著者
野 徹雄 佐藤 壮 小平 秀一 高橋 成実 石山 達也 佐藤 比呂志 金田 義行
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.29-47, 2014
被引用文献数
8

日本海東縁では,1983年日本海中部地震(M<sub>J</sub>7.7)や1993年北海道南西沖地震(M<sub>J</sub>7.8)などのM7以上の被害地震,それらに起因する津波が繰り返し発生している.しかし,これらの地震の全体像を研究する上では地殻構造データが十分でなかった.そこで,「ひずみ集中帯の重点的調査観測・研究」の一環として,2009年~2012年の4年にわたり,マルチチャンネル反射法地震探査と海底地震計による屈折法・広角反射法地震探査の地殻構造調査を実施し,地殻構造研究の側面から日本海東縁における地震発生帯の研究を進めた.調査は能登半島沖から西津軽沖にかけての沿岸域の大陸棚から大和海盆・日本海盆に至る海域にて行った.本報告では,本調査で実施された43測線のマルチチャンネル反射法地震探査によるデータ取得の概要とデータ処理の結果について記す.
著者
佐藤 雅彦 秋吉 亮太
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

述語論理を史上初めて整備し、分析哲学の源流となったフレーゲがその著書『Grundgesetze der Arithmetik』で構築した論理体系は、ヒルベルトの形式主義への道を切り拓いた極めて重要なものであったがラッセルのパラドックスを含んでいた。本研究は矛盾の根本原因を証明論的および意味論的手法により解明することを目指す。本年度はフレーゲ論理学に関して、(i)フレーゲの無矛盾性証明の分析 (ii)フレーゲの『概念記法』における記号法の分析、という二つの課題に取り組んだ。(i)については引続き、伝統的証明論の手法を適用することでフレーゲの無矛盾性証明の矛盾の原因を明らかにすべく取り組んだ。分担者である秋吉はパリ第一大学科学史・科学哲学研究所(IHPST)で、ドイツにおける伝統的証明論の手法であるΩ規則に関するレクチャーを昨年に引続き行い、パリ第一大学アルベルト・ナイーボ准教授と討論を行った。今後は、より抽象的な仕方で証明を捉えるフランス証明論の概念(具体的にはフランスのジラールによるlinear logicやludics)を用いることで,まずはΩ規則の理解を深めることを目標とすることで合意を得た。また,本研究の成果として, 2018年出版予定の著書『よくわかる哲学・思想』 (納富信留,檜垣立哉,柏端達也編, ミネルヴァ書房 ) に「論理学」の項目を執筆した。(ii)については、普遍限量子の論理的振舞いを分析するために、λ項の代数的構造を分析した。この結果、変数の概念を経由せずに、普遍限量子の導入および除去の規則を記述できることを解明した。
著者
新崎 千江美 佐藤 豊三 白玉 敬子 大城 篤 金子 繁
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.22-24, 2013

沖縄県与那国町で露地栽培中のボタンボウフウにおいて葉の表裏,葉柄に微小な黄斑点を生じ,褐色粉状の胞子が大量に形成され黄化・葉枯に至る病害が発生した。病原菌の夏胞子は淡褐色,単細胞,広楕円形ないし倒卵形で表面に細刺があり,大きさは23~38.5×21~32.5μm であった。冬胞子は褐色2細胞で隔壁部がややくびれ,短棍棒形,長楕円形ないし雪だるま形,大きさは34~51×22~33μm であった。夏胞子の接種により病徴が再現され,夏胞子および冬胞子が形成された。本病原菌とカワラボウフウ属の植物に寄生するさび病菌との形態的比較に基づき,<i>Puccinia jogashimensis </i>と同定した。以上より本病をさび病(新称)とすることを提案する。
著者
佐藤 真吾
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.13, pp.31-34, 2000

半導体製品の評価試験の一つにESD耐性試験があり、そのうちの最も標準的に行なわれているものがHuman Body Model (HBM)試験である。このHBM試験では、ESD印加後、デバイス破壊判定を行なうが、この破壊判定において、その従来の方法では充分に検知できない破壊の事例を最近の試験でいくつか経験した。そうした問題に対応する有効な判定方法・条件の改善を実施すると同時に、さらに、従来のDC測定による方法に加えて、製品機能試験を効果的に併用することで、破壊の見逃しのリスクを最小限にする、より正確かつ効率的な判定方法を提案・実施した。
著者
西岡 千文 亀田 尭宙 佐藤 翔
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告: 人文科学とコンピュータ(CH) = IPSJ SIG Technical Report (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2019-CH-120, no.5, pp.1-8, 2019-05-04

近年, 学術出版物のオープンアクセスが進展し,自由にアクセス可能な学術情報が蓄積されている. 一方で,研究評価など様々な目的で利用されている学術出版物の引用データに関しては, 機械可読なアクセスのオープン化が遅れてきた. このような状況を解決するために, I4OC (Initiative for Open Citations) が学術機関と出版社によって設立された. 本稿では, I4OC が公開している引用データを, JaLC メタデータと unpaywall により公開されているデータとともに利用することで, 日本の学術出版物の引用データのオープン化の現状分析を試みる.
著者
梅原 一浩 小林 恒 山崎 尚之 夏堀 礼二 田中 純一 佐藤 雄大 佐々木 智美 木村 博人
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.49-55, 2018

<p>若年者に対するインプラント治療の適応や埋入方法は,個々の成長と発育に左右されるため,慎重な診断と成長予測に基づいた治療計画が必須となる.今回,16歳女性の上顎前歯部にインプラント治療を行い,20年以上の長期に渡って機能的・審美的に満足な結果が得られたので報告する.</p><p>本症例では,20年の間にインプラント上部構造と隣在する中切歯切端との間に約2.1mmの差が生じた.このような垂直的位置変化には,顎骨の成長,第三大臼歯の萌出,永久歯列の経年的変化など種々の要因が影響するものと思われた.確かに,成長が終了するのを待ってからインプラント治療を行う方が望ましいと思われるが,先天性欠損や外傷による少数歯欠損などの理由から若年者にインプラント治療を求められることもある.そのような場合は,各々の患者の成長曲線,骨年齢,第三大臼歯の萌出力などによる影響やセファログラムによる矯正的分析を考慮しなければならない.また,隣在歯の位置を確認した後,インプラント体を口蓋側寄りとし,深くなりすぎないよう慎重に埋入することも重要である.</p>
著者
高雄 由美子 村川 和重 森山 萬秀 柳本 富士雄 中野 範 福永 智栄 上嶋 江利 真田 かなえ 佐藤 仁昭 前川 信博
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.11-16, 2010-01-25 (Released:2010-08-04)
参考文献数
15

ボツリヌス毒素療法は痙性斜頸に対しての有効性が報告されているが,痙性斜頸には明らかな頭位偏奇がなく慢性的な頸肩部の疼痛や随意運動障害が症状の主体である,いわゆる重度の肩こり症例も含まれる.今回われわれは,このような患者に対するボツリヌス毒素療法を施行し効果と安全性を検討した.症例は26症例(男性12症例,女性14症例),平均年齢58.6歳であった.ボツリヌス毒素(BTX-A)100 単位を肩から頸部にかけての持続性緊張状態にある筋群の筋腹に10~20単位/カ所で施注し,4週ごとに12週まで追跡調査をした.痛みとこわばりは視覚アナログスケールで評価し,SF-36によるアンケートを実施し,副作用を問診した.頸肩の痛みやこわばりはボツリヌス毒素投与によりすべての観察期において治療前と比較して有意に軽減した.SF-36のアンケートの結果からは,治療に伴うQOLの改善があまりみられなかった.副作用は4例で頸部の不安定性が出現したが,いずれも短期間で消失し重篤な副作用は認めなかった.ボツリヌス毒素療法は重度の肩こりの症状の軽減に対して効果的な治療である.
著者
菊川 清見 佐藤 史子 鶴尾 隆 井村 伸正 浮田 忠之進
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.1110-1115, 1968-06-25 (Released:2008-03-31)
被引用文献数
13 23

2'-O-Benzyl-4-methylthiouridine (III) and 2'-O-benzylcytidine (VI) were obtained by respective treatment of 4-methylthiouridine (II) and cytidine (V) with benzyl bromide in the presence of sodium hydride. By this reaction, highly specific benzylation of 2'-hydroxyl group of the ribonucleosides was achieved. The both compounds (III) and (VI) could easily be converted to 2'-O-benzyluridine (IV) which is an important intermediate in the synthesis of oligonucleotide.
著者
佐藤 洋輔 沢宮 容子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 = The Japanese journal of psychology (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.89, no.4, pp.356-366, 2018
被引用文献数
1

This study examined the associations between sexual orientation, interpersonal factors, response styles, and mental health. A total of 1,330 graduate and undergraduate students—205 LGBs (lesbians, gays, and bisexuals) and 1,125 heterosexuals—completed a questionnaire on the topics of interpersonal stress, social support, two types of response styles (rumination and problem-solving), depression, and anxiety. The analysis of variance results indicated that LGB respondents reported more rumination and interpersonal stress and less social support than heterosexual respondents. Moreover, path and mediation analyses revealed that sexual orientation can increase depression and anxiety through interpersonal factors that promote rumination or inhibit problem-solving. These results suggest that LGB youth experience greater stress in interpersonal relationships, and this stress promotes maladaptive response styles that can exacerbate mental health.
著者
加藤 郁子 佐藤 忠 田中 久美子 横山 郁美 大川 貴子
出版者
福島県立医科大学看護学部
雑誌
福島県立医科大学看護学部紀要 = Bulletin of Fukushima Medical University School of Nursing (ISSN:13446975)
巻号頁・発行日
no.21, pp.1-12, 2019-03

【研究目的】精神科病院の看護師が,がんを併発した精神疾患患者に関わる際に感じる困難の実態を明らかにすること.【研究方法】A県の精神科病院に勤務し,がんを併発した精神疾患患者に関わった経験がある看護師・准看護師を対象に,自記式質問紙による実態調査を行った.調査項目は対象者の基本属性,看護ケアの困難感(6要因25項目),がんを併発した精神疾患患者と関わるために必要な教育のニーズ(3要因12項目)である.【結果】分析対象は138名.看護ケアの困難感では,〈患者のセルフケア〉,〈家族による支援〉について70%以上の看護師が難しいと感じていた.がん看護の基本的な知識と精神疾患患者への応用についての教育ニーズでは,80%以上の看護師が必要性を感じていた.【結論】精神看護とがん看護に携わる看護師が情報交換を行い,相談できる体制を作ることが看護ケアの困難感軽減につながると考える.
著者
原田 理恵 田口 靖希 浦島 浩司 佐藤 三佳子 大森 丘 森松 文毅
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.73-78, 2002-04-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
22
被引用文献数
12 16

トリ胸肉より, ヒスチジン含有ジペプチドであるアンセリン・カルノシンを豊富に含むチキンエキスを調製し, マウスに投与した場合の体内動態および運動能力への影響について検討した。チキンエキスをマウスに経口投与すると, アンセリン・カルノシンは分解されずにジペプチドのまま吸収されて血流に乗り, その血中濃度は投与約30分後に最大に達した。また, チキンエキスを10% (固形分換算) 配合した飼料を継続投与することにより, 大腿四頭筋内にアンセリン・カルノシンの有意な濃度増加がみられた。このチキンエキスを投与したマウスは, 投与開始6日目以降, 速い水流 (10L/min) のあるプールにおける疲労困憊までの遊泳持久時間が対照群に比べて有意に向上していた。この持久運動能力向上効果の一因として, チキンエキスの経口摂取により, 生体緩衝能力をもつアンセリン・カルノシンが血流を介して骨格筋内に蓄積されることによって, 骨格筋内の緩衝能が高まったことが推察された。
著者
佐藤 正明
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.952, pp.80-83, 1998-08-03

VHSとベータマックス、どちらの技術が優れているのか。ビクター、松下電器、ソニーの3社7首脳が秘密裏に集まって開いた会合の席で、ソニーとビクターはお互いの主張を一歩も譲らず、規格統一どころの騒ぎではなくなった。業を煮やしたソニー会長の盛田昭夫は、松下幸之助にソニーの研究所と量産工場の見学を申し出た。
著者
佐藤 冬果 坂本 昭裕
出版者
筑波大学 体育センター
雑誌
大学体育研究 = Journal of Sport and Physical Education Center University of Tsukuba (ISSN:03867129)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.1-14, 2019-03

Self-authorship (SA) is one of the most promising concepts among the 21st century skills which one is required to have in modern society. In this study, we have presented an over view of the previous research on SA and discussed the significance and possibility to promote SA through University Physical Education (PE) class as liberal education. Literature reviews were done on the research carried out by Baxter Magolda : 1) about the three dimensions of SA (Epistemological, Intrapersonal, and Interpersonal), 2) the four phases of the developing process, and 3) the conditions that foster the development of SA (i.e., Learning Partnership Model). In addition, we also discussed the studies conducted by other researchers on the factors associated with its development, and the practical examples to promote SA. As a result of the literature review and comparison with diverse studies about the educational structure of PE, PE classes using a constructionism approach have the possibility to be an effective practice to promote SA. Promoting SA by the PE class means that it can cultivate a foundation to achieving many learning outcomes at the university; therefore, it will enable to argue the values of university PE class.
著者
葉山 大地 髙坂 康雅 池田 幸恭 佐藤 有耕
出版者
日本青年心理学会
雑誌
青年心理学研究 (ISSN:09153349)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.99-113, 2019-03-22 (Released:2019-05-04)
参考文献数
33

The purpose of this study was to examine how sharing styles and social skills relate to the development of same-sex friendships in universities. In 2011 and 2013, longitudinal surveys were conducted in July (Time1), November (Time2), and January (Time3). Fifty freshmen participated fully in these surveys.Cross-lagged effects models including “degree of satisfaction” indicated that “degree of satisfaction with their friendships” (Time2) decreased “sharing intentions” (Time3), while “degree of satisfaction” (Time1) promoted many styles of sharing (Time2). These findings show that some participants avoid sharing intentions because they prefer to maintain moderately satisfactory relationships. In addition, a negative effect of “sharing goods” was estimated from the result that “sharing goods” (Time1) decreased “degree of satisfaction” (Time2).A cross-lagged effects model including “depth of relationship” showed that “sharing relationships” (Time2) promoted “depth of relationship” (Time3). Moreover, the findings that “depth of relationship” (Time1) promoted “sharing feelings” (Time2) and “sharing feelings” (Time2) promoted “depth of relationship” (Time3) showed a mutual causal association.
著者
佐藤 志津子 Shizuko SATO
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 = Bulletin of Saitama Gakuen University. Faculty of Humanities (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.183-193, 2005-12-01

日本語を母国語とする人が、英語音 /r/を発音する場合の問題点と調音法。調音器官からのアプローチ。
著者
佐藤 公則 川口 壽郎 松岡 秀隆
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.292-299, 1990-08-10 (Released:2010-10-20)
参考文献数
14
被引用文献数
4 4

Four patients with esophageal or hypopharyngeal perforation caused by endoscopy treated from 1981 through 1989 at Kurume University Hospital, are reviewed.1) All the patients were adult, two were male and two were female.2) The cause was by flexible fiberscopy in two patients with hypopharyngeal perforation, by rigid esophagoscopy in two patients with esophageal perforation. The lesion of hypopharyngeal perforation was left piriform sinus and that of esophagus was entrance of cervical esophagus.3) All the patients were treated surgically. Primary suture of the peforation was done in one case.4) All the patients were cured.5) The most useful examination was a lateral view of the cervical X-ray.6) From our experience, the following treatment is recommended. Operation should be done as soon as possible, and primary suture of the perforation would be done if possible. The operative wound should be opened, and oral administration of foods would be started if possible. And the operative wound could be successively closed if there were no problems.