著者
佐藤 靖雄 森田 守 高橋 広臣 蔵内 祥博 黄川田 光夫
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.160-167,en1, 1965 (Released:2010-10-20)
参考文献数
29

Two cases of carcinoma of the larynx, which were found in teenagers, were reported: a fourteen year-old girl supralottic type, squamous cell carcinoma, Stage III (T2N1M0) and a seventeen year-old girl (glottic Type, carcinoma in situ, Stage I (T1N0)). The former was treated with irradiation followed by surgery, and in the latter, radiation only. The vocal cords were saved in both cases. No recurrance of tumor is seen for one and half year in the former case and six months in the latter after treatment. The followings are discussed: how to combine radiation therapy and surgical treatment, concerning skin incisions of partial resection, regional application of anti-cancerous drugs, and the functions of speech and swallowing after surgery.
著者
佐藤 慎 大城 昌平
雑誌
リハビリテーション科学ジャーナル = Journal of Rehabilitation Sciences Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
vol.8, pp.107-115, 2013-03-31

骨格筋減少症といわれるサルコペニアは高齢者の虚弱発生の主要な原因であり,老年医学及びリハビリテーションの観点からも重要な課題とされている.近年,国内外問わずサルコペニアに関する知見(判断基準,分類,メカニズム,治療など)が多数報告されている.その中でサルコペニアと栄養との関連性を指摘しているものがある.近年「栄養ケアなくしてリハなし」といわれ,低栄養状態が高齢者の生命予後やActivities of Daily Living(ADL)の悪化につながるとされており,栄養とリハビリテーションの関係が注目されている.本論文では,サルコペニアの概念・メカニズム・治療(栄養介入,運動介入)に関して述べ,さらに今後の課題として,トレーニング介入時の栄養状態に着目することの重要性に関して考察した.
著者
田村 芳明 柳澤 佳里 佐藤 孝治 盛合 敏
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.13-24, 2010-03-16

インターネット上で提供されるサービスの増加と高機能化に加え,PC サーバの小型化,高速化,低価格化により,企業では多数の PC サーバで構成された複雑なシステムのコスト削減とリソースの有効利用が求められている.この課題を解決するために,仮想マシンを利用して,1 つの物理マシン上に複数のサーバ機能を統合することが検討されている.しかし,ハードウェア障害発生時にサービスを継続するためには,特殊なハードウェア,アプリケーションや OS に依存しない,可用性の高い構成が必要である.本論文では,仮想マシン間の同期による耐故障クラスタリング技術,Kemari について述べる.Kemari は,アプリケーションや OS に依存しないで,障害発生時にサービスを継続することができる.Kemari を仮想マシンモニタである Xen に実装し,実験を行ったところ,運用系の電源断といった障害でも,アプリケーションや OS が待機系で透過的に継続できることを確認した.
著者
峰島 三千男 江口 圭 宍戸 寛治 高橋 進 久保 司 川口 洋 蔀 幸三 柴垣 圭吾 須賀 喜一 長尾 尋智 高田 幹彦 田岡 正宏 佐藤 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.351-360, 2015 (Released:2015-06-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1

透析中の末梢循環障害是正や急激な血圧低下防止を目的に間歇補充型血液透析濾過 (intermittent infusion hemodiafiltration : I-HDF) が考案された. 今回われわれは逆濾過透析液を用いたI-HDFの臨床効果を前希釈法On-line HDF (以下Pre-HDF) と比較するため, 前向き多施設共同臨床研究を実施した. 文書にて同意が得られた患者を同一施設内で2群に割付けし, 並行群間比較を行った. その際, ① 年齢 (±5歳), ② 基礎体重 (±5kg), ③ 糖尿病の有無をマッチングさせ, 36例 (18ペア) を対象とし臨床症状, QOL, 溶質除去などの観点から検証した. その結果, 臨床症状, QOLにおいて両群に有意差は認められなかった. 血液透析からの変更後, I-HDF群, Pre-HDF群とも治療が継続するにつれて収縮期血圧減少率の低下, 処置発生率低下傾向がみられた. また, I-HDFはPre-HDFに比べ中・大分子溶質の除去には劣るもののアルブミン漏出量の少ない溶質除去特性が確認された.
著者
鳥塚 尚樹 羽毛田 真弓 橋口 晃一 前川 竜也 渡辺 仁 金子 吉史 新田 浩之 浜田 淳 榊原 雄太 佐藤 玄 佐藤 耕一 諏訪 浩一 高見 清佳
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.45, pp.P-93, 2018

<p> 2017年8月,FDA Data Standards Catalog v4.6にSEND Implementation Guide ver. 3.1(以下,IG 3.1)が収載され,2019年3月15日以降開始の試験はNDA/BLA申請時にIG 3.1準拠のSENDデータ提出が義務化された。IG 3.1の対象試験には心血管系及び呼吸系安全性薬理試験が含まれるため,それらのSEND対応はCJUG SENDチームの最重要課題の一つと考えられた。そこで,ITベンダー,ソリューションプロバイダ,非臨床試験CRO,製薬企業が所属するCJUG SENDチームの全27施設を対象に,安全性薬理試験のSEND対応状況及び想定される課題等に関するアンケートを実施し,匿名で回答を収集して分析した。</p><p> その結果,ほぼ全ての施設が安全性薬理試験のSEND対応への必要性を認識している一方,IG 3.1の詳細把握から具体的な業務手順の整備等の体制構築を進めている施設は少数のみであった。今後の対応方針を業種別にみると,製薬企業の多くは外注での対応を想定し,受託側のソリューションプロバイダ及びCROは自社対応やパートナリングで積極的にSENDデータ作成受託を進めようとしている傾向が示された。また,機器からの印刷物や手書きの記録を安全性薬理試験の生データとしている施設も依然多く,データの電子化自体が安全性薬理試験SEND対応の大きな課題であることが明らかとなった。さらに,SENDデータセット作成・検証の担当者に安全性薬理研究者の配置を想定している企業は少なく,統制用語の適切な利用など,安全性薬理試験SEND対応のプロセスに専門家がどう関与すべきかという潜在的な課題も見出された。本発表では調査内容を更に精査し,安全性薬理試験SEND対応の課題及び今後のデータセット作成に有用な情報を提供したい。</p>
著者
金子 真弓 桐田 泰江 望月 利昭 佐藤 重仁
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生: 日本蘇生学会雑誌 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.7-14, 2009

学生advanced cardiac life support (ACLS) ワークショップ (WS)は医学生が自主開催する救急救命処置講習会である。東海地区では現在までに15回開催し,総受講者数は315名である。我々は浜松医科大学にて第14回東海地区WSを開催した。また,約1ヶ月後にメーリングリスト (ML)を介してアンケート調査を行った。<br> アンケート実施対象MLの参加者は東海WS ML 306名,関西WS ML 525名,第8回金沢WS外部連絡ML 95名,および鳥取WSスタッフML 241名だった。各地のMLに重複加入している医学生が多いため,アンケート実施対象者の総人数は正確には把握できなかった。17大学から28名の回答者があった。インストラクター参加した動機としては,繰り返し教えることによる知識と技能定着のためが最も多く,主要な問題点として,費用と時間の問題があげられた。WSに参加する動機付けを強化するために,先輩医師,大学教官による内容の監修や統一したWSコンセンサスを作成することで,間違ったことを教えているのではないかという不安や事前準備の負担を軽減することが望まれる。
著者
布施 哲史 金原 靖久 佐藤 隆一
出版者
石油技術協会
雑誌
石油技術協会誌 (ISSN:03709868)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.27-37, 2015 (Released:2017-05-10)
参考文献数
38
被引用文献数
1

Activities by man-kind are limited in the Arctic, high latitude place more than North 66°33′, because of its hostile environment. Only military base, scientific observation station, resources production sites and ethnic community exist. Oil and gas E&P activities have been made in limited area such as Timan-Pechora area and Yamal peninsula in Russia, Mackenzie delta in Canada, North-Lope in Alaska and Barents Sea. Especially for offshore exploration activities in Arctic, it is highly affected by sea ice. As observed by satellite image in Arctic, no or less ice affected areas are defined such as Barents Sea and Norwegian Sea. Ice covered area in the Arctic and near of the Arctic requires serious counter measures against sea ice for putting oil and gas exploration into execution. In this lecture, recent oil and gas exploration activities in the ice covered Arctic offshore area are reviewed. In addition, history and challenge for future on new exploration license area in northeast offshore Greenland, where Greenland Petroleum Development Ltd. (GPX), Japanese Joint Venture Company established by JOGMEC, INPEX, JX, JAPEX and MOECO, are discussed. Although increase of exploration activities in Arctic is expected in the days to come, there are several technical challenges and difficulties for matter of environmental protection. It is an important mission for E&P companies to overcome those challenges and difficulties and to promote frontier oil and gas exploration in the Arctic area.
著者
土田 邦博 下田 直之 山本 由弦 佐藤 隆一 辻 喜弘 ビラロン ロドリゴ マルドナド トバル エンリケ レジェス セスペデス エクトル ロペス ゴンサレス ホセ ビセンテ オルテガ ボルボラ ヘラルド バスルト
出版者
The Japanese Association for Petroleum Technology
雑誌
石油技術協会誌 (ISSN:03709868)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.70-76, 2011

Deepwater area in the Southern Gulf of Mexico is one of the most attractive areas for future petroleum exploration. JOGMEC carried out a petroleum system evaluation study jointly with PEMEX-E&P in this region using existing wells and seismic data acquired by PEMEX-E&P. The study consists of 1) 1D thermal modeling at the well locations to obtain heat flow variation, 2) map-based modeling to identify effective kitchen areas and migration paths for the hydrocarbon generated in the source rocks, 3) tectonic restoration on the 2D seismic sections along the migration paths, and 4) 2D petroleum system modeling to understand hydrocarbon charge history in the study area. Due to complicated geology with salt intrusions and thrusts, conventional modeling workflow is not valid to fully reveal the hydrocarbon charge processes in the study area. In this paper, authors briefly introduce a suitable modeling workflow and the methodologies which we applied to the study.
著者
柴田 滋子 藤井 広美 川名 ヤヨ子 佐藤 みつ子
出版者
了德寺大学
雑誌
了徳寺大学研究紀要 (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.8, pp.41-46, 2014

高齢化やコミュニティの希薄化が進む中,大学として地域に貢献できることがないかと模索する中で,有志学生からなる地域保健活動グループRUNPを結成した.高齢化が進行するA市Bマンションとの協働により活動を定期的に行い,約2年が経過した.この活動を通して学生は世代を越えた交流を体験し,地域住民への理解を深めるとともに自らの気づきへとつながり成長がみられている.今後も継続することで学生の気づきの促進と地域との協働からコミュニティの活性化に貢献したいと考える.The residents of the apartment B in the city A are aging rapidly. Trying to find out what contribution we can make to the local community, we organized a community health activity group of volunteer students named RUNP(Ryotokuji-Urayasu, Nurse, Project). RUNP has periodically collaborated with the residents over period of two years and through the cross-generational exchanges, the students better understood the local inhabitants, also providing opportunities for student self-reflection. We want to continue the collaboration and contribute to the area, and give students opportunities for self-reflection as a result of such interaction.
著者
佐藤 文子
出版者
駒澤大学北海道教養部
雑誌
駒澤大學北海道教養部論集 (ISSN:09136509)
巻号頁・発行日
no.12, pp.13-22, 1997-10

Graham Greene (1904〜1991)のBrighton Rock (1938)は,1939年に出版された長編で,いわゆる宗教的テーマを持つ作者の代表作の1つに数えられている。Greeneの作品は,元来novelとentertainmetntに分けられていたのであって,この作品は初めは娯楽作品としてラベルがはられていたのであったが,後にGreene自身によって,その文学的卓越性のために,novelのジャンルに分類されたのである。つまり,novelであり且つentertainmentであるという風に,2つの要素を兼ねそなえた作品である。さて,この作品の題名Brightonというのは,イギリスのSussex州の都市であり,その観光地で売っている棒飴をbrighton rockと言っている。この飴は,どこを折っても'Brighton'という文字が出て来る,いわゆる日本の金太郎飴に当たる観光地の名物である。このようなチャーミングな題名を持ちながら,この作品の内容は実に暗黒そのものの,殺人犯の少年,いわばやくざまがいの世界を描いた作品である。この小論では,Greeneが何故このような「悪」の世界を描くのかという事を考えながら,この作品に於ける宗教的テーマ,いわゆる「癩者への接吻」のテーマを解明するためにRoseの役割を考察していきたいと思う。
著者
高杉 頌 佐藤 将也 谷口 秀夫
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2019-OS-146, no.12, pp.1-7, 2019-05-23

不揮発性メモリのアクセス速度が速くなっている.そこで,揮発性メモリと不揮発性メモリが混載された計算機を想定し,プログラム実行を高速化する手法として,新たな実行プログラムのファイル形式(OFF2F: Object File Format consisting of 2 Files)を提案した.OFF2F は,プログラムをメモリ上で実行するときのアクセス形態に着目し,2 つのファイルからなる実行ファイル形式である.本稿では,混載環境として,揮発性メモリのみを搭載した計算機で不揮発性メモリを擬似的に実現する手法を述べる.また,この擬似不揮発性メモリを用いて,OFF2F プログラムを実行する方式を述べる.
著者
内田 直希 東 龍介 石上 朗 岡田 知己 高木 涼太 豊国 源知 海野 徳仁 太田 雄策 佐藤 真樹子 鈴木 秀市 高橋 秀暢 立岩 和也 趙 大鵬 中山 貴史 長谷川 昭 日野 亮太 平原 聡 松澤 暢 吉田 圭佑
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

沈み込み帯研究のフロンティアである前弧の海域下において,防災科学技術研究所は新たに日本海溝海底地震津波観測網(S-net)を構築した.S-netは東北日本の太平洋側の海岸から約200kmの範囲を海溝直交方向に約30km,海溝平行方向に50-60km間隔でカバーする150点の海底観測点からなり,その速度と加速度の連続データが,2018年10月より2016年8月に遡って公開された.観測空白域に設置されたこの観測網は,沈み込み帯の構造およびダイナミクスの解明に風穴をあける可能性がある.本発表ではこの新しいデータを用いた最初の研究を紹介する.まず,海底の速度計・加速度計の3軸の方向を,加速度計による重力加速度および遠地地震波形の振動軌跡を用いて推定した.その結果,2つの地震に伴って1°以上のケーブル軸周りの回転が推定されたが,それ以外には大きな時間変化は見られないことがわかった.また,センサーの方位は,5-10°の精度で推定できた.さらに得られた軸方向を用い,東西・南北・上下方向の波形を作成した(高木・他,本大会).海底観測に基づく震源決定で重要となる浅部の堆積層についての研究では,PS変換波を用いた推定により,ほとんどの観測点で,350-400mの厚さに相当する1.3 – 1.4 秒のPS-P 時間が観測された.ただし,千島-日本海溝の会合部海側と根室沖の海溝陸側では,さらに堆積層が厚い可能性がある(東・他,本大会).また,雑微動を用いた相関解析でも10秒以下の周期で1.5 km/s と0.3 km/sの2つの群速度で伝播するレイリー波が見られ,それぞれ堆積層と海水層にエネルギーを持つモードと推定された(高木・他,本大会).さらに,近地地震波形の読み取りによっても,堆積層およびプレート構造の影響を明らかにすることができた.1次元および3次元速度構造から期待される走時との比較により,それぞれ陸域の地震の海溝海側での観測で3秒程度(岡田・他,本大会),海域の地震で場所により2秒程度(豊国・他,本大会)の走時残差が見られた.これらは,震源決定や地震波トモグラフィーの際の観測点補正などとして用いることができる(岡田・他,本大会; 豊国・他,本大会).もう少し深い上盤の速度構造もS-netのデータにより明らかとなった.遠地地震の表面波の到達時間の差を用いた位相速度推定では,20-50sの周期について3.6-3.9km/sの位相速度を得ることができた.これはRayleigh波の位相速度として妥当な値である.また,得られた位相速度の空間分布は,宮城県・福島県沖の領域で周りに比べて高速度を示した(石上・高木,本大会).この高速度は,S-netを用いた近地地震の地震波トモグラフィーからも推定されている.また,このトモグラフィーでは,S-netの利用により海溝に近い場所までの速度構造がよく求まることが示された(豊国・他,本大会).雑微動解析によっても,周期30秒程度の長周期まで観測点間を伝播するレイリー波およびラブ波を抽出することができた.これらも地殻構造の推定に用いることができる(高木・他,本大会).また,海域の前弧上盤の構造についてはS-net 観測点を用いたS波スプリッティング解析によって速度異方性の特徴が明らかになった.プレート境界地震を用いた解析から,速いS波の振動方向は,海溝と平行な方向を向く傾向があり,マントルウエッジの鉱物の選択配向や上盤地殻のクラックの向きを表している可能性がある(内田・他,本大会).プレート境界においては,繰り返し地震がS-net速度波形によっても抽出できることが示された.プレート境界でのスロースリップの検出やプレート境界の位置推定に役立つ可能性がある(内田・他,本大会).さらに,S-net加速度計のデータの中には,潮汐と思われる変動が観測されるものもあり,プレート境界におけるスロースリップによる傾斜変動を捉えられる可能性があるかもしれない(高木・他,本大会).以上のように,東北日本の前弧海洋底における連続観測について,そのデータの特性が明らかになるとともに,浅部から深部にわたる沈み込み帯の構造や変動についての新たな知見が得られつつある.これらの研究は技術的にも内容的にもお互いに密接に関わっており,総合的な解析の推進がさらなるデータ活用につながると考えられる. 謝辞:S-netの構築・データ蓄積および公開に携わられた皆様に感謝いたします.
著者
湯川 英宜 平野 敏行 西村 康幸 佐藤 文俊
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.103-110, 2009 (Released:2009-04-14)
参考文献数
14

タンパク質の構造や機能を解析する上で, 長距離で働く静電相互作用は極めて重要な力の一つである.近年, タンパク質の全電子波動関数が計算できるようになり, これから正確な静電ポテンシャルを見積もることができるようになった.しかし, そのポスト処理コストは非常に高価であり, 計算は長時間を要する.本研究では, 新たにGPUによる処理プログラムを開発し, 量子化学計算に基づく静電ポテンシャル計算を大幅に高速化することに成功した.51残基のインスリンの場合, CPUによる計算では16時間かかったが, GPU (Tesla C870)では12分で完了した.計算時間が79倍短縮されたことになる.これはGPUのピーク性能の63%に相当する.