著者
佐藤 公治
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.171-203, 2012-12-26

本論では,城戸幡太郎の心理学研究と心理学思想について,彼の心理学史研究の集大成である『心理学問題史』といくつかの著作の内容的検討から明らかにする。城戸は心理学の研究として自然科学的方法だけに依拠するのではなく,文化とその歴史的文脈の中に人間精神を 位置づけていくことの必要性を論じている。そして,文化の中で人間発達は実現すると同時に,人間には文化的創造者としての役割があることを「文化的個性化」の概念として定式化する。城戸は「文化的個性化」を実現していくためのものとして教育を位置づける。城戸の心理学研究の背景には哲学的人間学,特にカントの実用的人間学の思想がある。
著者
佐藤 勝洋
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:09172874)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.157-173, 1992

中学校理科の「天気の変化」という単元では,気象現象や季節の変化を扱う。単元に入る前に生徒たちに,気象現象について関心を向けさせることを目的として「天気日記」なるものをつけさせた。冬休みの2週間,その日その日の天気や気象に関したことをさがして,10行程度で記録する。天気や気象に関係していることならどんなことでもよい,という条件にした。「天気日記」で取り上げられていた対象は様々で,広範にわたっていた。このことに着目して,生徒(人々)は「季節の変わり目をどんなことから感じとるのか?」ということを調べた。今回はその中から,「夏」の季節感について述べてみたい。
著者
杉村 大輔 小林 貴訓 佐藤洋一 杉本 晃宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.115, pp.171-178, 2006-11-10
被引用文献数
2

パーティクルフィルタを用いた人物追跡技術は,これまでに様々な手法が提案され その有用性が報告されている.一方で,追跡の安定化に有効な 画像以外の手がかりとして,環境属性情報がある.環境属性情報とは,対象シーン内の人物の存在可能性を意味し,これを追跡に利用することで人物が存在しにくい箇所への仮説の生成を抑制することができる. したがって環境属性情報は 効率的な仮説の生成に役立つと考えられる.この指標には,障害物の配置などの物理的な制約に依るもの,人物の行動履歴に依るものがある.本研究で提案する手法では,特に後者に焦点を当て,環境属性情報の獲得と追跡の枠組みへの統合を行う.具体的には,環境属性情報を混合正規分布で表現し,オンラインEMアルゴリズムにより人物行動履歴を逐次的に学習することで獲得する.さらに,ICONDENSATION の考えに基づき,追跡の枠組みに統合する. 実環境における実験により 本手法の有効性を確認した.Various tracking techniques based on particle filters have been proposed. To enhance the robustness of tracking, it is very significant to consider environmental attributes which represent an existing probability of people in a scene. They can be used for an effective hypothesis generation by considering the area where people are likely to exist. The environmental attributes can be considered in two aspects: the one is based on the physical configuration of objects in a scene and the other is based on the history of people activities. In this paper, we establish the history based environmental attributes that are updated by people tracking result everyframe using the online EM algorithm. Furthermore, we incorporate them into our tracking algorithm by using the ICONDENSATION framework. Our experimental results demonstrate the effectiveness of our method.
著者
宮城 玲子 日浦 慎作 佐藤宏介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.40, pp.93-100, 2004-05-06

侵入者の追跡など一般の日常シーンにおける画像処理では様々な未知の対象を即座に取り扱う必要があるため,対象のモデルをオンライン的に構築する必要がある.そこで我々は複数のステレオカメラを用いて対象の全周形状モデルを得ることを目的として研究を行った.対象物体が計測に適した位置に移動したことを知るため,また対象を背景から切り出すために視差に基づく背景差分法とテンプレートマッチングにより対象の位置を求めた.テクスチャが乏しい面や鏡面反射を持つ面などについては視差が安定に求められないことがあるため,背景の視差の変動を調べ利用することで安定化した.また基準物体を用いて2台のカメラ同士の位置関係を求め距離画像の位置あわせを行った.In this paper, we propose a measurement system of human body with multiple stereo cameras. This system focuses to an application of surveillance and monitoring in daily life. Prior to the measurement, the region of the object is extracted using background subtraction of disparity value, and then the position of the object is tracked using two-stage template matching. To remove the noise of background subtraction caused by specular reflection or lack of texture, statistical model of background is used. Calibration of two cameras is achieved using reference object and the shape and texture model of human face is correctly aligned as shown in experimental result.
著者
鈴木 直哉 小黒 久史 郭 素梅 佐藤 美恵 阿山 みよし 春日 正男
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.35, pp.19-20, 2008-08-21
被引用文献数
1

両眼の視差情報は距離を知覚する上で,重要な役割を担っている.本研究では,映像の表示サイズと視差情報の調整によって知覚されるスクリーン距離の組み合わせが感性評価に及ぼす影響について調査することを目的する.偏光立体視の手法を利用し,表示サイズと知覚される距離との組み合わせを変化させた場合の,映像の印象を測定する評価実験を行い,その結果より各評価語が示す印象の鑑賞環境依存性やその相互関係を検討する.
著者
大矢 慎吾 佐藤 昭夫
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.178-184, 1978-08-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
17

穿孔米を発生させるイネゾウムシは8月中∼下旬に羽化し,割れ籾を食害する。このような早期羽化要因を解明するため,蛹化に及ぼす落水の効果,土壌水分含量の差違と蛹化,幼虫の生存とイネの根の役割,素寒天培地を用いて幼虫の寄生実態の観察および現地水田における羽化時期の年次変動について調査し,最近のイネゾウムシ発生生態の変動要因について考察した。1. 湛水条件下で蛹化は認められず,落水によって蛹化した。長期の湛水条件によって老熟幼虫は経日的に死亡する傾向が認められた。2. 土壌水分含量が減少するほど蛹化は促進された。蛹化可能な限界土壌水分条件は地下水位10cm,pF0.8,水分含量80%前後であった。3. 湛水条件下では,イネの根が無いと幼虫は死亡する。透明な素寒天培地を用いた観察では,幼虫は根のまわりに集まり気門を根に接触させて生存しており,根を呼吸源として利用していた。4. 落水による気相の増加は,イネの根から土壌中の酸素利用へと幼虫の呼吸源の転換を可能にしているものと思われる。5. 上越地方では8月第1半旬には蛹化できる老熟幼虫となっていたが,1976年は8月上旬以降の多量の降雨によって蛹化が遅れ,幼虫越冬も認められた。6. 羽化時期は土壌の水分含量に影響を与える要因によって変動した。変動要因として落水時期をはじめとする水管理方法,8月上旬以降の降水量,暗渠設備,地下水位の高さ,土質などが考えられる。7. 北陸地方では1970年ごろより収穫作業機械の利用面積が急激に増加し,刈り取り時期に水田の地耐力をつよめることが稲作農家の大きな目標となった。そのため早期落水をはじめ水管理方法が変化してきた。暗渠設備や水管理方法の変化が早期に蛹化条件を整え,羽化時期を早め,穿孔米を発生させる大きな要因の一つであると思われる。

1 0 0 0 OA 栄華物語詳解

著者
和田英松, 佐藤球 共著
出版者
明治書院
巻号頁・発行日
vol.巻1, 1907
著者
斎藤 尚生 三澤 浩昭 佐藤 夏雄 赤祖父 俊一 Sun W. Deehr C. S.
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.233-258, 2009-11-30

地磁気嵐とその発生起源である太陽現象をペアとして捉える太陽・地球電磁関係物理学の手法に従い,従来のフレア型急始(Sc)嵐,コロナホール型緩始(Sg)嵐,フィラメント消失型Sc嵐のほかに,本研究では新たに次のような赤道横断磁気ループ型Sc嵐が見出された. 太陽の赤道を跨ぐ大きな磁気ループ(Transequatorial loop:TELと略称)が急激に膨張,爆発して,大規模なコロナ質量放出(CME)を発生させる事実は半世紀以上前から観測され,太陽のふち(limb)現象として,太陽物理学分野で大きく注目されてきた.このTEL型爆発は太陽のふち(limb)で頻繁に観測されるからには,太陽正面でも発生するはずであると推定して調べたところ,ディスク中心付近でかすかな線条構造が認められてから数日後に,地球で磁気嵐が発生していることが見出された.この線条付近ではフレアもフィラメントもコロナホールも認められなかったことから,これは新しいTEL型Sc嵐であると認定した.このようなTELは南北両半球にある黒点群または黒点消滅後の残留磁域とつながっているので,磁気ループの軸磁場の方向が求められる.この軸磁場は惑星間磁場(IMF)の強いBz成分を生むので,その地磁気嵐構成への影響について調べた.TEL型Sc嵐については,将来様々な興味深い研究成果が期待されるが,現時点で考えられる様々な課題についての提言がなされた.
著者
古関 聰 佐藤 直人
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.325-330, 2011-06-01

高速ネットワーク環境の普及にともない,現在,社会の様々な場面においてデータの大規模な収集・蓄積が進んでおり,これを解析することで有用な情報を抽出したいという機運が高まっている.このための計算基盤として,並列分散計算の仕組みであるHadoopが有望視されており,実際にHadoopを活用した事例もいくつか報告されている.しかし,Hadoopの提供するMapReduceフレームワークは比較的低レベルな仕組みであり,データ解析利用にはプログラムの特別な設計が必要であることから,Hadoopをデータ解析に活用するためのプログラミング・モデルやツールが求められている.本稿では,このようなHadoop上でのデータ解析をとりまく状況を概観し,Hadoopとデータ解析アプリケーションとの間のギャップがどのように埋められようとしているかについて解説を試みる.
著者
佐藤 敏彦 信田 卓男 圓尾 拓也 川村 裕子 山田 徹 伊藤 哲郎 武田 晴央 杉山 大樹 石川 剛司 斑目 広郎 茅沼 秀樹 菅沼 常徳
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.20-24, 2012-12-19 (Released:2012-12-19)
参考文献数
17

人の肺癌では、腫瘍随伴症候群として好中球増加症や単球増加症を伴う白血球増加症が報告されている。しかしながら、犬では腫瘍随伴性白血球増加症の報告は少ない。今回、初診時の血液検査にて好中球を主体とした白血球増加症を示した犬に対し、種々の検査を行った結果、巨大肺腫瘤を認め、肺腫瘤の摘出術を行った。術後の病理組織学的検査にて肺腺癌と診断されたが、腫瘍の摘出とともに劇的な好中球数の回復がみられ、肺癌による腫瘍随伴性白血球増加症と診断した。
著者
森 智昭 MOHAMED Ahmed S. A. 佐藤 正資 山崎 徹
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.405-409, 2000-11-20
被引用文献数
4

ミズキ科サンシュユの新鮮葉から精製エラジタンニン標品を得た.線虫Caenorhabditis elegansを同調培養した.未成熟成虫と抱卵成虫をこのタンニン(10 ppm濃度)に5日間暴露しても運動能に若干の低下が認められたものの, 未成熟成虫は死亡せず, 抱卵成虫の死亡率も7%に過ぎなかった.しかし, 未成熟成虫の性的成熟および抱卵成虫の繁殖能は阻害された.L1幼虫の運動能も低下しなかったが, その成長は阻害された.同濃度下でさらに暴露試験を続けると, 抱卵成虫と未成熟成虫の死亡率は急激に高まり, 10日目で未成熟成虫の死亡率は56%, 抱卵成虫で78%に達した.しかし, L1幼虫は死亡しなかった.1 ppm濃度下でL1幼虫の成長が若干阻害された.1000 ppm濃度下でなお生存していた抱卵成虫の内臓は溶解・消失していた.しかし, 体内での卵割は認められた.
著者
熊木 俊朗 大貫 静夫 高橋 健 佐藤 宏之 福田 正宏 臼杵 勲 國木田 大 高橋 健
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、古代から中世における日本列島の北方地域の社会変動について、特に中世アイヌ文化の形成過程に関する問題を中心に考古学的な検討をおこなった。具体的には、北海道東部地域を主な対象としてオホーツク文化の考古資料分析と擦文文化集落の発掘調査を行うことによって、この地域におけるオホーツク文化の終末とその後の擦文文化の展開・終末の過程を解明し、中世アイヌ文化が成立するまでの社会変化の実態を復元した。
著者
佐藤 功
出版者
上智大學法學會
雑誌
上智法学論集 (ISSN:04477588)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.p185-209, 1977-03

有泉 亨教授退職気年号
著者
佐藤 豊纂 續 達筆
雑誌
千葉醫學會雜誌
巻号頁・発行日
no.36, pp.1-8, 1898-03
著者
花屋 雅貴 稲富 猛 西垣 正勝 佐藤 文明 水野 忠則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.35, pp.117-122, 1997-04-24
被引用文献数
1

プロトコルの仕様記述言語LOTOS[1]を用いた応用としてテスト系列の生成、ソフトウェアへの応用など様々な研究がなされている。近年高速なネットワークの研究、開発によりプロトコルはより高速な動作を求められている。そのためプロトコルをハードウェアで実装することがしばしば行われている。そこで本稿ではLOTOSからハードウェア記述言語VHDL[2]への変換方針を提案する。これによりプロトコルのハードウェアによる実装の際、より早いプロトタイプの作成及び計算機上での動作確認が可能になると思われる。また、LOTOSからVHDLへの変換のために「同期ゲート」、「セレクタ」ハードウェアモジュールを導入する。FDT(Formal Description Techniques) LOTOS is applied to generating test sequences, implementing software and so on. Nowadays high speed networks are researched and developed, so protocols are asked for higher speed behavior. Therefore protocols ate implemented hardware in order to satisfy this demand. Now this paper proposes translating FDT LOTOS into HDL(Hardware Description Language) VHDL. We think that it is possible for this proposal to make a prototype quickly and to confirm the behavior on computers. And we introduce「synchronism gate」and「selector」which are made as hardware module in order to translate LOTOS into VHDL.