著者
内田 正男 高木 弘
出版者
The Japanese Cancer Association
雑誌
(ISSN:0016450X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.205-217, 1957-08-01 (Released:2008-11-14)
参考文献数
21

砂川等が新しく合成した p-Phenylenediphosphoric acid tetraethyleneimid (O, O'-p-Phenylene N, N', N", N'''-tetraethylene-tetramidodiphosphate) は Ehrlich 腹水癌腹水型, 皮下腫瘍型, C3H系及びA系ハツカネズミ乳癌 (第一代雑種への移植癌) に対し制癌作用を示した。1) LD50 (マウス)腹腔内注射177~217mg/kg, 皮下注射202~224mg/kg, 静脈注射190~215mg/kg.2) 薬剤を試験管内で Ehrlich 腹水癌腹水に作用させたところ, 該腹水を接種したマウスは全く腹水癌の発生をみなかった。3) 毎日1回6日間連続腹腔内注射で Ehrlich 腹水癌の発生を抑制した。30mg~60mg/kgが有効量とみとめられる。4) Ehrlich 腹水癌細胞の有糸分裂を抑制した。5) Ehrlich 腹水癌皮下腫瘍周囲に皮下注射したが, いちじるしい効果はみとめなかった。6) C3H系マウスに自然発生した乳癌をSM×C3H/F1に移植し, またA系マウスに自然発生した乳癌をddN×A/F1に移植して, 腫瘍周囲に皮下注射したところ, 結節癌の増大抑制をみとみた。
著者
関田 頼子 時田 佳代子 時田 純 西山 八重子 生田目 圭子 内田 加代子 久代 明 饗場 直美
出版者
The Japan Dietetic Association
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.440-445, 2015

特別養護老人ホーム潤生園では、2009年9月より入居者のQOLの向上を目的に、発酵乳製品を毎日1個摂取している(乳酸菌飲料週4回、ヨーグルト週3回)。当園では摂取開始以前より入居者の健康状態や排便状況をデータベース化しており、摂取前後のデータを比較することで、発酵乳製品の継続摂取が入居者の排便状況や健康状態に、どのような影響を及ぼすかを検証した。月平均の排便回数は摂取後、有意に増加していた(月平均27.1回から32.8回に増加、<i>p</i><0.001)。また、坐薬使用回数も、摂取後1人当たり年間22.6回から14.5回へ有意に減少し(<i>p</i><0.001)、浣腸使用回数においても、摂取後1人当たり年間7.0回から4.7回へ有意に減少していた(<i>p</i>=0.03)。発熱日数や回数についても、摂取後減少していたが、有意な差は認められなかった。以上の結果から、発酵乳製品の継続摂取により、排便回数の増加、坐薬使用回数の減少、浣腸使用回数の減少が認められ、入居者の排便状況の改善に寄与していることが示された。
著者
内田 誠 白山 晋
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.176-176, 2005

近年の情報通信手段の発達によって、場所や組織の壁を越えた新たな個人間のコミュニケーションネットワークが形成されている。そのようなネットワークの1つとして本研究ではSNSに着目し、そのネットワーク構造上で生じる情報伝播の現象について実データを用いながら複雑ネットワーク分析と計算機シミュレーションによって分析する。さらに、理論的なネットワーク構造モデルとの比較によりSNSネットワークの特徴を明らかにする。
著者
内田 智子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.1-15, 2015-07-01

本稿は、蘭学資料に見られる「アルファベット表記の五十音図」の特徴とその掲載目的を考察するとともに、蘭学者がこの音図に基づいて行った音声分析について述べたものである。蘭学資料の音図は、従来日本語をアルファベット表記したものという程度の認識であったが、本稿では、蘭学学習においてこの音図が「音節」の概念を理解するために重要な役割を果たしたことを示した。また、蘭学者中野柳圃がこの音図によって行った音声分析を国学者の記述と比較した。当時の国学者がワ行音を「ア行音+ア行音」「喉音」と捉えていたのに対し、柳圃はアルファベットと音図によって「子音+母音」「唇音」という結論を導き出したことを指摘した。
著者
内田 和伸
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.459-464, 1998-03-30
被引用文献数
1

近世城郭・陣屋・要害から社寺に移築され現存する城郭建築遺構(以下,社寺移築遺構と呼ぶ)161件について,その種類や来歴,所有者の保存意識等に関する調査を全国的に行った。その結果,社寺移築遺構の入手方法は社寺による購入だけでなく旧藩主からの寄贈が多く見られ,社寺移築遺構を当該社寺で保存する意向の社寺が多かった。今後の社寺移築遺構の調査では建築構造や意匠だけでなく,来歴や移築された意味,現在の環境,利用状況を評価し,移築を文化として捉える視点が必要になろう。また,社寺での保存のためには登録文化財制度の活用や指定文化財では修理時の補助率の引き上げが望まれる。
著者
松枝 秀二 小野 章史 内田 郷子 中田 裕美
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.253-257, 1992

高校生野球部員の食生活調査をおこなった.対象はレギュラークラス11名.調査期日は平成元年10月と12月に一週間づつおこなった.その結果, スポーツ選手としては摂取栄養素量は少なく, 特に野菜類, 乳類の摂取不足が顕著であった.エネルギー充足者では内容が蛋白質, 脂質にかたよっていた.今回の調査から若年スポーツ競技者に対する食事指導の必要性が強く感じられた.
著者
内田 亮子
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.9-15, 2010 (Released:2011-07-14)
参考文献数
33

言語能力の起源と進化を考察する際、現在の機能とメカニズムとともにその歴史性の解明も重視されなくてはならない。他の生物現象同様、ヒトの脳とそれが可能にする言語能力も妥協の産物である。言語が現れるにいたった過程と、言語獲得によって失ったものや新たに対処しなければならなくなった課題の解明は、言語のより深い理解につがなるはずである。本稿では、言語獲得と関連が高いと考えられる現代人的な脳の使い方と生き方が、人類進化の歴史の中で、いつごろ、どのように現れてきたのかについて生物人類学的知見をもとに概観する。
著者
内田 陽子 新井 明子 小泉 美佐子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.93-103, 2005-03
被引用文献数
3

本研究の目的は群馬大学医学部保健学科での老年看護学実習の評価を行い,学生の高齢者に対する看護実践のやる気を高める条件を明らかにすることである。対象は2004年5月から7月にかけてS介護老人保健施設で実習をした39人の本大学の学生である。調査は学生の実習終了最終日に学生に質問紙を配布し,各自記入をしてもらった。質問紙の主な調査項目は,(1)学生の高齢者看護実践のやる気の程度と,それに影響する条件として(2)学生の背景条件,(3)受け持ち高齢者の背景条件,(4)実習における学習の程度に関する項目を設定した。結果,1,学生にとって受け持ち高齢者へのアセスメントや看護実践に対しては教員が,他の高齢者に対する看護実践では看護師が有効であると認識していた。 2,学生の看護過程や技術に対しての自己評価は高かった。3,痴呆棟に実習に行った学生のほうが,高齢者から拒否された経験が生かされ関わる自信がついていた。4,学生の今後の高齢者に対する看護実践のやる気と有意な正の相関がみられた項目は,「アセスメントができた」,「実習が楽しかった」,「介護老人保健施設に就職したい」,「元来実習が好きである」,「受け持ち高齢者に拒否された経験があった」,「受け持ち高齢者に対する看護技術の実践」であった。「受け持ち高齢者の排泄が自立している」については負の相関がみられた。5,学生のやる気はグループ毎に相違があり,最も有効なやる気を高める条件は「実習が楽しかった」であった。痴呆高齢者に拒否されても,日々のケアのなかで患者と分かり合えることを促す指導を実践していくことが求められる。教員は授業としての実習を展開するなかで,学生の気持ちや表情を観察し,学生が問題解決のどの過程にあるか,満足いく実習ができているか常に確認していく必要がある。
著者
吉村 浩典 岩井 儀雄 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.1987-1997, 2007-08-01
被引用文献数
11

本論文では,屋外環境において照明変動に対してロバストかつ物体の影を除去した移動物体検出手法を提案する.この手法は明るさ可変背景モデルを用いて背景成分をカルマンフィルタにより連続して推定,更新を行うことで実現する.また移動物体の検出には,明るさ可変背景モデルを用いて色情報により識別を行う.更にMSC(Margined Sign Correlation:マージン付き符号相関)を利用して空間情報による識別も同時に行う.これにより更なる移動物体の検出精度の向上を図る.このシステムを実際に屋外において撮影された動画像に適用することで,カルマンフィルタによる背景成分の推定の様子を示し,移動物体の検出精度の評価とその考察を行う.