著者
菅田 勝也 佐藤 鈴子 永田 朝子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.75-81, 1997
被引用文献数
2

夜間介護を行うための睡眠中断が介護者の睡眠に及ぼす影響を調べる目的で, 45歳の女性を被験者として, 試行2夜に続き, 病院の個室で夜間介護をした3夜と介護をしなかった自宅での1夜の連続4夜, および2週間後に自宅で2夜, 計6夜の睡眠ポリグラフィを実施し, 以下の結果を得た.<BR>1) 非介護3夜の睡眠時間のレソジは356~367分と安定していたのに比べ,介護した3夜は日による差が大きく,271~391分であった.<BR>2) 介護のための睡眠中断は, 強制覚醒によるものではなかったが, 3夜とも睡眠周期のリズムに乱れが認められた.<BR>3) 介護第1夜と第2夜は睡眠率が低く, 各睡眠段階率が類似していたが, 介護第3夜は前の2夜よりもむしろ介護をしなかった夜の睡眠に近かった.<BR>4)入眠潜時は介護第1夜から非介護第1夜にかけて日毎に短縮し, 介護第3夜と非介護第1夜は, 被験者の通常の睡眠である非介護第2夜, 第3夜と比べても短かった.<BR>これらは, 夜間介護による疲労の蓄積の影響の大きさを示唆するものである.
著者
大村 敬一 木村 大治 磯部 洋明 佐藤 知久
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第47回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.140, 2013 (Released:2013-05-27)

人類の宇宙への飛躍が目前に迫っているかもしれない今日の状況下、人類学に何が求められ、人類学に何ができるのだろうか。本分科会の目的は、宇宙空間への人類の進出が同時代的な課題となりつつある今日の世界にあって、「地球」という限定された空間を超えて、「宇宙」 という新たなフロンティアから人類を見つめ直す宇宙人類学の可能性を示し、問題提起を行うことにある。
著者
太幡 直也 佐藤 広英
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.26-34, 2016-07-01 (Released:2016-06-04)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

本研究の目的は,ソーシャル・ネットワーキング・サービス上での自己情報公開を規定する心理的要因を検討することであった。mixi利用者1,051名を対象にウェブ調査を実施し,プロフィール上での自己情報公開や,情報プライバシーなどの心理的要因に関する項目に回答するように求めた。その結果,自己の属性情報(e.g., 性別),識別情報(e.g., 本名)への情報プライバシーが低いほど,不特定他者への自己情報公開数が多く,また,プロフィール上の自己表出性が高かった。一方,人気希求,犯罪被害へのリスク認知が高いほど,プロフィール上の自己表出性が高かった。
著者
佐藤 裕子
出版者
日本ロシア文学会
雑誌
ロシア語ロシア文学研究 (ISSN:03873277)
巻号頁・発行日
no.34, 2002

旧ソ連・ロシア史は,女性史を考察する上でも,種々興味ある示唆に富んでいる。19世紀のロシアでは,新しい息吹の中で女性解放運動が盛んに行われ,社会革命の機運を支えた。ところが世界の女性解放が進む中で,社会主義女性解放運動を実現したはずのソ連では,フェミニズムは反体制としてのみ生き残れたという不可解な現象が起きていた。1980年3月にレニングラード市内でロシアにおけるフェミニズム運動の諸問題に関する会議が行われたが,そこでは「ロシアのフェミニストたちは,精神的,宗教的価値を重要視するため,ロシアのフェミニズムは西側のようにマルクス主義的世界観の基盤をもてない。レニングラードのフェミニズム運動参加者の多くが,キリスト教的世界観を奉じている。」と同会議の特色が記されている。キリスト教は(1)信念の体系(教義や神学),(2)社会制度(教会や宗派),また(3)象徴や儀礼の体系として,現代においてフェミニズムから批判および再評価を受けている。だがロシア正教がフェミニズムの立場から検証されることは殆ど無いに等しい。今回の発表では,ロシア正教の土壌で「女性の自由・平等・人権」を求めるフェミニズムがどのような様相で立ち現れているかを理論と実践の両面から概観しようと試みた。ロシア正教における女性の立場と意義を,まずは教義と組織の面から考察した。ローマ・カトリック教会と比較対照しながら,生神女マリアの教義上の立場と役割,ロシア正教会の聖書解釈に見られる女性観,生神女マリアのイコンに見られる聖母信仰,また,東方正教会組織における女性の地位等について触れた。ハッブズのようにロシア正教の歴史を,ロシアの大地(女性原理)がキリスト教(男性原理)に蝕まれたという見方も出来るが,旧ソ連邦時代の反体制フェミニズム運動の歴史が証言するように,女性信徒の国の制度に依らない活動そのものがフェミニズムを内包していたことも事実である。史実を紐解くと,信仰者が社会で抑圧され苦しむ女性の声を集め,保護していく,そのような流れがロシア史の中に息づいていたことが分かる。例えば動乱と戦争の19世紀を通じて,多くの女性達を実際に救い支えたのはロシア正教会であり,また,自発的に派生した宗教コミュニティ(ジェンスカヤ・オプシナ)であった歴史などがそれを裏付ける。それは人々の心の拠り所として,また,経済的自立を助ける存在として機能し続けたのである。時には体制に対する草の根レジスタンス運動の拠点として,時代を超えて社会的に発言及び運動を起こす女性達のための連帯と集合の場を提供し続けている。
著者
須田 順子 セルビト ウイルソンA. 小栗 紀彦 松沢 時弘 岡 明男 佐藤 邦忠
出版者
Japanese Society of Equine Science
雑誌
日本中央競馬会競走馬総合研究所報告 (ISSN:03864634)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.29, pp.26-31, 1992-12-20 (Released:2010-08-10)
参考文献数
18

若齢雄馬の精巣の組織所見解析に, 多変量解析法の一つである主成分分析の応用を試みた.材料と方法: 臨床所見から, 異常の認められない雄馬5頭の精巣を採取し, 精巣の大きさ (長径×短径×幅cm) と重さ (g), ならびに左右各7ヵ所の組織標本を作成し, Sertoli細胞数, Leydig細胞数および精細管の大きさ (断面の最長径と最短径の積: μm2) を求め, 多変量解析を行った結果:(1) 精巣の大きさと重さ, Johnsenスコア, Sertoli細胞数およびLeydig細胞数, 精細管の大きさ等の要因には, 個体間と精巣の左右間に有意差が認められなかった (P<0.05).(2) Johnsenスコア; Sertoli細胞数と精細管の大きさ. Sertoli細胞数; 精細管の大きさの相関係数には有意性が認められた (P<0.05).(3) 主成分分析で, 精巣からの組織採取部位による所見に差異があることが明らかになった.以上の結果から, 精巣組織所見の分析に主成分分析の応用が可能であることが明らかになった.
著者
佐藤 翼 袴田 和則 木村 卓哉
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.55-56, 2016-03-10

初詣や花火大会などの大規模イベント開催時には、会場周辺の雑踏警備に当たる警察および警備会社は、歩行者の混雑度を把握し適切な措置・誘導を行う必要がある。 そこで我々は、歩行者の混雑度を把握するためのパラメータとして歩行者の移動時間に着目した。歩行者が持つスマートフォンなどの携帯端末に備わっているBluetoothおよびWi-Fiの無線通信機能を利用して移動時間を推定することにより、歩行者の混雑度を推定するシステムを考案した。現在は、移動時間の推定精度を向上させる手法について研究を進めている。 本発表は、歩行者の移動時間を推定するシステムについて、推定精度向上手法の有効性について検証した実証実験の結果について述べる。
著者
佐藤 比呂志
出版者
日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.15, pp.128-132, 1996-11-29 (Released:2012-11-13)
参考文献数
19
被引用文献数
1
著者
佐藤 俊樹
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社会科学研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.157-181, 2006

靖国神社(およびその前身の東京招魂社)は,長く「国家神道」の中心施設だと見なされてきた.しかし実際には,第二次大戦以前でも,その宗教的な性格や政治的な位置づけはかなり変化しており,特に1900年代の前と後では大きくことなる.ほとんどの靖国神社論は政治的立場のいかんを問わず,この点を無視されている.それらが1911年に出た『靖国神社誌』の靖国神社像を踏襲しているからである.本論では,『武江年表続編』や東京ガイドブックといった同時代史科をつかって,1900年代以前の靖国神社(東京招魂社)がどんな宗教的・政治的な意味をおびていたかを,政治家でも宗教家でもない,東京のふつうの生活者の視線から描きだす.それによって,戦前前半期の日本における宗教-政治の独特な様相の一端を明らかにする.
著者
佐藤 円 佐藤理史 篠田 陽一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.2371-2379, 1995-10-15
参考文献数
6
被引用文献数
40

現在、電子ニュースを通じて多くの情報が流通し、多くの人々がその情報を利用している。この電子ニュースは、新しいマスメデイアであり、従来のテキスト情報マスメデイアにはない、優れた特徴を持っている。しかしながら、現在のニュースリーダは、その特徴や利用者の要求に合致した、適切な機能を提供しておらず、読者にとっては、必ずしも利用しやすい情報メディアとはなっていない。我々は、電子ニュースを利用しやすい情報メデイアにするためには、そのダイジェストを提供することが不可欠であると考える。ダイジェストとは、元になる情報をコンパクトにまとめ編集したものであり、情報全体の俯瞰やエッセンスの把握、情報の取捨選択の際に、優秀なナビゲータとして機能する。本研究では、電子ニュースに対して、このようなダイジェストを自動生成することを提案し、その一つのプロトタイプとして、会告記事用ニュースグループfj.meetingsダイジェストを自動生成する方法を示す。ダイジェストの自動生成を実現する中心的な技術は、サマリーの自動摘出技術であり、会告記事にみられるスタイル上の特徴、言語表現バターンを利用することにより、実用に十分な精度でサマリーを抽出できることを示す。本方武で自動生成されたダイジェストは、WWWのクライアントプログラムで読むことができる。
著者
佐藤 壮広
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.28-34, 2011 (Released:2016-12-09)

沖縄本島の地図と自身の身体を重ね合わせるようにして、沖縄戦の負の記憶や米軍基地を前にしての現在の抑圧状況を感受する民間巫者。沖縄でユタと呼ばれている宗教的職能者のなかには、シマの痛みを身体の痛み(症状)と重ね合わせつつ、過去・現在を語る者がいる。報告者はそれを「身体地図」としてイメージ化し、論文やエッセイを書き、またそれを文化事業のひとつとして衆前で語っている。人類学的な方法を介しながら、語りから描写、そして描写から語りへという一連の行為的な循環がここでは生じている。またこれは、他者の痛みの体験をイメージ化すること、そしてそれを語ることの関係性という、解釈や理解というより大きな課題にかかわる作業である。報告では、沖縄の民間巫者(ユタ)の語りから報告者が構造化した「身体図式」というイメージを提示し、それを報告者がどのように語ってきたかを晒した上で、その限界と可能性の一端について述べてみたい。
著者
吉武 啓 政岡 適 佐藤 信輔 中島 淳 紙谷 聡志 湯川 淳一 小島 弘昭
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.145-150, 2001-11-15 (Released:2009-05-22)
参考文献数
15
被引用文献数
1 4

福岡市能古島でヤシオオオサゾウムシの発生を確認した。調査の結果,本種は現地において数年前から継続的に発生してきたと考えられた。ヤシの幹内温度は安定していたが,常に外気温よりも高いわけではなかった。また,低温処理実験によって突発的な寒波による短期間の低温では死滅しないということが示唆されたことから,寄主であるヤシ類さえ存在すれば,本種は従来の分布域より北方まで侵入・定着できる可能性が高いと考えられた。日本国内において,本種はこれまでに年平均気温15.8℃以上の地域で発生しているので,同一の温度帯に含まれ,しかも本種にとって好適な寄主植物であるカナリーヤシが植栽されている地域へは,今後,十分に侵入可能であると推測された。
著者
佐藤 慶太
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2009-11-24

新制・課程博士