著者
田島 芳満 舟竹 祥太郎 佐藤 愼司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.23-33, 2013 (Released:2013-03-19)
参考文献数
16
被引用文献数
1

2011年東北地方太平洋沖地震津波による甚大な被害を受け,ハードとソフトを組み合わせた減災機能の高い地域づくりの重要性が提唱されている.設計天端高を超える規模の津波に対し,海岸堤防には損壊を最小限にとどめ,可能な限り氾濫流を減衰させる粘り強い機能が求められており,越流を伴う津波に対する減災効果の定量的評価が極めて重要となる.本研究では,2011年津波による宮城県仙南地域と福島県勿来地域における被災事例を対象とし,調査結果および数値氾濫解析を通じて海岸堤防による減災機能の定量的評価を試みた.その結果,減災効果は津波に対する堤防の相対高さや周辺地形に依存し,条件によってはその効果が著しく低下すること,堤防高が不均一であると背後域の減災レベルが低下する危険があることなどの有用な示唆が得られた.
著者
佐藤 翔 逸村 裕
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.144-150, 2010

機関リポジトリ(IR)とオープンアクセス(OA)雑誌はBudapest Open Access Initiative(BOAI)を背景に普及してきた。本稿では両者の現状をBOAIの理念と持続可能性の観点から検討する。現在のIRとOA雑誌は, BOAIが挙げる3つの障壁のうち法の壁や技術の壁への対応に問題がある。持続可能性については継続的なコンテンツ収集のために,IRでは研究活動の中に埋め込まれること,OA雑誌では質を維持しながら多くの論文を掲載することが重要となる。また,BOAIは「研究の加速」などをOAの実現の目的としているが,IRとOA雑誌にはこれを損なう危険性もある。
著者
清水 真理 佐藤 翔 逸村 裕
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会 第20回(2012年度)年次大会予稿集
巻号頁・発行日
2012-05-20

本研究では学協会著作権ポリシーデータベース(SCPJ)とCiNiiを用い,日本の学協会誌掲載論文の機関リポジトリ収録状況を分析した.分析の結果,2000~2009年の日本の学協会誌掲載論文の機関リポジトリ収録率は約0.9%にとどまっており,いずれの分野でも収録率は低かった.収録を許可するポリシーの雑誌は許可しない雑誌より収録率が高かったが,それでも収録率は1.3%程度にとどまっていた.We analyzed the rate of Japanese journal articles archived in institutional repositories based on the data of Society Copyright Policies in Japan (SCPJ) database and CiNii. As a result of analysis, only about 0.9% of Japanese journal articles published during 2000-2009 were archived in institutional repositories. The archive rate was low in all fields. While articles published in Green, Blue or Yellow journals were more archived than others, the archive rate of those was only about 1.3%.
著者
佐藤 翔 サトウ ショウ SATO Sho
出版者
日本薬学図書館協議会
雑誌
薬学図書館 (ISSN:03862062)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.121-132, 2009

学術情報をめぐる評価指標の近年の動向について,Impact Factorと5年ImpactFactor,h-index をはじめとする指標群,EigenfactorとArticle Influence,Usage Factor等の利用に基づく指標群を中心に紹介する。また,その中でJournal Citation Reportsに2009年のバージョンアップで新たに導入された指標とImpact Factor,総被引用数の関係を7つの分野を例に分析し,新規導入指標の意義について検討した。分野によって新規導入指標と従来からある指標の関係は異なり,いずれの指標を用いる際にも評価対象の傾向とそれぞれの指標の特徴を理解しておく必要がある。
著者
品川 桃実 佐藤 結以 中村 祐希
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.356-357, 2011-05-01 (Released:2012-04-27)

本研究は,平成22 (2010) 年度日本農芸化学会大会(開催地 東京)での「ジュニア農芸化学会」において“優秀ポスター賞”に選ばれた.一般に,「黴(カビ)」という言葉から連想されるイメージはあまり良いものではない.しかし,カビのもつパワフルな能力が,私たちの食生活の豊かさに大きく貢献していることは言うまでもない.本研究では,カビを異なる視点から捉え,その芸術への応用の可能性を追究している.
著者
勝山 光太郎 佐藤 文明 中川路 哲男 水野 忠則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.234-241, 1989-02-15
被引用文献数
1

情報通信システムの発展に伴い 各種通信ソフトウェアの開発機会が増大するとともに その規模も拡大し 通信ソフトウェアを効率的に開発することが課題となってきている.このため我々は 近年注目を集めているオブジェクト指向言語によるソフトウェアの高い生産性に着目した.また 情報通信システムおよび通信ソフトウェアの論理構造と オブジェクト指向モデルとの類似性が高いことから オブジェクト指向言語によるこれらの設計開発を行うこととした。そのために 通信ソフトウェアに要求される実行速度を十分に考慮しつつ オブジェクト指向言語の特徴を生かし かつ汎用的なシステム記述言語であるC言語と親和性のあるオブジェクト指向言語superCを開発した.さらに 本言語をOSI通信ソフトウェアの開発に実際に適用することによって オブジェクト指向による設計・開発の効果を確認し その言語で書かれたプログラムの性能を評価した.その結果 オブジェクト指向言語の利点を生かして 効率的に開発が行えることが確認できた.また オブジェクト指向で問題となっている実行速度に関しては コンパイル時にメソッドの探索・決定を行う静的束縛の機能を導入したことにより 実行時にメソッドの探索を行う動的束縛に比べ2倍以上の速度を得ることができることを確認した.
著者
佐藤 滋一
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
那須大学都市経済研究年報 = Nasu University the annual report of urban and regional economic studies (ISSN:13475002)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.75-88, 2003

ドイツ語圏のオペラハウスヘの公的助成の分析を始めるに当たり、まず前提となる基本的な分析を行う。ドイツ語圏ではオペラハウスを含む公的な劇場は都市の構成要素として重要な役割を果たしており、多額の公的支出が行われている。ドイツでは、主として州や自治体の助成が行われており、入場券の収入をはるかに上回る額が助成されている。支出のうち、最も大きいのは、人件費である。オーストリアにおいてはドイツと異なり、主要な劇場では連邦政府が援助を行っている。スイスでは連邦政府が補助を行っておらず、所在地の自治体の援助が行われている。
著者
木村 容子 田中 彰 佐藤 弘
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.205-211, 2013 (Released:2013-11-19)
参考文献数
28
被引用文献数
1 2

目的:当帰芍薬散と加味逍遙散が有効な冷えのタイプを検討した。研究デザイン:後ろ向きコホート研究。対象と方法:冷えを主訴とし,随証治療にて当帰芍薬散エキスまたは加味逍遙散エキスを1ヵ月以上投与した患者188名を対象とした。初診時にデータ登録された随伴症状や体質傾向など多岐にわたる62項目から,クロス表分析により冷えの治療効果(頻度および程度の改善)と関連の高い項目を選出し,さらに多変量解析により治療効果予測の最適モデルを解析した。結果:当帰芍薬散の有効な冷えは,腹部の冷え(オッズ比5.0),めまい(7.7),目のかすみ(16),のぼせ(5.6)を訴え,怒りっぽさ(0.11)や耳鳴のない(0.025)場合であった(p <0.001)。一方,加味逍遙散では全身の冷えはなく(0.099),発作性発汗があり(14),立ちくらみのない(0.21)ことが最適な効果予測因子となった(p <0.001)。加味逍遙散では四肢(AIC -8.64),特に,足の冷え(-2.23)と関連があった。結論:当帰芍薬散は腹部の冷え,加味逍遙散は全身の冷えがない場合に,四肢,特に足の冷えに有効だった。
著者
佐藤 清隆
出版者
駿台史学会
雑誌
駿台史学 (ISSN:05625955)
巻号頁・発行日
no.81, pp.p145-175, 1991-02

別稿にて、この時代の議会制定法サイドからみた居酒屋政策に関してささやかなスケッチを試みたが、本稿では、その論稿に続き、王権の行政活動にみられる居酒屋政策について検討し、議会制定法との異同を明らかにすることを課題としてみたい。 その際、留意すべき検討課題は次の三点である。その一つは、別稿で明らかにした議会制定法の内容が王権の行政活動のなかで具体的にどのように施行されたのかという点である。しかし、この視点のみでは、王権による居酒屋統制の半分も問題にしたことにはならない。というのも、王権の居酒屋統制は、居酒屋に関する議会制定法だけではなく、そのほかの議会制定法(浮浪者取締法や「肉食禁制」に関する法など)施行の過程でも問題くからである。
著者
佐藤 学 岩川 直樹 秋田 喜代美
出版者
東京大学
雑誌
東京大学教育学部紀要 (ISSN:04957849)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.177-198, 1991-03-30
被引用文献数
18

It is well known that expert teachers form and use elaborate practical knowledge and thinking styles in their teaching. This paper illuminates five expert teachers' and five novice teachers' practical thinking in on-line (thinking aloud) and off-line (writing report) monitoring. Through comparing the experts' thought processes with novices, our research comes to a conclusion that the practical thinking styles of expert teachers are characterized as the following five features: (1) impromptu thinking in teaching, (2) active, sensitive and deliberative involvement in an ill-structured situation, (3) multiple view points to probe and to detect a practical problem, (4) contextualized thinking in pedagogical reasoning, and (5) problem framing and reframing strategy in a context. The result offers several implications for rethinking the concept of teaching expertise.
著者
佐藤 観樹
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.865, pp.145-148, 1996-11-11

社民党を離党,民主党から衆議院議員選挙に出馬したが,裏目に。新党ブームに乗り切れず,小選挙区,比例代表ともに惨敗だった。有権者の信頼回復に向け,地元に張り付いて再起を期す。10月20日に投票のあった衆議院議員選挙に立候補しましたが,小選挙区,比例区ともに落選しました。27歳で初当選して以来,連続9回守り続けてきた議席を失ったのです。
著者
梶野 洸 坪井 祐太 佐藤 一誠 鹿島 久嗣
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

教師付き学習における教師データをクラウドソーシングを利用して作成する試みが広まっている.このようなデータは信頼性が低いため,真の教師データの推定や,このデータを用いた識別器の学習に関する研究が行われているが,真の教師データが一部存在する場合の研究は行われていない.本研究ではクラウドソーシングで得られた教師データと真の教師データを併用して直接識別器を構成する手法を提案し,その性能を検証する.
著者
三宅 立記 今城 哲二 佐藤 忍 井藤 敏之 横塚 大典 辻畑 好秀 植村 俊亮
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.89-101, 2000-03-15

既存の企業情報システムを安価に再構築するインフラとして Web を利用するイントラネットの導入が急速に進行している.しかし,企業情報システムのイントラネット化には,システム開発の面で次のような問題がある.()システム開発を行うための技術としてHTML,Java等をシステム開発者が新たに習得する必要がある.()COBOL,PL/I等の正確な精度を保証する10進演算機構が利用できないため,金額処理を伴ったシステム開発が困難.()従来のクライアントサーバシステムや端末に比べてレスポンスが悪い.COBOLスクリプトは,これらの問題を解決するために日立製作所と日立ソフトウェアエンジニアリングが共同開発したスクリプト言語であり,次のような特長を有する.()企業内の情報システム部門で最もよく利用されているCOBOL85をベースにWebに必要な機能に絞り込んだ言語仕様.()メインフレーム系のCOBOLと同一精度の10進演算機能をサポート.()既存のCOBOL処理系の長所,短所の分析に基づいた効率のよい実装.これにより次の成果を得た.()金額計算など誤差の許されない分野の業務を Web上で心配なく稼動可能とした.()テストデバッガやカバレージのサポートにより大規模な開発プロジェクトでの利用を可能にした.()プログラムの保守性を向上する日本語プログラミング機能をサポートした.()優れた実行性能を実現できた.The introduction of intranet which allows to access Web technology is rapidly growing as the infrastructure to restructure existing business information systems within a reasonable cost. However, in terms of system development, use of intranet on the business systems poses the following problems. (1)The system developers must learn new technology such as HTML and Java as the technology for system development. (2)As the decimal arithmetic functions, which guarantee the precision such as in COBOL and PL/I, are not available, it is difficult to develop systems that involves accounting processing. (3)The response time might exceed those of the existing Client and Server systems or terminals. COBOL Script, which is a script language developed jointly by Hitachi Ltd. and Hitachi Software Engineering Co., Ltd. to solve these problems, has the following features. (1)The language specification, which consists of required functions for Web computing, is a subset of COBOL85, which is the most frequently used programming language in business information analysis of the pros and the cons of the COBOL processing system. We obtain the following results; (1)Applications requiring high precision such as accounting processing can be operated on Web. (2)The test debugger and the coverage functions make it possible to use in a large development project. (3)The Japanese programming facility provides good maintainability. (4)Good performance is achieved.
著者
岡部 晋典 佐藤 翔 逸村 裕
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.1105120030-1105120030, (Released:2011-05-20)
参考文献数
43
被引用文献数
1 2

本稿ではオープンアクセス運動の契機となったBudapest Open Access Initiative(BOAI)について分析し,これがどのような意図のもとで公開されたか調査した.まず,BOAIを提唱し,オープンアクセス運動を支援している財団であるOpen Society Institute(OSI)と,その設立者であるGeorge Sorosについて紹介し,彼らの思想的根拠であるKarl R. Popperの提唱した「開かれた社会」概念について概観した.また,BOAI中にその思想が影響していることを明らかにした.次に,オープンアクセス運動に関連する文献群中でのPopperおよび「開かれた社会」への言及状況とBOAIの受容状況の定量的計測から,オープンアクセス関係者の間での「開かれた社会」関連思想の認知状況を検討した.その結果,OSIは「開かれた社会」という政治思想の実現を目的にオープンアクセス運動に関与しているにもかかわらず,他のオープンアクセス運動関係者はこの思想の存在には言及していないことがあきらかになった。
著者
佐藤 和夫 汐見 稔幸 宮本 みち子 折出 健二 杉田 聡 片岡 洋子 汐見 稔幸 宮本 みち子 折出 健二 杉田 聡 片岡 洋子 山田 綾 小玉 亮子 重松 克也
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

男女共同参画社会を形成するにあたって不可欠な課題と言うべき男性の社会化と暴力性の問題を、ヨーロッパおよびアメリカ合衆国の研究と施策について、比較研究調査した上で、日本における男性の暴力予防のために必要な研究を行い、その可能性を学校教育から社会教育にまで広めて調査した。その上で、先進諸国における男性の暴力性の関する原理的問題を解明した。
著者
佐藤 翔 逸村 裕 山村 高淑 岡本 健
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
第57回日本図書館情報学会研究大会発表 要綱
巻号頁・発行日
pp.49-52, 2009-10

本研究では機関リポジトリでよく利用されるコンテンツの特徴を明らかにすることを目的に、北海道大学の「メディアコンテンツとツーリズム研究」関連文献を中心に北海道大学、京都大学、筑波大学の高頻度利用文献のアクセスログを分析した。結果から、高頻度利用文献はサーチエンジンから恒常的にアクセスを集めるものとマスメディアに取り上げられ一時的に多くのアクセスを得るものに大別できた。また、それら以外にブログやweb掲示板が大きく影響する場合もあることを示した。