著者
村川 三郎 飯尾 昭彦 佐藤 光男 田辺 邦昭
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.31, pp.45-58, 1986-06-25
被引用文献数
1

本研究は,各種建物の使用水量を精度よく推定するため,幾つかの水使用要因を考慮した多元的な予測式の導出を目的としており,その第2報として,ホテル・旅館を対象に論述している.すなわち前報と同様に,全国の主要9都市で実施した水使用アンケート調査を基に,建物の諸特性・使用水量の関連分析により得た回帰式および建物管理者の水使用意識・節水対策の実状を示すとともに,建物特性・水使用意識・使用水量をアイテム・カテゴリーにとり,数量化理論第III類によって相互の関連を分析している.使用水量の予測は重回帰分析によって検討し,延べ床面積・従業員・宿泊可能人員あたりの使用水量を3〜4個の変数で説明する重回帰式を提案した.
著者
小林 喜平 郡司 敦子 村上 洋 矢ざき 貴啓 佐藤 正喜 桑原 克久
出版者
日本大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

高齢者の咀嚼機能は一般的に歯の喪失に伴い低下する。ことに無歯顎者で著しく,総義歯の状況により十分な回復ができず,結果的に食物摂取,栄養確保が困難になる。咀嚼機能レベルに応じて適切な食物摂取が容易かつ確実に行なえるよう噛み易さを考慮し,食物の硬さを調整して栄養バランスの採れた一連の献立を提供し,それを利用しながら個人へ行なう食事指導は健康管理面からも効果的である。そこで可及的に同一食品を用いて普通食,刻み食,五分粥食,三分粥食,ミキサ-食へと展開させた一連の献立群に栄養学的検討を加え,総義歯患者の食事指導に役立つ展開食の開発を試みたところ以下のような結果を得た。1.60歳代前半の高齢者を対象とした展開食に超軟性食の三部粥食を追加検討したところ,(1)各献立とも各栄養素充足率は満たされ.(2)ビタミン類は調理損失をみこしており過剰傾向であり.(3)蛋白質の確保に1700kcal,70gを設定したので一般成人の理想値より多く.また豆・豆製品は各展開食に多く,三部粥食では芋類と砂糖が多い傾向であった。2.高齢者の嗜好の多い和食タイプに,食事選択範囲を広げる目的で洋食タイプを加えて比較検討したところ,(1)各栄養素充足率では,和食タイプ,洋食タイプとも同様の傾向であり,(2)食品群別充足率では,それぞれ異なる傾向がみられ,食品の選択に工夫を要すること,ならびに類似タイプの献立を連続摂取を避けることが示唆された。3.展開食の臨床応用の前準備として,65歳代,70歳代,80歳代を考慮し栄養摂取の観点から展開食構成を調整する際の問題点を検討するため,特別栄養護施設入所者を対象に5日間の昼食の喫食率としてグループ別残菜調査を検討したところ,(1)残菜率は15%から20%の範囲にあり,(2)献立により傾向は異なり,嗜好,盛りや味付け,固さや量,個人の全身状況,咀喝状況などの影響が示唆された。
著者
佐藤 一郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.247, pp.56-61, 2013-11

クラウドは、世界各地にある巨大データセンターで構成される地球規模の巨大計算システムである(図1)。データセンター同士はネットワーク経路が二つ以上になるように接続され、一つの経路に問題が発生しても継続して通信できるようになっている。 データ…
著者
井上 卓朗 鹿嶋 雅之 佐藤 公則 渡邊 睦
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.548-548, 2014

近年,スポーツ界では公平な判定や試合分析のために,動画像が用いる競技も増加してきている.しかし,武道競技の自動判定システムは開発されておらず,審判の主観や死角での予測的な判定などにより誤判定が発生してしまう.本研究では,武道の中でも「空手」に注目し,競技者の攻撃が有効打であるかを,動画像処理により自動検出を行うことを目的とする.そこで,防具を着用した競技者に有効打となりうる基本的な動作を行ってもらい,その様子をビデオカメラで撮影し有効打の検出処理を行う.その結果,基本動作による有効打の検出を行うことができた.これにより,空手競技における主観性を除いた検出を行うことができることが示唆された.
著者
佐藤 仁 林 豊彦 宮川 道夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.94, no.416, pp.81-88, 1994-12-16
被引用文献数
8

歯科補綴物の製作過程の単純化と品質の均一化を目的として,過去20年に渡りその製作のコンピュータ化が進められてきた.しかし,従来開発された歯科CADは,操作性がこれまでと全く異なるため,従来のワックスアップ技法を生かすことができなかった.これを改善するために,我々はワックスアップに近い操作性をもつ全く新しいCAD(Vocs-1)を以前開発した.このVocs-1における形状変形は,歯のソリッドモデルに拡張したHit-or-MIss変換を作用することにより実現されている.しかしこの操作は,部分的な形状変形ができるものの,咬合面上の溝や土手のような複雑な形状の生成には必ずしも適していなかった.そこでHit-or-MIss変換をさらに拡張し,形状表面の曲線や閉領域を中心とした部分変形ができるようにした.さらに原形状と変形部の移行部の範囲を,接続の滑らかさを損なうことなく制御できる一つのパラメータを理論的に導いた.
著者
佐藤 仁 林 豊彦 宮川 道夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.93, no.209, pp.93-100, 1993-09-03
被引用文献数
11

これまで20年にわたり歯科補綴物の製作にCAD, CAMを応用しようという試みがなされてきた.CADにおける歯冠部の表現は,記憶容量が少なくて済むため,サーフェス・モデルが用いられてきた.しかし,この表現では,咬合面のような自由曲面に対する操作が困難であり,伝統的なワックスアップ技法が歯科CADには生かしにくいという欠点があった.この制約を克服するために,数学的形態学で開発された手法を用いて,新しい咬合面のCAD法を開発した.歯冠の咬合面は,ワックスアップのような操作を実現するために,ソリッドモデルで表現した.咬合面形状の変形は,データ全体にdilation操作を行うことで達成できる.また,ワックスアップのような部分的な変形を実現するために,dilation作用素に窓関数を導入した.以上の方法を用いたCADシステムをワークステーション上で試作し,実際の咬合面データを用いて設計実験を行った結果,このCADは比較的高い形状操作性をもつことを確認した.
著者
佐藤 睦智 佐々木 剛 山田 博之 下村 浩一 矢嶋 航 丸谷 良 山内 伸二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.293-298, 2012-04-01

司会は昨年に引き続き嵐のみなさんと連続テレビ小説「おひさま」のヒロイン役を務めた井上真央さん.出場者は55組で随所に5ヵ所の中継や企画コーナーが加わる内容である.放送時間は19時15分から4時間25分(途中ニュースで5分間中断)の生放送で,総合テレビとラジオ第一が同時放送された.舞台セットは,点と点が繋がりみんなが一つになっていくことをコンセプトとした三角形の骨組みと映像を映し出すLEDスクリーンが基本セットである.前回から始まったテレビ副音声での「裏トーク」は,NHKホールの2階席に実況席が設けられ,生のステージを見ながらテリー伊藤さんと,神田愛花アナウンサがゲストを交えながら自由に話すというコンセプトで放送された.その他,3Dやスーパーハイビジョンの制作も平行して行った.
著者
渡辺 乾二 佐藤 泰
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.393-400, 1971-08-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
19

ラードを空気の通気のもとに170-175°Cで,0-0.5,0.5-1.0,1.0-2.0,2.0-4.0,4.0-8.0と8.0-14.0時間断続的に加熱した.各加熱区間で得た揮発性生成物を中性化合物,酸性化合物およびラクトンとに分画した.これらの化合物の同定にはGCおよびある場合にはGCMSを用いた.加熱したラードの酸化変質の測定は化学および物理的方法によった.各加熱区間で得た主要な成分は,中性化合物としてペンタナール,ヘキサナール,ヘプタナール,ペンタノール,オクタナール,2-ヘプテナール,ノナナール,2-デセナールと2-ウンデセナールであり,酸性化合物としてはC6, C8とC9の脂肪酸であった.それらの生成割合は加熱区間ごとに異なっていた.検出したラクトンはγ-ラクトン(C6, C7, C8とC9)とδ-ラクトン(C10とC12)であり,γ-ラクトンが酸化変質の進んだ加熱区間の後半において特に顕著に生成されることが認められた.
著者
杉本 秀樹 黒野 真伸 高野 圭子 河野 靖 佐藤 亨
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.24-30, 2000-03-05
参考文献数
15
被引用文献数
3

北条市の水田で(瀬戸内平野部)1997年に緑肥レンゲをすき込み夏ソバを栽培したところ, 気象条件に恵まれ無施肥で250g / m^2を越える比較的高い収量が得られた.1998年には北条市と本匠村(九州中山間地)の水田で, 冬季休閑した休閑区とレンゲをすき込んだレンゲ区とを設け夏ソバを栽培した.北条市では, 播種期前後の多雨のため苗立ちが揃わず, 全般に生育も阻害され収量も低かった.この傾向は休閑区で特に著しく, 同区の収穫は皆無に近かった.しかし, レンゲ区では112g / m^2と前年の47%の収穫があった.本匠村では開花期以降の降水量が平年の2.76倍にも達し, 粒数不足のため収量は低く, レンゲ区で219g / m^2, 休閑区ではさらに低く143g / m^2であった.北条市のように生育初期段階に, あるいは本匠村のように開花期以降に土壌過湿仁おかれた場合でも, 夏ソバの生育阻害ならびに減収の度合いはレンゲ区の方が休閑区より少なかった.以上の結果は, 緑肥レンゲの作付けとすき込みが, 夏ソバ栽培にとって有効であること, 夏ソバの湿害を軽減する効果があることを示唆するものである.
著者
杉本 秀樹 佐藤 亨
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.189-193, 2000-06-05
参考文献数
13
被引用文献数
3

近年, ソバは転換畑で栽培されることが多くなったが, その栽培上の問題点の一つに湿害がある.ポット栽培した普通ソバ品種キタワセソバを供試して1葉期, 開花期および登熟期に, 畝間に水が溜まった状態を想定した湿潤区(地下水位5〜7cm), 圃場に水が溜まった状態を想定した湛水区(地上水位2〜3cm)ならびに対照区を設け, 処理日数を変えて土壌の過湿処理を行い, これらが収量, 収量構成要素および茎の諸形質に及ぼす影響について調査した.処理による子実重の低下は, 湿潤区, 湛水区とも生育段階が早いほど, 処理日数が長いほど著しかった.湿潤区においては, 1葉期および開花期では3日以内, 登熟期では6日以内の処理なら子実重の低下は10%以内にとどまった.一方, 湛水区においては, 1葉期では1日処理でも, 開花期および登熟期では3日以上で子実収量は顕著に低下した.湿潤区, 湛水区とも1葉期ならびに開花期における子実重の低下は粒数の減少に起因したが, これは植物体の矮小化, とくに分枝の発達不良, ならびに1分枝当たり開花数の不足による分枝開花数の減少が主因であった.湛水区・登熟期処理による子実重の低下は千粒重の低下に起因した.結実率は過湿条件下でも低下せず, 減収要因にはならなかった.
著者
佐藤 勝明
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:24326925)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.174-163, 2017-03-31

俳諧史上の傑作の一つとして知られる『此ほとり一夜四歌仙』の中から、巻頭の「薄見つ」歌仙を取り上げ、各付合の分析を通して、蕪村連句の特色を探る。それぞれの付合は、①〔見込〕、②〔趣向〕、③〔句作〕の三段階による分析方法を使って読み解いていく。その結果として言えるのは、古典趣味や中国趣味など、題材の偏りが多分に見られること、前句をよく検討してから趣向を立てるのではなく、前句の詞や表現から喚起されたこと(それは自分たちの嗜好にかなう方向で多く選ばれる)をもとに付句を考えていくこと、の二点である。すなわち、芭蕉流の付合手法とは異なる面が多く、蕪村一流の美的世界が構築されているのであり、今後は、そのことを前提に蕪村連句と取り組むことが肝要と言える。
著者
佐藤 達樹 千木良 雅弘 松四 雄騎
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

2016年4月16日に熊本県熊本地方を震源とする地震(Mw 7.0)が発生し,最大震度7を観測した.震度6強の強い揺れに見舞われた阿蘇カルデラ西部地域では,多くの斜面崩壊が発生した.テフラからなる斜面で発生した斜面崩壊は,緩傾斜斜面で発生し,また,長距離流動した.さらに,これらの崩壊のすべり面の形成された層準にはいくつかの種類があり,調査を行った崩壊地においては,風化した軽石層にすべり面を形成したもの(軽石の崩壊)が最も多く確認され,黒味を帯びた火山灰土層にすべり面を形成したもの(火山灰土の崩壊)が次いで多く,風化した火山灰層やスコリア層にすべり面を形成したものも確認された.そこで,本研究では軽石層および火山灰土層にそれぞれすべり面を形成した崩壊に着目し,これらの崩壊メカニズムを明らかにするために崩壊地の地形・地質的特徴,各層の鉱物組成および物性を検討した.​ 調査地域の基盤は玄武岩から流紋岩までさまざまな組成をもつ溶岩流や火砕岩から構成され(小野・渡辺,1985),テフラに厚く覆われている.渡辺,高田(1990)によると火山灰土(Volcanic soil)は色調によって分類可能であり,本研究では黒色を呈する黒ボク(Bl),黄褐色を呈する赤ボク(Br),そして,両火山灰土の中間の色調を示す暗褐色火山灰土(Blackish Brown Volcanic soil, BlBr)の3つに分類した.また,調査地域で最も広く分布する軽石は草千里ヶ浜軽石(Kpfa)と呼ばれ,約30000年前に草千里ヶ浜火口から噴出した(宮縁ほか,2003). 軽石層または火山灰土層にすべり面をもつテフラ斜面の崩壊には,共通してすべり面付近にハロイサイトが存在した.軽石の崩壊において最も多くすべり面が形成された軽石層は,草千里ヶ浜軽石(Kpfa)層であり,そのすべり面は風化により粘土化した層に形成された.火山灰土の崩壊においてはBlBr層に最も多くすべり面が形成され,崩壊地内にすべり面の露出する箇所には乾燥亀裂が発達しており,高含水の粘土層がすべり面となったことが分かる.さらに,火山灰土にすべり面を持つ崩壊地にはKpfaをはじめとする明瞭な軽石層が存在しなかったことから現段階では,Kpfa層がテフラ斜面の崩壊において最もすべり面形成層となりやすく,Kpfa層がない場合にBlBr層にすべり面が形成された可能性が考えられる.Kpfa層がない理由の可能性としては,もともと堆積しなかったか,堆積の後に地すべりによって取り去られたことが考えられる.堆積しなかったとすると,その理由としては斜面が急すぎたこと,あるいは軽石の給源からの供給が少なかったことが考えられる.