収集した.得られた経路情報はArcGISで線データに変換し密度解析を行った. 3. CIAによる世界でのU-2偵察回数(国・大地域別) まず,CIAによる偵察飛行の実施回数を示すとみられる一覧表を発見した.当該表では「ソ連」「衛星国(東欧)」「中東」「インドネシア」「ラオス・ベトナム・カンボジア」「NEFA・ネパール・チベット・中国」「北朝鮮・マンチュリア」「キューバ」「南米」の9地域に区分されていた. 最多の偵察は1950年代後半の中東で,次に1958年のインドネシア,さらに1960年代のキューバと中国の順であった.ヒマラヤ~中国は1958~1960年と1962年以降に偵察され,1962年以降は継続的に20回/年近く偵察されたとみられる. 4.国未満の空間スケールでの飛行経路と頻度の傾向 1957~1963年の期間,上記偵察回数に対して実際に飛行経路を把握できたミッションは,中国~ヒマラヤ~朝鮮半島が93.1%(53/58),ソ連領が76.2%(16/21)であった. 重要な発見として,偵察頻度の高い地域が,台湾海峡周辺(>10回)の他に内陸部でも複数抽出された.具体的には,甘粛省中部,チベット自治区東部,ヒマラヤ山岳地域が最も高く(>6回), 次に四川盆地,東南アジア諸国と中国の国境地帯,カシミール~新疆西部等が挙げられた(>4回). また,対ソ連ミッションに関して,大地域別のリストでは記載のないモンゴル領内でも偵察飛行が実施されたこと,対ソ連ミッションのなかで偵察機が新疆やチベットにも飛行していたこと,アラル海やシルダリア川沿い,キルギス等でも複数回にわたり飛行が試みられたこと等を確認した. 以上は,U-2偵察写真の利用可能性を,国未満の空間分解能で議論,検討することをはじめて可能にする成果である. 文献 Hammer, E. and Ur, J. 2019. Advances in Archaeological Practice 7(2):1-20. Sato, R., Kobayashi, S., and Jia, R. 2016. Teledetekcja Środowiska Tom 54: 61-73.
著者
網代 広宣 小林 雄也 平田 昂大 板野 圭佑 佐藤 慎也 酒井 直也 仲島 佑紀
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.49-55, 2023-10-31 (Released:2023-11-07)
参考文献数
18

本研究は117名の高校野球選手を対象にCOVID-19感染拡大防止措置が実施された年と前年の傷害発生率を調査し比較した.季節別では,2019年と比較し,2020年の夏季で肩・肘傷害,冬季は足・足部傷害が増加した.各季節のポジション別では,夏季の投手・内野手の肩傷害,秋季で内野手の肘傷害,冬季で外野手の足・足部傷害が増加した.今後は得られた特徴より,傷害予防を講じていく必要がある.
著者
佐藤 信
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.760-765, 1970-09-15 (Released:2011-11-04)

マーケティング・リサーチの実際は読者諸氏が自己製品の開発のため市場調査 (狭域の場合が多い) を行なうに当っての手びきとなる貴重な解説であった。標本のえらび方のところなどではかなりの頻度で数学的表現が出てきたが, これらのことは解らなくとも差しつかえはないとはいえ, 基礎的な智識があるにこしたことはなく, それがあれば理解も-段と高まってくるわけで, ここに母集団, 標本, 誤差についての簡明な解説をお願いした。
著者
佐藤 賢一
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.11, no.9, pp.90-95, 2006 (Released:2009-12-21)
参考文献数
2
著者
岡 雄一郎 佐藤 真
出版者
大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
雑誌
子どものこころと脳の発達 (ISSN:21851417)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.3-9, 2021 (Released:2021-10-14)
参考文献数
16

発達期の脳内において,様々な外的因子の影響を受けつつも,軸索の伸長やシナプスの形成といった過程が調和を保ちながら機能的な神経回路網が形成されることが,健やかなこころの育ちの基盤となる.我々の研究室では基礎的な回路形成の研究と共に,(1)巧緻運動に関わる回路の発達,(2)シナプス部における情報伝達に関わる仕組み,(3)母親のストレスと子どもの脳発達,という臨床とも関連の深い3つのテーマに取り組んでいる.本稿ではそれぞれの概略を冒頭で短く紹介し,残りの紙面で(1)について最近発表した論文の内容を詳しく紹介する.
著者
佐藤 廣康 西田 清一郎
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.146, no.3, pp.126-129, 2015 (Released:2015-09-10)
参考文献数
11

シノメニンは漢方生薬,防已の主要含有フィトケミカルである.シノメニンの主たる心循環作用は血管弛緩作用であり,血管内皮依存性と血管平滑筋への複雑な作用機序に起因している.木防已湯と防已含有シノメニン単独の血管弛緩作用を比較すると,シノメニンは老齢ラットに対して弛緩作用が減弱するが,木防已湯は老齢ラットでもその弛緩作用を保持した.したがって,木防已湯に含有する多数の生薬成分,含有フィトケミカルによる複雑な相互作用によって,木防已湯は薬理作用の加齢変化を受けにくくなっていると推測された.一方,シノメニンは心室筋膜イオンチャネルにも作用し,抗不整脈作用を示し,心筋保護作用を表すことが解明された.よって,木防已湯エキス剤によって循環器疾患を改善する可能性が示唆された.すでに漢方薬を用いた診療は広い領域に応用されており,そのエビデンスも少しずつ構築されつつあるが,循環器領域における漢方薬,木防已湯の臨床適用に関する研究の発展は,今後一層期待される.
著者
木下 茜 山田 大介 本多 一貴 團野 哲也 徳永 まゆ子 宮川 仁平 田口 慧 秋山 佳之 山田 雄太 佐藤 悠佑 久米 春喜
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.113, no.4, pp.147-151, 2022-10-20 (Released:2023-10-20)
参考文献数
17

48歳女性.前医婦人科にて子宮筋腫,子宮内膜症に対し子宮全摘術と両側卵巣囊胞切除術を施行された.術後に腎機能の増悪を認め,病理組織検査で尿管組織を指摘され,左尿管損傷修復について当科紹介受診した.腎瘻からの順行性腎盂造影検査にて尿管欠損部は9.5cmであった.尿管損傷修復として尿管膀胱吻合は困難と考えられ,右腸骨窩の癒着が強くなく血管が確保できれば自家腎移植術の方針とした.術中操作で骨盤内の血管を確保できたため,左腎の右腸骨窩への自家腎移植術を施行した.術6カ月後の腎機能は保たれ,エコーで水腎を認めず腎血流も良好であった.尿管損傷の再建法を苦慮し文献検索をした経験から,尿管損傷長によるアルゴリズムを作成した.
著者
田中 育太 友兼 毅 門田 美由香 小田 修治 野田 和克 佐藤 康史 六車 直樹
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.118, no.5, pp.473-479, 2021-05-10 (Released:2021-05-10)
参考文献数
25

症例は60歳代,男性.精神科病院に長期入院中,発熱,嘔吐を認め,救急搬送された.炎症反応上昇,溶血所見,急性腎障害がみられ,CTで胸腹水と,直腸壁外の浮腫状変化,air densityを認めた.搬送前日に施行された浣腸による直腸損傷と限局性腹膜炎,グリセリン血管内流入にともなう溶血と急性腎障害と診断した.グリセリン浣腸は,直腸損傷および溶血尿をきたした報告が本邦でも散見され,留意する必要がある.
著者
佐藤 想一朗 新原 寿志
出版者
一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
雑誌
日本東洋医学系物理療法学会誌 (ISSN:21875316)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.93-100, 2022 (Released:2023-06-28)
参考文献数
7

【目的】鍼灸が広く国民の健康に寄与するためには、その安全性が担保されなければならない。今 回我々は、消費者庁と独立行政法人国民生活センターが管理運営を行っている事故情報データバ ンクシステムに登録された鍼灸とその関連療法に関する有害事象ついて調査し、事故情報データ バンクシステムの有用性について検討した。 【方法】事故情報データバンクシステムの運用開始(2009 年 9 月)から 2020 年 12 月 31 日までに 登録された事故情報を対象に、フリーワード検索を行った(鍼、針、ハリ、はり、バリ、ばり、粒、灸、 キュウ、やいと、ヤイト、艾、モグサ、もぐさ、経穴、ツボ、つぼ)。該当した事故情報を、鍼灸 とその関連療法に関する有害事象とその原因療法について分類・集計した。 【結果】有害事象では熱傷が 149 件と最も多く、痛み 79 件、体調悪化・症状悪化 42 件、気胸 36 件、 体調不良・気分不良 33 件、皮膚障害 29 件、鍼の抜き忘れ 28 件、内出血 26 件、感覚障害 24 件、 腫脹 21 件と続いた。灸療法、艾蒸療法、他の温熱療法、電気療法、光線療法、吸角療法の有害事 象では熱傷が最も多く、各々 95 件、20 件、4 件、4 件、2 件、2 件であった。鍼療法では痛みが 43 件、 耳鍼療法では皮膚障害 9 件が最も多かった。 有害事象の重症度では、「医者にかからず」が 101 件と最も多く、治療期間が 1 ヶ月以上 82 件、 1 週間未満 48 件、1 ~ 2 週間 47 件、3 週間~ 1 ヶ月 40 件と続いた。 【結論】事故情報データバンクシステムには、気胸などの重症例から、論文や会議録に発表されな い鍼灸やその関連療法に関するマイナーな有害事象(熱傷、痛み、体調悪化・症状悪化など)や 軽症例まで多数登録されていた。本調査の結果、事故情報データバンクは、文献調査に比較して 情報量・信憑性・正確性については劣るものの、鍼灸やその関連療法に関する有害事象の把握や リスクマネジメントを考える上で、有用かつ貴重な情報源であることが示された。
著者
佐藤 兼太 川崎 浩司 越村 俊一
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.316-323, 2023-09-15 (Released:2023-10-08)
参考文献数
18

Characteristics of tsunami flow in cities are three-dimensional, highly non-linear and non-hydrostatic. A fully three-dimensional free-surface fluid model is required to simulate such a flow field. Fluid simulations in the field of coastal engineering are often large-scale since large areas are the subject of the simulations. The numerical model must be not only accurate but also efficient. In recent years, the lattice Boltzmann method (LBM) has attracted much attention as a novel simulation method and has been successfully applied to various engineering fields. Moreover, the cumulant LBM has attracted attention because it has excellent numerical stability even for high Reynolds number flows. The single-phase free-surface flow model using the cumulant LBM is a suitable approach for simulating violent flow fields in coastal engineering. In this study, we propose a single-phase free-surface flow model based on the cumulant LBM using the volume-of-fluid (VOF) model. We demonstrate that the cumulant LBM is stable under violent flows and reproduces the pressure field well compared with the traditional single relaxation time model. We find that a larger bulk viscosity can reduce the numerical oscillation of the impact pressure acting on a structure, although a bulk viscosity that is too large reduces the accuracy and stability. The results of the proposed model are in good agreement with previous experimental results.
著者
佐藤 哲也
出版者
社団法人 プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.7-16, 1999 (Released:2000-12-26)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

After its more than 80 years long history, the dynamo problem has finally approached to the goal of one’s ambition to unveil its grand mystery of creation and reversal of the geodynamic field in a self-consistent fasion. The success in unveiling this long mystery of the dynamo problem has been brought by elaborate large-scale computer simulations. In this review, a brief history of the dynamo problem, both theoretical and observational, is first described. Then the recent exciting demonstrations of the generation and reversal of the self-excited dipole-like magnetic structure done by the UCLA-LANL group and the NIFS group are described.
著者
佐藤 公則
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.432-437, 2002-10-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
18
被引用文献数
11 8

声帯萎縮の病理組織を解説した.1) 声帯萎縮とはいったん正常の大きさまで発育した成人・小児声帯の容積, あるいは声帯の層構造を構成する各組織の容積が単独にあるいは重複して減少し, 発声機能が低下する変化と定義できる.2) 各疾患・病態における声帯組織の萎縮部位は異なっている.3) 反回神経麻痺では, 声帯筋層の容積が単独に減少し, 声帯に萎縮が起こる.4) 声帯溝症では, 声帯粘膜固有層浅層の容積が単独に減少し, 声帯に萎縮が起こる.5) レーザーあるいは放射線照射後の声帯組織では, 被照射声帯組織の容積が単独あるいは重複して減少し, 声帯に萎縮が起こる.6) 加齢に伴う声帯の萎縮は, 声帯の粘膜固有層と筋層の容積が重複して減少するが, 特に粘膜固有層浅層の容積の減少が大きく関与している.7) 声帯の組織学的構造および萎縮声帯の病理組織像を理解することは, 声帯萎縮をきたす各疾患あるいは病態に対する治療理念を理解するために必要である.
著者
原 千陽 佐藤 英夫 村松 周子 淺田 美咲 伊部 亜紀子 水澤 満智代 山口美沙子
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.291-296, 2016-08-31 (Released:2016-09-15)
参考文献数
15
被引用文献数
2

【背景と目的】慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)は全身の併存症による病態の悪化にも注意が必要であるが,さらに不安や抑うつを高率に合併することが指摘されている.そこで,Patient Health Questionnaire-9(以下PHQ-9)を用いてうつ病性障害の合併に関して検討した.【対象と方法】定期通院している88例の患者を対象として,COPDアセスメントテスト(以下CAT)とPHQ-9を実施した.【結果】27例,30.6%にうつ病性障害の合併が疑われた.26例はCATスコア10以上のグループであった.うつ病性障害合併群は有意にCATスコアが高く,より増悪頻度が多かった(ハイリスク).睡眠薬の服用頻度はうつ病性障害合併群で50%あった.呼吸リハビリテーションと抗うつ薬の処方により呼吸困難の軽減が得られた症例を経験した.【結語】CATスコアが高値である場合,COPDの病態悪化以外にうつ病性障害の合併も念頭に入れる必要がある.呼吸リハビリテーションや薬物療法の他に,患者とのコミュニケーション機会の増加や訪問看護等の活用も,不安や抑うつの軽減に寄与すると考えた.