著者
渡邉 一弘 成田 紘一 佐藤 静香 加藤 正
出版者
日本薬学会化学系薬学部会
雑誌
反応と合成の進歩シンポジウム 発表要旨概要
巻号頁・発行日
vol.36, pp.139, 2010

In multistep syntheses of complex natural products, selection of the most suitable protecting group for each hydroxy function is very important and sometimes holds the key to success. We are interested in the chemoselective deprotection to expand synthetic applicability of phenyliodine(III) bis(trifluoroacetate) (PIFA). The hypervalent iodine reagent such as PIFA is one of the promising reagent for development of environmentally benign oxidations. We describe not only the deprotection of more readily removable 3,4-dimethoxybenxyl (<sup>3,4</sup>DMB) protecting groups, but also selectivity among the three benzyl-type protecting groups, <sup>3,4</sup>DMB, <I>p</I>-methoxybenzyl (PMB) and benzyl (Bn). When the tetra-protected compound (having Bn, PMB and <sup>3,4</sup>DMB groups) was treated with 2.0 equivalents of PIFA at room temperature, the <sup>3,4</sup>DMB group was removed to give mono-alcohol with more than 97% selectivity.
著者
坂江 千寿子 佐藤 寧子 石崎 智子 田崎 博一
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部学会誌 = Journal of School of Nursing and Social Services, Health Sciences University of Hokkaido
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.115-124, 2006-03-31

精神科病棟で隔離された患者へ対応する看護師には,回復過程を見極め,退室時期の決定にかかわる情報を提供できる観察と判断能力が必要である.本研究の目的は看護師が保護室内の統合失調症患者の要求に対する判断内容を明らかにすることである.開放型精神科病院で,参加観察とインタビューを実施し,看護師の対応内容,その理由等を整理し,コード化した.コーディング終了後,再検査法を用いて信頼性を高めた.倫理的配慮として,参加観察の対象看護師には,研究目的,協力に関する利益,不利益,任意性,研究者の守秘義務等を文書で説明し同意を得た.対応する患者には,自己紹介,観察の目的,任意性,退席要求の自由を保障し同意が得られた場面に随行した.その結果,看護師15名の49場面から152のコードが抽出され,何を判断しているかという判断内容を示す18サブカテゴリー,7カテゴリー(1.状態や回復レベル,2.患者の感情の理解,3.ケアを選択する根拠,4.安全を守る,5.エンパワーメントの意識化,6.相互作用における関係性の重視,7.看護師の抱く思い)に分類された.これらは,最終的に,『患者の変化と多様性の理解』と,『ケア提供の根拠と対応内容』という判断の目的で大別され,さらに両者に関係する看護師の感情や人間関係などの『判断へ影響する要因』という3つの『大カテゴリー』に集約された.看護師は,初回入院患者の言動に戸惑いながらも,まず耳を傾け言動の背後にある感情の理解に努め,衝動行動の減少,セルフコントロール能力等を回復の指標とし,入室時,前回担当時,過去の患者のベストの状態,他患者の同症状との比較という基準で判断していた.さらに要求に対して,危険を回避し悪化を防ぐ,あるいは回復の兆候に注目し患者の希望や要望にそうという両方向を念頭におきながら,その時その場で判断していることが示唆された.
著者
大関 信子 大井 けい子 佐藤 愛
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.189-196, 2014-11-30 (Released:2017-01-26)
被引用文献数
1

【目的】本研究は,乳幼児を持つ母親と父親のメンタルヘルス状態と夫婦愛着,及び自尊感情との関連を明らかにすることを目的とした.本研究の意義は,母親のメンタルヘルス向上の支援策の検討に役立てることである.【方法】簡易サンプル法を用いた無記名自己記入式調査用紙を用いた横断的研究で,A県内在住で6歳未満の子供を持つ父母552組に調査票を配布し郵送にて回収した.調査内容は,社会的背景の他にメンタルヘルスの測定には「精神健康度調査票」(General Health Questionnaires:以下GHQ12),夫婦愛着を測るために「夫婦関係尺度」(Quality Marriage Index:以下QMI),自尊感情を測るため「自尊感情尺度」(Self Esteem Scale:以下SES)を用いた.統計分析は,記述統計や重回帰分析を用いた.【結果】母親のGHQ得点とQMI得点,SES得点とに有意な相関関係が見られた.「父親の子育てに満足」の要因は母親のQMI得点に最も関連していた.母親のQMI得点は母親のSES得点に最も関連し,このSES得点は母親のGHQ得点に最も関連していた.父親にも同様な結果が得られ,「母親の子育てに満足」の要因が父親のQMI得点,SES得点そしてGHQ得点に有意な関連がみられた.【考察】母親,父親とも夫婦愛着が直接メンタルヘルスに関連するのでなく,自尊感情を介して影響することが明らかになった.父親の育児参加は,母親が認知する夫婦愛着を促進し,夫婦愛着が母親の自尊感情を高め,結果的に母親のメンタルヘルス向上に関連するとの示唆を得た.
著者
佐藤 淳 中野 泰雅
出版者
国際ジオシンセティックス学会 日本支部
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.13-22, 1998

東武鉄道では、東武野田線の輸送力増強・混雑緩和および今後の輸送需要に対応するため、岩槻~春日部間(7.4km)の複線化工事を施工中である。<br>本工事区間には、高築堤区間(延長約600m・最大高さ約8.5m)があり、地質は有機質シルト・腐植土および凝灰質粘土から成る軟弱地盤である。また線路際には、民家が密集しているため、通常の土留擁壁による腹付線増は施工性、施工環境、経済性、工期等から問題があると考えられた。<br>そこで本工事では、近年採用実績が積み重ねられつつあり、且つ耐震性にも優れていると評価されている補強盛土工法を採用することとなった。<br>本論文では、軟弱地盤上における高築堤区間において、補強盛土工法による腹付線増を行うにあたっての経緯、検討結果および施工計画、方法等について述べることとする。
著者
林 梅 佐藤 哲彦 村島 健司 西村 正男 荻野 昌弘
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、中国辺境地域が、市場経済や国家による開発に組み込まれる過程で、均一的な文化の受容を通して地域社会を変容させながらも、少数民族独自の伝統や文化を継承していく様態を明らかにすることに努めてきた。それは、グローバリゼーション時代において直面せざる得なくなった多文化社会のあるべき方向性を模索する作業で、そこには多重の人為的な「境界」による他者性を生きながらも、そうした「境界」を使い分けている構造があったといえる。
著者
佐藤 郁哉 サトウ イクヤ Sato Ikuya
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = The Doshisha business review (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.27-63, 2018-07

研究(Article)本論文では、2000年前後から日本の高等教育セクターにおいて頻繁に使用されるようになったPDCAという用語の普及過程とその用法について検討を加えていく。また、その事例の分析を通して日本におけるニュー・パブリック・マネジメント(NPM:新公共経営)が陥りがちな落とし穴について明らかにしていくことを目指す。事例分析の結果は、業務の効率化を目指して導入されたPDCAの発想がその本来の意図とは正反対の極端な非効率と不経済をもたらす可能性があることを示している。
著者
土橋 ゆかり 佐藤 友美 佐藤 浩二 大隈 まり 衛藤 宏
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.185, 2008

【はじめに】<BR>協調運動障害や仮性球麻痺に加え、発動性低く訓練に対しても消極的な症例に対し病前の生活様式や興味関心を把握した上での活動が有効であった。今回の経験を振り返り発動性を引き出す為の活動提示の視点を報告する。<BR>【作業療法評価】<BR>80歳代、男性、診断名は脳梗塞後遺症、左右不全麻痺、両側仮性球麻痺、Br.Stage右上下肢stageVI、左上下肢stageV。難聴、嚥下・構音障害で著明あり、Yes、No程度の意思疎通は可能。B.I.は25点。であり、セルフケアは車椅子主体で要介助状態。家族構成は妻・娘の3人。<BR>【目標】<BR>3ヶ月で可能な限り妻と娘との在宅生活が継続して行えるよう、セルフケアが見守りから軽介助にて遂行可能となる。併せて、日中は落ち着いて生活できる活動を探り、生活リズムを確立する。<BR>【経過】<BR>更衣・整容の訓練を1週間導入するも訓練を拒否した。そこで、本人の意思が向けば主体的に動くことができる点を生かし、 (1)本人自ら関心を示した活動 (2)生活歴に基づく活動(3)OTが「これは症例が集中してできる」と考えた活動、の3つの視点から活動選択し、これらの活動を通して発動性を引き出し日中落ち着いて生活でき生活機能の改善に結び付ける事を試みた。以下、各活動選択の経過を記す。(1)では活動への関心が高いものを探る際の指標として、日常生活の中で注意が止まる、指を差す、物を手に取って見る、他者を呼んで何らかの主張を示す、の4点を重視した。その結果、「屋上へ行く」、「猫と触れ合う」、「陶芸」に関心を示した。 (2)では、なじみのある活動や手続き記憶を通して発動性を生かす事ができると考え生活歴に基づく活動を提示した。結果、「囲碁」、「新聞を読む」を選択した。 (3)では様々な環境を設定する事で関心を広げる事も必要と考え「パズル」、「棒体操」、「絵画」を実施した。<BR>【その後の経過】<BR>訓練時は、本人の関心を示した屋上にて歩行を行いその後、訓練室にて囲碁を実施する等、内容を組み合わせた。この結果、意欲的に歩行し能動的に軽介助歩行が行えるようになり、自分の意思をジェスチャーにて伝えることや感情表出も多く見られるようになった。日常生活場面では、身体耐久性は向上し介助量の軽減が図れ、約3ヶ月で目標達成となった。最終時、B.I.35点。在宅訪問の際は、仏壇に参る為やトイレに行為に妻との軽介助歩行が可能であった。退院6ヶ月後も、妻と散歩や畑に行く等、日中は離床し本人らしく在宅で過ごしている。<BR>【まとめ】<BR>訓練に対して拒否的で日中落ち着かない患者に対して、セルフケアへの直接的な訓練だけでなく様々な環境で本人の行動を評価し興味や関心を生かした作業活動を選択・提示する事が、活動のきっかけとなり心身機能面や活動面の機能向上には重要であった。
著者
末廣 輝男 大久保 晃男 佐藤 憲夫 三浦 浩二 古賀 秀昭 太田 照明 大久 正敏 高橋 弘之
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.121-123, 1977

気柱の開口端で音叉を鳴らしながら気柱の長さを変化させ,音の強弱を耳で聴取して共鳴点を探る実験は従来から高校あるいは大学教養課程の物理学実験のテーマとして取上げられてきた.この実験は直接的である点で秀れているが,反面,音叉の振動が早く減衰すること,音圧最大の点を耳で判断するためにあいまいさが残ること,誤差を見積るのが難かしい等の問題がある.このため充分に定量的な実験とは言いかねる欠点があった.そこで音叉のかわりに低周波発振器と低周波増幅器に接続されたスピーカーを音源に用い,更に共鳴点ではスピーカーコーンの振幅が大きくなることを利用してスピーカーボイスコイルからコーンの振幅に比例した電圧を取出し,これをメータで読むことにより共鳴点を見出すことにした.これにより実験の精度および再現性が向上し,気柱の直径を変えた時の音速の変化等も検知することができた.
著者
佐藤 隆良
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1072, pp.72-74, 2016-05-26

2016年5月期マイナス金利政策もむなしく、建築市場を左右する景気がさえない。背景に円高、地震、増税といった懸念があるからだ。2017年4月に増税が実施された場合と延期された場合の住宅需要などを予測してみた。
著者
佐藤 優
出版者
創出版
雑誌
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.66-69, 2019-04
著者
SANDUIJAV ENKHBAYAR 宇津呂 武仁 佐藤 理史
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.185-205, 2005-10-10 (Released:2011-06-07)
参考文献数
4
被引用文献数
1 4

本論文では, 現時点で利用可能なモンゴル語の言語資源, 特に, 名詞・動詞の語幹のリスト, および, 名詞・動詞に接続する語尾のリストから, モンゴル語の名詞句・動詞句を生成する手法を提案する.具体的には, 名詞・動詞の語幹に語尾が接続する際の音韻論的・形態論的制約を整備し, 語幹・語尾の語形変化の規則を作成する.評価実験の結果において, 100%近くの場合について, 生成された名詞句・動詞句の中に正しい句候補が含まれるという性能を達成した.さらに, 本論文では, この句生成に基づいて, モンゴル語の名詞句・動詞句の形態素解析を行なう手法を提案する.具体的には, まず, 既存のモンゴル語辞書から名詞語幹および動詞語幹を人手で抽出する.次に, これらの語幹に対して, モンゴル語名詞句・動詞句生成規則を適用することにより, 語幹・語尾の組から句を生成するための語形変化テーブルを作成する.そして, この語形変化テーブルを参照することにより, 与えられた名詞句・動詞句を形態素解析して語幹・語尾に分離する.評価実験の結果においては, 語形変化テーブルに登録されている句については, 形態素解析の結果得られる語幹・語尾の組合せの候補の中に, 正しい解析結果が必ず含まれることが確認できた.
著者
木股 文昭 石原 和弘 植木 貞人 内田 和也 小山 悦郎 佐藤 峰司 鈴木 敦生 高山 鐵朗 竹田 豊太郎 辻 浩 寺田 暁彦 中坊 真 浜ロ 博之 平野 舟一郎 松島 健 宮島 力雄 森 済 八木原 寛 山本 圭吾 渡辺 秀文
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.35-43, 1999-04

1998年以降, 火山活動が活発化している岩手山火山において, 火山活動に伴う地殻上下変動とその圧力源を議論する目的で, 水準路線を設置し, 1998年7, 9, 11月に精密水準測量を実施した。1998年9月3日, 水準測量実施中に, 直下でM6.1の地震が発生し, 20cmに達する断層運動を水準測量で検出した。岩手山南麓ではこの4ヶ, 月間に4cmに達する山側隆起の上下変動が観測され, その圧力源は岩手山西方に深さ3km前後と推定される。Earthquake swarm is observed around the Iwate-san Volcano, Northeast Japan since 1998. The leveling route with distance of 36 km was set up around the volcano and the precise levelings have been repeated to discuss the crustal deformation four times in July, September, September and November in 1998. When the precise levelingis doing in September 3, 1998, earthquake of M6. 1 was occurred close to the volcano. One leveling team was making leveling in the epicenter area, Re-levelings were repeated since the next day of the earthquake, and coseisimic deformations of 20 cm are detected along the leveling route. However the precursor of the vertical movements is not recognized in the leveling data made just before the earthquake. Uplift of the Iwate-san Volcano is observed and which amounts to 4 cm in the period of July to November in 1998. The pressure sources of the vertical deformations are estimated to be under the west side of the volcano with depth of 3 kim, which is the almost the same location of the pressure estimated by GPS measurements and the DInSAR (Differential Interferometric SAR).
著者
佐藤 泉
出版者
日経BP社
雑誌
日経エコロジー = Nikkei ecology (ISSN:13449001)
巻号頁・発行日
no.208, pp.40-42, 2016-10

来年の通常国会提出に向けて、環境省は土壌汚染対策法改正の議論を進めている。土壌汚染リスクに応じた対策を求めるような制度にする必要がある。佐藤 泉/弁護士 土壌汚染対策法は、2010年4月の改正法施行から5年以上が経過し、見直しの時期を迎えている。
著者
佐藤 力夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.213-218, 1998
参考文献数
4

Deinotrichia dentigerata Warrenは,近年Hypomecis属に置かれてきたが(Sato,1988;Holloway,1993),Hollowayは同属とは交尾器の形態がかなり異質であることを指摘し,新属の必要性を示唆した.このたび,スマトラ産の"dentigerata"に2種混じっていることが明らかになり,さらにフィリピン諸島のネグロス,レイテ,ミンダナオから近縁の別種が発見された.これら3種について研究を進めた結果,新属の設定が妥当と認められたので,2新種とともに記載した.属名のMarobiaは,Hypomecisのシノニムとして整理されるまで,長い間親しまれてきた属名Boarmiaのアナグラムである.新属.Marobia Sato.模式種:Deinotrichia dentigerata Warren,1899.新種.M.dairiensis Sato(スマトラ),M.philippinica Sato(ネグロス,レイテ,ミンダナオ).