著者
谷地舘 藍 佐藤 弘二 佐藤 彰 薮上 信 小澤 哲也 小林 伸聖 中居 倫夫 荒井 賢一 Ai Yachidate Koji Sato Akira Sato Shin Yabukami Tetsuya Ozawa Nobukiyo Kobayashi Tomoo Nakai Arai Ken Ichi
雑誌
【A】基礎・材料・共通部門 マグネティックス研究会
巻号頁・発行日
2010-12-16

センサ素子全体を薄膜プロセスにより作成した伝送線路型薄膜磁界センサを試作した。アモルファスCoNbZr薄膜とコプレーナ型伝送線路を組み合わせ、被測定磁界に対するキャリア信号の位相変化を検出対象とする磁界センサを製作した。試作した磁界センサのインピーダンスおよび位相変化を測定し、その結果を報告する。
著者
川井田 政弘 佐藤 清二 岡本 亮二 池田 稲穂
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.369-373, 1986-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
17

A 11-year-old male complained of swelling of the cervical lymphnodes without fever and sore throat. On admission the patient exhibited hepatomegaly. On laboratory findings, hepatic dysfunction and 77% mononuclear leucocytes in the circulating bloods were found, although atypical lymphocytes were rare. High titer of EB viral capsid antigen IgG (VCAIgG) and EB early antigen-diffuse, restricted IgG (EA-DRIgG) was noted. EB nuclear antigen (EBNA) antibody and heterophile antibody were negative. The histological investigation of the lymphnode revealed chronic lymphadenopathy, and infectious mononucleosis was diagnosed. The patient recovered in 5 weeks from the onset.
著者
山﨑 有人 中村 保宏 佐藤 文俊 笹野 公伸
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.232-239, 2018 (Released:2019-02-15)
参考文献数
20

副腎皮質癌,褐色細胞腫は副腎に発生する悪性腫瘍であり,専門性の高い診療,病理診断が求められる領域である。WHO分類2017の刊行により,副腎皮質癌では好酸性細胞型亜型,肉腫様亜型,粘液型亜型の3つが新たな組織亜型分類として認識されるようになり,褐色細胞腫では全ての症例において悪性のポテンシャルを有する腫瘍と定義付けられた。それに加え,副腎皮質癌ではENSATの診療ガイドライン(2018)が改訂され,診療方針の変遷が注目されている。近年,副腎腫瘍の領域においても病態発生に関与する遺伝子変異が数多く報告されてきているが,副腎皮質癌では治療標的因子や予後因子となるような遺伝子異常は未解明なままである。一方,褐色細胞腫ではここ数年で,病態に関与する遺伝子異常が数多く発見され,genotypingの重要性が注目されてきている。本稿では,副腎皮質癌と褐色細胞腫・傍神経節腫に焦点を当てて,両疾患における病理・病因の最新の知見を概説する。
著者
森 陵一 小高 鐵男 添田 聡 佐藤 淳 柿野 淳 浜戸 祥平 高木 久 内藤 善久
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.1223-1229, 2005-12-25
被引用文献数
2 32

若い大型動物の中には, 葉状骨(laminar bone)で長骨を形成し, 成長に伴い, ハバース骨に置換されることが知られている.今回は, 若いウシ, ブタ, ヒツジの脛骨を, 走査電顕による反射電子像で観察した.ウシの新生子と1ヶ月齢は典型的な同心円状の葉状骨を示し, ブタの新生子と1ヶ月齢は葉状骨による網目状構造を示した.ヒツジの新生子はウシに類似し, それらの骨量の形成速度は, 6ヶ月齢までは同様で, ブタよりは高比率を示した.ウシの骨単位は6ヶ月齢で最内層に少数現れ, 1歳齢では外層に葉状骨が残存するものの骨全体に現れていた.ブタの6ヶ月齢は最外層を除き, 多量の骨単位が観察された.ヒツジの6ヶ月齢に骨単位は認められず, 1歳齢では中層に限り少量観察されたが, その量はウシよりも高比率を示した.ヒツジの1歳齢ではウシと比べ, 骨単位の広い骨吸収領域が観察され, ヒツジの骨量は6ヶ月齢から1歳齢にかけて減少した.その結果, 1歳齢のウシは, ヒツジよりも高い葉状骨の割合を保持し, ブタは, 最も速い骨単位による骨改造を示した.今回観察した3種の成長過程における長骨の組織像と骨量の相違は, 同一の科(ウシとヒツジ)では, 体重や体高の違いに起因し, 科が異なるブタは, 前者と比べ多産系で, 幼体期に母体への依存度が高いためかもしれない.言い換えると, ブタの骨量の低さは歩行の遅さを強く示唆する.また, それぞれの動物間で, 骨単位の初期形成の部位が異なることが推察されたが, この, 点と骨改造の正確な開始時期は, 今後, 連続的な経齢変化を追って検討する必要がある.
著者
荒川 和久 小林 克巳 黒崎 亮 佐藤 弘晃 富澤 直樹 安東 立正
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.409-412, 2015-05-31 (Released:2015-09-08)
参考文献数
15
被引用文献数
1

手術により絞扼性イレウスと診断された103例を対象として,腸管壊死群と非壊死群とに分けて,臨床症状,血液検査,血液ガス分析,CT画像の項目で比較・検討した。単変量解析では術前SIRSの有無,白血球数,PaCO2およびCT所見の腸間膜濃度の上昇,腸管壁浮腫,腸管の造影不良で有意差があり,多変量解析ではPaCO2と腸間膜濃度の上昇で有意差を認めた。絞扼性イレウスは重篤な状態に陥る可能性のある疾患であり,そのリスクの高い腸管壊死症例を早期に診断し治療することは重要である。今回の検討で有意差のあった項目に注意しながら,症状および検査結果の解釈とCT画像の読影の精度を高くすることが重要である。
著者
仁科 拓也 上森 麻美 佐藤 智彦 浅野 彰彦
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.395-398, 2018 (Released:2018-06-27)
参考文献数
8

症例は52歳男性.44歳時に神経梅毒治療歴あり.3ヵ月前より持続する頭痛,記憶障害,発熱を訴え,左片麻痺を呈し頭部MRI拡散強調画像で右側頭葉に高吸収域を認めた.髄液検査で細胞数増加,梅毒検査陽性を認め神経梅毒再発と診断,Lissauer型進行麻痺と考えられた.梅毒抗体価が治療により低下しない例での再発,画像上脳血管障害類似の所見を呈すること等,神経梅毒の管理上の問題を痛感した1例であった.
著者
佐藤 元
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 = Journal of the National Institute of Public Health (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.292-296, 2015-08

医薬品の開発段階また新薬承認(上市)後の有効性・副作用監視においては,患者・一般国民の医薬品開発過程に関する理解,また臨床研究(試験)への参加・協力が不可欠である.そのため,臨床研究の公正確保,また出版バイアスの防止を主目的として,これらの事前登録制度が導入された.さらに,臨床研究(試験)に関する情報公開・普及啓発は重要な政策課題とされ,臨床研究(試験)登録情報の一般公開,さらに情報検索システムの利便性向上が求められるようになった.試験登録機関のみならず,先進医療の研究開発において大きな役割が期待されている国立高度専門医療センターや国立病院機構,各種研究・教育機関,製薬企業(団体),患者団体など多岐にわたる機関の取り組みが望まれている所以である.本稿は,我が国の臨床研究(試験)登録制度の歴史,情報の公開・利用促進が求められる背景を概説し,今後の課題を論ずる.
著者
郎 豊群 山口 浩 仲川 博 佐藤 弘
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学会誌 (ISSN:13439677)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.271-278, 2012-07-01 (Released:2012-11-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

SiCパワーデバイスをNi(P)拡散バリア付きの配線基板(Si3N4/Cu/Ni(P))上にAu–Geはんだで接合させた後,300°C以上の高温保持状態に置くと,Ni(P)拡散バリアのNiがAu–GeはんだのGeと反応し,はんだとNi(P)の界面にNiGe,Ni5Ge3およびNi3Pの金属間化合物が生成することがわかった。Ni5Ge3金属間化合物は成長が速く,パワーデバイスの接合強度を著しく低減させる。これを防ぐため,Si3N4/Cu/Ni(P)配線基板の表面にスパッタ法で約200 nm厚みのTa/TaN/Ta拡散バリアを形成することで,SiC–SBDパワーデバイスの高温接合信頼性を改善することができた。330°C,1,600 h高温保持試験後,デバイスの接合強度はほぼ低下することなく,50 MPa以上を維持した。接合を含むデバイスの電気抵抗は低い数値で変化が見られなかった。また,Ni(P)/Ta/TaN/Ta拡散バリアは−40–300°Cの冷熱サイクル条件下においても剥離などは観察されなかった。
著者
佐藤 拓哉
出版者
一般社団法人 日本高圧力技術協会
雑誌
圧力技術 (ISSN:03870154)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.40-50, 2005 (Released:2005-03-05)
参考文献数
14

It is a responsibility for every structural engineer of power plants, refineries, gas plants and chemical plants to design and construct high quality pressure vessels and piping system. To complete this responsibility, it is very important to understand failure modes of pressure vessels, piping and their components, relation between each failure mode and stresses, and design consideration to prevent the failure. In this paper, basic characteristics of each failure mode are described with several examples of failure accident. Typical failure modes described here are a ductile rupture, brittle fracture, excessive deformation, instability (buckling) , progressive deformation (ratcheting) , fatigue fracture, creep rupture, creep ratcheting, creep-fatigue interaction, creep buckling, and environment effect on cracking. For these failure modes, the relation with stresses and design consideration are emphasized.
著者
佐藤 大祐
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.8, pp.452-469, 2001-08-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
26
被引用文献数
1 5

海岸の観光地では,海浜別荘地や民宿地域などが大都市からの距離や利用者の社会階層などに応じて発達し,観光産業を基軸とした地域が形成された.その中にあって,近年マリーナの増大が顕著で,漁業などとの海域利用の競合が発生している.本研究では,東京を中心としたマリーナの立地と,マリーナ利用者の属性とレクリエーション行動を解明することを目的とした.1960年代に三浦半島の相模湾岸において別荘地帯の延長線上に開設されたマリーナは,充実した施設を併設している.この利用者は,東京都区部の西部に居住する高額所得者層から成り,夏季を中心にリゾートマンションなどに滞在して,沖合海域において大型のクルーザーヨットでのセーリングとモーターボートでのトローリングを,沿岸海域に密集する漁業活動とすみわけっっ行っている.一方,1973年の第1次オイルショック以降,東京湾において産業施設から転用されたマリーナは簡易な施設で構成されている.中産階級にも広がる利用者は,週末に日帰りし,波浪の静穏な東京湾内湾の中でも沿岸寄りの海域を小型モーターボートを使って行動することで,沖合の大型船の航路とすみわけている.,このようなマリーナとその海域利用の実態が明らかとなった.
著者
佐藤 裕紀 伊藤 毅志
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.59(2008-GI-020), pp.37-43, 2008-06-20

カードゲーム「大貧民」では、ローカルルールに応じて、プレースタイルのバリエーションが増える。本研究では、電気通信大学で開催されている UECda2007 の基本的なローカルルールをもとに、考えうるプレースタイルを想定したプログラムを作成し、それぞれのプレースタイル間の相性を詳細に調べた。その結果、階段処理を行い、単体とペアを最弱縛りで縛るのが最も強いアルゴリズムであることが明らかになった。
著者
佐藤 洸一 菊池 健太郎 青戸 等人 外山 芳人
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_179-1_193, 2015

項書き換えシステム上の帰納的定理の自動証明手法として書き換え帰納法(Reddy, 1989)が提案されている.しかし,書き換え帰納法は末尾再帰による関数定義が含まれると有効に働かない場合が多い.一方,プログラムの自動検証を容易にすることを目的としたプログラム変換法として,文脈移動法および文脈分割法(Giesl, 2000)が提案されている.これらの手法は,末尾再帰プログラムを自動検証に適した単純再帰プログラムへと変換する.本論文では,項書き換えシステムに対する文脈移動法・文脈分割法の正当性を証明し,それらが書き換え帰納法による帰納的定理の証明に有効であることを明らかにする.
著者
杵渕 彰 小曽戸 洋 木村 容子 藤井 泰志 稲木 一元 永尾 幸 近藤 亨子 山崎 麻由子 田中 博幸 加藤 香里 佐藤 弘
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.180-184, 2014 (Released:2014-11-26)
参考文献数
18
被引用文献数
4 5

今回,我々は,抑肝散の原典について『薛氏医案』を中心に検討した。抑肝散の記載は,薛己の著書では『保嬰金鏡録』(1550年)にみられ,また,薛己の校訂した文献では,銭乙の『小児薬証直訣』(1551年),薛鎧の『保嬰撮要』(1556年)および陳文仲の『小児痘疹方論』(1550年)に認められた。『保嬰金鏡録』および『小児痘疹方論』には,「愚製」と記述されていた。一方,熊宗立の『類証小児痘疹方論』には「愚製」の記載がなく,また,薛己校訂以外の『小児薬証直訣』には抑肝散の記載は認められないため,抑肝散は薛己の創方である可能性が高いと考えられた。これまで,抑肝散の原典は薛鎧の『保嬰撮要』とされていたが,今回,「愚製」の表現に着目して古典を検討したところ,薛己の父である薛鎧ではなく,薛己の創方であり,原典は薛己の『保嬰金鏡録』であると考えられた。
著者
佐藤 綾花 神先 秀人
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】ファッションや仕事上の理由でヒール靴を着用している女性は多い。ハイヒール靴着用は,ヒールを上げることで腰椎の前彎が過度に増大し,腰痛を誘発する可能性が報告されているが,立位姿勢では脊柱彎曲角に影響を与えるとはいえないという報告や,逆に腰椎の前彎が減少するといった報告もあり,統一した見解はなされていない。また,歩行に関しては,ハイヒール着用で骨盤が後傾したとの報告はあるが,ヒール高を変化させて検討した研究は見当たらない。さらに,ヒール靴への慣れによる影響を検討した報告も見当たらない。今回,ヒール靴常用者と非常用者の立位姿勢の違いおよび歩行時のヒール高の違いによる体幹・骨盤,下肢の関節角度や筋活動への影響を明らかにすることを目的に運動学ならびに運動力学的分析を行うとともに,腰痛との関連性について検討した。【方法】対象は整形外科的疾患や中枢神経疾患の既往のない健常成人女性で,ヒール靴常用群10名(年齢:21.3±0.8歳,身長:159.0±2.7cm,足長:22.9±1.1cm),非常用群10名(年齢:21.5±0.5歳,身長:160.9±5.3cm,足長:22.8±0.9cm)の計20名である。常用群と非常用群の規定は,週の3日以上で5cm以上のヒール靴を履いている者を常用群,それ以外の者を非常用群とした。ヒール靴は,ヒール高3cm,5cm,7cmのパンプスを使用した。立位姿勢および歩行時の運動学・運動力学的分析には,三次元動作解析装置(VMS社製,VICON-MX)と4台の床反力計(KISTLER社製)を用い,下肢関節,体幹・骨盤の角度,関節モーメントを測定した。立位姿勢の評価は裸足にて計測を行い,歩行は,裸足と,高さの異なる3種類のパンプス装着の合計4課題を設定した。三次元動作解析にはPlug-in-gait全身モデルを用い,身体の35点にマーカーを貼付した。三次元計測のサンプリング周波数は50Hzで,床反力計測のサンプリング周波数は1000Hzとした。解析は立位時の各関節角度および歩行中の各関節最大角度と最大モーメントを対象とした。正規性の検定後,ヒール高の違いによる比較は反復測定分散分析および多重比較を,常用群と非常用群の比較はt検定またはマンホイットニーのU検定を用い,有意水準は5%とした。【結果】立位姿勢では,ヒール靴常用群は非常用群と比較し,体幹の伸展(骨盤に対する胸椎軸の角度)が有意に大きく,膝関節では屈曲,足関節では背屈角度の増加傾向がみられた。歩行時においても,常用群は非常用群と比較して全ての条件で体幹伸展角度が有意に高い値を示した。また,非常用群ではヒール高が高くなる程,膝関節屈曲角度の増加,膝関節伸展モーメントの増加がみられ,常用群では体幹伸展角度の減少,骨盤傾斜角度の減少がみられた。【考察】ヒール靴常用群では,立位時および歩行時に体幹の伸展角度の増大が認められた。これは,立位や歩行において,ヒール靴着用により前足部への圧力が高まるという報告があることから,常用群ではヒール靴着用時の前足部への荷重が習慣化され,裸足時においても前方に荷重する傾向が高まる可能性が考えられた。そのため,骨盤の前傾や前方移動が生じ,それにより前方偏位した重心を後方に戻すための代償として,体幹の伸展角度が大きくなるのではないかと考えられる。歩行におけるヒール靴着用による影響に関しては,ヒールの高さが増すに従い,非常用群では膝関節屈曲角度と膝伸展モーメントの増加がみられ,常用群では体幹伸展角度の減少,骨盤前傾角度の減少がみられた。踵接地後の膝関節屈曲と足関節底屈は衝撃吸収として作用するとされており,ヒール靴着用による踵接地時の足底屈運動範囲の低下は,足関節での衝撃吸収を困難にする。そのため,特に非常用者では,膝関節の屈曲を増加させることで膝関節での衝撃吸収を高めている可能性が示唆された。一方,常用群では外観上の問題などで膝を伸展させて歩行しようとするため,体幹伸展角度の減少や骨盤前傾角度の減少がみられたのではないかと考えられた。本研究結果から,常用群と非常用群では裸足時の立位姿勢に違いがあり,常用者では体幹の伸展が大きく,裸足歩行において骨盤前傾が強いことも加え,これらが腰痛をもたらす一因となっているのではないかと考えられる。【理学療法学研究としての意義】ヒール靴常用者の立位や歩行中の姿勢の特徴を明らかにした。ヒール靴常用者では裸足時に体幹の伸展および骨盤の前傾が強まり,このことが腰痛をもたらす一因となる可能性が示唆された。
著者
佐藤 しのぶ 原口 和也 早川 真奈 冨永 和宏 竹中 繁織
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.437-443, 2017-06-05 (Released:2017-07-12)
参考文献数
26

テロメラーゼの触媒活性因子であるhuman telomerase reverse transcriptase(hTERT)遺伝子のプロモータ領域のメチル化パターンががんの進行と深くかかわっていることが報告されている.したがってこのプロモータ領域のメチル化パターンが検出できれば,がんの早期発見の手法として発展できると期待される.著者らは,hTERT遺伝子のプロモータ領域中の五つのCpGサイトを含む24塩基をターゲットとし,10種類のプローブDNAを有するマルチ電極チップを作製した.このチップを用いた電気化学的ハイブリダイゼーションアッセイ(Electrochemical hybridization assay, EHA)によってhTERT遺伝子のメチル化パターンによる口腔がん診断を試みた.ここでは,病院での簡易診断を目指して口腔がん,白板症,健常者から得られた口腔ぬぐい液を用いて,ゲノムを採取し,亜硫酸処理したのち,メチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応(Methylation-specific polymerase chain reaction, MSP)を行った.得られたMSP産物をEHAにより評価したところ,サンプルのメチル化頻度とがんの進行度に相関が示された.白板症,健常者を含むすべてのサンプルからメチル化頻度の高いDNAプローブに対する電気シグナルのReceiver Operating Characteristic(ROC)曲線を用いて口腔がんの正診断率を算出したところ,91% であった.
著者
佐藤 健司 重村 泰毅
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究により新規の線維芽細胞増殖促進効果のある食事由来コラーゲンペプチドHyp-Glyを見いだすことができた。さらにマウス皮膚より遊走してきた線維芽細胞は、ペプチドトランスポーターPEPT-1,2を発現しているが、継代により急激にその発現が減少することを見いだした。これらの知見は初代培養線維芽細胞が継代細胞よりもコラーゲンペプチドの細胞増殖促進活性を受けやすいこととの関係が示唆される。