著者
岡田 莊司 並木 和子 小松 馨 佐藤 眞人
出版者
国学院大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

摂関・院政期の公的祭祀の性格・構造・社会的意義を明らかにし、この時期の国家体制の特質を解明することを目的に、朝延の祭祀、貴族社会の氏神祭祀について、それぞれの成立、相互関係、奉斎の主体、およびその主体と国家中枢との関係、諸祭祀への朝延の関与の実態までを解明して、総合的視野に立った平安時代祭祀制度と信仰形態について構築することを目指した。1、摂関・院政期の主要古記録(日記)に記載されている神祇祭祀関係記事の検討では、十世紀に展開する祭祀儀礼の記事を全てカード化することを完了させコンピュータに収録して検索が可能になった。史料の翻刻については、神祇官関係記録として重要な『顕広王記』の日記の翻刻作業を進めた。日記に記載されている人名の特定に困難を極めているが、今後も完成に向けて継続してゆく予定。2、寺社文書の検討については、上記1の古記録を中心にすることで、時間的余裕がなかったことから大系的な検討・研究には至らなかった.3、写本の撮影収集は、『西宮記』などの儀式書、『顕広王記』の原本・写本・神宮祭主藤波家関係文書の収集を行った。4、祭礼調査は、祭祀の本義を理解する上で貴重な経験であり、各自の研究に反映している。以上の基礎調査については、ほぼ所期の目的を達成することができた。この転換期は天皇個人の意志にかかわる性格を有して始まるが、院政期の国家と祭祀の関係は、さらに多様性をもつようになってゆく。これは国制機能そのものの変化と院個人の祭りに対する意志が明確に表され、後白河院と祭祀の関わりに濃く反映されてくる。上の基礎的作業を進める中で、国家祭祀・神祇祭祀の性格(公祭の概念)・貴族社会の神祇祭祀と信仰への関与の在り方・神仏関係などの方面に、摂関期と院政期の間に大きな意識的変革のあることが明確になり、相互の研究から確認しあうことができ、個々の研究成果に盛り込むことが可能となった。
著者
佐藤 和夫 岩本 博幸 出村 克彦
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.37-49, 2001-06-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
29
被引用文献数
9 9

Recently, Japanese consumers have become very anxious about food safety, including the safety of rice, their staple food. Therefore, there seems to be a potential demand for rice produced with reduced amounts of chemical pesticides and fertilizers, nevertheless such kinds of rice are not in adequate supply. In this situation, rice producers in Hokkaido, the northernmost island of Japan, are trying to improve the competitiveness of “Hokkaido rice” through producing safer rice. A “Choice Based Conjoint Analysis” was conducted to reveal the Japanese consumers' preference for the safety of rice, particularly rice produced in Hokkaido. The results show that Hokkaido rice could be more preferred than rice produced in other parts of Japan, which is said to be tastier than Hokkaido rice, if it were produced with reduced amounts of chemical pesticides and fertilizers. Although there is a potential demand for safer rice, those who highly prefer the safer rice of Hokkaido are consumers with relatively low incomes. For that reason, rice producers in Hokkaido should address their product to them by supplying rice with a certain level of safety at reasonable prices instead of producing rice with a high level of safety at higher prices.
著者
"佐藤 宏之"
出版者
鹿児島大学
雑誌
南太平洋海域調査研究報告=Occasional papers (ISSN:13450441)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.7-8,

本研究は、16世紀から19世紀半ばの「小氷期」と呼ばれる世界的に寒冷とされた時期に、種子島においてどのような気候変動や災害が発生し、それにいかに社会が対応していたのか、『種子島家譜』をもとにあきらかにしたものである。
著者
佐藤 琢三
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
no.116, pp.1-21, 1999-12
著者
佐藤 琢三
出版者
日本語学会
雑誌
国語学 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
no.192, pp.118-107, 1998-03
著者
片岡 純 カタオカ ジュン Kataoka Jun 佐藤 禮子 サトウ レイコ Sato Reiko
出版者
千葉看護学会
雑誌
千葉看護学会会誌 (ISSN:13448846)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.1-8, 2009-12
被引用文献数
1

本研究の目的は,外来治療期から寛解期において,悪性リンパ腫患者が病気を克服するための統御力を獲得するプロセスを明らかにすることである。悪性リンパ腫に対する外来治療を終えた通院患者で研究参加に同意の得られた20名を対象に,面接法と参加観察法により資料を収集し,エスノグラフィーの手法を用い分析を行った。悪性リンパ腫患者の統御力獲得は,【[血液のがんではもう駄目だ]の思いが《治せるがんなら治すしかない》思いへ転換する】,【悪性リンパ腫を治すための予定治療を何が何でも完遂させる】,【がん治療を受けながら地域での生活の正常な営みを目指す】,【つきまとう不安を押しのける】,【《人に頼ったって駄目,自分で頑張るしかない》の思いと《支えてくれる人のためにも頑張ろう》の思いが共在する】【命・健康の大切さを肝に銘じて希求する有り様で生きる】,【治療後に残るダメージを軽減して通常生活を取り戻す】,【《自分なら乗り越えられる》思いを獲得する】など9つの局面からなるプロセスであることが明らかになった。患者が悪性リンパ腫罹患を契機として統御力獲得に至るには,①病気克服の意志決定,②主体的療養態度の形成,③出来事の影響を軽減できた自己の能力に対する肯定的評価,④コントロール感覚の獲得,の4つの課題を達成する必要がある。患者の統御力獲得を促進するためには,これらの4つの課題の達成を支援する看護援助が必要である。The purpose of this study was to describe the process by which malignant lymphoma patients in an ambulatory setting acquired mastery to overcome their illness. Twenty outpatients, who finished the treatment for malignant lymphoma in an ambulatory setting, participated in this study. Data were collected by a semi-structured interview and the participant observation, and analyzed using ethnography. Mastery was acquired through nine aspects. The nine aspects were: [Deciding to cure the malignant lymphoma by their own power, if it can be cured], [Completing the schedule of treatment for curing a malignant lymphoma by any means], [Aiming at living a normal life in the community, while undergoing cancer treatment], [Pushing aside the anxiety of hanging around me], [Living by how to desire, as remembering the importance of health and life], [Recovering a normal life by reducing damage after the treatment], [Permitting the anxiety of recurrence and ambiguity], [Acquiring the confidence of "I can overcome difficulties with my own power in the future"], e.t.c. In ordered for malignant lymphoma patients to acquire mastery, it is indispensable to satisfy four tasks. Four tasks are, (1) decision making to overcome the illness, (2) making a positive attitude, (3) fostering the self-efficacy as a result of coping with a problem, and (4) gaining a sense of control. Therefore it is important to provide nursing interventions that assist malignant lymphoma patients to satisfy these tasks on their own.
著者
鈴木 弘治 佐藤 吉哉
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1437, pp.98-100, 2008-04-14

問 米国のサブプライムローン問題などに端を発した金融不安や世界同時株安など、消費を冷え込ませる問題が相次いでいます。足元の消費をどう見ていますか。 答 あんまりよくないですね。このところ景気は停滞気味です。商品が売れにくくなっている。しかも、その底流には、少子高齢化という構造問題がある。影響を受けているのは、特に衣料品です。
著者
難波 信由 佐藤 新 小河 久朗 加戸 隆介
出版者
日本付着生物学会
雑誌
Sessile organisms (ISSN:13424181)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.17-23, 2008-02-29
被引用文献数
2

Both intact thalli of <i>Sargassum fusiforme</i> and those without holdfasts were aquacultured in Okirai Bay, Northeast Japan, to establish them as a multi-harvestable aquaculture resource. Elongated main branches (edible part) of the intact thalli were harvested twice (August 2005 and June 2006) during 1.5 years of aquaculture (November 2004-June 2006). However, two fouling organisms, <i>Laminaria japonica</i> and <i>Mytilus galloprovincialis</i>, also occurred on the aquaculture rope. As a fouling countermeasure, <i>S. fusiforme</i> thalli without holdfasts were aquacultured for 6 months (February-August 2005) with freshwater treatment (biweekly 2-min exposures). Their stipes regenerated holdfasts, and the attached holdfasts elongated around the aquaculture rope; moreover, the new holdfasts gave rise to a number of stipes, which became the bases of new main branches. The elongated main branches were harvested after 4 months of aquaculture. Thalli without holdfasts collected from the rope were aquacultured again for ca. 1 year (October 2005-August 2006) with the same freshwater treatment. After 8 months, elongated main branches were harvested from these thalli with their new regenerated holdfasts. The freshwater treatment was effective to remove <i>L. japonica</i>, but it had no effect on fouling by <i>M. galloprovincialis</i>. Therefore, the two successive harvests were conducted before the mass occurrence of <i>M. galloprovincialis</i> in the summer.
著者
佐藤 悦子 小林 茂雄
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.693-700, 1996-07-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

同一形態のセミフレアースカートで明き部位の異なる4タイプの実験衣を用いて着脱動作を行わせた.スカートを着脱する場合, 明きの部位が異なると動作の仕方や所要時間, 動作挙動およびイメージや着脱のしやすさなどに影響を及ぼすことが明らかになった.得られた結果は次のようである.(1) 動作の所要時間において明き部位4タイプの有意差は補助動作において顕著であった.(2) ファスナーの開閉操作は, 利き手優先群と明き方向側によって調節する群が見られた.(3) スカートへの脚の出し入れ操作は, 明き部位との関連性は認められず, 利き足および非利き足の使い分けが動作の難易性のとらえ方と関係していると推察される.(4) 明き部位が異なると着用感とイメージにも有意差が認められた.着脱のしやすさは左上前の前明きを最も着脱しやすいと回答する者が有意に多かった.
著者
生岩 量久 中 尚 鳥羽 良和 戸叶 祐一 佐藤 由郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.249-255, 1996-07-25
被引用文献数
39

微弱なRF信号に応じて内部を通過する光の強度が変化する電源不要な光強度変調器を用いたTV中継局用信号伝送システムを開発・試作した. 本システムを使用すれば伝送線として光ファイバを使用でき, しかも受信所側には電源が不用であり, 送受信所間を電気的に完全に分離できるため, 雷害防止に大きな効果をもつ. また, 受信所側は受動回路のみで構成できるため, 信頼性・保守性の向上と低廉化を図ることができる. 本システムにおいては, 反射型を採用するなど光変調器自体の高感度化を図ると共に, 共振による電圧増幅を実現させ, 60dBμV/m程度の低電界においても, 50dB以上のCN比を得た. また, DG (微分利得) 1.8%, DP (微分位相)は,1.2゜と良好な性能を得た.
著者
西村 秦 佐藤 雅之 江川 隆輔 小林 広明
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-216, no.38, pp.1-8, 2015-07-28

マルチコアプロセッサでは,ラストレベルキャッシュ (LLC) を複数のコアで共有している.このため,LLC 上には複数のスレッドで共有しているデータ (共有データ) が存在する.複数のスレッドからアクセスされる共有データは,単一のスレッドからしかアクセスされないデータ (私有データ) に比べ再利用性が高い.しかし,共有データと私有データの区別を行わないデータ管理では,私有データによる過剰なキャッシュ占有のため,共有データを十分に保存できずヒット率の低下を招く.そこで,本研究では,並列プログラムの実効性能向上を目的とし,複数のスレッドに共有されるデータとそれ以外のデータを LLC 上で個別に管理するキャッシュ機構を提案する.提案手法は,LLC 上のデータを共有データと私有データに分けて管理することで,再利用性の高い共有データを優先的に LLC に保持する.これにより,共有データのヒット率が向上し,並列プログラムの実効性能向上が期待できる.シミュレーションによる評価結果から,提案手法は,LRU 置換ポリシに基づくキャッシュ機構と比較して最大 1.70 倍,平均 1.13 倍の性能向上を可能にすることが明らかとなった.
著者
佐藤 吉秀 川島 晴美 佐々木 努 奥 雅博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.203, pp.1-6, 2005-07-15
被引用文献数
2

逐次増加するニュース記事中に含まれる話題情報を効率的に把握するため, 新鮮で可能な限り多くの幅広い話題情報を最新話題語と呼ぶキーワードの形態で抽出する手法について報告する.ニュース記事中の話題を扱うにあたり, 世間の注目度が高い出来事を伝える記事数が増加する「話題の広がり」と, 広がり状態が続報記事発行によって時間的に持続する「話題の伸び」の2つの側面に注目する.提案手法では, 話題の整理のために記事をジャンル分類・クラスタリングした後, 記事のタイムスタンプから算出する記事新鮮度, および記事間類似度を用いて各クラスタを代表する最新話題語を抽出する.ニュース記事(2164記事)を対象にした評価実験の結果, 提案手法はクラスタ中の新鮮かつ代表的な話題を表し, さらに受容性も高い語句を抽出可能であることを確認した.
著者
徳橋 聡子 松屋 志保 金沢 幸江 木村 千春 高崎 美佳 佐藤 貴子
出版者
北海道社会保険病院
巻号頁・発行日
2007-11-01

当院では、2004年4月から、全身麻酔の手術患者の歩行入室を開始した。歩行入室が手術前の患者の緊張感を和らげることは文献により明らかになっている。しかし、術後訪問に行くと患者から手術室内の風景が見えて怖かったという言葉が聞かれた。そこで、全身麻酔で歩行入室する患者に聞き取り調査を行なった。その結果、60名中、44名が歩行入室が良かったと答え、恐怖感のなかった者は55名であった。また、疲労感を感じた者はいなかった。これらに手術経験の有無、性別、年齢での有意差はなかった。もし、次回手術となった場合の歩行入室の希望は47名に上がり、多くの患者は歩行入室を望んでいることがわかった。しかし、歩行入室をすることにより不安や恐怖感が増す患者もいるとわかった。そのため、各手術室の閉扉や器材の整理整頓、歩行通路に絵画や写真を飾るなどの環境作りが大切であると判った。