著者
大山 忠夫 内田 清五
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.60, no.574, pp.2096-2102, 1994-06-25 (Released:2008-02-26)
参考文献数
6
被引用文献数
2 3

In order to investigate the behavior of adhesion force from a microslip region to a gross sliding one, we carried out experimental studies mainly under water lubrication with static and dynamic contact loads. Every repeated experiment up to gross sliding showed a decrease in the adhesion coefficient under water lubrication and the traction force in the gross sliding region showed unstable behavior. Furthermore, it was recognized that the measured adhesion force during gross sliding agreed well with the values calculated with sliding acceleration and moment of inertia of rollers. The adhesion force under dynamic load was less than that under static load.
著者
小谷 尚輝 内田 貴久 亀尾 菜保子 境 くりま 船山 智 港 隆史 菊地 あかね 石黒 浩
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-199, no.14, pp.1-6, 2022-08-15

近年遠隔授業や遠隔講演会の社会的ニーズが高まり,登壇者及び聴講者の時間的,物理的制約を軽減することが期待される.アバターを用いることにより,本人が行う講演と同等またはそれ以上の質の遠隔講演が可能になると考えられる.特にアンドロイドアバターを用いれば,聴講者に対して人間が登壇するのと変わらない存在感を感じさせられると期待できる.本研究ではアンドロイドアバターが高校において数百人規模の講演会を行い,聴講者のアンドロイドアバターに対する印象を評価した.聴講者のアンドロイドに対する評価尺度として,擬人化,温かさ,能力,不快感を用い,さらに教育的観点から,ロボット講演に対するエンゲージメントと理解度の主観的評価を行った.これらから,現時点における遠隔操作アンドロイドアバターの効果とその発展性について議論する.
著者
内田 空 池田 浩之
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.20-013, (Released:2022-09-12)
参考文献数
38

本研究の目的は、就労後を見据え、就労前の統合失調症患者にWebシステムを用いたセルフモニタリングを導入し、その効果を検討することであった。就労移行支援事業を行う法人に通所する統合失調症患者2人を対象に導入とフィードバック(週2日のコメント+3回の振り返り)を行った。効果測定は導入前1回、導入後2回の計3回行った。事例1では自身の睡眠状態を把握し、振り返りのなかでその傾向に気づくことで、自ら改善するための方法を考えることができるようになった。事例2では幻聴や思考停止について、そのタイミングと傾向をつかむことで、自ら考えた予防策を実施し、継続することができた。最後に就労支援領域における支援方法と今後の課題について考察した。
著者
内田 真輔
出版者
環境経済・政策学会
雑誌
環境経済・政策研究 (ISSN:18823742)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.21-28, 2022-03-31 (Released:2022-05-28)
参考文献数
50

地球温暖化に伴う気候変動の影響が世界各地で顕在化する中,影響への適応を前提とした社会の仕組みづくりや行動様式の変革が求められている.しかし,適応するのはそう簡単なことではない.本稿では,適応行動の障害となる各種課題を抽出し,適応格差を是正するために必要な政策視点を経済学的見地から整理・提言する.その際,適応インセンティブを阻むメカニズムとして,4つの要因:「所得格差」,「リスク認知」,「保護政策とモラル・ハザード」,「既存技術や生産構造とのトレード・オフ」に焦点を当て,これらに関連する最新のミクロ実証研究を主な検証材料として取り上げる.
著者
内田 龍史
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.31-43, 2019-08-30 (Released:2021-02-26)
参考文献数
43

部落差別は,近世以前の身分制を出発点とするものの,自由と平等をその基本理念とする近代社会において,差別が告発される形で生成されてきたと言えよう.そうした告発は,部落差別を撤廃するための国策を求める運動へと展開され,同和対策審議会答申(1965年)によって「実態的差別」と「心理的差別」,さらにはその悪循環を断ち切ることが行政の責務とされた.そのうえで実施された同和対策事業は,事業対象を求めることとなり,「同和地区」「同和地区住民」などといったカテゴリーが生成された. こうしたカテゴリーは,ターゲット型政策の実施・運用にあたって必要不可欠であるが,他方で施策の対象となる人々へのマイナスイメージや「ねたみ」・「逆差別」意識を生み出した.そうした意識は,今日まで引き続く部落差別の一端をなしていると言えよう. 現代社会において,差別が生成・維持されるメカニズムを考えるにあたり,部落解放運動などの社会運動による「告発」のインパクトと,その帰結として実施される政策,さらにはそれによって生じる否定的な反応といった,部落問題においては決して目新しくはない視点は,新しいレイシズム・新しいセクシズムなどのように,今日的な「差別の生成メカニズム」を論じるうえで,改めて欠かせないのではないかと考える.
著者
内田 浩明
出版者
日本シェリング協会
雑誌
シェリング年報 (ISSN:09194622)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.27-35, 2020 (Released:2020-10-13)

Opus postumum is the bundle of the manuscripts which Kant wrote, supposedly from 1796 to 1803. He exclusively dealt with problems of physics such as “the moving forces of matter” and “the ether or caloric” until 1799. Around 1800, however, he gradually began to mention epistemological or metaphysical topics. The first section of this paper overviews Opus postumum to clarify the difference of major viewpoints between Opus postumum and Metaphysical Foundations of Natural Science, and furthermore the structure of “ether deduction”. The second section analyses whether or not Kant affirmed the philosophy of Schelling. Taking into consideration the fact that Schelling and Spinoza were mentioned together in a single sentence in Opus postumum and Kant’s numerous critical references to Spinoza, Kant did not approve the philosophy of Schelling.
著者
内田 悠美子 伊藤 貴之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.108-119, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

本論文では, 対話的な詳細度制御によって大規模時系列データの可視化を実現する一手法を提案する.本手法では時系列データを表す折れ線グラフをクラスタリングし, 各クラスタの中心に近いグラフのみを表示する.これにより, グラフの表示本数を低減することで表示結果の煩雑さを抑え, かつデータ全体の特徴を逃さない表示を実現する.また本手法は, 詳細度制御後の可視化結果画面から, ユーザが着目したグラフをインタラクティブに選択するための, ユーザインタフェースを併せ持つ.これを用いることでユーザは, 選択したグラフと同じクラスタ内にあるグラフを表示させることができる.よって, ユーザが着目した特徴をもつデータについて, 対話的に詳細度を再制御できる.著者らは, 日本全国の気温データに提案手法を適用し可視化を試みた.本論文では, 詳細度制御とグラフ選択のインタフェースの利用により気象現象を解析した例を紹介する.
著者
林元 みづき 庭田 祐一郎 伊藤 哲史 植木 進 内田 雄吾 関 洋平 西川 智章 岸本 早江子 神山 和彦 高杉 和弘 近藤 充弘
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.119-127, 2020-04-30 (Released:2021-04-30)
参考文献数
4
被引用文献数
1

Patient Centricityとは「患者中心」を意味する概念であり,患者・市民参画(Patient and Public Involvement:PPI),Patient Involvement,Patient Engagementといった言葉と同義語である.近年,製薬企業が患者の意見や要望を直接入手し,患者の実体験を医薬品開発に活かすことの重要性が認識されつつあり,製薬企業での医薬品開発におけるPatient Centricityに基づく活動(本活動)が開始されている.本活動により,患者には「より参加しやすい治験が計画される」,「自分の意見が活かされた医薬品が開発される可能性がある」といったことが期待される.また,製薬企業には医薬品開発に新たな視点と価値が加わり,「より価値の高い医薬品の開発につながること」が期待される.本稿では,日本の製薬企業で実施されている本活動の事例の一部を紹介する.今後,日本の各製薬企業が本活動を推進することに期待したい.
著者
高島 響子 東島 仁 鎌谷 洋一郎 川嶋 実苗 谷内田 真一 三木 義男 武藤 香織
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.147-160, 2020-04-30 (Released:2021-04-30)
参考文献数
23
被引用文献数
1

ゲノム研究/医療の発展のために,研究で利用した患者・市民を含む研究参加者個人のゲノムデータを多くの研究者等で共有するデータ共有(GDS)が広がっている.GDSではデータ提供者のプライバシーの保護並びに意思の尊重が倫理的な課題であり,データ提供者となりうる患者・市民の声を反映した仕組みづくりが重要である.GDSに関する患者・市民の期待と懸念について,高度に専門的かつ一般には適切な情報の入手が困難であるGDSに対する意見を得るため,情報共有と対話の二部構成からなる対話フォーラムを試行した.その結果,医療目的の研究・開発に対するGDSは理解と期待が示された一方で,非医学的な領域での利用やデータのセキュリティ,ゲノムリテララシーに対する懸念等が挙がった.研究者との対話を通じて,自身のデータが使われた研究の内容や成果を知りたいといった研究者に対する要望や,市民・患者の参画について具体的な提案が出された.
著者
内田 由理子
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.34-44, 2009-10-20 (Released:2021-08-01)
参考文献数
24

In this research, the labor circumstances of the female engineers who graduated from the Technical College are analyzed. And it is suggested that the education there should pay attention to the female students. The analysis of labor circumstances clarifies that of the first job and the pattern of the job continuation. It is also that they play a major role as skilled engineers at their workplace. In the future the education system at the Technical College will be required to be more conscious of gender-related matters.
著者
内田 安紀
出版者
駒沢宗教学研究会
雑誌
宗教学論集 (ISSN:03873323)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.38, pp.3-23, 2019 (Released:2021-04-17)

This paper will explore the worldwide popularization of the practice of natural/green funeral by focusing on a case study of “natural burial” in the United Kingdom. Recently, some countries have provided alternative natural burial sites, for example, the United Kingdom, Germany, North America, South Korea, and Japan. Although most Western countries seem to be inspired by the United Kingdom’s practices, the unique feature of Japan’s “tree burial” practice is that its origin is not related to Western contexts. Therefore, it is important to consider how such natural options have acquired global significance among different societies. Some scholars insist that this phenomenon results from a global concern for environmental problems. For example, D. J. Davies (2005) argues that it is an outcome of environmental concerns and the decline of traditional religions in postmodern societies. However, although such discussions are important, we also have to focus on the individual context in each case to avoid simple reductionism. Accordingly, I reveal specific social contexts pertaining to the British natural burial practice. In addition, these remarks are comparable with Japanese tree burial and so that will make it clear how these different countries are in sharp contrast.
著者
内田 康太
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.128, no.3, pp.40-64, 2019 (Released:2021-08-26)

共和政末期ローマの政治史研究において、国民が政治的な意思決定に対して重要な役割を果たしたことは、今や広く受け入れられている。こうした研究潮流を背景に、近年、コンティオと呼ばれる政治集会で聴衆の示す反応が、法案の成否を左右する要因として度々指摘されてきた。そのなかで、前59年の執政官C・ユリウス・カエサルが提出した農地法案の立法過程は、一見すると、彼がコンティオの利用を主眼に据えた立法戦略に着手し、元老院の意向に反しながらも、法案の可決させた様子を伝えているために、上記の指摘を例証する一例となる。 しかし、カエサルの行動を立法過程全体に渡って詳細に再検討することで、実際のところ、彼は一貫して法案に対する元老院の反対表明を回避するべく尽力していたことが明らかになる。カエサルは、元老院から反対を導出しない法案の起草に努めるとともに、多数の元老院議員たちが反感を議場外に伝えようとするや、直ちに元老院を閉会させる措置に着手した。また、法案の公示後、カエサルとその支持者たちは、コンティオにおる演説によって、自身の法案が元老院の支持を受けていることを喧伝すると同時に、執政官職に付帯する権能、ならびに、暴行の脅迫のみならず実際の暴力行使をも利用して、敵対側から意思表明の機会を剥奪する。カエサルの農地法案は、以上のような立法戦略を成功裡に展開し続けた結果として可決されたのである。 従って、コンティオが立法過程の他の段階と同じ目的を果たすために利用されていることは、立法に際して、この場面に特別の重点が置かれたと解する立場に疑問を投げかける。そればかりか、本稿で見出されたカエサルの立法戦略の焦点に目をむけるならば、法案の帰趨を決定づけた要因は、コンティオで示される聴衆の反応ではなく、元老院による反対表明の有無であったことが指摘できる。
著者
渡辺 決 内田 睦 中河 裕治
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
BME (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.1, no.8, pp.589-592, 1987-08-10 (Released:2011-09-21)
参考文献数
6

尿路結石の治療は, 従来開腹術により行われてきたが, 1970年以降, 膀胱結石破砕を目的に手術によらない非観血的治療法が開始され, 最近では腎・尿管結石破砕も可能となっている. これらの術式の発展には, 各種結石破壊技術の開発・実用化がおおいに貢献しており, 本稿ではこれら結石破壊技術の進歩について述べた.