著者
内田 洋子
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.106-113, 1990-09-21
被引用文献数
8

1986年にCIEが正式に白色度式を推奨した。日本色彩学会では白色度表示方法研究委員会(以下, 委員会)を設置し, CIE白色度式がJISとして採用できるものであるがどうかを検討した。本稿では委員会の実験データを用いて, 主成分分析・因子分析をし, 試料及び被験者の関係を分析した。また前報のデータも同様に分析し, 比較検討した。次にCIE白色度式の800と1700という2つの係数を変化させ被験者毎の最適係数を捜し, 各被験者が何色好みであるかを分類した。さらに被験者の職種と視感評価の関係について調査した。主成分分析の結果, 白布試料では(1)視感反射率(2)色み量(3)純度, 白紙試料では(1)視感反射率(2)蛍光性(3)色み量, 前報の実験では(1)色み(2)純度(3)色み量(4)視感反射率の各因子が白さを評価する主要因であることが判った。次に委員会のデータでは各被験者の多くが緑み好みであったが, 青み好みについて調べてみると白紙試料の方が白布試料に比べて3倍も増加していた。また専門家と一般に多少相違がみられ, 一般は一人一人が種々の基準で白さを評価しているようであった。
著者
吉田 龍生 フォン ヤオカイ 内田 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.357, pp.55-60, 2012-12-06

本研究の目的は,プロジェクタから投影されたスクリーン上でタッチスクリーン操作を実現することである.その一つの手段として,スクリーンのタッチパネル化が考えられる.しかし,タッチパネルの大型化にはコスト面での課題が残る.そこで,カメラ・プロジェクタシステムを用いることを考える.カメラ・プロジェクタシステムとは,既存のプロジェクタシステムにカメラを備えつけ,そのカメラから得られる情報とプロジェクタの特性を活かし,構築するシステムである.本研究において,構築するシステムに用いるカメラは,web カメラ1 台と限定する.そうすることで,タッチパネルの大型化に残るコスト面での課題を克服することが可能である.カメラ・プロジェクタシステムによるタッチスクリーン操作の実現には,指領域の検出,スクリーンへの接触検知,トラッキングが必要となる.本稿では,まず指領域の検出及びスクリーンへの接触検知の方法について述べる.そして,トラッキングの手法を提示し,その手法による実験を行ない,タッチスクリーン実現への検証を行なう.
著者
内田 芳雄 小島 哲夫 杉岡 洋一
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.1309-1312, 1988-04-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
7

We analysed possible pathophysiology of cubitus varus deformity after supracondylar fracture of the humerus using clinical materials and experimental models. In addition to varus, distal portion of the humerus usually rotates internaly and extends posteriorly. As a result, pronation of the forearm, external rotation of the shoulder and elbow flexion are limited in the patients with cubitus varus deformity.
著者
内田 英夫 木曽 茂 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.95, no.304, pp.1-6, 1995-10-19

一般幹線道路において、3ヶ月間にわたり10分おきに道路交通騒音を測定し、道路交通騒音の日変化について検討した。その結果、月曜日の朝から土曜日の午前ぐらいまでは同じ日変化になることが明らかとなった。日変化の原因を知るために、30分おきに交通量と車速を調査した。その結果道路には交通容量があり、交通量と車速がおおむね2次曲線的な関係にあること。このため交通量がある範囲では騒音レベルが余り変化しないことが明らかになった。
著者
内田 祥哉 森田 司郎 矢野 克巳
出版者
日経BP社
雑誌
日経ア-キテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.652, pp.60-63, 1999-11-01

ある現場で,工事主任さんから「こんなコンクリートを使っていたら建物が将来どうなるのか,心配で寝られない」という話を聞かされたことがあります。人手不足に加えて生コンなどの品不足も深刻で,やっと現場に生コンが入ったと思ったらシャブシャブ。これじゃ困ると断ろうにも工期が延びるから断れない。結局それを使うことになるが,できたものを見ると自信を持てない。
著者
高瀬 つぎ子 高貝 慶隆 内田 守譜 難波 謙二 大槻 勤 村松 康行
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.281-290, 2013 (Released:2013-05-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1

福島第一原子力発電所の事故は,福島県東部の広範な地域に,放射性セシウムによる環境汚染をもたらした。本研究では,汚染された餌を摂取したウシの血液中と内臓組織中の137Cs濃度を測定し,コンパートメントモデルによる解析を行った。その結果,血液と内臓組織に含まれる137Cs濃度には,線形相関が存在することが明らかになった。また,内臓組織中での137Csの蓄積性(aiE/aEi)を推計したところ,137Csは,筋肉に蓄積しやすいことが明らかになった。
著者
吉岡 立人 荻野目 望 内田 直行
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.68-73, 2005-01-15
被引用文献数
3 2

一本釣カツオおよびまき網カツオを原料魚として製造したかつお節の品質を,製造中の粉末の発生量,製品の嵩,腰の強さ,およびイノシン酸音量を指標として比較した。また,筋組織を組織化学的に分析した。その結果,一本釣カツオを原料魚とした節は,いずれの品質指標においても有意に優れており,エオシン陽性成分の筋細胞内残留率が有意に高かった。この細胞内残留率と品質指標との間に関連性が認められ,かつお節製品組織の筋細胞内に残留するエオシン陽性成分の存在状態は,かつお節の品質を決定する大きな因子であることが示唆された。
著者
長谷川 哲也 内田 良
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF EDUCATIONAL SOCIOLOGY
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.259-280, 2014

本研究の目的は,大学図書館の図書資料費に関して,大学間の格差の実態とその推移を明らかにすることである。資料の電子化という地殻変動のなかで,大学間の格差はどう変容してきたのか。図書館研究と高等教育研究はいずれもこの問題を等閑視してきただけに,格差の全体像を丁寧に検証することが求められる。 とくに高等教育の資源格差は,各大学の機能の相異として是認されうるため,本研究では4つの視点──大学間の不均等度,大学階層間の開き,時間軸上の変化(縦断的視点),大学本体との比較(横断的視点)──を用いて多角的に分析をおこなう。分析には『日本の図書館』の個票データを用いた。国立大学法人化以降(2004-2011年度)の図書費,雑誌費,電子ジャーナル費に関して,「大学間格差」(個別大学間の不均等度)を算出し,さらに「大学階層間格差」(群間の開き)を明らかにした。<BR> 主な知見は次のとおりである。第一に,電子ジャーナル費では大学間の不均等度は縮小しているものの,階層間格差はむしろ拡がっている。これまで電子ジャーナルの購読では階層間格差は小さくなると考えられてきただけに,重要な知見である。第二に,雑誌費では大学間の不均等度が高くなり,さらに階層間格差が拡大するという,深刻な事態が生じている。「電子化」の背後で進むこれら図書資料費の「格差化」にいかに向き合うかが,大学図書館の今後の課題である。
著者
田中 真 内田 純平 宮岡 祐一郎 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.1383-1394, 2005-06-15
被引用文献数
11

演算器ごとに専用のローカルレジスタを持たせるレジスタ分散型アーキテクチャを用いると,レジスタ間データ転送を利用することによって配線遅延が回路の性能に与える影響を削減することが可能である.しかし,高位合成のスケジューリングの段階からフロアプラン情報を考慮する必要がある.本論文では,レジスタ分散型をターゲットアーキテクチャとし,(1) スケジューリング,(2) レジスタバインディング,(3) モジュール配置,の工程を繰り返し,(3) から得られたフロアプラン情報を(1),(3) の工程にフィードバックすることによって,解(合成結果)を収束させる高位合成手法を提案する.フロアプラン情報をスケジューリングに反映させるために,フィードバックされた配置情報とタイミング制約に基づいて,レジスタ間データ転送を利用することができるスケジューリング手法を提案する.また,レジスタ分散型に対応したレジスタバインディング手法を提案する.提案バインディング手法では,ローカルレジスタを入力側と出力側で区別し,出力側レジスタで可能な限りデータを保持することにより,総レジスタ数を削減する.提案手法により,フロアプランを考慮したレジスタ間データ転送を用いた回路を解として得ることが可能となる.計算機実験によって,提案手法の有効性を示す.By using a distributed-register architecture, we can synthesize the circuits with register-toregister data transfer, and can reduce influence of interconnect delay. In this paper, we propose a high-level synthesis method targeting a distributed-register architecture. Our method repeats (1) scheduling, (2) register binding, (3) module placement processes, and feeds back floorplan information from (3) to (1) in order to decide which functional units use registertoregister data transfers. Our scheduling algorithm can use register-to-register data transfer based on floorplan and timing constraint. We also propose a register binding algorithm on a distributed-register architecture. We show effectiveness of the proposed methods through experimental results.
著者
棚田 益夫 内田 晴彦
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.345-350, 1974
被引用文献数
1

抗菌力が認められている食品添加物および天然物25種類について,生めんまたはゆでめんに対する抗菌力を比較検討した。<BR>(1) エチルアルコールの抗菌力は生めん,ゆでうどんのいずれにおいても,試料中の水分に対する相対量に応じて増加し,約13%以上では微生物の増殖は認められなかった。<BR>(2) グリシンの抗菌力は生めん,ゆでうどんのいずれについてもおおよそ0.5%以上の添加で認められ,2%以上添加しても抗菌力はほとんど増加しなかった。<BR>(3) グリシンおよびエチルアルコールのゆでうどんに対する抗菌力は蒸気殺菌処理併用でかなり増加した。<BR>(4) 原料粉に添加されたグリシンのゆでめん中残存率はゆでうどんで26%,ゆでそば,ゆで中華めんでそれぞれ39%であった。<BR>(5) 有機酸では酢酸,DL-リンゴ酸の抗菌力がすぐれていた。<BR>(6) 以上の添加物およびその他の添加物の抗菌力を"抗菌力指数"として示した。<BR>(7) これらの添加物を併用したさいの効果は相加的とみなされた。
著者
内田 嘉壽子 寺田 員人 北村 絵里子
出版者
新潟大学
雑誌
新潟歯学会雑誌 (ISSN:03850153)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.19-28, 2005-07
被引用文献数
2

Rehabilitation makeup therapy supports social reintegration by altering self body images, and it is probably a type of cognitive behavior therapy in psychiatric medicine. The aim of this study was to clarify the significance of rehabilitation makeup by examining its psychiatric and psychological effects according to the examination lists created before and after rehabilitation makeup. Subjects consisted of 181 females and 6 males (mean age 34.9 years), who underwent rehabilitation makeup between January 2003 and March 2004, with their permission to participate in this study. Methodology : 32 items of a depression perception scale were used in the examination lists, including 10 items of negative self-perception such as extremely self-humiliating and self-deprecating tendencies, 11 items of interpersonal perception such as excessive sensitivity to others' evaluations and anaclisis, and 11 items of Compulsive thinking such as perfectionism and lack of flexibility. These 3 items and the comprehensive evaluation of each subject were classified into 3 status levels : critical area (-1point), moderately harmful (0 points), and no harm (+1point). A statistical test was Conducted using alterations observed before and after makeup as points (points after makeup-points before makeup). Results and Conclusion : As for the negative self perception, 33 subjects (17.6%) in the critical area before makeup were reduced to 11 (0.59%) after makeup. Similarly, the numbers of subjects in the critical area before makeup were reduced from 40 (21.4%) to 20 (10.7%), 23 (12.3%) to 16 (8.6%), and 25 (13.4%) to 8 (4.3%) after makeup as to interpersonal perception,compulsive thinking, and integrative evaluation, respectively. A statistical test confirmed a significant increase level of less than 5% regarding compulsive thinking, and less than 1% as to negative self perception, interpersonal perception, and the comprehensive evaluation. As to result, it is suggested that rehabilitation makeup has mental and psychological effects on individuals with facial disfigurements.リハビリメイクは、自己のボディイメージを変容、あるいは受容させることによる社会復帰を支援するものであり、精神医学における一種の行動療法・認知療法に通ずると考えられる。本研究では、リハビリメイク施行前後の調査表を用いてリハビリメイクの精神心理学的効果を調べることにより、その意義を明らかにすることを目的とした。方法:リハビリメイクを施行し、承諾の得られた187名(女性181名、男性6名、平均年齢34.9歳)を対象とした。「否定的自己認知」に関する10項目、「対人認知」に関する11項目、「強迫的思考」に関する11項目からなるうつ病認知スケールを調査表として使用した。各被験者について、この3項目とその総合評価を危険域(-1点)、中等度問題あり(0点)、問題なし(+1点)の3段階に分類し、施行前後の変化を点数化し、評価、検討を行った。結果・結論:「否定的自己認知」に関して、危険域にあった人数は、リハビリメイク施行前後で、33名(17.6%)から11名(5.9%)に減少した。同様に危険域にあった「対人認知」では、施行前40名(21.4%)、施行後20名(10.7%)、「強迫的思考」に関しては、施行前23名(12.3%)、施行後16名(8.6%)、また、総合評価については、施行前25名(13.4%)、施行後8名(4.3%)であった。統計学的検定により、「強迫的思考」に関して有意水準5%未満、「否定的自己認知」、「対人認知」および総合評価に関しては有意水準1%未満で状態の改善を認めた。以上の結果から、リハビリメイクが顔に何らかの外見的な障害を有する人に精神心理学的効果のあることが示唆された。
著者
内田 盛也
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.685-701, 1993

ご紹介にあずかりました内田でございます。本日は紙パルプ技術協会のこういう大会にお招きを頂き, 大変光栄に存じております。今日お話ししたいと思いますのは「国際的にみた企業の知的戦略」という題目でございますが, ご承知の通り, ただ今は大変な世界の変動期にあります。戦後懸命に日本の産業を大きくされてきた皆さん方は, 何となく今後の将来について戸惑いがおありになるのではないか。いったい今後どういうことになるのであろうか。私どもが大学を出て産業界に入りました時は, アメリカの国力の 1/30 でありました。現在, アメリカに匹敵するような大国になっております。ということは, 戦後我々がやってきたような方法で懸命に働いてこのままいきますと, 世界全体が日本になってしまうという事で, ご承知の通りいろんな摩擦問題等が出て来ております。<BR>それから, もう一つは小国日本が世界的な観点から色々な期待をされております。所が日本人の意識構造には全くそのような観点がありません。歴史的に見てヨーロッパなどでは学問が出きて, 宗教の中に育てられて, そういう形の中で伝統的に国際社会の自分達という意識構造, 社会構造というシステムが出来上がっておりますが, 日本はたった 30, 40 年の間にそうなったという事でこれからという所であります。こういう問題と同時に, 経営環境をどうしたら良いかといろんな意味の戸惑いがあると思いますので, 今後の大きな戦略的なものの中から少しでも皆様方の参考になればと思って, このような題目でお話をしてみたいと思うわけであります。
著者
内田 滋夫 村松 康行 住谷 みさ子 大桃 洋一郎
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.199-203, 1990-05-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

湿性沈着吸収によるヨウ素のコマツナおよび水稲可食部への移行および吸収部位からの転流について検討した。その結果, (1) コマツナ葉面へは, I-の方がIO3-よりもよく吸収されること, および (2) モミへの吸収では, 95%以上がモミガラに残留し, 玄米へは移行しにくいこと, さらに, (3) どちらの農作物でも吸収部位から他の部位への転流は, 非常に少ないこと, 等が明らかとなった。
著者
塚越 敬三 六山 亮昌 福泉 靖史 正田 淳一郎 川田 裕 内田 澄生 岡田 郁生 伊藤 栄作
出版者
公益社団法人日本ガスタービン学会
雑誌
GTSJガスタービンセミナー資料集 (ISSN:13418491)
巻号頁・発行日
no.34, pp.57-64, 2006-01-20
被引用文献数
1

大型発電用ガスタービンの開発は,これ迄コンバインドサイクル発電設備の主機として熱効率の向上に注力してきた。一方で,地球環境を取り巻く情勢は刻々と深刻化しており,最近では地球温暖化による異常気象のニュースを目にする機会が増える中,日本は2005年2月に発効された京都議定書の削減目標を確実に達成する事が求められている。この様な状況下,2004年度から4年間のスケジュールで,1700℃級高効率ガスタービンの要素技術開発の国家プロジェクトが開始された。1700℃級ガスタービンが実用化した場合,125万kWの石炭焚き火力を、同ガスタービンを利用したコンバインドプラントに置き換えることで,日本のCO2総排出量の0.4%が削減可能となる。この効果は,京都議定書の削減目標6%と比べた場合非常に大きな値であり,1700℃級ガスタービンの開発成果は日本のみならず全世界へ波及し,地球環境に大いに貢献するものと期待されている。本稿は,この要素開発研究の現在までの取り組み内容と成果及び,今後の予定について紹介する。
著者
内田 順子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.504-520, 2015

本稿は, 国立歴史民俗博物館が実施している民俗研究のための映像制作を事例として, 「映像を保存・活用する」際の諸課題について考察するものである. 長期的な展望をもって映像を制作し, 保存し, 活用するには, メディア変換などの技術的な問題, 著作権・肖像権などの法的問題, アーカイブの構築などの映像を共有するしくみに関する問題などを解決していく必要がある. 民俗研究を目的として制作された映像は, 研究者と, 研究対象となる地域の人びととの協働によってつくられるものであるため, その協働の関係性は, 映像そのものに色濃く反映される. そのような映像を保存・活用する際には, 著作権・肖像権に関する一般的な検討とは別に, 倫理的な問題として検討しなければならない事柄がある. その点が, 一般的な映像の保存・活用と異なるところである.