著者
竹原 小菊 純浦 めぐみ 福司山 エツ子 児玉 むつみ 佐藤 昭人
出版者
鹿児島女子短期大学
雑誌
鹿児島女子短期大学紀要 (ISSN:02868970)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.7-26, 2009

児童生徒や保護者の食に関する実態や意識などの現状を把握し, 家庭, 学校における今後の食育推進のあり方を考察するための基礎資料を得ることを目的に調査した.今回は「朝孤食」と「朝共食」の食習慣, 健康状態等との比較を行った. 「朝孤食」は「朝食を一人で食べる」, 「朝共食」は『朝食を「家族全員」と「大人もいるが全員ではない」と「子どもだけ」』の該当者を全て加えた. 今回の調査では, 孤食を避け, 誰かと共に食卓を囲むこと「子どもだけで食べる」でも心身の健康には十分効果があることが推察でき, 一般的には「子どもだけで食べる」は孤食に分類1)されるが本調査では『共食』に値すると判断しこのような群に分け検討した.正しい食習慣の育成や食文化の伝承などは, 大人と一緒に食べる『共食』に期待したい.児童生徒の「朝孤食」の割合は, 小学生9.1%, 中学生25.7%と差がみられ, 朝食の共食状況と心身の不調との関係では, 「朝孤食」は「朝共食」に比べ「身体がだるい」, 「目覚めが悪い」, 「イライラする」等の順で割合が高かった. 今回の調査で, 「朝孤食」は就寝時刻が遅いことで, 夜食の摂取が多くなり, 朝食の欠食につながり, 身体の不調に現れていることが推察できた.また, 保護者の食意識では, 「一人で食べさせない」と回答したのは, 「朝共食」の児童生徒の保護者60.2%に比べ「朝孤食」のそれは36.5%と親の意識に大きな差がみられた.今回の調査で「朝孤食」の健康に及ぼす影響や食習慣上の問題点が明らかになり, 「朝共食」が心身の健康にとって好ましいことが分かった.
著者
中井 えり子 伊東 直人 佐藤 義則
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.105-113, 2006-12
被引用文献数
1

三重大学附属図書館では地域貢献の一環として、平成16年度から、三重県津市教育委員会と連携して津市内の学校図書館の活性化支援を開始した。これは、津市教育委員会が文部科学省から「学校図書館資源共有ネットワーク推進事業」として平成16年度から平成18年度までの3年間、予算配分を受けて実施するものである。大学図書館と学校図書館の連携は、全国的にも事例がほとんど見られないため、本稿ではその概要を紹介するとともに、今後の課題と発展性について論じる。The Ministry of Education, Culture, Sports, Science, and Technology (MEXT) allocates budget for programs that promote school libraries' resource sharing networks.Tsu Board of Education was allocated a portion od the dudget for 3years, begining in 2004.The bored planned to send volunteers and visiting counselors to several model school libraries. And then the Board launched a Committee of Center for School Library Promotion in order to determine the direction of the program and look into its efficiency.Prof.Sato of Mie University Library takes on the position of Chairman of the Committee. Meanwhile Mie University Library Staff members serve on the Committee, and participate actively in information literacy workshops with Prof.Sato. Coordination between university libraries and school libraries is not a common activity for university libraries. Therefore we introduce the coordination with Mie University Library and model school libraries of the program, and at the same time we discuss its accomplishments and future prospects.
著者
米田 一裕 木下 こづえ 林 輝昭 伊藤 修 大峡 芽 奥田 和男 川上 茂久 谷口 敦 奥田 龍太 石川 達也 佐藤 梓 池辺 祐介 只野 亮 都築 政起 国枝 哲夫 楠 比呂志
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.133-141, 2010-05-25

動物園などでの飼育環境下にある動物の遺伝的多様性を維持することは重要な課題である.本研究では,イエネコのマイクロサテライトマーカーを用いて,飼育環境下の62個体のチーターの遺伝的多様性と血縁関係を解析することを試みた.チーターのDNAより17座位のマーカーの増幅を試みた結果,すべてのマーカーで増幅産物が認められ,そのうちの15座位はチーターにおいても多型性が確認された.これらの座位における平均の対立遺伝子数は4.65,ヘテロ接合度は0.6398,多型情報量は0.5932であり,本集団の遺伝的多様性は,野生のチーターの集団と比べて大きな違いは無かった.また,総合父権否定確率は0.999733であり,実際にこれらのマーカーを用いて正確な親子判別が可能であることが確認された.各マーカーの遺伝子型を基に62個体のクラスター解析および分子系統樹の作成を行ったところ,これらの個体は,いくつかの集団に分類され,各集団は基本的に家系と一致していた.以上の結果は,今後わが国のチーター集団の遺伝的多様性を維持する上で重要な知見であると考えられた.
著者
佐藤 健一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J96-B, no.3, pp.220-232, 2013-03-01

インターネットのトラヒック量が増加するとともに,ハイパージャイアントコンテンツホルダの出現により,ネットワークのトラヒックの流れが大きく変わりつつある.一方,半導体の性能の進展速度が低下するとともに,消費電力のボトルネックが顕在化しつつある.将来の大容量トラヒックを扱うためには,スループット当りの消費電力が極めて小さい光ルーチング技術の重要性が増加する.しかしながら光の特性を最大限に生かしたネットワークの実現にはノード技術の革新が必要である.今後の光ネットワーク技術の開発方向を議論する.
著者
佐藤 和彦 倉重 健太郎 岡田 吉史 佐賀 聡人
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.94-99, 2011

問題解決型のソフトウェア開発演習は,与えられた課題に対するゴールまでの道筋を学生自身が探し出し,解決を目指すグループ演習である。グループごとに開発の進め方や解決方法が異なるため活動状況が見えにくく,グループの能力差によって指導方法も大きく異なる。本研究では,「活動状況」「グループ特性」「課題」の3つの見える化を演習に取り入れることでそれらの問題を解決し,学生のやる気を引き出す「見える」ソフトウェア開発演習を実現する。本稿では演習に取り入れた見える化の工夫について述べるとともに,平成18年度と平成22年度に難易度を変えて同じ課題を実施した演習結果について評価を行う。
著者
中村 透 山本 松樹 佐藤 弥
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.197-206, 2010-04-10 (Released:2011-01-08)
参考文献数
18

In this study, we investigated whether psychological states in an environment with visual stimuli can be modeled by physiological indices. As visual stimuli, films to elicit various types of emotions were presented. First, psychological ratings in response to these stimuli were investigated using semantic differential scales. Principal component analysis for the psychological ratings confirmed two primary components, which could be interpreted as the valence and arousal dimensions reported in previous studies. Then, while viewing these stimuli, psychological ratings and multiple central (electroencephalogram (EEG) and near-infrared spectroscopy (NIRS) ) and peripheral (heart rate (HR), skin potential level (SPL), respiration, thermogram, plethysmogram, and eye blinks) physiological activities were measured. Stepwise regression analyses revealed that the psychological valence could be accounted for by indices of the EEG, NIRS and HR. Psychological arousal was also explained by activities of the EEG and SPL. These results suggest that the psychological states in the visual stimulus environment could be modeled by the physiological indices.
著者
尾形 薫 八代 将慶 佐藤 尚 倉橋 明宏 近藤 邦雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.1-2, 1994-03-07

我々は分散環境下でのオプジェクト指向言語の実装についての研究を行なっている。これはCSCWやグループウェア、CGなどの研究環境の整備を目的として行なわれており、この環境に対しては、ネットワークに関する深い知識なしに分散プログラムを記述できること、という要求があった。ORCHESTRAはSCORE言語とその実行系からなるシステムである。SCORE言語はクラスオブジェクトとメメソッドを記述することができるオブジェクト指向言語で、単一継承を許している。ORCHESTRAではメソッドは並行に動作でき、メッセージはブロックされることがない。クラスツリーは分散環境全体で唯一つしか存在しない。また、ORCHESTRAは複数者利用を前提にしているため、オブジェクトやメソッドに所有者と権限の概念が導入されている。類似する分散オブジェクト環境としてはArgus、分散化したSmalltalk-80などがあげられるが、Argusは弱い意味でのオブジェクト指向言語であり継承などの機能を備えておらず、また、Smalltalk-80は基本的に単一利用者での使用が前提になっているため、複数利用者が使用した場合の所有権の問題が生じる、などの点でORCHESTRAと異なっている。
著者
織田 洋武 坪川 瑞樹 玉澤 賢 堀内 健次 鴨井 久博 中島 茂 佐藤 聡
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.384-392, 2011-12-31

銀は一般家庭において除菌,抗菌,脱臭などの目的で高頻度に使用されている.銀コロイド溶液は,銀を電気分解して精製される無色透明の溶液であり,銀イオンよりも安定した状態で殺菌力をもつことで注目されている.また,銀コロイドは,特殊イオン交換体の相乗作用により殺菌,抗菌,脱臭の効果が増強することが報告され,食品の消毒や医療分野への転用が期待されている.本研究は銀コロイド溶液の口腔内病原細菌に対する殺菌効果,ならびにヒト歯肉および歯根膜より分離培養した線維芽細胞への影響についてin vitroにて検証した.殺菌試験は,Streptococcus mutans (ATCC25175), Aggregatibacter actinomycetemcomitans (ATCC29522), Poyphyromonas gingivalis (W83, ATCC33277), Prevotella intermedia (ATCC25611), Fusobacterium nucleatum (ATCC25586)の6菌種を使用した.各細菌を洗浄後,滅菌蒸留水で希釈した銀コロイド溶液(1.5, 3, 30ppm)にて1分間処理した.その後希釈し,寒天培地に塗抹後A. actinomycetemcomitans, S. mutansは48時間, P. gingivalis, P. intermedia, F. nucleatumは72時間培養を行い,評価はColony Forming Units (CFU)で行った.細胞毒性試験は,ヒト歯肉線維芽細胞とヒト歯根膜線維芽細胞を用いた.細胞を培養後,滅菌蒸留水で希釈した銀コロイド溶液(1.5, 3, 30ppm)を30秒,1, 2, 4分間それぞれ作用させた.その後,8日間の細胞増殖の変化を測定した.また,歯肉線維芽細胞と歯根膜線維芽細胞に対し,銀コロイド溶液を1〜100ppmに調整した培養液にて培養し,検討を行った.その結果,30ppmの銀コロイド溶液はS. mutans (ATCC25175), A. actinomycetemcomitans (ATCC29522), P. gingivalis (W83, ATCC33277), P. intermedia (ATCC25611), F. nucleatum (ATCC25586)の6菌種に対して完全な殺菌効果を示し,1.5ppmと3ppmの濃度においても有意な細菌の殺菌力を示した.さらに銀コロイド溶液は30ppmの濃度において歯肉線維芽細胞と歯根膜線維芽細胞に抑制作用を示した.この作用は希釈により低下し,20ppmにおいては抑制作用を認めなかった.細胞生存率は,100ppm以下の濃度において歯肉および歯根膜線維芽細胞のLD50値は観察されなかった.以上の結果から,銀コロイド溶液は宿主細胞に影響しない濃度下で口腔内病原細菌に対して強い殺菌作用を示すことが認められた.
著者
金澤 成美 山本 隆昭 高田 賢二 藤井 元太郎 石橋 抄織 佐藤 嘉晃 原口 直子 今井 徹 中村 進治
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.92-102, 1998
被引用文献数
31

1981年4月から1996年3月までの15年間に北海道大学歯学部附属病院矯正科を来院した矯正患者を調査対象に, 経時的推移を調査し以下の結果を得た.1. 過去15年間の来院患者総数は4, 559名で, 1981年から1990年までは増加していたが, その後の患者数は減少していた.2. 性別では, 男性 : 女性が1 : 1.5と女性が多く, また年齢が高くなるに伴い女性が増加していた.3. 初診時年齢は経時的に年齢が高くなる傾向にあり, 成長期の患者が減少し, 永久歯列期の患者が増加していた.4. 来院動機では審美障害が最も多く, 次いで咀嚼障害であった.また, 顎関節症を主訴とする患者が近年は増加していた.5. 来院経路では, 自意が減少し, 院内他科や他の医療機関からの紹介が増加していた.6. 不正咬合の種類では, occlusal anomaliesが74.2%, space anomaliesが78.7%であった.前者では, 反対咬合が40.5%, 上顎前突が13.6%であったが, 経時的に反対咬合は減少していた.後者では前歯部叢生が62.8%と多く, 経時的に前歯部叢生が増加している傾向が認められた.7. 顎顔面領域の先天異常では, 口唇口蓋裂の占める割合が高かったが, 人数では経時的に減少していた.8. 外科的矯正治療患者の割合は全体の約16%を占め, 反対咬合症例が圧倒的に多かった.9. 顎関節症状を有する患者は増加する傾向にあり, 特に女性の占める割合が高かった.
著者
佐藤 純生 福江 一智 木下 雄一朗 小澤 賢司
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.110-113, 2009-01-01
被引用文献数
2

Vertical orientation on the ventriloquism effect inherent to flat panel display televisions has been evaluated. The stimuli were an image of a metronome and its accompanying sound. These evaluations were aimed at understanding the extent of the effect during real use. The results show that with loudspeakers placed in a low position the effect was too minor to lift a sound image to the upper part on the screen.
著者
佐藤 浩昭
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(C)2009-2011
著者
石原 和夫 本間 伸夫 渋谷 歌子 佐藤 恵美子 Ishihara Kazuo Honma Nobuo Shibuya Utako Sato Emiko
出版者
県立新潟女子短期大学
雑誌
県立新潟女子短期大学研究紀要 (ISSN:02883686)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.147-153, 1981-03

牛肉各部位(肥育乳牛の,うちもも,ロインロース,かた,すね)を用い,加熱抽出時間0分(加熱直後),5分,20分,60分,120分,180分の牛肉加熱抽出液を調製し,緩衝能と味の濃さについて検討した。1)牛肉加熱抽出液の緩衝能の強さは,滴定曲線よりpH4.0~9.6における緩衝能(β)を算出することによって比較した。その結果,いずれの部位においても,加熱抽出時間が長くなれば緩衝能の強さは増加した。緩衝能の増加は加熱抽出時間20分までは急速であったが,20分以降は徐々に増え,180分加熱抽出したものが一番強かった。また加熱直後を除いていずれの加熱抽出時間においても,緩衝能はもも,かた,ロース,すねの順に強かった。また滴定曲線から,加熱直後を除いていずれの部位においてもpH10,pH7,pH4付近に強い緩衝能のあることが認めらた。2)牛肉加熱抽出液の緩衝物質である乳酸,リン酸,アミノ態窒素の溶出量も緩衝能と同じように,加熱抽出時間20分までに急速に増え,20分以降は徐々に増えた。ただ,乳酸とリン酸の溶出量はアミノ態窒素と異なり,ほとんど180分までに平衡に達した。このことから,乳酸とリン酸はアミノ酸類よりも溶出しやすいのではないかと推定した。また,すねは他の部位に比べアミノ酸類も溶出しやすいと推定した。3)牛肉加熱抽出液の味の濃さとおいしさについて,部位ごとに,順位法による官能検査を行った結果,いずれの部位も加熱抽出時間が長くなれば,味の濃さやおいしさが強くなる傾向にあった。味の濃さやおいしさは加熱抽出時間20分から感じはじめ,それ以降は徐々に増加し,とくに120分~180分間加熱抽出したものが味の濃さもおいしさも強かった。120分~180分のものの順位付けでパネルの間に不一致が認められることから,180分以上加熱抽出しても味の濃さやおいしさの増加はあまり期待できないと推定した。なお,加熱抽出時間120分~180分は実際のビーフストック調製に採用されている時間でもある。加熱抽出時間に伴う味の濃さの増加の傾向と緩衝能の増加の傾向とが一致することから,前報^<7)>と同様,牛肉加熱抽出液の味の濃さと緩衝能の強さとの間に関連性があると考察した。