著者
岸本 直樹 野口 悠暉 佐藤 勇気 泉井 一浩 山田 崇恭 西脇 眞二
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.849, pp.17-00069-17-00069, 2017 (Released:2017-05-25)
参考文献数
24
被引用文献数
8

Topology optimization is the most flexible type of structural optimization method. This method has been applied in a variety of physics problems dealing with a multitude of design problems. In a given design problem, however, the optimization problem often has conflicting evaluative functions, such as the need for high rigidity in combination with minimal weight. The difficulty of simultaneously achieving high performance for two or more functions may be further compounded because current topology optimization methods typically only deal with a single material. On the other hand, when multiple kinds of materials having various properties can be selected for use, the range of a designer's choices is increased and an appropriate solution that greatly improves product functions may be achieved. Thus, this paper presents a new topology optimization method for multi-materials that obtains high-performance configurations. We apply the Multi-Material Level Set (MM-LS) topology description model in the topology optimization method, which uses a total of n level set functions to represent n materials, plus the void phase. The advantage of the MM-LS model is that clear optimal configurations are obtained and the design sensitivity for multi-material structures can be easily calculated. The level set functions that are design variables are updated using the topological derivatives, which also function as design sensitivities, and we derive the topological derivatives for multiple materials. Through several numerical examples, we demonstrate the validity of the proposed method.
著者
佐藤 明 Akira Sato
雑誌
大分県立芸術文化短期大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.39, pp.(27)-(38), 2001-12-26
著者
佐藤 勢紀子 大島 弥生 二通 信子 山本 富美子 因 京子 山路 奈保子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.154, pp.85-99, 2013

<p>人文科学,社会科学,工学の3領域9分野14学会誌合計270編の日本語学術論文を対象に,15の構成要素を設定して中間章の構造分析を行った。その結果,《実験/調査型》,《資料分析型》,《理論型》,《複合型》の4つの基本類型とその下位分類としての11の構造型が抽出された。これらの構造型の分野別の分布状況を調べたところ,工学領域では典型的なIMRAD形式を持つ《実験/調査型》が圧倒的であり,一部に《理論型》が存在することが確認された。一方,人文科学・社会科学の領域では,多様な構造型が混在する傾向が見られた。これらの領域では《資料分析型》が共通して認められたが,その出現率には分野によって大きな差があり,一部の分野では《実験/調査型》が優勢であった。論文の構造型は分野によって決まる場合もあるが,むしろ研究主題や研究方法に応じて選定されるものであり,留学生の論文作成・論文読解の支援を行う際にその点に留意する必要がある。</p>
著者
佐藤 博之 増田 英孝 笠原 宏
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.219-220, 1994-03-07
被引用文献数
2

いくつかのGUI部品には同じ操作目的を持つものがある。 どの部品を使用するかを決定するのは、 アプリケーションプログラマである。 しかし同じ操作目的であれば、どの部品を使いたいかはユーザ毎に異なる。 ユーザから部品交換の要求があれば、 プログラマがアプリケーションに変更を施し、 ユーザヘ還元するのが現状である。UIの独立性により複数のUI戦略が利用可能となっているが、それは設計段階においてである。 部品交換がユーザレベルで実行時に可能となれば、 より柔軟なインタフェースを提供できる。ユーザレベルでデザインの変更が可能なことはGUIの1つの目標であり、 それを様々な形で積極的に促進すべきである。そこで本研究ではユーザレベルでのデザインの変更を容易にすることを目的として、 GUI部品ごとの接続インタフェースを整合させ、 いくつかの基本部品で構成されたGUI部品群として利用できるアダプタを提案する。実例としてラジオボタンをボタン群と捉え、単一選択リストと同じ接続インタフェースを持った部品、 ラジオボタンアダプタを作成した。 また同様に、 複数選択を行える複数選択リストに対しチェックボックスアダプタも作成した。
著者
佐藤 義則
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.526-531, 2009-11-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
45

GIS(Geographic Information System)は,地図インターフェイス上でのさまざまな情報の視覚化にとどまらず,分析と意思決定を支援するツールとして大きな発展を遂げた。近年では,時間軸を導入した歴史GIS(Historical GIS)の活用も進んでいる。本稿では,図書館や情報センターにおけるGISの活用,特に,古地図等の資料のデジタル化や時間空間データベースの活用および関連するツールの整備について,現状を整理することを目的とする。また,今後の整備においては,図書館・情報センターという枠組みを超えた幅広い協力が必要であることを示す。
著者
柿木 康孝 長瀬 政子 高木 奈央 内村 大祐 佐藤 進一郎 高本 滋
出版者
The Japan Society of Transfusion Medicine and Cell Therapy
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 = Japanese journal of transfusion and cell therapy (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.593-600, 2013-08-15
参考文献数
33
被引用文献数
1

発端者(MT)は74歳男性で多発性骨髄腫の診断.カラム凝集法(Ortho Auto Vue)にて抗Aに対する反応が部分凝集(mixed-field agglutination,mf)を示した.フローサイトメトリー法(FCM法)では,A型血球集団とO型血球集団にピークをもつ2峰性のモザイクパターンを示した(A型血球72.6%,O型血球27.4%).血清A型糖転移酵素活性は256倍(対照256倍)と正常で,抗Aに対する非凝集赤血球を用いた抗A吸着解離試験は陰性であった.輸血歴はなく,双生児でもなかった.骨髄染色体は正常核型であった.これらの検査結果は治療により多発性骨髄腫が完全寛解となった後も変わらなかった.発端者の姉(MH)は77歳女性で高血圧にて治療を,発端者の弟(YT)は71歳男性で糖尿病にて治療を受けていた.どちらの症例もABO血液型検査は発端者と同様のmfを示した.FCM法でも同様のモザイクパターンを示したが,A型血球とO型血球の割合は姉(MH)ではA型血球23.6%,O型血球76.4%で,弟(YT)ではA型血球39.3%,O型血球60.7%であった.血清A型糖転移酵素活性も正常であった.同胞3例の<i>ABO</i>遺伝子解析(Exon6,7領域のDNAシークエンス)では,発端者の遺伝子型は<i>A101/O02</i>で,姉は<i>A101/O02</i>,弟は<i>A101/O01</i>であり,<i>A</i>遺伝子型に関しては3例とも共通の<i>A101</i>で,塩基配列の置換・欠失を認めなかった.以上の所見より同胞3例をAmosと判定した.今回の症例はAmosの遺伝的要因をA型亜型と対比して考える上で示唆に富むと考えられた.<br>
著者
佐藤 三矢 加藤 茂幸 弓岡 光徳 日高 正巳 小幡 太志 酒井 孝文 仁木 恵子
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.E0183-E0183, 2005

【背景】<BR><BR> 痴呆患者に対し、理学療法が移動能力向上に寄与するところは大きく、維持期(慢性期)のリハビリテーションを展開している現場では、下肢筋力増強や立位バランス向上のための運動療法、屋外歩行や階段昇降などの実践的な応用歩行練習が一般的に用いられている。このような運動療法プログラムは全身運動であり、痴呆の中核症状である精神症状や知的障害を予防または改善する効果を指摘する報告は多い。また、痴呆の進行を予防する上で、寝たきりの状態にさせないことを主張している文献も多く、移動能力促進を目的とした理学療法は寝たきり防止の点についても有意義であると考えられる。<BR> このように痴呆性高齢者において、移動能力は重要な意味を持つ行為であり、移動能力向上を目的とした理学療法は、病院や老人保健施設・在宅などで今や普遍的に行われている。<BR> しかし現在、痴呆性高齢者の移動能力とQOLとの関連性について調査している報告は散見する程度である。<BR> よって今回、痴呆性高齢者を対象として「移動能力」と「QOL」を点数化し、相関について調査した。<BR><BR>【方法】<BR><BR> 対象は、介護老人保健施設に入所している痴呆性高齢者85名。本研究は、対象施設の承認を得た後、文書にて家族からの同意が得られた対象者のみに実施した。痴呆性高齢者の移動能力の評価尺度であるSouthampton Mobility Assessment (SMA)日本語版と痴呆性高齢者のQOL評価尺度であるQOL-Dを用いて、対象者の「移動能力」と「QOL」を点数化し、相関関係について調査した。<BR><BR>【結果】<BR><BR> Speamanの順位相関を用いて検索した結果、SMA日本語版とQOL-Dとの間において、有意な相関関係が認められた(r=.471,p>.001)。<BR><BR>【まとめ】<BR><BR> 今回、SMA日本語版とQOL-Dとの間において、有意な相関関係が認められた。よって、痴呆性高齢者の移動能力への理学療法介入がQOL向上につながる可能性がうかがえた。
著者
水内 英充 工藤 隆一 田村 元 熊井 健得 塚原 国比古 佐藤 賢一郎 橋本 正淑
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.690-696, 1986 (Released:2011-11-08)
参考文献数
16

酵素抗体法の走査電顕への応用を試みるべく, 酵素抗体法を行った遊離細胞を光顕で観察した後さらに同一細胞を走査電顕で観察するための試料作製法について検討した.(1) 材料はリンパ節のインプリントスメアから得られたリンパ球を用い, リンパ球表面マーカーである抗Leu1, 2a, 3a抗体を使用した酵素抗体法を行った.(2) 固定液は0.25%グルタールアルデハイド, PLP単独, 0.025%グルタールアルデハイド加2%パラホルムアルデヒド, 95%エタノール, メタノール, 95%エタノール・エーテル混合液の各種について検討した.走査電顕観察には0.25%グルタールアルデハイドが最も良い保存状態を示した.また, 酵素抗体反応も0.25%グルタールアルデハイドで満足すべき結果が得られた.(3) メチルグリーン核染色の影響は表面構造上認められなかった.(4) 内因性ペルオキシダーゼ反応のブロック法であるStreefkerkの方法, Isobeらの方法は表面構造へ影響を与えなかった.(5) DAB反応の沈着物はmicrovilliなどの微細構造の観察に影響を与えなかった.(6) 以上, 目的とする抗原により固定液はその都度選択しなければならないが, 遊離細胞または培養細胞に対し酵素抗体反応を施行後, 反応陽性細胞の表面微細構造を走査電顕で観察することが可能となり, 本法は酵素抗体法の走査電顕への応用法の1つとなりうると思われた.
著者
佐藤卓己編
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
2016
著者
佐藤 武 柴崎 達雄 伊津 信之介 根元 謙次 柴崎 逹雄 星野 通平
出版者
東海大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1984

第一鹿島海山の地形を検討すると、いくつかの地形面に区分することができる。そのうちで特徴的なものは、山頂部(水深3,700〜4,000m)の平担面と山体西半分を構成する鞍部(水深5,100〜5,500m)の平担面である。また、山体斜面部には、水深4,700m付近をとりまくように発逹する平担面と水深6,000m付近に同一深度をもつ平担面が識別できる。これらの面のうち、山頂部平担面と鞍部平担面とに礁性石灰岩の分布が確認されていること、さらに各面がほぼ同一深度に水平に発逹することから、これらの面の形成が過去の海水面の位置を示すものと考えることができる。さらに、それぞれの面には、その面を切り下位に開口する谷地形の存在が知られている。これらのことは海水面の変化が複雑な過程を経ていることを示している。これらの地形面(平担面)と谷地形を解析して白亜紀初期からの海水準変化を明らかにした。つぎに、山頂部平担面から採取した礁性石灰岩はチョーク,ウーライトを含み、石灰岩岩石学、古生物学的検討の結果、この石灰岩は一つの独立したbarrier reefの原形を残したまま沈水したものと考えられる。山頂部石灰岩の地質時代は前期白亜紀のlower Albianに対比される。また、鞍部石灰岩からも多数の二枚貝類,腹足類,石灰藻などが発見されているが、保存がわるく、同定が困難である。しかし、前期白亜紀のBarremianに特有な底生有孔虫が発見されていることから、山頂部石灰岩よりも古い時代に形成されたものと考えられる。鞍部の礁性石灰岩は未発達な礁を形成していたものと考えられる。音波探査,堆積物分析,岩石学的検討の結果も上記の古生物学検討の結果を支持している。
著者
萩原 文子 堀 七湖 中村 さち子 大槻 かおる 寺尾 詩子 大島 奈緒美 三枝 南十 上甲 博美 佐藤 幸子 小川 美緒
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.G3O1233-G3O1233, 2010

【目的】育児休業(以下、育休)が男性も取得可能な制度である中で実際の取得率は大変低くなっている(平成19年度育休取得率:女性89.7%、男性1.56%)。当部では育児経験のある男性理学療法士(以下、PT)に育児に関する意識や環境についてアンケート調査を行い、実際に育休の取得経験があるパパPT及び作業療法士(以下、OT)より経験談や意見を聴取した。今回はパパPTの実態を踏まえ、育休取得パパPT・OTの経験談と比較し問題点や改善点を見出すことを目的とした。<BR>【方法】2008年12月の1ヶ月間に20~40代のパパPT107名にアンケート用紙を使用し、家庭環境・職場環境や育児支援制度の認知度などの実態調査を行った。回答は無記名・多選択方式で得た。また、育休の取得経験があるパパPT3名・OT1名(平均年齢34歳)に調査票を使用し、家庭環境・職場環境・育休取得について面接又はメールにて調査をした。<BR>【説明と同意】調査依頼文にて目的や学会での公表を明記、もしくは口頭にて説明を行い、回答を得た時点で同意を得たものと判断した。<BR>【結果】家庭環境は共働き家庭が67%、育児援助者がいない家庭が72%と半数以上であった。子供と接する時間は平日で毎日30分以上が63%、また何らかの家事を行っている人が97%であった。職場は総合病院が最も多く43%、職場のPT数は1~56名、職場での育休の有無は「なし・わからない」が20%、育休取得環境の有無は「わからない」が43%であった。育休取得率は0.93%で、取得しなかった理由は「妻が取得した」という意見が多く、次いで「職場の環境」「仕事への影響」「必要なし」「制度不明」が挙げられた。パパになってからの変化としては経済的な責任や家庭を持つことで仕事以外にも役割が増え、休まざるを得ないことが増えたり、自分の時間が少なくなったと感じている人が多いが、同時に仕事のやりがいが向上し、PTとしての広がりや生活の充実を感じている人も多かった。パパPTの39%は出来れば育児支援制度を利用したいと思っていた。<BR>育休を取得したパパPT・OTの家庭環境は妻が出産を機に退職1名・共働き3名であり、育児援助者がいる1名、いない3名であった。職場は公的・準公的施設でPT・OT数は2名~28名、休業中の代替者の確保は「あり」2施設・「なし」2施設。職場での女性の育児休業取得は「取り易い」3施設・「退職圧力なし」1施設、リハビリテーション部門の対応は4施設とも協力的であり、そのうち3施設では代替者の募集が行われた。事務の対応・反応は「権利なので可能」「制度はあるが事務職員の認識がなく、自分で制度を調査し担当者の上司へ説明を求めるなどの対応を必要とした」「事情に詳しい他職種の上司が直属の上司や事務方への対応をしてくれた」が挙げられた。育休取得期間は2~12カ月で3名は妻の育休取得後、1名は妻の出産直後に取得した。困ったことは全員が「特になし」、良かったこととして「子供や家族との関係の向上」「人としてやリハビリテーションを担う職業人としての向上」を挙げており育休取得によるメリットが大きいことがわかった。<BR>【考察】両調査において共働き・育児援助者なしが多く、夫婦が助け合って仕事と育児を両立していく必要性が高い家庭が多かった。その中でも日本人男性が家事や育児に関与する時間は約1時間という報告がある中が、パパPTは家事や育児に協力している傾向が見られ、さらにパパが育児に関与することは仕事面・家庭面において親として・人として・職業人としての向上などのメリットが挙げられた。しかし、育児支援制度に関してはパパPTの39%が出来れば利用したいと思っているが、実際に育休を取得した人は0.93%であり、育児・介護休業法にて取得権利が認められているといっても制度の利用には課題があることがわかった。パパの育休取得に関してはまず、今回の結果からパパの育休に関する情報不足を感じ、さらに職場の環境としては代替え要員の雇用支援や人材バンクの整備、上司や事務職への制度に関する理解と啓発の必要性を感じた。また、公的・準公的施設や女性が取得しやすい職場などの環境も育休取得に影響していることがわかった。今後は会員のみならず職場への育児支援制度の情報提供・支援サービスの整備などを進めていく必要性を感じ、今後の活動へ生かしていきたい。<BR>【理学療法学研究としての意義】ライフワークの中で就業が継続できる働きやすい環境を支援することでPTの質の向上にもつながると思われる。
著者
長浜 孝 櫻井 俊弘 古賀 有希 蒲池 紫乃 平井 郁夫 佐藤 茂 真武 弘明 松井 敏幸 八尾 恒良
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.273-278, 2003-06-01
参考文献数
17

Crohn病 (CD) に対するprednisolone (Predonine<SUP>®</SUP>; PSL) の適切な初回投与量を検討した.<BR>対象 : 外来通院中にPSLが投与されたCD患者45例, 84回のPSL治療.<BR>方法 : 症状別に初回1日投与量と経時的累積症状消失率を算出した.<BR>成績 : 下痢ではPSL初回投与量0.5mg/kg以上 (初回投与量 : 28.3±6.0mg/日) の群が有意に高率, 早期に症状が消失したが (p<0.006), 0.75mg/kg以上投与しても有意差はなかった (p=0.140). 腹痛では0.75mg/kgから1.03mg/kg(30.0±5.8mg/日)の群が有意に高率, 早期に症状が消失していた. 食欲不振・全身倦怠感, 発熱, 関節痛・結節性紅斑は0.24mg/kgから0.49mg/kg未満(30.0±5.8mg/日)の群とそれ以上の量の群とで累積症状消失率に差はなかった (p=0.818).<BR>上記成績に考察を加え, PSLの初回1日投与量は, 下痢に対しては30mg, 腹痛には35mg, 食欲不振・全身倦怠感, 発熱, 関節痛・結節性紅斑には15~20mgを目安とし, 体重, 活動指数によって増減するのが適切と考えた.
著者
土居 忠 田中 信悟 佐藤 康裕 太田 英敏 南 伸弥 藤見 章仁 蟹澤 祐司 田村 文人 平川 昌宏 小野 薫
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.501-507, 2010 (Released:2010-10-07)
参考文献数
19
被引用文献数
3 3

脂肪性肝疾患(FLD)の発生に及ぼすアルコール摂取の影響には不明な点が残されている.今回我々は2008年1月から12月までに腹部超音波検査を含む健康診断を受診した3185名を対象に脂肪肝の頻度に対するアルコール摂取の影響を多重ロジスティック回帰分析により解析した.内臓脂肪性肥満,空腹時高血糖,脂質異常症はいずれも脂肪肝頻度の増加と関連していた.1日アルコール摂取量20 g未満(少量飲酒群),20 g以上から40 g未満(軽度飲酒群)および40 g以上から60 g未満(中等度飲酒群)では脂肪肝のオッズ比は有意に低下した.男女別に飲酒の影響を検討したところ,男性では軽度飲酒群から中等度飲酒群におけるFLDの調整オッズ比は非飲酒群および1日アルコール摂取量60 g以上の多量飲酒群より低かった.一方,女性ではアルコール摂取の影響は明らかでなかった.以上の結果からFLDに及ぼす飲酒の影響には性差があり,男性では軽度ないし中等度までのアルコール摂取は過栄養性FLDの発生を抑制する可能性が示唆された.